ぴちょん、ぴちょん…
辺り一面に漂う、欲望の嵐の残滓の濃厚な香り。時折混じるのは、赤い血の鉄分のほのかなにおい。
ドゴン!!びちゃ!!
樹液で固められている、ベッドの足が、崩壊、した。ベッドの足を接着していた樹液が、水分を吸収して接着力を失い、剥がれて…水分を激しく吸収したベッド部分の重みに耐えかねて崩れてしまったじゃないか!!!
「な、なんという事だっ!!この、この状況、いったいどうしろと…?!」
僕は、頭を抱えた。まずは、ここを片付けねばなるまい。…どうやって?!闇に送り込む?僕のベッドがなくなるじゃないか!!とりあえず、水分を何とかしないと!!!闇を呼んで片付けるか?いやしかし!!飲み込まれたら片付けるも何も!!このまま放置?!いやいやそれはだめだろう、そもそも僕は几帳面できれい好きでっ!!!この凄まじい状態が許せない、許せないけど自分のしでかしたことぉおおおおお!!!
お、落ち着け、まずは落ち着いて!!
ええと、まずはこの、エティの聖水入りエッグロールを、自分の時空間クローゼットに入れてと!!
…よし、ここに入れておけば、永遠に見つかる事もなく今日の状態を保ったままにできる。僕のとっておきの宝物にしよう。フ、フフフ…。
「ビーっっ!!!ビーっ!!!」
天井のパネルに向かって、ビーを呼ぶ。凄まじすぎる状況だが、掃除はビーに頼るしかない!!!
パネルの一部がスライドして、ビーの大軍が下りてきた。辺りに心地良い音色が響き渡る。ビーの隊長が、少し恐れおののいているようだ。まずい、もしやこれって限界を超えてしまうパターンなのではっ?!
「この、部屋を片付けてほしいのです、お願いできませんかっ?!」
ビーが集まって、人型になった。腕を組んで、困っているぞ…。ビーは水分の処理は苦手なはずだ。この惨状、どうしようか頭を悩ませているみたいだ。…僕はなんてことを!!!
ビーが、ベッドを指差し、×を作って僕に訴える。ああ、ベッドは廃棄するしか、ないか。闇を、呼ぶしか、ない。闇…。
闇を呼ぶことを、躊躇してしまう。飲み込まれてしまうのではないか、僕の頭の中を恐怖が、巡る。しかし。僕が片付けなければ!!!この惨状はどうにも…ならないんだよっ!!!
まさか王室の世話役を呼ぶわけにもいかないじゃないか!!僕の9年に及ぶ不能者っぷりを知る世話役に、このぐっちゅぐちゅのびっしゃびしゃの部屋を…見せる勇気はない!!!
やるか。
やるしか、ない。
闇に飲まれる前に。一気にここを、片づける!!!
エティ。僕に、君の光を、分けてくれっ!!
闇に飲まれないよう、踏ん張れる力を、僕にっ!!!
目を、閉じ、闇を呼ぶ。
「闇よっ…ここに。」
目の前が、闇に包まれる。今私の周りは、闇が溢れていることだろう。さあ、闇よ。このおぞましい欲望の飛沫に溺れる、憐れな木片と寝具のなれのはてを包み込み…闇の果てへと、送り込むのだ!!!
闇に、ベッドが、ず、ずずずっと、飲み込まれてゆく。
びちゃ、びちゃ、びちゃ・・・
水分が、どんどん絨毯にこぼれているようだ。ビーの音色が激しさを増す。あと、少し。
ベッドを、すべて闇に送り込めたようだ。僕は目を、開ける。…ああ、まだ闇が残っている。闇を、払わなければ。
ビーの羽音が鳴り響く中、光を探す。光。僕の中にある、光は。エティ。エティの笑顔を、思い浮かべて。闇の中で、僕は目を見開いて、エティの笑顔を思い浮かべる。…僕の、愛する、エティ。僕だけが愛する、エティ。僕だけの、エティ。
エティへの愛が、僕の闇を、だんだんと払ってゆく。
ああ、エティを思うだけでこんなにも。僕に纏わりついて離れようとしなかった闇が、こんなにも僕から離れていくようになるなんて。
薄くなってゆく闇の中、ビーがタオルを持ち込んで水分を必死になって吸い取っているのが見えてきた。
あと、あと少し。
エティを思い浮かべる。
…エティ。あの、神々しいまでの、閉じた蜜肉…。迸る…フ、フフフ…。
ズクン!!!
はっ!!!!
先ほどあれだけ懸想にふけって欲望という欲望を出し切ったはずなのにまたしても僕の陰茎がっ!!!
っ、ぅううっ!!!ちょ、ちょっとだけ、コシコシ、しても、よろしいでしょうか…?
僕はさっき時空間クローゼットにしまったばかりのエティロールを引っ張り出して、クンカクンカしながら一発抜かせて、いただいた。イク寸前に、人型のビーが分厚いタオルを投げてきたので、その中に、発射した。…ああ、エティ!!いいよ、すごく、いいよおおおおおお!!!
いつか僕の顔の上で直接放尿していただけないだろうか…エティ…。
ずいぶんビーが頑張っているけれど、なかなか水没した僕の部屋は、片付かない。拭いても拭いても、きりがない…。別部隊のビーたちも手伝い始めて、部屋の中はちょっとしたオーケストラのようになっている。…そうだ、エティをいつか交響楽団ビーの公演に連れてってあげたいな。最後のフィナーレ、ビーたちが耳元で奏でる美しい交響曲。あれは本当に…そのまま眠ってしまうほどに、心地の良い音楽なんだ。
いつか来るであろう、エティとの蜜月に思いを馳せていたらおや、アレは、エティの部屋付近のビーじゃないか、何かあったのかな?
エティのプライバシーは守りたいと思っているけれど、念のためにエティの部屋の前に監視のビーを置いているんだ。もしエティが中で倒れていたら大変じゃないか。さすがに部屋の中には、ビーは入れていないけど…入れた方がいいかもしれない。さっきだって、目が覚めた時の探知魔法の反応がビーに伝わるのが遅くて駆けつけるのに時間がかかってしまったからね。
何かあった可能性を危惧して、おぞましい状態の部屋をビーに任せ、エティの部屋に向かう。…?なんだろう、騒がしい…?エティの、部屋に、誰か、いる?!
もしや!!誰かが、僕だけのエティを、さらいに来た?!
僕のエティを、僕のエティをぉおおおおおお?!
そんなの、絶対、許さん!!!
僕は僕とエティの愛を邪魔するものはすべてつぶす覚悟で、ドアをノックした。
コンコンコン…!
「エターナル・プリティ・ロリータ…?騒がしいようだけど…!!!」
…返事が、遅い!誰だ!!誰が僕のエティをさらおうとしているんだっ!!!
「何か、困ったことでも、あったのかい…?」
落ち着け。エティに、怒りを向けては、ダメだ。何か事情があるかもしれない。状況をしっかり見極めて、エティを守りつつ、この手に取り戻さねばならない。…もしもの、時は。闇を呼んで、すべて…!!!
キィ…
ドアが開いて、僕のエティが!!僕に、かわいい笑顔をっ!!!エティ、なんてかわいいんだ!!今すぐ、僕の上に乗って…!!!
「魔法で、お友達を呼び出しました。…ダメ?」
いかんいかん!!!!ここは自室ではない!!ここで自慰にふけるわけにはいかん!!ただでさえビーたちに負担をかけているというのに!!通常モード!!通常モードの、冷静で優しいおじさまにならなければ!!!…お友達?…僕がいるのに、そんなものを呼び出したと言うのか、エティは…?
「魔法で呼び出した…?マイロリータは、本当にすごい魔法を使うんだね…!」
僕だけでは、不満だという事、なのかい?まずい、僕の中に、独占欲と、嫉妬が広がってくる。僕だけが独り占めするはずだった、エティが、ほかの誰かに、うばわれてしまうのでは…?
「おじさまに、紹介、したいの。いい…?」
「!!僕に…?いいのかい?」
僕の醜い独占欲にまみれた心を知らないエティは、輝かんばかりの笑顔を向けてきた。エティを独り占めしたいと願う僕に、エティが呼びだしたという友達を、紹介したいだなんて。こんな僕に?紹介される、資格なんてないいんじゃないのかと、自問する。
「ええ。ちょっと今興奮しているので、あとでおじさまのお部屋に伺います。」
「!!!僕のッ部屋?!…いや、ここで、待たせてもらうよっ!!」
僕の部屋は今とても入れる状態じゃない!!!今どころか、あの状況は明日の朝までかかってもどうにもならないんじゃないのか。もう、あの部屋は開かずの部屋にしてしまおうか。いや、そうだとしても、掃除はしておかねばまずい。においでも漏れ出して、エティに怪しまれでもしたら…僕は死ねる!!!
僕は恥ずかしさのあまりエティの返事も聞かずにドアを閉めてしまった。しまった、強引すぎただろうか。自分の余裕のなさにあきれてしまう。こんな調子では、いつまでたってもエティにふさわしい男にはなれそうにない。
どうしたら、エティにふさわしい、男になれるのか。
どうしたら、エティに僕を好きになってもらえるのか。
どうしたら、エティをこの胸に抱きしめることができるのか。
どうしたら、エティに聖水をぶっかけてもらえるのかっ!!!
考えれば考えるほどに、僕の頭が混乱してっ!!!
陰茎に血液がギュウっと集まってきてぇええええ!!!
「おじさま、どうぞ。」
勃ち上がる前でよかった。大丈夫、僕はまだ、興奮しきってなどいない!!!先ほど着替えたばかりの下履きは少々膨らみを帯びているが、もともとのふくらんだデザインがいかがわしい懸想で膨れ上がってきた下半身をばっちり隠している。
「失礼するよ…!」
僕のエティを僕から取り上げようとする存在を!!この目で見ておかねば!!!そしてあまりにも目に余るような存在ならば!!闇の果てに、フ、フフフ…!!!
「この子が、ももたんで、この子が、はなたんです。」
目の前には、エティと変わらない年頃のごく普通の少女と、小さな男子。少女はエティの話し相手になってくれそうだから…僕のいない時間を共にすごす分には、良さそうか。ただ、女子というものは、群れるものだと聞いたことがある。僕のエティを独り占めしたいと願うようになるかもしれない。…危険だ。小さな男子は…育つ前に、始末するか?いつかエティをさらいたいと願い始めるかもしれない、…危険だ。
「ユーラシア=ユーラシア・ハ・ル・カナレです。」
ただ、エティの呼びだした存在という事を忘れてはならない。呼び出したというのに、いきなり僕が始末してしまっては、僕の信頼は地に落ちるだけだ。…始末は、今すぐじゃなくてもいい。エティの信頼を勝ち取ってから、一気に片を付けるのもいいだろう。それまで少しばかり、僕が寂しい気持ちを感じてしまうのは…仕方がないことだ。
「急に訪問してしまってすみませんでした。…どうか、エターナル・プリティ・ロリータと、仲良くしてくださいね。」
まずは、信頼関係を、持たなければ。エティはもちろん、このエティの呼びだした存在とも。信頼されて油断したところを、闇で包み込んで、フ、フフフ…!!!
「あの、おじさま、この子たち、ちょっと訳ありなの。」
「訳あり…?」
「呼び出したいなって思って呼び出したけど、戻し方がよくわからなくて。」
戻せない?
ああ、ずっと、いるってこと…?
僕と、エティの時間が、その分、減っちゃうんだけど…?
どうする?今から、エティの目の前で、闇に葬るか…?
「しばらく私のお部屋で、様子が見たいの。…ダメ?」
…!!!
エティの、まっすぐな目っ!!!
横の少女も、子供も!!僕の残忍な考えなど微塵も気が付かずにっ…!!!まっすぐな目を…向けてくるっ!!!
「いいよ。僕は、大丈夫、だから。うん…。」
正直、寂しい、寂しくてたまらない!!僕以外の存在に、エティが目を向けてしまうことが!!!でも、ここでエティの呼び出したした存在を消してしまったら!!!僕はきっとエティからこの笑顔を向けてもらうことなど…なくなってしまうに違いない!!!
「じゃ、夕食の時間になったら、呼びに来るから。」
悲しみをこらえて、どす黒い感情を隠しつつ、エティに言葉をかける。
「少し遅めがいいです、おなかいっぱいなので。」
…僕はね、エティ。胸がいっぱいだよ。君のことしか、考えられなくて。
「わかったよ。お友達の分も、用意しておくからね。」
「ありがとう!おじさま!」
ぎゅうっ…!!!
え、エティが!!!
僕を!!!
ぎゅっと!!!
抱きしめてくれた…!!!
ああ。エティ、僕は。
僕は本当に、君のことが。
僕は本当に、君のことを。
…愛してるぅうううううううううう!!!
僕はもう何も言えなくなってしまって、部屋を出た。
ビー:感覚共有体の蜂。
体はたくさんあるが、意識を共有している。目標に向かって各々自分の動きをする。
隊長と呼ばれるリーダーが何匹かいる。ユーラシア家(?)では5匹のリーダーが存在している。
主に、掃除、洗濯、害虫対策を担当。某ス●ミーのように、集まって固体化することが可能。ただし集合しているだけなので、衝撃を受けるとばっと散ってしまう。
大量の水分を持ち運ぶことはできない。
重いものを持つことは可能。その際、持ちやすい形状を取る。
例:服を拾うとき→二本指でつまむ形状、ボールを運ぶ→手の平二つで拾う形状など。
言葉は話せないが、意思の疎通は可能。人間のことは世話をするものと思っている。やられたらやり返すタイプなので、いたずらしてはならない。
羽の音は、ピアノの調べに似ている。激しく鳴り響くと、おかしな交響曲みたいなのが流れる。
目の作りが違うので、闇の中でも行動ができる。つまり、ユーラシアとの相性はめっちゃいい。
蜜を屋敷の屋根裏にたんまり溜め込んでいる。気に入った人には、分けてくれるという事だが…。
時空間クローゼット:魔力の高い人が持ってる秘密の金庫室みたいなもん。
もう気付いてると思いますけど、ユーラシアは天真爛漫くんからの闇落ちで引きこもりというフルコンボヘタレですので、メンドクサイです。引きこもり中は自分の好きな方面の本しか読んでこなくて学校にも中途半端にしか行ってない上に帝王学も身につけてません。ちょっと子供っぽい発言が多いのはそのせいです。大人のくせに僕とか言っちゃうのはそのせい。まあエロいのせいじゃありません。