アズレン×ラスオリが正面衝突した世界で精液の奪い合いになったけど全員孕ませるから関係ないよね♥️ 作:みころ(鹿)
翌日、快晴の1300。母港の運動場にはテントが設営され、仮の前線本部となっていた。その前にはどこか運動会を連想させる台があり、その上には男が立っていた。眼下に整列するKANSENたちを眺め、男は口を開く。
「えー知ってのとおり母港が転位し、この島の未探索地域を拓く必要がある。諸君には地上を進んで島を探索してもらいたい」
集められたのは艤装なしの地上でも戦えるKANSENたち。元々人間とは比較にならない身体能力をもつ彼女たちは象と綱引きできるほど強い。その中から戦闘技術を持っていたり運動神経の良いものが選ばれているわけだからまず野生生物なんかは脅威ではないが、ここが何が起こるか解らない異世界である以上警戒は必要だった。
「一応各班にサバイバルキットを支給するが、基本的に夕方までには帰投すること。もし緊急事態や迷子になった場合には照明弾を打ち上げろ。空母が艦載機を飛ばしてるから即座に救援を送る」
本部にはエセックス、イントレピッド、バンカーヒルの三人が艦載機を飛ばしながら待機しており、一応座標さえ確かなら爆撃も可能である。
「あとは水分補給だけはしっかりしておけ。よし、何か質問のあるやつはいるか?」
「はい!バナナはおやつに入りますか!」
「誰もいないみたいだな。じゃあ装備を受け取りしだい各班出撃していけ、以上」
「あれ~?」
壇上から降りた男は仮設本部の中に入る。テントの中には机とその上に開かれた地図、待機用の椅子と応急手当用の救急箱が置かれていた。
今日の秘書官でもあるエセックスが男を敬礼で迎える。
「お疲れ様です指揮官!」
「おう」
「椅子です指揮官!」
「おう」
「お茶です、指揮官!」
「おうとも」
椅子に腰かけた男はキビキビと動くエセックスに世話されながら地図を手持無沙汰に見下ろす。何もなければそれで良いが、どうにも悪い予感がしてやまなかった。
ーーー
出発から数十分がたち、ドイッチュランドは深い森の中にいた。見渡す限り同じような光景にドイッチュランドはため息をつく。
「はぁっー...こんなことなら参加するんじゃなかったわ」
母港にいるKANSENは200を越え、指揮官もなるべく格差が出ないよう努力してくれているが、夜伽に呼ばれる確率はかなり低い。その確率を少しでもあげるためには指揮官の印象に残る必要があり、そのために今回はドイッチュランドも積極的に作戦参加したわけだ。
しかし今のところ指揮官とのつながりは希薄だし、進みづらい森を進むだけで面白くもない。高雄と同じ班になれたことは幸いだったが、フィールドワークは任せきりで自分は荷物を運ぶぐらいでやることもなかった。
それともうひとつ。
「イエェーイ!ドイッチュランドちゃんも楽しんでるっー!?」
「グハァッ!?」
ドイッチュランドの横っ腹にタックルを決めてきたのは、そう一部では神格化されたりしているあのKANSEN、サンディエゴだった。
(どうして私がこのおバカの相手をしなきゃならないのよ!)
出発してからというものずっとサンディエゴはドイッチュランドに付きまとい、ウザ絡みを続けていた。こっちのテンションを省みないサンディエゴの態度に切れたドイッチュランドが先程腹パンしてようやくおとなしなったと思ったが、十秒も経てばこのザマである。
イライラを募らせるドイッチュランドは、自らに抱きついて離れないサンディエゴが何かを取り出したのを見とがめる。
「ちょっと、何するつもりよ?」
「何って自撮りだよ~ドイッチュランドちゃんも一緒に入ろ?」
「ぜっったいイヤよ!」
「えっ~!?一緒に自撮りしようよ~!?」
おねがいおねがいと更に身体を密着させてくるサンディエゴにまたもイラッときたドイッチュランドだったが、あまりのしつこさについに根負けした。
「はぁ...解ったわ、一枚だけよ」
「ホントに!?やったー!じゃあ早速とるよー!」
サンディエゴが腕を伸ばしてスマホの画角を調整し、二人が入るちょうどいいところで止める。パシャリとられたその写真は意外とノリノリなドイッチュランドの高圧的な笑顔とサンディエゴの明るい笑顔が対照的で中々良い写真だった。
「良い写真になったよ!」
「フフン、私が写っているのだもの。当然でしょ?」
「じゃあさっそくツッタカターに...あっドイッチュちゃん、この写真SNSにあげても良い感じかな?」
「...ん?いやあんたSNSって何言ってるのよ」
「えっドイッチュランドちゃんSNS知らないの!?フッフッフッ、SNSって言うのはねー」
「SNSが何かくらいは知ってるわよ!」
キョトンと首をかしげるサンディエゴを腕を組んだドイッチュランドが睨み付ける。
「そうじゃなくて!今はSNSは使えないでしょ!?」
「えっなんで?」
「なんでってあんたなんで知らないのよ!?回線が世界ごと切れてるんだから通信なんて一切繋がらないわよ!」
「えっ...もしかして...それって...すっごくマズイ状況なんじゃ!?大変だよドイッチュランドちゃん!回線が繋がらないと写真がアップできない!」
「だからそう言ってるでしょうがあああっ!!?」
ドイッチュランド、切れた。
今さらオロオロし始めるサンディエゴにイライラを限界突破させたドイッチュランドは殴りかからん勢いだったが、すんでのところで自分を取り戻す。こいつのために怒ったところで無駄に体力を消耗するだけだ。ましてや殴ったところで何にもならない。今はとにかく調査を早く終わらせ、こいつと距離をおくことだけが最善の道であった。
再びため息をつくドイッチュランドと再び能天気になったサンディエゴ。その時、先行して前方を歩いていた高雄が歩きだしてから初めて声を漏らした。
「川だ」
「えっほんとー!?」
木々がわずかに切れて見えたそれは確かに川だった。いわゆるキャンプに使われるような川と違い、ジャングルを流れるような自然の川。川岸から伸びる木々が川面に影を落とし、実際の川幅を狭く見せていた。
「これが隠れ川ってやつね」
「そのようだな」
綾波たちが見つけた川は一つの探索の指標になっている。
川辺に近づいた高雄は空きのペットボトルを取り出すと、その水を汲んだ。水質調査は探索目標の1つであり、他班も共同して行うことで広範囲の水質を調べられる。
汲み終えたペットボトルの水は土混じりでとてもそのまま飲み水には使えそうもない。もっと上流に行けばまた変わるかもしれないが。
「ここらで一度休憩するか?」
「さんせーい!ドイッチュランドちゃんは?」
「まぁ私は構わないわよ」
三人は座りやすそうな岩場を見つけると、それぞれ腰かける。平な岩の上に腰かけたドイッチュランドは絶え間なく流れていく穏やかな川の流れを見つめていた。
思えば知識としてはあっても山や森などに来たことはなかった。初めて見る自然の風景はどこか心の疲れを癒してくれるような心地さえする。
「はい、ドイッチュランドちゃん!お水!」
「...ん、ありがと」
隣に座ったサンディエゴから手渡された水筒を受けとり口をつける。乾いた喉が潤い、ぷはぁと思わず息が漏れる。
「あ、チョコもあるよ。はいどーぞ!」
「あら、気が利くじゃない」
続いて渡された板チョコの包装をはがす。さっそくかじろうとしたドイッチュランドだったが、渡した当のサンディエゴがニコニコしているだけなことに気がついた。
「...あんたは食べないの?」
「え?良いよー私は、ドイッチュランドちゃんだけで食べて」
「はぁ?なに変な気つかってんのよ。そんなの全然嬉しくないんだけど」
ドイッチュランドはドSである。もしもこのチョコがサンディエゴから奪い取ったものであるならば、見せつけるように喜々として食べたであろう。しかし施されたものでそれをやるのは何か違った。
「ほら、あんたも食べなさい。高雄はいる?」
「拙者はいらない。二人で食べてくれ」
半分に割った板チョコをサンディエゴに押し付ける。キョトンとしていたサンディエゴだったが、すぐに相好を崩した。
「えへへ、ありがと」
「何がよ。ほんと馬鹿ね」
二人で食べた板チョコは何だかいつもよりちょっとだけ甘い気がした。
それから暫くしてまた出発することになった。
「よし、それでは行くぞ」
高雄が川に向かって跳躍し、パシャリと水飛沫をたてて川面に立つ。艤装全てを身に付けていなくてもKANSENは水面を歩けるからだ。
高雄に続き、ドイッチュランドとサンディエゴも川面に立った。流れはそこそこあるが、海流に比べたら大したことはない。
「わー!私川に立つの初めてかも!」
「解ったからいちいち抱きつくのはやめなさい」
三人で川を横断する。それほど川幅が広くないこともあってすぐに対岸につくと、登れる場所を見つけてすぐに渡り終えた。
ドイッチュランドは帽子についた木葉を払い落とすと、高雄が何か探していることに気がつく。
「どうかしたの?」
「...すまない。どうやらペットボトルをさっき休憩した場所に忘れてきてしまったらしい。取りに戻るから二人は待っていてくれ」
「あら...じゃあ待ってるわね」
反転した高雄が再び川を渡り、来た道を戻りはじめる。残された二人はその背中を見送り、待つことにした。うーんと伸びをしたサンディエゴが首をかしげる。
「ところで今日はどこまで行くんだっけー?」
「ちょっとあんたそんなことまで忘れたの?今日はあの山の麓まで行くって話でしょ」
「あーそうだったそうだった」
ドイッチュランドが指差したさきにあるのは、木々の隙間から見える島の西山。登っていては到底夕方までに帰れないので今日はその麓までの探索になる。現在地で山まで二分の一の距離を進んできただろうか。ちなみに帰りは海から帰って良いことになっているので歩くよりは早く戻ることができるはずだった。
こいつどれだけブリーフィングを聞いてなかったんだとドイッチュランドが呆れ返ると同時、おもむろに森側でガサガサッと茂みが揺れた。
「えっ?そこに誰かいるの?高雄?」
「高雄なわけないでしょ!?と、とにかくあんた武器だしなさい武器武器武器武器!!」
「わっわっわっわっ!?」
ちなみにドイッチュランドは艤装を持ってきていない。地上を運ぶのが重くて面倒臭かったのと、高雄が同じ班だったからだ。
ドイッチュランドにせかされ、サンディエゴがもたついているあいまにもガサガサという音はどんどん近づいてきている。そしてそいつはサンディエゴがようやく小口径砲を取り出したところで、茂みから顔を出した。
「ンゴー」
「...」
「あ、猪だ」
猪だった。
茶色い毛皮を持ったその四足獣は二人を認識すると即座に引き返し、プゴプゴと鼻を鳴らしながら去っていった。野性動物らしい危機感である。
はぁと息をついたドイッチュランドは肩を撫で下ろす。
「警戒して損したわね...」
「ねー。でもライオンとかじゃなくて良かったー」
「こんな森にライオンって住むのかしら...とにかくこのことは後で報告するわよ」
猪は数世代ほど飼育すれば豚になるという話も聞く。捕まえて増やせば食糧事情の助けになるので、この発見は有益な情報であるかもしれない。。
緊張を解いた二人。しかし再び森の中からガサガサッ!という音が響く。
「わっまただ!高雄かな?」
「だから高雄じゃないってば。どうせさっきの猪が戻ってきたとかでしょ、警戒するだけ無駄よ無駄」
ひらひらと手のひらをドイッチュランドが振った直後、ドゴォンッ!と鈍い音がなった。そしてミシミシミシミシと明らかに木が倒れる音がそれに続く。
「ね、ねぇ。さっきの猪が木を倒してるのかな?」
「そんなわけないでしょ!良いから構えなさい!」
ドイッチュランドが叫ぶあいだも、ガサガサ!という激しい音は近づいてくる。同時に何か重たいものが木々にぶつかる鈍い音も聞こえてきた。
そして茂みなんかよりも大きいその姿が木々の隙間から見えた。
「...何よ、あれ」
それは黒い機械だった。人よりも少し巨大な背丈を持つ、6本足の機械が森の中をこちらに向かって移動してきている。木々を避けるその動きはかなり機敏であり、淀みない速度はその姿もあいまってどこか虫を連想させた。
セイレーンの兵器か、ともドイッチュランドは思考を巡らせるが何となく違うようにも思える。とにかく重要なのは、あの化物機械に銃弾が効くか否か。見たところ装甲はそこまで厚そうには見えない。
サンディエゴが小口径砲を構えた。いくら海上とは勝手が違うとはいえ、まっすぐとこちらに向かってくる相手に命中させることはそう難しくない。膝をついたサンディエゴは慎重に照準を合わせた。
「撃ちなさい!」
そしてドイッチュランドのかけ声にあわせてサンディエゴは引き金を引いた。小口径とはいえ艦砲、砲塔から発射された弾丸がコンマ秒以内に機械の身体に炸裂する。はずだった。
実際放たれたのはカチリという音のみ。砲弾は放たれていない。
「...ドイッチュランドちゃん大変!この武器弾が入ってないよ!」
「どうして補給し忘れることがあるのよぉおおおおおおおっ!!?」
ドイッチュランドが叫ぶ。
近づいてきた機械は改めて見ると熊ほどの大きさを持っており、それが自動車レベルの速度で向かってくるのだからたまらない。KANSENの身体が丈夫だと言っても木を倒すほどの威力で体当たりされたらひとたまりもないだろう。それになまじ足が多いので旋回性能が高い。もはや逃げることも避けることもできなかった。
「「ぎゃああああああっ!!?」」
ひしりと抱き合ったドイッチュランドとサンディエゴがともに悲鳴をあげる。
まさに絶体絶命。機械が二人を押し潰さんために飛び上がり、その多脚を振り下ろさんとしたその時。
「御免ッッ!!」
強く踏み込んできた高雄が刀を振るった。正確な居合いは正円を描き、機械の化物の腹を斬りつけるとそのまま両断する。
空中で真っ二つとなった機械は最後に断末魔のような怪音を響かせた。そして地面に激しく激突すると、ごろごろと転がった後完全に静止したのだった。
「ふぅ、二人とも怪我はないか?」
「し、死ぬかと思った...ナイスよ高雄!あんた凄いじゃない!」
「ふふ、鍛練の賜物だな」
ともかく危機は去ったとドイッチュランドは胸を撫で下ろす。それに高雄がいれば百人力だ、とても頼もしい。
「えへへ...ダメだよ指揮官...そんなにがっついたらサンディエゴ困っちゃう...♥️」
「というかあんたはいつまで走馬燈見てるのよ!離れなさい!」
反対に頼りないサンディエゴを引き剥がして投げ捨てる。自分からも抱きついてしまったなんて屈辱的なことは一切なかった。
ともかくドイッチュランドは切り捨てられた機械の化物を見る。両断された身体からして死んでいることは間違いなさそうだ。
今まで見たことのない怪生物、あるいは怪兵器。この世界特有の何かしら。今解ることはこちらに敵対するという事実、何であれ持ち帰って調査するのが最善か。
「こうなったら一度照明弾をあげてこれも回収してもらった方が良いわね。それに危険生物がいるってんなら他班にも情報共有したいし」
「あぁ拙者もそう思う。ただ...」
照明弾を取り出そうとしたドイッチュランドの前で振り返った高雄が再び刀を構えた。
「まだいる」
「えっ?」
「そこにいるのは解っているぞ!潔く出てこい!」
高雄の一喝に森がざわめく。どこに誰がいるか解らないドイッチュランドは身を縮こませ、そっとサンディエゴの側に一歩下がった。
「高雄かな...?」
「いや高雄は目の前にいるでしょ。あんたの中で高雄はどういう認識になってるのよ」
「すまん、何の話だ...?」
ヒソヒソと会話する三人の前で、今度こそ確かにガサガサッと茂みが揺れた。
身構える三人。徐々に近づいてくる足音は近づいてきて
「待って!私は敵じゃないわ!」
現れたのは武装した、KANSENではない女の子だった。