※この作品はR-18です。

輻射波動夫婦の、蕩ける日々   作:煮魚一番

17 / 21
R18シーンはありません。


第十六話「発表」

数日後、アジトの大広間に黒の騎士団の団員達が集合した。前には幹部達が並び、ゼロが一歩進み出た。

 

「さて、諸君。本日はある二人から重大な発表がある。公にせずとも、いずれ発覚した内容ではあるが、変に噂になるより先に意思表明をしたいとの、申し出があってな。それでは、発表したまえ」

 

ゼロに促され、ライとカレンは前に出た。

 

「集まってもらい、感謝する。私的な事だったんだが、最初から伝えておこうと思ったんだ。実は、僕は隣にいるカレンと…結婚する事にした」

 

実はまだ内容を知らされていなかった幹部達をはじめ、全員からどよめきが起きる。

 

「まっ、マジかよ!?スゲエじゃねーか、祝杯だ祝杯!」

 

「落ち着いてくれ、玉城。それと、話には続きがある」

 

みんなを落ち着かせ、ライは続けた。

 

「結婚の時期は、まだ決まっていない。それと結婚しても、僕達は変わらず騎士団の一員として、特区の発展に尽くすつもりだ。今日はそれだけを伝えたかった、以後、よろしく頼む」

 

ライとカレンが頭を下げると、大きな拍手が沸き起こった。

 

「おめでとう、お前ら!宴やろうぜ、宴!」

 

自分の事のように喜ぶ者。

 

「ぐすっ…聞いたか、ナオト。カレンの奴、結婚するってさ。ずっと頑張ってきたからなあ、報われて良かった…」

 

これまでの苦労を思い、感涙する者。

 

「はぁ…隊長が結婚なんて…でもお似合いです、おめでとうございます!」

 

二人にはファンが多かったため、結婚にショックを受けつつ、祝福する者が、一番多かった。

 

「では解散!」

 

最後はゼロが締めたが、しばらくの間、二人への祝福の声が相次いだ。

 

 

 

その翌日、二人は生徒会室にいた。他のメンバーも集まっており、まずはミレイが切り出した。

 

「さて。集まってもらったのは、他でもないわ。今日はライとカレンから、重大な発表があるの。では、よろしく!」

 

「どうも。実はかなり驚く内容ばかりになるんだが、まず…僕とカレンは結婚する事にした」

 

「はあ!?けっ、結婚ってマジかよ!?」

 

リヴァルが目を丸くし、他のメンバーもあ然としている。すると、シャーリーが食い付いてきた。

 

「すっごーい、おめでとう!お似合いだと思っていたけど、一気に決めたんだね!」

 

「ええ、ありがとう。確かに展開が早かったのは、自分でも感じるわ」

 

「えっ、で…でも、その…ライ君ってIDとかなかったんじゃあ?その辺は、ご家族は何て?」

 

「やはり、ニーナは鋭いな。本当に重大なのは、ここからなんだ。君達にも、協力してもらう必要がある内容だ」

 

ライは全員を近くまで手招きすると、声のトーンを落とした。

 

「僕の記憶は戻ってなくて、IDもない。いわば、どこの馬の骨ともわからない男だ。当然、シュタットフェルト家の当主たる、カレンの父親には猛反対されている。

 

しかし、僕達の決意は揺るがない。たとえどんな障害があろうと、一緒に歩むつもりだ」

 

「おー、ライ君カッコいい!それで、どうするの?」

 

目を輝かせるシャーリーや他のメンバーに対し、ライは言った。

 

「駆け落ちしかない、追手が来ない所を探して逃げる」

 

「おぉ…何だかドラマみたいだね、現実でもあるんだー」

 

「しかしよー、俺達で協力できる事って何だ?」

 

「表向きは、カレンが病気療養、僕が記憶の手掛かりを探すために学園を去った事にしたい。もしシュタットフェルト家の人間が探しに来ても、口裏を合わせて欲しいんだ」

 

すると、ルルーシュが口を開いた。

 

「追手が来た場合もそうだが、カレンの親衛隊をはじめ、お前達に関心や憧れを抱く人間は少なくない。彼らに質問された場合にも、今の表向きの理由しか聞いていないと、言い切るべきだな」

 

「そうだね。下手に濁しちゃうと、そこからどうシュタットフェルト側に伝わるか、わからないからね。そこは僕達が、二人を守るために意思統一しておこうよ。

 

僕の方でも、軍のルートから探りを入れられないよう、気を付けるよ」

 

ルルーシュに相槌を打つ形で、スザクがみんなに呼び掛けた。するとニーナが、おずおずと口を開いた。

 

「で、でも…どうしてそんな大事な話を私達に?何も話さずに駆け落ちした方が、私達が情報を漏らしてしまうリスクは減らせると思うけど」

 

「確かにリスクもあるし、みんなに大変な物を背負わせる事になるから、申し訳ないと思ってる。でも…」

 

カレンが一度言葉を切り、続けた。

 

「期間は短かったけど、ここにいる人達と一緒に生徒会を運営して、学園を盛り上げた。結構強引に巻き込まれた形だったけど、学園生活の大切な思い出を作れたし、有意義な時間を過ごせて、感謝してる。

 

だからね、せめて学園を去る前に、私達が決めた道をみんなにだけは伝えたかったの」

 

「記憶を失って倒れていた僕を救ってもらって、生徒会や学園で色々な経験をさせてもらって、君達には感謝しかない。最後まで迷惑を掛ける形になって申し訳ないが、それでも伝えたかったんだ。僕達の決意と、感謝を」

 

「そうなんだ…うん、わかった。気を付けてね、それと短い間だったけど、その…ありがとう」

 

ニーナが照れ笑いを浮かべ、シャーリーとリヴァルも続く。

 

「短い間だったけど、楽しかったよ!二人共、体には気を付けてね。連絡もらえると、嬉しいな」

 

「こっちは俺達に任せろ、二人は新しい人生に全力投球してくれよな。まっ、折を見て会いに来てくれたら嬉しいけどよ」

 

すると、静かに聞いていたナナリーが微笑みながら話し始めた。

 

「ライさん、カレンさん、ご結婚おめでとうございます。身近な方々の幸せなご報告に、私も自分の事のように嬉しく思います。

 

お話を伺った限りでは、大変な道のりになるかもしれませんね。でも、お二人なら大丈夫な気がします。くれぐれも健康にはお気を付けて、お過ごし下さい。

 

お二人の人生が幸せいっぱいになる事を、微力ながらお祈り申し上げます」

 

ライとカレンはナナリーの所へ歩み寄り、それぞれナナリーの手を取った。

 

「ありがとう、ナナリー。君も体に気を付けて、心安らかに過ごして欲しい」

 

「みんなと仲良くして、楽しく過ごしてね。ありがとうね、ナナリー」

 

そこでミレイが、口を開いた。

 

「そういう事だから、生徒会メンバーだけのトップシークレットになるわよ。責任は重いわよー」

 

「わかってますって、会長!」

 

「えー?本当にわかってるのー?」

 

リヴァルとシャーリーの軽妙なやり取りに笑みをこぼしつつ、ライは言った。

 

「すぐに学園を去るような空気になってしまっているが、実はまだもう少し時間はあるんだ。さらに言うと、具体的な時期も決まっていない」

 

「えっ、そうなの?じゃあ、まだ二人と一緒にいられるって事?」

 

「時間としては長くはないだろうが、数日や数週間という事もないと思う。それまでは、生徒会の一員として、貢献させてもらう」

 

「そういう事っ!だからみんな、残された時間、二人との思い出をたくさん作るわよー!」

 

「やれやれ…。会長、盛り上がるのはいいですけど、羽目を外し過ぎないで下さいよ」

 

新たな秘密を共有した生徒会メンバーの間に、優しく賑やかな風が流れていた。

 

 

 

「お互い、なかなかの名演技だったんじゃない?」

 

夕方、租界にある公園のベンチに腰掛け、カレンが言った。

 

「駆け落ちに関する話の事なら、それは当てはまるだろう。だがそれ以外は、本音だ。演技のしようもなかった」

 

「そうね。何だかんだ恩は感じていたから、私も本心を少しは言えたかな」

 

カレンがライの手に、自分の手を重ねる。

 

「結婚の報告、とうとうみんなにしちゃったね」

 

「ああ。騎士団でも生徒会でも、祝福の声が溢れていて嬉しかった」

 

「うん、みんなの声に応えて、ちゃんと幸せにならないとね。それにしても会長が張り切っていたし、残りの学園での時間、色々な企画が出てきそうね」

 

「また突拍子のない事を、考えているのかな。僕達が学園を去るまでに、どれだけイベントが発生するやら」

 

「ふふっ、本当ね」

 

二人は顔を見合わせ、笑い合う。

 

「私達が学園を離れるのは、タイミングの問題かしら」

 

「タイミング?」

 

「そう。新居の事もあるけど、一応アジトや宿舎もあるし、生活拠点の都合はやり繰りできるでしょ?ただ、その…」

 

カレンが顔を赤くして、自分の下腹部に手を当てる。

 

「流石に赤ちゃんができたら、学園にいられないでしょ?初期はまだいいとして、お腹が膨らんできたら、目立っちゃうから」

 

「確かにそうだな、その場合は先にカレンだけ学園を離れようか。生徒会には、新生活の準備と説明しておこう」

 

「そうね。療養と言ってしまったら、幸先が悪いと心配されそうだし」

 

「いつ本当にそうなるか、わからない。新居の方も、早めに進めよう」

 

「うん」

 

先々の事を考えながら、二人は夕日を眺めるのだった。

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。