ある日の放課後、ライはミレイと生徒会室に二人でいた。学園を去り、カレンと結婚する事を告げるために。
「時間を空けてもらい、ありがとうございます。カレンから以前聞いたと思いますけど、僕とカレンは結婚する事にしました」
「ええ、カレンから聞いた時はビックリしたけど、おめでとう。素敵な話だと思うわ」
「ありがとうございます。それと、時期は決まっていませんけど、学園も二人で一緒に去る事にしました」
「ええ、それも聞いたわ。寂しくなるけど、大切な仲間の人生の門出ですもの、気持ち良く送り出してあげるわ」
「重ねて感謝します」
ライが頭を下げると、ミレイは笑って言った。
「いいのよ。だけど、何が決め手だったの?やっぱり、一生お世話係主任でいて欲しかった?」
「いや…流石にそういうわけじゃ…、ただそうやってミレイさんが引き合わせてくれたのは、彼女を知るきっかけにはなりました。
それと、カレンが日本人とブリタニア人のハーフだというのは聞いてますよね?実は…ある所でDNA鑑定をしてもらったら、僕も彼女と同じだとわかったんです」
「ええっ!?貴方も日本人とのハーフだったの?」
ミレイが目を丸くした。そんな彼女を見ながら、ライは事実を掻い摘んで話す。
「現状、わかったのはそれだけで、自分が何者かはわかりません。でも、カレンとの共通点は、確実に彼女との距離を縮めました。
そして、彼女と一緒に特区日本で、日本人として新しい人生を歩もうと決めたんです」
「…そっか、わかったわ。二人が決めた道だから、私はただ応援するだけよ。しっかり守ってあげなさい、そして守るだけじゃなくて、一緒に幸せになるのよ!」
「…はい!」
深く聞かず、快く送り出してくれると言ってくれたミレイに、ライは感謝するのだった。
「そう、会長にちゃんと報告できたのね。良かったわ」
「ああ、あの人には感謝しかない」
ミレイとの話を終えた後、ライは制服から着替え、租界で待ち合わせていたカレンと合流し、ある所へ向かっていた。
「しかし、緊張するな。今度は君のお母さんに会うなんて」
そう、カレンから入院している母親との面会の予約が取れた事と、本人に会って欲しいとの依頼をライは受けていたのだ。
「大丈夫よ、怖くないから。それに、実は式典が終わった何日か後にも面会していて、貴方の事は話してあるの。私を理解して、協力してくれる人がいるって」
「そうだったのか。それは…その、恋人がいると話したのか?」
するとカレンは頬を染めて答える。
「いや、あの頃は付き合い始めたばかりだったから、流石に恋人だって紹介する自信はなかったし…いい友人くらいのニュアンスでしか言ってないわ。きっとビックリするかも。
そっ、それより、話していた物は持ってきた?」
「あ、ああ。変装になるかわからないが、伊達眼鏡とマスクは持ってきた。やはり、変装は必要なのか」
ライの問い掛けに、カレンは表情を曇らせて頷く。
「ただの病院じゃなくて、リフレイン中毒のリハビリ病棟だからね。本人だけじゃなくて家族にも、多少の偏見は持たれやすいから。
それに、特区日本成立の恩赦で減刑になったとはいえ、お母さんも元受刑者だから余計にね。退院できれば、気にしないで済むけど…まだ我慢ね」
目立たない黒のブラウス姿のカレンは、薄茶色のレンズが入ったサングラスを掛けると、小さく指差した。
「ほら、租界の端の方…あそこよ。行きましょう」
二人は並んで、カレンの母親がいる病院へと向かった。
受付で案内された個室に二人が入ると、物静かな女性がベッドの上で起き上がっていた。
「お母さん、具合はどう?」
「ええ、今日はだいぶ良さそう。えっと、そちらの方がもしかして…」
「うん、前に話していた人」
「はじめまして、ライと言います」
「紅月カレンの母です、娘がお世話になっているとか。聞いた話では記憶をなくされているとの事なのに、ご自身が大変な中、ありがとうございます」
「い…いえ、カレン…さんには色々サポートしてもらってて、こちらこそ感謝しています」
「ライ、とりあえず座って。お母さん、今日は大事な話があるの」
カレンは用意した椅子に座るようライを促すと、自分も隣に座り、緊張した面持ちで母親を見た。そして意を決すると、口を開いた。
「驚かないで聞いてね、って方が無理がある話なんだけど…その、私…この人と結婚したいの」
「えぇ…?」
カレンの母親が驚いたように、カレンとライを交互に見る。
「急にこんな話でごめんなさい、でも…本当なの」
「『記憶喪失の、得体の知れない男と結婚するなんて』と思われるかもしれませんし、急に現れてこんな話…申し訳なく思います。でも…」
「ふふっ、おめでとう二人共」
「「…はい?」」
笑顔で祝福され、ライとカレンは思わず言葉がハモった。しかしカレンの母親は構わず、続ける。
「お相手にどんな事情があろうと、私はカレンがちゃんと考えて選んだ人なら、祝福するわ。何より前に会った時、ライさんのお話をするカレンの顔は、凄く楽しそうで幸せそうだったわ。その時はお友達としか聞いてなかったけど、『ああ、そうなのね』とピンときたわ」
「うっ、バレてたんだ…でもその時はまだ、結婚なんて考えてなかったし」
「何となく、直感めいたものがあったの。特区日本が成立して、これから止まっていた時間が動き出して、良い知らせが来るんじゃないかって。そうしたら、貴方がこの人を連れてきた」
「でも、いいんですか?僕は貴方をカレンを通してしか知らないし、貴方もそれは同じですよ。認めていただけるのは嬉しいんですが、何かあっさりというか…」
戸惑うライの手を優しく握ると、カレンの母親は言った。
「私の娘が貴方を選んだんです、自信を持って下さい。私は娘の判断を信じて、応援するだけですから」
「お母さん…」
カレンが涙目で、二人の手の上に自分の手を重ねる。
「ありがとう、お母さん。お母さんも頑張って、体を治してね。その時は迎えに行くから、一緒に特区で暮らそうよ」
「あら、いいの?私がお邪魔しちゃっても」
「カレンが望んでいるんです、もう一度親子で過ごしたいと。だから、是非」
「ふふっ、新しい目標ができたからには、頑張ってリハビリしなくちゃ。本当にありがとう、二人共。一緒に幸せになって、いつまでも仲良くするのよ」
三人は手を取り合い、面会時間が終わるまで、温かい雰囲気のまま過ごしたのだった。
面会を終えたライとカレンは、租界にあるレストランで夕食を取り、そのまま租界を散策していた。しっかりと手を繋ぎ、日が落ちた街並みをゆっくりと歩いていく。
「すぐに受け入れてもらえて、良かった」
「そうね。お母さんは基本的に私の意思を尊重してくれる人だったから、あまり心配はしてなかったけどね」
「ミレイさんにも話ができたし、カレンのお母さんとも話ができた。しかも二人共、僕達を祝福してくれて、安心したし嬉しかった」
「うん…絶対に一緒に幸せになって、みんなの気持ちに応えようね」
手の力を少し強くして、カレンがライに寄り添う。それから少しの間沈黙が続き、二人は同時に口を開いた。
「「あの…」」
すると二人は顔を見合わせ、照れくさそうにライが言う。
「えっと、カレンから先にどうぞ」
「そ、そう?譲り合い合戦になっても仕方ないから、先に言うね。あの…今夜さ、一緒にいてもいい?」
「はは、同じ事を考えていたのか。実は僕も、今夜は…君と一緒に過ごしたいと思っていた。二人から祝福されて、君と一緒に生きていくんだと再確認して、一緒に幸せになりたいと強く願ったら、君と離れたくなくなっていた」
「私も同じよ、今夜は…今夜もかな?ライと離れたくないの、一緒に過ごしたい」
互いの気持ちを確かめ合ううち、二人は夜の歓楽街の近くまで来ていた。
「あの…さ、アジトでもクラブハウスでもいいけど、もっと早く二人きりになれる場所があるんだけど。と言っても、私も行くのは初めてなんだけどね」
「そんな場所があるのか、近いのか?」
するとカレンは顔を赤くして、頷く。
「うん、この辺にならある…と思うわ。ただ大手を振って入るような場所じゃないから、変装したいんだけど」
「なるほど、今ならできる…と。じゃあ、行くか」
「うん…」
二人は病院へ行く際に身に着けた小道具を身に着けると、歓楽街へと入っていった。
「ラブホテル…か、そんな所があるとはな」
適当なラブホテルを見つけ、足早に建物に入ってチェックインを済ませた二人は、確保した部屋に続く廊下を歩いていた。
「そう、普通のホテルじゃなくて、その…エッチな事をするのが目的な人が使う場所って言えばいいのかな。まさか、自分が使う事になるとは思わなかったけど」
「そうだな、僕は存在すら知らなかった。…っと、この部屋だな」
部屋を見つけたライはカードキーをかざして、ロックを解除した。そして二人で一緒に部屋に入ると、照明をつけて入口で向き合った。
「ふう、やっぱり人目は気になるものね」
サングラスを外したカレンが一息つくと、ライも眼鏡とマスクを外しながら苦笑する。
「そうだな、妙な気恥ずかしさがあったな」
望んでいた二人きりの空間で、少なからず我慢していた二人が向き合ってから、すぐの事だった。
二人は荷物を床に置くや否や、すぐに抱き合って熱いキスを始めていた。
「んんっ…んーっ…!」
ライはカレンを壁に押し付け、キスをしながらブラウス越しに乳房を愛撫し始めた。彼女はキスをしていた口を離すと、ブラウスのボタンを上から一つずつ外していき、胸元を押し広げて笑みを見せる。
「はぁ…ライ、ふぅ…こんな所で始めちゃうなんて、そんなに我慢できなかったの?まあ私もだけど」
「ベッドへ行くまで理性を保つ事が、今夜に関してはできなかった。それはカレンだって、同じ…だろう?」
「あっ…」
ブラジャーのフロントホックをライに外され、あらわになった豊かな乳房を揉まれて、カレンが甘い声を上げた。
「うん、同じっ…理性なんて、ふぁっ…保てなかった…!早くライと…こうしたかったからっ」
ライに乳房を愛撫されながら、カレンはブラウスとブラジャーを床に落とし、彼の顔を胸元まで抱き寄せた。彼は乳首を口に含むと、両方の乳房を揉みしだきながら、乳首を片方ずつ入念に吸い上げていき、彼女を快感の渦に落としていく。
「んぅっ、揉まれるのと吸われるの…同時にされるの、はぁっ、やっぱり好きぃっ!もっと熱く…なって、あっ、ライの事…欲しくなっちゃうぅ…!」
さらに興奮したカレンがスカートを脱いで床に落とすと、その小さな音に気付いたライは乳房から離れた。そして、彼女がスカートを足元から払いのけたのを見届けて、中腰のまま彼女の顔を見上げる。
「ライ、私…」
期待と願望に満ちた視線をカレンが送ると、ライは彼女の腹部から腰にかけて両手でなぞり、パンツに手を掛けて一気に引き下ろした。
「もう、いきなり入れてもいいか?カレンもそうだろうが、気持ちを抑えられない」
窮屈な股間を撫でながら、ライが尋ねる。するとカレンは濡れた秘部を指で広げ、しゃがんで自分を見上げる彼に淫らな部分を見せながら答えた。
「うん、入れてぇ…。ライの熱くて固いモノ、早く中で感じさせて。そして、私の中…精液で満たして…」
ライはカレンを力強く抱き寄せ、床に仰向けに寝かせた。そして彼が裸になる間に、彼女は靴とソックスを脱いで全裸になり、両脚を大きく開いて、ペニスの受け入れ態勢を整える。
「お互い本能に従順過ぎて、誰にも知られたくないな」
「うん、二人だけの一番の秘密。快楽に対して盲目で、セックスが大好きで…はぁぁっ、入ってきたぁ…!」
膣奥までペニスが入り込み、カレンが淫らな声を上げる。ライはすぐさま腰を振り、彼女の中を堪能し始めた。
「今夜…はっ、ずっと抱いてぇ!いっぱいライの事っ、かっ、感じたいのぉ!」
「はぁっ、僕もそう…したいっ!ずっとカレンを抱いて、カレンに包まれて…くっ、中を自分で満たしたい!」
「満たしてぇ!なっ、中…いっぱい貴方を注ぎ込んでぇ、はぁっ、満たして欲しいのぉ!」
膣奥を何度も突かれながら、カレンが膣内射精を懇願する。ライにとっても彼女の中を自分の子種で満たす事は、彼女と初めて交わってからずっと続けてきた事であり、子供を欲しがっている二人にとって当然の行為だった。
だから彼はきつく吸い付いてくる膣の圧力に抗う事もなく、少しでも長く快楽を得ようと我慢をせず、ただ多くの子種を放ちたいがためだけに腰を振った。
「くっ、カレンっ…!」
「我慢…ふあっ、しないでっ!時間はいっぱいあるからぁっ、あっ、いつ出してくれてもいいよぉ!」
淫らに微笑みながら、カレンは両手を伸ばしてライを促す。彼も少し微笑むと、最後に何度か激しく腰を振り、ペニスから精液が放たれる瞬間を見計らって、亀頭を彼女の一番奥に押し付けた。
「くっ…うぅっ!」
「あぁっ…!はぁ…中に、出されてるぅ…!この瞬間が一番好きなのぉ…はぁ、何度でもしてぇ…!」
二人はキスを交わしながら、一度目の射精が終わるまで強く抱き合っていた。
その後、カレンが床にこぼれた二人分の体液や膣内から溢れる精液を拭いている間に、ライは脱ぎ散らかした二人分の衣服を片付けたり、後で入るためにバスタブにお湯を張ったりしていた。
「カレン、もう少しで風呂の準備が整いそうだ。先に入るか?」
ライが浴室から戻ると、カレンはサイドボードの引き出しを開け、中を見ていた。
「どうかしたのか?」
「ああ、ラブホテルって言うくらいだから、何かそっち系の物があるのかなって…あ、これって」
カレンが取り出したのは、個包装されたコンドームだった。
「なるほど、いかにもだな」
「そういう目的の施設だから、あって当然よね。でも…私達には必要ないかな」
コンドームをしまうと、カレンが笑みを見せる。
「だって、そうでしょ?私達は最初の方こそ、勢いで避妊せずにやって、多少は避妊の必要性を考えていたけど、結局は一度もそうしなかった。それどころか…二人の赤ちゃんが欲しくなった」
「肌を重ね合わせたら、その時に子供が授かりそうな勢いで毎回しているからな。結婚と退学を決める以前からそうだったのが、今となっては余計に想いが加速している」
「そうよね、だから…」
ライのペニスを片手で撫で、もう片方の手で自分の下腹部を撫でながら、カレンが告げる。
「今夜もいっぱい…しようね、ライ…」