元一級冒険者、フナワ。
そう言われても、多くの者は彼が誰なのか思い出せないだろう。
彼はまだファントムが勇者であった頃に、勇者率いる軍勢に参加していた男であり、そして現在は、籠絡蜘蛛女郎の巣に囚われ、子グモの苗床にされている哀れな男である。
「ふふふ。今日もたっぷり、愛し合いましょうね」
ベットリネットリとして耳に絡みつく、蜘蛛の糸のような、女の声。バビロンからフナワを下賜され、自らの巣で拘束し続けている彼女こそ、籠絡蜘蛛女郎その人だ。
蜘蛛の頭部から女性の上半身が生えた異形の姿。その上半身から生える4対8本の腕と、同じく4対8個のおっぱいは、女の色香を漂わせつつも、それ故にむしろ悍ましい異形に映る。
その胸の先端にあるのは、乳腺と糸イボが複合した特有の器官。そこから放たれる糸は鋼鉄の何百倍もの引っ張り強度を持つにも拘らず、ゴムのような弾性を持つ特殊なものだ。
その糸で雁字搦めに縛られ、蜘蛛の巣に磔にされたフナワの胎は歪に膨らみ、その表面には血管がビキビキと浮き上がっている。そして甘勃ちのままビクビクと痙攣するチンポからは、トロトロと先走りがとめどなく溢れ出し、おおよそ感情の伺えない精神が磨耗しきったような表情を浮かべた彼は、ただ静かに涙をこぼしている。
そんな彼の首筋、青黒い痣が定着したその場所にガブリと噛み付いた籠絡蜘蛛女郎は、その牙から強烈な媚毒を流し込み、擦り切れたフナワの肉体を無理矢理に活性化させていく。
「あ、ぁが……ぐぁ……」
「おはよう♡ 早速だけれど、お楽しみの出産タイムが待ってるの、早くしてくれる?」
そう言いながら、フナワの胸板に、鋭い爪で浅く切り傷を入れる籠絡蜘蛛女郎。その痛みに思わず身悶え、力んだフナワは、それをキッカケに蠢き始めた胎内の『子グモ』によって激烈な腹痛と嘔吐感に襲われた。
「ゔぉッ、ゲホッ、カハッ、カッ……!?」
「ふふふ、ほぉら、可愛い赤ちゃんとご対面よ♡」
ずるり、ギチギチ、ぶちり、メリメリ。そんな音と共に、競い合うようにフナワの肛門から這い出す子グモ達。その多脚が前立線を足蹴にし、肛門を裂きながらひり出される感覚は、悍ましいまでの痛みと、その数倍の狂おしき快感となってフナワを襲い、蜘蛛の巣に縛められたその身体が壊れた操り人形の様にのたくって、また少しフナワの脳細胞が焼き切れる。
怪我を媚毒で治す前提の、無茶な出産。蜘蛛らしく母胎を貪るその出産光景は、フナワが廃人になるまでの数ヶ月感、毎日行われてきた行為である。
「ふーっ、ふぐぅーッ、ふーッ……!」
「うんうん、とても感動的な出産だったわよ。だから、もう一回、妊娠からよく見せてね♡」
籠絡蜘蛛女郎はいつもそう言って、ガバガバになった尻穴に、卵管をねじ込んでは、蜘蛛の卵をフナワへと産み付けるのだ。
「あが、ぎぎッ、カッ……!? こ、ころ、グフォッ……!?」
「殺して、なんてダメよ♡ お腹の赤ちゃんも悲しむわ。……そんな悪いお父さんには、いつもより大目に産んでもらわなきゃね?」
ボコボコと、卵の形に膨れ上がる胎。腸内を逆走し、大腸、小腸の全てを埋め尽くしてなお押し込まれる卵は最終的に食道の真下までみっちりと詰め込まれ、あり得ないほどのボテ腹、末期の腹水が軽く思えるほどの膨れた腹へと、フナワの身体は変容する。
皮が伸びたまま媚毒で再生され続けたことで、体格の9割が『妊娠した胎』で構成される異様な身体になってしまった彼は、絶大なストレスから大量の瘴気を生み出し、その胎に刻まれたハート形の淫紋を妖しく輝かせる。
そして、淫紋から注がれる媚毒でボッキした彼の陰茎を籠絡蜘蛛女郎は器用に体を折り曲げて頬張った。
蜘蛛の身体の最後尾に付いた卵管は依然として尻穴を突き刺しており、さながら輪のようにフナワの下半身で丸まった籠絡蜘蛛女郎。彼女がその状態で何をするのかは、わかりきっている。
卵管で尻を激しく犯しつつ、ネットリとしたフェラチオ。そんな責め苦に耐える気力はもはやフナワには無く、敗北射精ザーメンを籠絡蜘蛛女郎の喉奥に吐き出し、自身は肛門から突き抜ける衝撃で口から子グモを出産する。
身体を這う子グモに乳首を噛まれ、媚毒を注がれて、精気を喰らわれる。
屈強な戦士の象徴であったはずのその胸板が、今や異形の仔を養うおっぱいへと成り下がっているその現実は、フナワをより深い絶望へと沈め、快楽に抗う心を弱くする。
グポグポと音を立てて行われる深いフェラチオ。子グモの乳首責め。産卵とともに力強くピストンし、前立腺を抉る卵管。そしてその度に喉を這い上がる子グモの生み出す嘔吐感。
意識が朦朧とし、身体は快楽に茹だる。出口であるべき所からモノを挿れられ、入口であるべき所からモノを吐き出す。
「お゛ぇ゛……」
「苦しくって、悲しくって、でも気持ち良いんでしょう? ふふふっ、とっても唆る顔してるもの、わかっちゃうわ♡」
屈強な男とは、鍛錬をした男。鍛錬とは即ち苦行であり、筋骨隆々たるその体躯の内側には、マゾヒズムが隠れている。
拷問と呼ぶに相応しい暴力的繁殖行為は、フナワの中の被虐性癖を暴き立て、苦悶の中でも確かに勃起する陰茎が、どうしようもない劣情を主張していた。
だがそれでも、苦しいものは苦しく、子グモを吐く度に襲う窒息感は、フナワに死の恐怖を幾度となく与えていく。
だが、一瞬の死と、そこからの生還を繰り返すたびに噴出する脳内麻薬が彼を生死の狭間で絶頂させるのも事実。
その生死の落差をより高めてやるべく、時に打擲し、時に糸で首を絞める籠絡蜘蛛女郎の調教術はまさに匠と言うほかない。
闇の底に囚われ、煩悶するフナワは、異類の仔を孕んだ身体を無様に晒して、終わりなき絶頂の中にあり続ける。
天国と地獄の狭間でタップダンスを踊るような彼の生には、もはや蜘蛛と己以外に何もない。
その姿はまるで、蜘蛛の巣にかかった羽虫のようだった。