※この作品はR-18です。

業深迷宮日誌   作:黒山羊

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改善提案:特殊迷宮核を用いた迷宮機能アップデートによる生産性向上 byアンナ

迷宮に新たに生まれた、バビロンとアンナの娘。

 

名を『アップグルント』と名付けられた彼女は第1225-3号迷宮核として生まれ落ちた。

 

だが、その姿はアバドンともアビスとも異なるもの。

 

アバドンは、全身を迷宮核の結晶体で構成している生きた宝石のような少女。

 

アビスは、バビロン同様に胸に迷宮核を宿した貴金属と宝石で出来た少女だが、アンナの面影が強い。

 

そんな姉2人に対してアップグルントはと言えば、そもそも少女ではなかったりする。

 

身の丈2歩の長躯に、これでもかというほど自己主張する巨大な乳房と、腹直筋や腹横筋でガッチリ引き締まったウエスト、そして質量兵器と言っても過言ではないデカ尻とムチムチ太もも。

 

そしてその頭には、王冠の如く天を衝く10本の角と、こめかみから後ろの頭部を半周するように配置された6つの『小さな頭』。かなり異形なその姿だが、配置の妙か、醜さは感じない。

 

腰まである赤いアルマイトの髪を輝かせ、その肉体はバビロンと同様の白磁に輝き、瞳は七色に輝くブラックオパール。

 

片親のバビロンより魔王めいたその姿は、迷宮の魔物の因子を大量に取り込んだが故のこと。女性からは卵子や無精卵の提供、男性から精子提供を受け、勇者の血統や龍の血すら内に取り込んだその身は、現状の業深迷宮を煮詰めて固めたような存在とも言える。

 

言えるのだが……。

 

「ママ〜♡」

「はーい、ママですよ。アップグルントちゃんどうしたの?」

「おっぱい飲む!」

 

とまぁ、中身は赤ちゃんである。いや実際、今日生まれたばかりの赤ちゃんなので、むしろ直立二足歩行と言語を話しているのを褒めても良いぐらいなのだが、いかんせん見た目とのギャップが酷い。

 

妹が生まれると聞いてやって来ていたアバドンとアビスによじ登られている大柄な女性が末っ子だという時点で今更かもしれないが。

 

 

さて、そんなギャップ系赤ちゃんのアップグルントだが、単純に『バビロンと同じ事を同じように熟せる』姉2人とは異なり、彼女は『バビロンには出来ないことが出来る』。淫魔の因子を取り込んだことで、『自ら媚毒を生産出来る』のだ。

 

これだけ聞くと、『それで?』と言いたくなる者も多いだろう。アップグルント1人が媚毒を作れるから何なのだ、と。

 

だが、そう思ったなら、ある事実を忘れている。バビロンとその娘たちの人間のような身体は『端末』に過ぎず、その本質は迷宮であるという事を。

 

要するに、アップグルントの役割というのは、業深迷宮アップデートパッチなのだ。

 

今まで配下の魔物に頼りきりだった媚毒の散布を迷宮自体が可能になった事で、戦略の幅は大いに広がる。

 

何しろ、アップグルントの媚毒は現状の迷宮で最強だ。あらゆる種族の毒を複合した意味不明な媚毒カクテルと化したそれは、かつてバビロンが調合して体内に仕込んでいた混合媚毒より何倍も強い。

 

そして、媚毒以外のオマケとしては、単純に迷宮の強度が向上した。竜種の因子が迷宮全域に染み渡り、マンダラの超回復能力なども継承された事で、事実上迷宮の破壊は困難となったのである。

 

もちろん迷宮核全てを破壊すれば滅ぶのは相変わらずだが、先の勇者襲撃時のように核爆発で地上部分をブッ飛ばされることももうないだろう。

 

 

そして彼女の誕生直後から、すでに迷宮内に微量ずつ放出され始めた媚毒によって、迷宮内部では以前に増して活発な性的活動が行われており、瘴気と精気の生産は予定通りに向上。

 

流石に居住区でも学校だけは媚毒供給を絶っているが、それ以外の場所は全てがセックススポットと化し、道の端にセックスしている男女が居ない通りは無く、恋人と駅弁セックスのまま街を行く者なども現れている。

 

繁殖教団は一層活動を活発化させて赤子を産みまくっているし、エロを重視していないのは『究極の痛みを知るべく金玉を潰してしまった』という過去を持つ苦悶の求道者の男性メンバー達くらい。といっても彼らも媚毒の『回復作用』の効果を受けてか普段より9割増しの拷問具を自身に装着してご満悦である。死なないのをいいことに自分を電気椅子に掛けて煙を上げているものまで居るのだから、なかなか彼らも業が深い。

 

そして解放連盟はといえば、コイツらは相変わらずだ。

 

「ひゃっほーう! そこの可愛い子豚ちゃん、僕とステキなコトしませんか!」

「フルチンでも! 怒られない! 俺は————自由だッ!」

 

なにせ、基本的に欲望一直線のバカなのである。バカじゃない連盟員は研究タイプなので、彼らは彼らで『媚毒の強壮効果で研究が捗るぞ!』という感じ。「ボッキが研究の邪魔なので、しゃぶっといてくれ」という風に助手の沙汰童子や淫精芙蓉樹に性処理をさせていたりはするが、彼らは基本的に自分の欲望を揺るがせない。

 

 

一方で、早速高濃度の媚毒を流し込まれているのが、人間牧場だ。

 

盛んに交配と繁殖が行われ、人間を絶好調で生産し続けるこの施設は、迷宮運営における重要拠点。ここを稼働させる為に今まで淫乱尾籠猥蟲竜などを大量に動員していたのだが、迷宮から直接媚毒を供給できればその分の淫乱尾籠猥蟲竜を戦力として転用できる。

 

諸々の面で、躍進した業深迷宮。着々と蓄積されるバビロン復活の為の積み立てエネルギーは、既に『以前のバビロン』を復活させる分には問題ないまでの量に達している。

 

だが、目標値からすればまだ微々たるもの。一度死んでしまった身体のままバビロンを復活させてもまたいずれ訪れる危機の際に死んでしまう。

 

ならばより強靭な魔王として、バビロンを再構築する他ない。王にしょっちゅう死なれては臣下としては胃痛で死んでしまうこと請け合いだからだ。

 

皆バビロン復活という目標に邁進することで気丈に振る舞ってはいるが、内心では親が死んだような喪失感を覚えている。

 

こんな事はもうこりごりだ、そんな皆の総意が、莫大な量の目標額として現れている。

 

現状の迷宮総生産から経費と非常用貯蓄を差っ引いた分で計算して、このペースではバビロン復活まで数年。まだまだ生産を強化する必要性があると言う他ない。

 

カイゼンに勤しむ迷宮幹部たちの戦いは、まだ始まったばかりだ。

 

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