※この作品はR-18です。

闇の中のユーラシア   作:まあエロい

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その2

僕の屋敷に、エターナル・プリティ・ロリータが、入る。

僕しかいない、孤独な屋敷に、人が、入る。

 

僕ではない、誰かが、ともに、暮らしてくれる。

 

僕の、少女。

 

僕の孤独を、この少女が、救ってくれる。

 

幼い少女に、多大な期待をしてしまっていると、思う。

けれども、僕は、どうしても、期待してしまう。

 

この少女の笑顔。

僕の中に確かに感じた、闇を払ってくれる、予感。

 

エターナル・プリティ・ロリータ。

 

女神の名を持つ、少女。

 

…僕の心の中でだけ。

エティと呼んでも、いいだろうか。

 

女神は神々しすぎるから。

神々しすぎる女神を思わせるエティ。

けれど、女神は偉大過ぎるから。

 

僕の心の中でだけ。

エティと呼ばせては、もらえないだろうか。

 

みじめな僕が横にいても、神々しさを感じなくていいように。

こんな僕なんかの横に並んでくれる、女神の化身を、身近に感じたいから。

 

 

エティは、初めて入る僕の屋敷に、少し戸惑っているようだ。

長い廊下の絨毯に足を踏み込むことすら、躊躇している。

 

前にいたところは、ずいぶんよくない環境だったと、聞いている。

バスシステムもなく、スライムもいなかったと、聞く。

 

できるだけ、寄り添って、ここで快適な暮らしを知って、僕とともに、生きていってほしいと、切に願う。

 

扉を開けると、無駄なダンスホールがある。

この扉を開けるのも、ずいぶん久しぶりだ。

部屋の状態は、悪くない。

清掃魔法が、まだ効いているのだろう。

 

孤独な僕には必要なかった、このダンスホール。

エティなら、いつか一緒に踊ってくれるかも、知れない。

 

その日を楽しみに思ってしまった、自分に少し、驚いた。

 

 

 

無駄にたくさんある部屋を、エティに見せながら、邸内を歩く。

 

「部屋がたくさんあるから、覚えられなかったら僕に言って、ね。」

 

エティは少々、疲れてしまったように、見える。

すべての部屋を見せるのは、やめた方がよかっただろうか。

 

…初めて来た大きな屋敷。

初めて会う、得体のしれない、大人の男。

エティの心の重みになっていることに、ひどく僕の心が痛む。

 

「KAMIと、ENPITSUを頂けますか。」

 

 

「カミ…?エンピツ…?」

 

聞いたことがない単語?がエティの口から発せられた。

いったい何のことだろう?

想像が、つかない。

 

「えっと、つるつるしてて、白くて、薄いものに、文字を書く、黒い、えーっと…。」

 

何やらエティは考え込んで、指で宙をなぞった。

すると、僕の目に、信じられない光景が!!

 

「こういう感じの…っ!!!???」

 

白い、薄手の…これはアントシートか…?

そして、おそらく…ビートルポイント、のような、もの。

 

何もない空間に、魔法をなぞり、呼びよせている。

僕の魔法とは、かなり勝手が違うようだ。

 

闇を呼び、闇の中から呼び寄せる、僕の、魔法。

強大な闇であるがゆえに、自分すらも飲み込まれてしまう、僕の情けない、魔法。

 

「エターナル・プリティ・ロリータ、君は、魔法が使えるんだね。」

 

呼び出したアイテムを拾うこともせずに呆然としているエティ。

…ずいぶん、無理をさせてしまったみたいだ。

 

もう、休ませた方がいいかもしれない。

 

「ここまでの超越呼び寄せ能力は、僕も初めて見たかな。君は、心に、思い浮かべる力があるんだね。」

 

自分の魔法領域を使って、ものを呼び寄せる、能力。

宙をなぞるだけで、二つのアイテムを呼び出すなど、聞いたことがない。

よほどの魔法の、使い手なのだろうか。

 

エティに二つのアイテムを拾って渡す。

 

一心不乱に、記録をしているようだ。

何が書かれているのか、全然わからない。

 

「それは、記号?呼起し記録印?すごいね、あとで、お話、聞かせてもらおうかな。」

 

エティの、隠された能力に、僕の心が少しだけ、ざわめく。

僕の知らない知識が、エティにある。

エティは、僕を、超越しているのではないか。

 

女神の存在が、僕にちらつく。

 

神々しい存在。

 

エティ、どうか、君は、神々しい手の届かない存在などではなくて。

情けない僕に、そっと寄り添う、ただの少女で、あってほしい。

 

記録をしながら、屋敷全体を回ることになった。

休もうかと聞いたら、大丈夫と、笑顔を返されたのだ。

 

ああ、エティ。

君の笑顔が、とても、僕を、明るくしてくれる。

 

僕は、まだ出会ったばかりだというのに。

こんなにも、エティに、夢中になっている。

 

エティ。

僕の、エティ。

 

僕の募る思いを、外に出すわけには、行かない。

まだ、ここに来たばかりなのに。

気持ちを、押し付けてしまうことなど。

 

テラスに、出た。

 

今はチェリービーの季節。

柔らかなチェリー色が、宙を舞っている。

 

この時期は、空が色づき、見ごろだ。

 

エティを見ると、チェリービーの集落に手を入れようとしている。

ああ、エティは、虫が好きなんだね。

今度バザーに行って、いろんな虫を買ってこよう。

 

「君は、虫が、好きなのかい?」

 

「虫?」

 

どこのバザーがいいだろう。

羽系なら、西。

甲殻系なら、南、

ワーム系なら、どこでもいいか。

 

ともにめぐる日を思い浮かべ、少しだけ気分が、高揚、した時。

 

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

「エティ!!!!」 

 

エティ、エティが!!!

やっぱり、無理をさせ過ぎたんだ!!

 

いきなり、エティが気を失ってしまった!!!!

 

顔色が、真っ白だ。

本当に、本当に申し訳ない。

 

ともに屋敷の中を巡る楽しさに夢中になって、エティの疲労に、気付けなかった。

自分の愚かさに、涙が出そうになった。

 

エティを、そっと抱きかかえる。

ああ、こんなにも、軽い。

 

こんなにも儚い少女に、僕は、僕は何をしているんだ!!!

 

僕は深い後悔の念に包まれながら、エティを部屋に運んだ。

一番、日当たりの良い、部屋。

エティが、これから、過ごす、部屋。

 

窓から明るい、日が射している。

白い肌が日に焼けるといけない。

ヴェールをかけて、直射日光を遮る。

 

ああ、このベッドは、エティには、少々、大きすぎる。

僕が共に横になったとしても、ずいぶん余裕が、あるじゃないか。

 

…。

共に…?

 

!!!!!!!!!

 

と、ともにベッドに、入る?!

 

僕に!!僕にそんな資格はないと!

そんなことができるはずないじゃないか!

 

…僕に!

…僕に。

 

できるはず、ない。

 

エティの顔を見るのが、つらくなった。

僕に、エティの横に入る、資格など。

 

僕は、悲しみに包まれた。

まずい。闇が、出てくるかもしれない。

 

ここにいたら、僕からあふれ出す闇が、エティを包んでしまうかもしれない。

 

部屋の探知魔法をオンにして、僕は、あわてて自分の部屋に、行った。

エティが目覚めたら、羽音がなって僕に知らせてくれるはずだ。

 

それまで僕は。

闇を出さないよう、ロッキングチェアに、もたれていよう。

 

…大丈夫。

エティが、僕のところに、来てくれたから。

闇を出すことなく、持ちこたえることが、できる、はず。

 

 

 

パパパパパタタタタ!!!

 

ああ、エティの目が、覚めたみたいだ。

 

「目は覚めたかい、私のスウィートロリータ。」

 

倒れた時、思わずエティと叫んでしまった。

ダメだ、いきなり勝手な愛称で呼んでしまって、引かれることは、目に見えている。

 

エティ呼びは、僕の心の中だけにとどめておかねば。

 

少しだけ、敬意をこめて、いろいろ呼んでみて、エティが一番いい顔をしてくれた呼び方で、呼ぶように、しようと、思う。

 

「はい、ご迷惑をおかけしました、すみませんでした。」

 

迷惑?!

エティ、君は何を言っているんだ!

僕が、僕が無理をさせてしまったからだというのに。

 

「!!君は…大丈夫、なのかい?」

 

そんなにも、僕に、気を使っているのだろうか。

そんなに、身構えないで、欲しい。

 

「ええ、大丈夫なので、お話、しませんか。」

 

話。

そうだね。

僕は、家の案内ばかりで。

君に、伝えなければならないことを、まだ、伝えていなかった。

 

エティ。

僕は、君に、現実を、言わなければ、ならない。

何のためにここに来たのか。

僕が望む、孤独を分かち合ってくれる相手としてのエティ。

それは、僕の望みであるだけで。

 

現実は。

 

「そうだね、君は、ここに来た理由を、知らなければ、ならない、から。」

 

王家の、愚かな、しきたりを重んじるが故の傲慢な理由で、君はここに来たんだよ。

 

「君は、僕の、褥を共にする相手、なんだよ。」

 

「はい。」

 

エティは、私の言葉に、まるで、動揺していない。

褥、褥という、行為なのに。

…もしかして、褥の知識もないまま、ここに連れてこられた可能性はないか。

 

「君は、褥の知識、あるの?」

 

「えっと、あります。SEX?MAGUWAI?SEIKOU?ETCHI?そういうものですよね?」

 

あるというわりには、よくわからない言葉を使っている。

 

「詳しく、知ってるの?」

 

「そうですね、一通り。」

 

一通り…?

 

「…怖く、ない?」

 

「いやべつに。いつします?」

 

褥の在り方を、どこまで知っているんだろう。

 

そもそも、僕は、おそらく。

 

「それが、できないんだ。」

 

恐怖が、僕をの体を、ふるわせる。

あの、恐ろしい、出来事。

あれから、滾ることのない、私の陰茎。

 

「僕は、性的不能者、だから。」

 

僕をまっすぐ見つめる、エティの顔を見ることができない。

 

僕は、エティを、見ることが、できない。

こんなにも。

こんなにも、僕は。

 

エティ…。

 

 

 




アントシート…蟻酸を凝縮したつるつるのシート
ビートルポイント…カブトムシの角を加工した、線を引く道具

超越呼び寄せ能力…自分の魔法域に魔力をのせてそこに望むものを呼び出す
呼起し記録印…魔法を起動するときに関連付ける印(印鑑になってることが多い)

探知魔法:ベッドサイドにあるスイッチ。動きがあると特定の信号を出す。

エプロンたんは日本語をしゃべってる気になってますが、実はユーラシアと同じ言葉をしゃべってます。
聞き取り慣れてないこともあって、エプロンたんは知らない言葉を※※変換しちゃってますが、ユーラシアはなんとなく単語として聞き取れています。
ただ、意味は分からないので、聞こえてはいるけど、理解はしてない感じです。
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