業深迷宮の居住区。地下にある水上都市という一風変わった景観のその界層は、遠くが霞むほどになってもまだ街が続いているという広大な領域だ。
業深迷宮の誕生の頃からちょくちょくと増築を繰り返して肥大化した街であり、迷宮の歴史を支えてきた人間と魔物の養殖場。この居住区こそが、この迷宮の心臓部と言っていいだろう。
ヤベサはそんな街で生まれた1人の少女である。歳は8歳だが、幼少の頃から精気を鍛えられてよく発育したその身体は、既に思春期を終え、大人の肉体になっていた。
とはいえ彼女は年齢の通りまだ子供。学校で勉学に励む毎日を過ごし、元気いっぱいに日々を謳歌している。
「————こうして、女性の生理では子宮内膜の剥離と共に出血が生じますが、正常なサイクルの場合痛みは少なく時期も短めです。強い痛みや、大量の経血を伴う不正出血は身体異常のサインで、僅かでも心当たりがあればバビロン端末や淫精芙蓉樹の誰かに相談しましょう。……さて、今日はここまで。来週は月経前症候群について教えるので予習しておくように」
そう言って授業を終える淫精芙蓉樹の先生。学校は朝からお昼前までで、年齢ごとに学級を分けて、文字の読み書きや計算、その他の知識を教えてくれる。
業深迷宮らしいのは、そのどれもが究極的には性教育であることだろうか。
例えば読み書きの授業ならば。
「くそよわおちんぽをぺろりとなめしやぶるせひにうえたいけずのねえさまみつぬれてゆきあかごはらむ。現代風に書き下せば、クソ弱オチンポをペロリと舐めしゃぶる性に飢えたいけずの姉様蜜濡れて逝き赤子孕む、と読む。意地悪なお姉さんがクソ雑魚おちんちんをペロペロしゃぶり、愛液に濡れてイっちゃって赤ちゃんを孕む、という意味だ。この短文は日常で使う46文字を使って作られているので皆で覚えよう!」
といった感じだし、計算の授業ならば。
「人間の妊娠期間は280日です。しかし苗床のAさんは2倍の早さで赤ちゃんを産めます。ところが精鋭苗床BさんはAさんの7倍の速さで赤ちゃんを産めるそうです。それを聞いた先輩苗床のCさんは、Bさんは私の5倍早く産めるから敵わなくて当然よと言いました。Cさんは何日で赤ちゃんを産めますか」
といった風になる。
だがまぁ、業深迷宮で性教育ほど重要なものもない。基本的に産めよ増やせよだし、外の世界より遥かにセックス推奨な世の中だ。
そんな街なので、ヤベサは自分の母親も父親も知らない。世代からするとバビロンが適当に交配させた人間が両親なのだろうが、育ての親がバビロンなのでよくわからないのだ。もちろん大体の子供はそうなので、この街ではさして珍しくも無い普通の孤児である。
だが、寂しいと思ったことは無い。親を知らないとは言ったが、それは『誰が生みの親なのか分からない』だけで、彼女はしっかりとした環境で育っているのである。
居住区の住人たちが親代わりなのだ。
なので、学校からの下校中にも、ヤベサは色んな人や魔物に声を掛けて貰える。
「おや、ヤベサちゃん、学校帰りかい? そうか、もう昼時か。よし、ヤベサちゃんにコイツをやろう!」
「わぁ! スケベ虫の卵! 沼稚児のお兄ちゃんありがとう!」
「最新の品種改良種だよ、食べてみな」
「いっただきまーす」
そう言ってニコニコ顔で躊躇いもなく魔淫蟲の卵塊を頬張る少女というのは外の世界では『色狂いのキチガイ』扱いだが、業深迷宮でのその扱いは子供のオヤツ。
甘くてプチプチな食感が人気で、ジュースに混ぜたりそのまま食べたりと大いに出回っている食物だ。
そんなわけで、需要に伴い味の改良も盛んなのである。
「ん……!
「おうよ。開発系の奴等が外の世界に居るキュウリウオから匂い付けのヒントを掴んだんだと。美味いか?」
「美味しい!」
「そりゃあ良かった」
和気藹々と魔物と人が過ごす光景。ある意味理想郷といえなくもないが、その実態は邪教徒と淫魔の共生に過ぎない。
「お兄さん、お礼にこのスケベ虫、増やすのお手伝いしよっか?」
「ん? いやいや、時間も掛かるしそれは悪い。でもまぁそうさな。おやつ用に1匹買ってくれると商売繁盛でありがたいな」
「商売上手だねぇ、一個ください」
「商売上手なんて言葉どこで覚えたんだ? まあ良い、魔淫蟲
「はーい」
100点、という耳慣れない単位は、迷宮内にこの1ヶ月で強制的に普及された、『異界知識』ベースの新通貨だ。異界では『デンシマネー』なる通貨システムが存在するらしく、それを元にバビロンが構築した『エネルギー通貨』である。
仕組みは単純で精気を蓄積する魔道具を住民に配布し、精気量での決済を可能にしただけのことだ。
だが特筆すべき点は、このエネルギーが人間由来であり、かつ同時に魔物によって消費されること。
人類は身一つで金銭を得られ、魔物は商品やサービスを提供することで多量の精気を回収出来るのである。
もちろんヤベサもこのシステムは知っており、スマホを参考に手のひら大に設計された決済魔道具から速やかに支払いを終えた。
スカートのポケットから取り出されたその決済装置からは1本のコードが伸びており、スカートのウエストから服の下へと繋がっている。その先につながるのは、点数充填器、もとい
今この瞬間も、ヤベサの早熟8歳児おまんこから精気を吸い出し、決済装置に充填しているのだ。
「お、小遣い稼ぎ頑張ってるんだねぇ」
「えへへ、コツコツ貯めて色々買うんだ〜」
「そうかそうか、ヤベサちゃんは偉いなぁ。はい、魔淫蟲1匹」
会話の内容は平和だが、褒めているのはオナニーである。ヴィンヴィンと張り型でヴァギナを耕し、トロトロと白い本気汁を垂らす少女が賞賛される光景は流石業深迷宮というか、なんというか。
ともあれ、ヤベサは沼稚児が営む店での買い物を終え、今度はフラフラと本屋に立ち寄った。
業深迷宮では語学教育が行われ、ノートに板書している事から判る通り、製紙と識字の文化がある。
さらに言えば、異界知識を元に最近は漫画なども発達して来ている他、元より魔道具の石板に投影する形での絵本や小説の文化はあるのだ。新聞だって出回っている。
故に、本屋はいつでも盛況なのだ。
そして、そんな本屋でのヤベサのお目当はというと。
「あ、サキュバ♡スイートの新刊!」
淫魔少女サキュバ♡スイート。ヒロインのスイートがサキュバスの力で正義のチンポを懲らしめる邪悪なストーリーで人気の児童小説である。
どんなピンチになっても諦めず、強い心でチンポをしゃぶり倒すスイートの戦いを見守るヒーロー作品としての面と、暗黒騎士ソルティとの恋を描くラブストーリーとしての面を持つ女児向け作品で、挿絵で描かれる濃厚なセックスが人気なのだ。
そう、濃厚なセックスが人気である。児童小説でこれなので、一般書でも普通にセックスしているし、恋愛描写があってセックス描写が無い作品はほぼ皆無。
エロが無い小説ももちろんあるし、人気だが、それはむしろ大人向けで、叙述トリックと不可能殺人を組み合わせた難解な推理小説や、硬派な武侠小説、論述書などが多い。
そんなわけで、業深迷宮の子供達は全裸で男にまたがり、両手にチンポを握って精液を浴びつつ不敵に笑うスイートちゃんの表紙を『かっこいい』と思って購入するのである。
もちろんヤベサも、最新刊の『サキュバ♡スイート㉖
業深迷宮では雑誌類は袋綴じ部分が多く、立ち読みで冒頭部分を読み、挿絵を兼ねた袋綴じの表紙を眺めて買うのが一般的なので、立ち読みは問題行為とはみなされない。何なら本を読む為の椅子すら置いてあるのだ。
ちなみに、椅子には重量感知でのたうち回るアナル用イボイボディルドが生えているため、店側はこれで収益を得ていたりする。
今も沢山の人がケツにディルドをぶち込みながら本の試し読みをしている為、本屋はかなり儲かる店と言えるだろう。
だが、ヤベサは流石に腰を据えて読み込む程本屋に用があるわけでは無いので、立ち読みで済ませているのだ。
「今週の『週刊チビッチ』は……『最新乳首アクセ・乳管ピンズ』(ラメ入りハートピンズ付き)、『5歳からの妊活特集』、『居住区最新デートスポット』、『女子力アップ♡媚薬膳レシピ』……うん、買おうっと。あとは『月刊ドレスジマン』が……あ、クーポンすごい! これも買おう」
8歳でも女の子は女の子。オシャレ雑誌二冊を新たに買い物カゴに加えたヤベサは、結局三冊を購入して店を辞した。
家に帰って早く雑誌と新刊を読もう、と早足で歩く彼女の足取りは軽く、街行く人や魔物の暖かい視線に見守られ、ヤベサはお昼ご飯の待つ孤児院への道を歩いていくのだった。
* * * * * *
それからしばらく。お昼ご飯に蓮根餅——夢魔睡蓮の根から採った澱粉で作った餅。具は魔淫蟲の挽肉——を食べ、ルウシャ印の濃厚母乳を飲み、読書も終えて元気一杯のヤベサは、孤児院の庭で一緒に暮らす孤児達と遊んでいた。
今は、ごっこ遊びの真っ最中である。
「完全変態ガチレイパー! 参上!」
「出たなガチレイパー! 聖女ヴァージニア様が相手だ〜!」
「このガチレイパーある限り、業深迷宮で勝手はさせん! 行くぞ、スペルマックスフィニッシュ!」
「きゃあ〜! ヤられた〜!」
「正義は滅び、性技は勝つ!」
男子のヒーローごっこで『勇者役』——迷宮内では敵役を指す——を務め、見事に討ち取られたヤベサは、すっかり精液塗れだ。
完全変態ガチレイパーは5人組の淫魔戦士で、必殺のスペルマックスフィニッシュで勇者を孕ませて懲らしめるのだが、ごっこ遊びでもそれを真似して精液を勇者役にぶっかけるのである。
「もー、ちゃんと口に出してくれないと飲みにくいのに」
「ごめん。ついてるの取ろうか?」
「勿体無いから舐めれる分は舐めてからお願いするね」
服や顔に掛かった精液を舐めとり、口内に8人分——ごっこ遊びなのでブルーとレッドとイエローがダブった——の精液をモグモグと溜め込んだヤベサは、学校で習った通りにそれを一旦自分を囲む男子達に見せつけてから飲み干す。
「ヤベサちゃんエローい」
「ありがと。終わったし綺麗にしてー」
「はーい。……邪神式魔術プログラム、起動。
「ありがと! じゃあ今度はサキュバ♡スイートごっこしよう!」
「サキュバ♡スイートやるならまーぜてー」
「いいよー! 女の子はスイートちゃん役でしょ? 男はどーする?」
「僕、暗黒騎士ソルティやりたい!」
「じゃあ俺、光の勇者サワーやるわ」
どうやら次は女の子が主人公らしい。スイートちゃんが2人、暗黒騎士の男子も2人、残り6人は皆勇者役で、役が決まるとごっこ遊びが始まった。
「そこまでよ勇者達! これ以上迷宮で好き勝手はさせないわ!」
「ククク! 来たかスイート! 今日こそ貴様にトドメを刺してやるぜ!」
「そうは行かにゃ……えっと、そうは行かない! 私も貴様の相手になるぞ!」
「お前は暗黒騎士ソルティ!」
やんややんやと盛り上がる展開。スイート役の女の子2人は勇者役達のズボンを脱がせ、両手で2人を手コキしつつ口でもう1人をしゃぶり、サキュバ♡スイートの得意技である『ケルベロスドレイン』ごっこに勤しんでいる。
「くっ、この程度で勇者の俺様がッ、あぁん♡ ちょ、ヤベサちゃんタンマタンマ、本気はダメだってばッ♡」
「んもむもむむも」
「ちんちん咥えたまま喋るのはダメだって!」
軽く男子の悲鳴が聞こえるが、まぁ問題はない。一応展開的にはケルベロスドレインが通じない流れなので、助っ人として暗黒騎士ソルティ役がスイート役の女性器にちんちんを突っ込み、作中の名シーンである2人の合体技『ケルベロスダークドレイン』を再現することになる。
「ちょ、ヤベサちゃんナカ、キツ……!?」
「吸い取られるゥ……♡♡♡」
蕩けた声で呆気なく果てる男子達。そのチンポが萎びるまで攻撃を続けたヤベサともう1人の少女が高らかに勝利を宣言し、ごっこ遊びは終了する。
そろそろ夕刻。ご飯を食べて、お風呂に入って、楽しい明日に胸を膨らませて眠るのが子供の仕事である。
楽しい居住区の一日が、今日も終わろうとしていた。