第三界層守護者。その座に対しては淫乱尾籠猥蟲竜を統べるという観点からマンダラも検討されたものの、流石に第三界層には『過剰戦力』であるとして却下されている。
その結果、第三階層の主に就任したのは、意外にも粘魔の系統であった。
その姿を前に、勇者一行は今、決断を迫られていた。
「……これは、倒せんな」
「間違いない。防御に振り過ぎ」
「困りましたわね」
「えーっと、うーん。そうなんですか……? さっきの竜より弱い様な」
「攻撃力は低い。能力も媚毒だけ。攻撃はゆっくりした触手で避けやすい。でも、その代わりに防御だけが異常なまでに発達してる」
「先程から攻撃していて分かるだろう、ファントムくん。手応えがないのが。おそらくコイツは物理攻撃完全無効、その上に魔術すら効かない。……唯一の手段は聖気だが、そこで問題になるのはコイツの体積だな」
粘海溟渤淫溢魔。その最大の特徴はその巨体。果てなく広がる粘液の大海が、この魔物の肉体だ。これだけの体積を灼き祓うほどの聖気など、人の身で絞り出せる量ではない。
故に、この手の魔物は『やり過ごす』のが定石なのだが。
「第四界層への入り口はあの魔物の底に沈んで居ますから、やり過ごす事も出来ない、と」
「んー……そうだ、テレポートとかどうですかね。カズラさんに僕が魔術を教えて貰って、一気にあの粘液の向こうまで行くんです」
「勇者様の言うように出来れば良いのですけれど、召喚系ならば術者の元に呼び寄せ、移動系ならば双方向から道を開くことは可能なのですが、目測だけで転移する様な術は寡聞にして存じませんわ。目印になる様なものを設置してその座標に転移する魔術が一番近いでしょうか」
「うーん。……! なら、道は一つだね。僕があの魔物を泳いで突破して、僕を目印に皆が転移する。これしかないと思う。失敗しそうだったら、僕をカズラさんに召喚して貰えば良い」
「勇者、それは危険」
「大丈夫だよケーレさん。僕は不老不死だから、溺死する心配はないし、重りを身体に巻きつけて、剣を構えて突っ込めば絶対切断で粘液を切り裂きながら沈んでいけるはず」
「だがファントムくん、奴の身体は強力な媚毒だぞ」
「それはちょっと不安だけどさ。……ここでいつまでも立ち止まってられないでしょ。僕達には使命があるんだから」
覚悟を決めた、勇者の瞳。その瞳を見た仲間たちがそれ以上の反論をすることはなく、勇者の作戦は実行に移される事となる。
その瞳の奥にチラつく『不自然な聖気の輝き』に気が付かぬままに。
* * * * * *
「其は碧空を駆ける風の乗り手。雲海を往く帆。其は翼。我が背に今、天を目指す力を宿せ! ——飛翔!」
魔力の翼をその背に広げ、岩を詰めた背嚢を背負って第四界層入口の真上にやってきた勇者ファントム。
絶対切断の力を宿す剣をその眼前に構え、覚悟を決めて粘海溟渤淫溢魔に急降下するその姿は隼の如し。
しかし、その勢いは次第に弱まり、しばらく進んだところで、重りの重さに任せた『沈没』へと移行する。
その様子を上空で見守るのは視力に長けたケーレ。忍者ならではの身体能力で迷宮の天井に張り付いた彼女は、勇者の静かな戦いを見届ける役目を負っている。
そして、そんな彼女の視線の先で、勇者の孤独な戦いが始まった。
皮膚から染み込む媚毒。そして身体を這い回る粘海溟渤淫溢魔の肉体。それらが齎す快感に身悶えしながらも、下へ下へと愚直に進む勇者に対し、粘海溟渤淫溢魔は淫系統らしく精気の搾取を開始する。
乙女と見紛う美少年である勇者ファントムだが、その股間にはしっかりと陰茎が付いており、媚毒の影響でビキビキとボッキしている。
粘海溟渤淫溢魔がまず目をつけたのは、当然この陰茎だった。
粘液をゼリー状に凝縮し、形成した複雑な構造のゲル孔。それが衣服の隙間から侵襲した粘液によって構成され、勇者の陰茎を扱き始めたのだ。
「〜〜ッッ♡♡♡」
中学2年生の童貞ちんぽに対して余りに無慈悲なその攻撃に、勇者は堪らず吐精する。ビュルビュルという射精の感触が絶え間なく陰茎から伝わり、目の前がチカチカと明滅する。
だが、それでも勇者は必死に入口を目指し、剣を構えて沈み続ける。だが、無慈悲にもそんな勇者に、粘海溟渤淫溢魔は更なる刺激を与えていく。
乳首を無数のイボでグリグリと刺激され、尻穴に染み込んだ粘液がじっくりと前立腺を揉み、全身の性感帯を開発するべくゲルの舌が勇者の体表を這い回る。
イキまくり、射精しまくり、無様にガクガクと痙攣しながら、それでも意地で剣を構えて、潜りに潜る。
人間ではとうに溺死しているほどの時間。ゆっくり、ゆっくりと時間をかけて、ようやく湖底に到達し、粘海溟渤淫溢魔を抜けて四界層の入口にドサリと横たわる勇者。
その肢体は自分が出した精液に塗れ、今も尚、ガクガクと震えながら吐精し続ける陰茎と、トロトロと腸液を垂れ流す尻穴が、彼の長い戦いの苦しみを物語っている。
明らかに気を失っている筈のその身体はしかし、何者かに操られているかのように絶頂の中でも剣を構え続け、確かに第四階層に至る階段に到達。
そのまま粘海溟渤淫溢魔の粘液によってズルズルと階段を滑り落ちながら鯨の潮のように精液と小便を交互に噴き出す彼は白目を剥いており、明らかに危険な状態にあった。
そんな勇者の元に、手筈通りに転移してきた仲間たち。ひとまず媚毒に塗れた勇者の身体を洗い流した彼女達は、第四界層へと通じる通路の一角に野営の準備をすると、気を失っている彼の治療に取り掛かるのだった。
* * * * * *
「……! ぅあ、此処は……?」
「目覚めたかファントムくん! よく頑張ったな……!」
「ソークスさん……?」
「此処は野営地だ。ちょうど今から君の治療をするところだったんだぞ」
「治療……? ……! えっと、その」
「私が相手なのは嫌か、ファントムくん」
「いや、そんな! 夢みたい、です……。でも、えっと」
「つくづく君は初心で可愛らしいな。……だが、嫌でないのなら良かった」
テントの中に敷かれた毛布の上で、生まれたままの姿で寝かされていた勇者ファントム。
彼の頰にそっと口づけたソークスは、結い上げていた髪を解くと、その鎧を脱ぎ始める。程なくして、平服担った彼女は、それすらもスルスルと脱ぎ捨てて、その裸身をファントムの前に晒した。
「うわ……ソークスさん、綺麗……って、なんで裸……!?」
「ツラワで良い。……ファントムくん、初めて抱く女が私では駄目かな?」
「……ッ!」
ゴクリ。そんな生唾を飲む音がテントの中に響き、媚毒に侵された勇者の身体が目の前の女を喰らえと本能の雄叫びをあげる。
だが、彼は、夢見がちな中学生で、ちょっと中二病で、女の子に興味津々で、オナニーを毎日していても、それでも、勇者だった。
「ソークスさん、こんなの、駄目です。治療なんて、そんな為だけに、ソークスさんが、そこまでする必要は……!」
腕はガクガク震えている。股間から先走りが漏れている。視線は泳いでいるし、顔は茹でたカニより赤い。
それでも、彼はその震える手でソークスの肩を掴み、勇者に身体を捧げようとする彼女を押しとどめたのだ。
目の覚めるような美女からの据え膳を、彼女の身を案じて断る勇気。その一点だけで、彼が勇者である事を疑う男は居ないだろう。
だがしかし。それはあくまで男の理論だ。
「君は優しいな、ファントムくん。だが、こうして誘っているのは私なんだ。女に、恥を欠かせないでくれ」
そっと、勇者の制止の手を払い、ソークスはその形の良い、
そして勇者の太腿に擦り付けられるソークスの茂みの奥、その奥から溢れる愛液を感じた時点でようやく、勇者の忍耐は本能に屈した。
「ソークスさん、いやツラワさん……!」
「ファントムくん……♡ んむ♡」
重なる唇。互いを弄る腕。ソークスの手が勇者の陰茎を軽く扱きながら女陰へと導き、ズブリと飲み込むようにして、二人の性器が融合する。鍛えられた筋肉により、グニグニと陰茎に食い付くソークスの膣。上になったソークスが腰を振るう度に、勇者の陰茎はそのザラザラツブツブの膣壁で擦られ、その快感を逃がそうとするかのように、一層キスは激しさを増す。
ジュプジュプと響く、卑猥な水音。それ以上に、互いの甘い声が耳を打ち、半ば夢見心地な勇者は、トクトクとソークスの膣内に精液を注ぎ込む。
イチャイチャと絡み合う二人は互いの身体にキスを落とし、勇者は幼児に還るかのように、ソークスの乳房に吸い付いて、その柔らかな乳首を舐った。
騎乗位で揺れるソークスの乳房。松葉崩しで抱きしめる太腿の柔らかさ。艶やかな唇によるフェラチオ、柔らかさに包まれるパイズリ、絞り取られるようなアナル。
ソークスの五体を隅々まで堪能し、精気の枯渇からコテンと寝落ちてしまう勇者ファントムは、ソークスの乳房に顔を埋めて、しばしまどろむ事になるのだった。
* * * * * *
「ソークスずるい」
「あら、ケーレさん。先程はソークスさんが見張りをしてくださっていたのですし、譲り合いは大切ですわよ」
「勇者は優秀な男。私も胤が欲しい」
「その気持ちはわかりますけれど……あら、終わったようですわね。お邪魔しますわよ……まぁ、凄い匂い。——汚れよ我より去れ。浄化」
清めの魔術で勇者達ごとテント内を浄化し、カズラは二人に毛布を掛けて、再びテントの外に出る。
「ケーレさん、お先に眠られては?」
「まだ良い。カズラが先に寝て」
「ではお言葉に甘えて」
見張り用の焚き火の近くで寝袋に潜り込んだカズラは、冒険者らしい寝付きの良さで、すぐにスヤスヤと寝息を立てて眠る。
そんな彼女を見守りつつ焚き火を見つめるケーレは、小さく溜息を吐くと、改めて呟いた。
「次は私の番」
勇者は知らぬ事だが、この無限に戦争が続く世界の女は、強い子を孕む事に貪欲だ。ケーレがその引き締まった身体の内に抱く『勇者の子を孕む』という欲望は、何も不自然なものではない。
ただ、その欲望がこの迷宮の環境によって増幅されているというのもまた間違いない事実。
勇者達の心身を蝕む迷宮の魔手は、確かにその力を増しているのだった。