※この作品はR-18です。

艦これ短編集   作:ですてに

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特に謂れの無い風評被害が『大鯨』を襲う!

……イベント海域、進捗どうですか?


隣で、歩いていきたいから【浦風】

 「さすがにぶち疲れたわぁ……。提督さんもお疲れさま、やね」

 

 演習先の小泊地に到着した浦風と提督は、用意された宿舎の一室で二人して大文字になっていた。実際には艦隊の六名と提督へ一部屋ずつ割当てられているのだが、彼女は提督の部屋を訪ね、二人並んで和室の畳へと身を投げ出している。

 

「夜の会食まで少し時間があるけぇね。ちょっとだらしないかもしれんけど、気にしたら負けじゃて」

 

 彼女は制服のリボンを外していたし、提督も軍装の前止めを全て外し、完全では無いにせよ寛ぐ体勢になっている。誰かの気遣いだろうか、一室に用意されていた冷たい麦茶が何ともありがたかった。会食には提督に秘書艦が同席する、となっているので、艦隊の他のメンバーは翌日の会食までは実質、一時休暇のため、早速海岸に繰り出している者もいるようだ。

 リボンを外すことで胸部に目をやれば谷間がくっきりと見え、角度を変えれば髪色に似た色合いのブラが見えてしまう状態だが、見られてもいい相手でもあり、浦風は気にせず脱力状態になっている。

 

「日本最南端の小泊地……暑さも呉とは全然違うんじゃねえ。艤装つけてない子らが涼しい格好してる理由が分かるわぁ」

 

 艤装は便利なもので、装着していると寒暖については自動調整が行われる仕組みになっていた。寒さ暑さを感じないわけでは無いが、作戦行動に影響が出ない程度のものだ。

 仮に艤装を外していても、装着の為の小型制御部は完全な解体工程を受けない限りは、身体に埋め込まれているので、艦娘としての最低限の力は維持されている。常人よりも身体能力も秀でているし、苛烈な環境での行動も長時間可能だ。

 

「艤装外してたら、提督さんとそう変わらんよ。暑いもんは暑いんじゃけぇ」

 

 体感としては、人と変わらない。だからといって、宿舎内で艤装を着けたままというわけにも行かないし、整備だって必要不可欠だった。

 

「……どうしたん? ああ、あの緊急保護した艦娘のこと? 龍鳳ちゃんじゃね」

 

 浦風も提督も、この泊地に辿り着く前に、上からの視察任務で途中の立ち寄り場所となった岩川基地で騒動に巻き込まれていた。

 

 結論からいえば。かの基地は沖ノ島沖で、幸運にも潜水母艦・大鯨を確保した若手の司令官がいたのだが、彼女にどっぷり嵌るあまり、特定海域の敵艦殲滅に尽力した手柄として、複数の提督に配られるはずだった改装設計図を一人で使用してしまったという事例が発生していた。補給系の職務を務めていたのが災いとなったのだ。

 視察のタイミングでそういうことが起こると、多くの報告書は必須となり、結果、岩川基地で彼らは事務的疲労を抱えることになったのである。

 

「大鯨ちゃんを見つけるまでは、堅実な仕事で基地全体をしっかり支える働きしてたんやってね。けど、ああいう性格の子に免疫無かったんかなぁ」

 

 素直で礼儀正しく、まっすぐで健気。家庭的で家事全般もそつなくこなし、掃除なども率先して行う。常に自分に感謝と信頼を寄せており、積極的に尽くすその姿に加え、胸部の膨らみも見事なもので、独特の甘く蕩けそうな声質をしている──。

 大鯨を自艦隊に引き入れた提督や司令官達の評はある程度共通していた。艦としての性能ありきではなく、良妻賢母を地で行く性格と幼さを残す顔立ちでありながら、身体は成熟している、といった下衆めいた話題が先に立っていたのだ。

 

「幼な妻の要素満載やからね……まぁ、うちから見ても可愛いと思うわ」

 

 浦風も『駆逐艦』という枠組でいうならば、同枠にどう見ても中学生、下手すれば小学生に見える容姿の子達が多数いた。幼な妻の雰囲気でいえば、第六駆逐隊の『雷』が当たるだろうが、外見は小学生にも見えかねない。

 

「あの大鯨ちゃんも改造で龍鳳になれて、近代化改装も出撃も優先してもらえるけえ、あの捕まった提督さんを喜んで受け容れてたみたいやね。あの娘もうちと一緒で艦娘の姿で見つかった子やけぇ、艤装の解析が完全じゃないから、調整が入ってることもまだ無いじゃろうし……あの性格は地のものちゅーこと?」

 

 浦風と彼女の提督もはたから見れば、上司と部下でありながら男女の関係であるが、切替はしっかりしていた。元々、部下へ必要以上には距離を詰めない彼であり、浦風とて彼を困らせるのは本意でないから、公的な場では弁えた態度を取っている。

 大鯨には及ばずとも、意中の人を甘えさせるのが好きな浦風だが、二人の時間を重視したいという想いが良いバランスに繋がっているのかもしれない。

 

「うちは……どこでも、っていうのは無理じゃなぁ。あの子は好きな人が望むなら、ってことやったけど、ちぃと恥ずかし過ぎるわぁ」

 

 確保のために執務室に踏み込んだ時、お二人は行為の真っ最中だったと、彼が書き上げた報告文には記されていた。

 報告文を記入した彼に、彼女が興味本位から聞き出した話によると、龍鳳の膝枕でおっぱいを吸いながら『気持ち良いですかぁ……?』と囁かれながら、手で一物を擦られていたとのことだった。なお、改造済のため、実際には龍鳳になっているのだが、二人の時はもっぱら大鯨の服装に戻していたらしい。

 好奇心は猫をも殺すというが、他人の行為を生々しく語られるというのは、軽く聞こうとするものではないと、浦風は今後の教訓として心に留めている。彼が話すのを躊躇ったのに強く聞かせてと強請ったこともそうだし、言葉に直すと、聞かされる側としては羞恥プレイでしかなかった。

 

「なぁに? 麦茶取るん? ちぃと待ってね」

 

 浦風はカップから麦茶を口に含み、頬を両手で支え、静かに彼の唇に触れて、ゆっくりと潤いを与えていく。互いの舌が絡み合い、少しばかり双方の吐息に熱が籠もるのも仕方のないこと。背中に回され、そっと添えられた彼の手の熱が、暑さを感じているはずの浦風に不思議な心地良さを与えてくれる。そんな行為を二、三度繰り返し、提督のOKを得て、浦風は満足気に微笑んだ。

 後始末に追われ、演習日程を変更したり等、各部との調整に奔走した二人にとって、やっと得られた貴重な休息でもあったのだ。男女のまぐわいどころの話でなかったが、こういう短い睦み合いを行うだけで、浦風は満たされる自分を感じていたし、仕方ないなといった顔をしながらも、提督とて喜色が隠し切れていない。

 

「んー、龍鳳ちゃんに煽られたと言うんも違うんじゃけど、提督さんとここんとこ繋がってないなぁと思うてね。まぁ、実際あれだけの書類に追われて、雰囲気も何も作りようが無かったし、提督さんの腕や手に触れて、眠れるだけで元気は湧いてくるからけぇ」

 

 急にどうしたのだという問いかけに、浦風はそう答える。実際に繋がるまでは行かなくとも、好いている異性と密に触れ合うのは心身共に満たされると思う。海の底では決して得ることが出来なかった、温かさを直に感じることが出来るからだ。

 

 ただ、深海棲艦であった頃は、何より人や船への憎しみが思考と心の大半を占めており、温かさを求める思考になったのは息絶えると確信した直前で、ある意味調整されているようなものだったのだと、今の彼女は考えるようになっていた。

 今際の際に提督に会えていなければ、迷わず沈めることに全力を向けたであろうし、会えていなかったとしたら、根拠のない確信になるが、また深海の住人に生まれ変わっていただろうと感じている。巡り合いに恵まれたお陰だと、彼女は思っていた。

 

「このまま、少し眠っても、ええかなぁ?」

 

 返事は言葉はなく、腕が自分の身を引き寄せてくれることで十分に伝わる。

 

(暑いのに、甘えたがりの甘えさせたがりでごめんじゃけえ……ありがとう、提督さん)

 

 身体を預けながら、浦風は会食前までの休息を微睡と共に過ごしたのだった。

 

*****

 

 「なんて言うん? 今までの常識が全部崩された気分やわ……」

 

 翌々日の晩。会食や演習を経て、この泊地が実験艦隊とか試験艦隊の実験地を兼ねているというゲンジツも突きつけられて、彼女の提督用の和室で浦風は彼を背もたれにして、思わず愚痴をこぼしていた。

 背丈はそれほど高くない浦風は腰を下ろしていると、彼のちょうど鼻のあたりを髪がくすぐるようになる。必死に顔に出さないようにはしているが、海辺に咲く爽やかな甘さの花々の上を通った風のような香りが彼の鼻腔を刺激して、強く抱き寄せたくなる衝動に駆られる。

 

「だって、演習相手に港湾棲姫に飛行場姫、ヲ級エリートにタ級エリートって予想できるわけが無いんじゃて! 相手は四隻だから大丈夫とか言うとったけど、明らかに過剰戦力じゃけん、対策の立てようが無いと思わん!?」

 

 だが、くるりと振り向き、こちらを見上げながら不満そうな声を上げる浦風は大変ご立腹で、やや頬を膨らませていて、劣情を表に出していい状況ではない。

 

「ペイント弾なのに、砲塔がへしゃげるとか色々おかしいけぇ。実験艦隊だからって深海棲艦の艦娘運用って無茶苦茶じゃて!」

 

 部屋の中で浦風は当たり前のことながらベレー帽を外しており、彼女の髪は動きにつられてふわぁっと漂い、香りは緩やかに彼の理性を瓦解させようとしている。腕の中ということもあるのか、彼女の膨らみも腕や胸板の一部分に押し付けられているのが、追加効果となり、解き解す時間を早めていってしまっている。

 なにせ、勤務時間の彼を、一人の男に帰らすことに成功したのは目の前の彼女なのだ。一度、崩された相手には強固に抵抗する気持ちになりにくいことも拍車をかけていく。

 

「第一、旗艦の神通さんからして無茶苦茶じゃて! 軽巡だったのに戦闘中でもヲ級に変身できるとか反則やし、他の鎮守府のあの人より少しお姉さんに見えるから、大人っぽくてかえって魅力的に見えるのに、娘さん二人も産んではる働くママさんやし……」

 

 普段の浦風なら、既に彼の股間が熱と硬さを持ち始めていることに気付くのだろうが、驚きと演習で一方的にやられた悔しさからか、自分の気持ちを声にすることで一生懸命になっていて気づけない。

 そして、彼も泊地の総司令との会談や夕食会を経て、生への執着を失いかけていた自分を、再び現世に繋ぎ止めた艦娘に一人の女性として、己の子を産んでもらうことが可能と知った。

 デメリットも勿論あるが、些事だと彼は判断していた。浦風がいなければ、とうに果てていた身だ。他の艦娘においては、今まで通り上官としての範を崩さずに貫いているが、彼女においては……彼女だけは、彼の中で特別な存在であり、あらゆる手段を講じてでも、手放さないと決めている。

 

「……えっ!?」

 

 不意に耳元に唇を寄せられ、掛けられた彼の低い声にぞくりと背筋に電気が走る。自分の耳で聞いた言葉が、とても現実のものとも思えずに、浦風は思わず聞き返す。

 

「提督さ、んっ、今なんて……んんっ!?」

 

 問いかけた浦風にもう一度、同じ言葉が掛けられる。以前の彼では、決して口にはしなかっただろう言葉が。

 

「産んでくれ、って……提督さんの子を、うちが……?」

 

 彼女の提督とてこの泊地では驚きの連続であったものの、浦風が深海棲艦であったことを聞かされており、それまでの戦いの中での経験から推察していた、艦娘や深海棲艦の絡繰りの裏がある程度ハッキリしてしまった、ということがある。さらに、秘書艦がこれだけ驚きの感情を表に出し続けていることも、彼をある程度冷静に留めていた。

 艦娘に対して、特別な術式と房中術の組み合わせを施すことで、艦娘でありながら、子を為すことが出来る。外法と言われる代物であったが、この泊地の総司令とその妻達は、確かに温かい家庭を築き上げており、妄想と言われる類の淡い幸せな未来を、現実化させている。その現実の維持に無論、苦労や尽力はあり、その話も聞かされたが、幸せを逃がさぬための苦労や尽力ならば、それは好ましいものではないかと、彼は考えていた。

 

「うちの匂いが悪いってそ、そんな無茶苦茶な言いか……あっ!」

 

 普段からは考えられない、彼の強引さに困惑し、浦風はなすがままに畳の上へと押し倒され、膨らみの形を彼の手に変えられ、首筋を強く吸い上げられる感触に、昂っていた感情が情欲そのものへと擦りかえられていく。身体は彼に愛されることに反応するし、それを望むように既に変わっていたから。

 

「ひゃっ、あんっ、てっ、提督さん、慌て過ぎじゃ、あぁ!」

 

 演習結果への憤りの熱がそのまま、彼を望む身体の火照りへと変換し最適化されていく。自分の子を望むと言う愛しい彼の言葉──上質の薪をくべられてしまった浦風は、自分の身体の最奥がぎゅっと疼き、蜜を次から次へと溢れさせていくのを自覚した。

 

 ショーツを脱がされることなく少し指でずらされ、外気に触れたヴァギナがひくひくと物欲しそうに蠢き、トロリと一筋の愛液を滴らせた。愛液を準備済みの剛直で掬った彼はそのまま一気に浦風の内側へと腰を沈ませる。

 

「あっ、ああっ!? ……え、う、うちっ、嘘じゃろ……!?」

 

 ずん、と奥を撃ち抜かれた浦風は一瞬、かくんと時間が途切れた感覚を味わった。やや遅れて、自意識が軽く絶頂に達したのだと、やっと認識する。

 ここのところ、自分がなんとなく物欲しい身体の状態になっていたのは分かっていたが、久し振りの情交に、それも男性主導による強引なやり方で、まさかここまで身体が悦ぶとは、自分でも想像の上をいっていた。

 

「え、ひゃ、ま、待っ、うちキたばかりじゃけ、あああっ!」

 

 抽送が再開され、蜜を溢れさせている膣内は力強い動きをしっかり受け止め、互いへの快感を加速させていく。陰への刺激で達したわけでも無く、刺激が痛みに変わることもない。浦風の身体は自意識とは別に、実に正直に……悦楽を甘受して、彼女の声帯は嬌声をあげ続ける。自制など利かず、女の本能が男を、吐き出される生命の熱い熱を求めている。

 

「ひゃあ、ああんっ! うちまたイッてる! うちのっ、うちの中っ、提督さんの形に変わってしもうとるぅ!」

 

 浦風の包容力は、身体の内側にまで作用しているのか。彼女は駆逐艦娘の中でもしっかりとした身体つきをしているが、重巡級の艦娘に比べれば小柄なもの。それでありながら、浦風の女陰はしっかりと男の一物を包み込んでいた。

 

「提督さんっ、うちっ、ああっ! 産む! 産みたい! 提督さんの子、産むんじゃけえ!」

 

 浦風は両腕を首に、両足を腰に絡め、彼の身体から離れないとばかりに結合を深める姿勢に変わっていく。彼を求める彼女の感情が、身体の動きに無意識に反映されていく。

 

「あ、あ、あ、あ、あ……ぶち、くる、くるけぇ! 提督さんもぉ! 提督さんも一緒じゃぁ、お願いじゃぁ……! ああ、早ぅ、早う……!」

 

 陰茎がさらに膨張し、震え、限界間近なのを、彼女の子宮が感じたのか、膣全体が精を絞り上げるための蠢動を強め、とうとう……二人は同時に達した。

 

「うちっ、提督さんとっ、一緒! イクぅぅぅぅっ!」

 

 お腹の中で痙攣する彼の分身を確かに感じながら、浦風は今日何度目かの──深いエクスタシーを味わう。彼を捕らえた両腕両足はそのままに忘我の時に身を浸して、大きな満足感と幸福の中で、浦風の意識はそのまま薄れていってしまった。

 

*****

 

 「うん、わかっとるよ。すぐに無理なことぐらい……ただ、本気で望んでくれたのが嬉しかったんじゃ」

 

 翌朝、彼の腕の中で目を覚ました浦風は、共に部屋に取付られたシャワー室で身体を寄せ合い、昨晩の汗を流す。意識を失う前に聞いた彼の言葉は夢ではなく、出来る限り早く環境を整えるから、自分の子供を産んで欲しいと再度、真摯な言葉を告げられた。

 

 喜んで彼の意思を受け入れた浦風だが、すぐに彼の子供を宿せるわけではないと察していた。浦風自身も提督と総司令がそうしたように、母親となった神通と少なくない時間を費やして語り合い、艦娘と深海棲艦の関係性や、子を為す方法についても大凡の情報は聞いている。その方法自体が、相当に問題のあるやり方なのだ。

 お互いを将来の伴侶として認識したのはいいが、実際に彼の子を産み育てるためには、彼の『軍人』や浦風の『艦娘』という立場自体が枷になることも分かった。泊地の総司令にも思惑があり、横須賀鎮守府の正規軍人、若手の有望株としての彼の立場を利用したい意図も隠そうとしなかったと聞く。

 特殊な立ち位置にいる小泊地の長は、軍の中でも浮いた存在となっている。それゆえに、海軍司令部がおかれる鎮守府の所属で、将来の幹部候補となり得る浦風の提督とのパイプを作りたいのだと、飄々とした口調でさらっと言われたのだそうだ。

 

「うちらは軍司令部のお膝元でしっかり結果を残すことが、良好な関係を持つための条件ちゅうわけじゃね。それじゃと、うちがそう簡単にお産で休むわけにいけんもん。それに難しいやり方をせずに、完全な女の身体に戻るん言うんなら、普通に退役することになるけど、艦娘としての記憶だって消されてしまうけぇ、それじゃ意味が無いんよ」

 

 女性を極力戦場に立たせたくない彼の考えは変わらない。本当は、浦風を含めて部下達を戦場に出したくない、彼の本心がある。自己矛盾している、彼の立ち位置は従来から大きくは変わらないのだ。だが、深海棲艦の脅威は大きく、指揮官としての彼は戦いから逃げることも許されない。

 叶うなら、浦風には戦いの場から離れて欲しいという願いがある。けれども、浦風の言葉通り、正規の退役方法となれば、彼女の提督に関する記憶は抹消される。彼女はそれをもちろん望みはしない。さらに、浦風は優秀な秘書兼現場司令官としての二役を果たす艦娘である。簡単に艦隊業務から抜けられるものでもなかった。

 

「最終的には、記録上轟沈した扱いにしてもらって、新しい名前に変わるようなやり方ぐらいしか無いとは思うんじゃけぇ。ともあれ、それも戦いがある程度落ち着いて、うちの今の役割を任せられる子も育てないといけんね」

 

 『必ず帰る』を体現するべく、浦風は厳しい訓練を日々こなしているし、高難度海域への出撃も積み重ね、経験を積んでいる。所属する艦娘たちも高い練度を持つ艦娘が多い。物理的に深海棲艦と戦う術を持たない提督は、前線に立てない己の不甲斐なさを、環境面や練度の充実への熱心さに変え、応急修理機構の配備も積極的に進めていたからだ。

 

 帰らなければ、彼の心を抱き締めることだって出来ない。

 

 その一心で、浦風は彼の率いる艦隊の中心艦娘の座を保ち続けていた。ただ、浦風への業務依存度が高いゆえに、彼女の出産自体が艦隊全体への影響が大きくなるし、秘匿事項ゆえに、事実を知る関係者を出来る限り絞り込む必要もある。

 戦闘力として信を置ける者は多くいるが、秘匿事項を含めて託せる部下は、今までの彼の艦娘との接し方から、候補者がほぼいない状況だ。まずは、二人が信頼できる者を増やすところから始めることが必要だった。

 

「そうやね……なかなか大変じゃろうけど、うちは頑張れると思うとる。提督さんと幸せになるための努力じゃろ? うちらが守るべき国民……もちろん、軍人としては、大切な任務じゃけど、そこにうち達の子供が加わるんなら、ぶちよーけやる気が出てくるいうもんじゃて」

 

 戦いを続ける日々の中で、責任感や使命感だけではいつか、戦いに倦んでいく。戦い続けるための個人的な理由が、二人にとっての支えになっていくと確信できる。だから、浦風は迷わず前を向く。

 

「提督さんがおじいさんになってしまう前に、目処はつけんとね。まぁ、うちはどうあっても変わらず隣にいるけぇ、それでもええんじゃけどね!」

 

 そこまで待たせるつもりは無い、と言う彼と軽く口づけを交わして、水滴を拭い、着衣を整え、互いに服装の乱れを確認して、徐々に二人は本日の演習へと意識を切り替えていく。

 まずは指揮官と秘書艦として、どこの最深部海域の面子だと言うような相手に一泡吹かせるために、同行する演出参加艦娘と合流し、戦術面の見直しに没頭していくのだった。




浦風さんの話はこれで一段落。

仕事と家庭の諸問題の兼ね合いでイベ海域もほとんど出撃できてません。
E6クリアしてる人もいるというのに。
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