冒頭のため殆どエロなしです。
「ふわぁ……ぁぁ……」
タマムシシティに存在する女の花園タマムシジム。
その一番奥、ジムリーダーが居るべき場所に今、小さく高い声が響いていた。
「ん……そんな、ダメ……です」
声の主はタマムシジムのジムリーダーエリカ。
彼女はどこか切ないような響きで声を上げる。
「あっ♡ そんな……とこ……」
不意に清楚な彼女に似合わぬいやらしい声が響く。
何故彼女がそんな声を出すのか?
それは今彼女の体を包むもののせいであった。
全体的にピンク色で中身は見えず、デザートのゼリーのように見える。
そのゼリーのように見える存在にエリカは頭だけ出して呑まれているのだ。
そしてそれはかなり見た目は違うが、毒ポケモンのベトベトンに見えた。
何故こんなことになっているのか?
それは数時間前に遡る。
「くそ! 何故上手くいかん!」
彼は科学者であった。
所謂はぐれけんきゅういんである。
元ロケット団の彼はロケット団が壊滅した後もこっそりタマムシシティにあるアジトに忍び込み研究を続けていた。
「何かが足りないんだ……何かが」
誰にも理解されぬ、だが叶えたい自らの夢。
それを叶えるためだけにポケモンマフィアであるロケット団に入った彼は、予算の横領をして研究を続けていた。
本来かかるコストを抑えて自らの研究に当てていたのだ。
だがそれもロケット団が壊滅した今、有限となってしまった。
研究所もこっそり入ってるため資材を持ち込むのも一苦労だ。
故に彼は追い詰められていた。
「くそっ! あの餓鬼め……」
資金源のロケット団を潰した少女に彼はこの研究所で会っていた。
何とか自慢のベトベターで少女のポケモンを毒にしたが、ボコボコにやられた。
それについてはそこまで恨んでいないが、ロケット団を潰したのは別だ。
彼にとってロケット団の資金は彼の資金だったのだ。
彼にしてみれば預けていた銀行を潰されたに等しかった。
「っ……ゴホゴホ!」
既に90近い老人である研究員は最近自らの限界を悟りつつあった。
この研究に打ち込んで70年。
やっとプロトタイプが出来た所で資金の枯渇である。
今まで精神力に頼り無茶をしてきたツケが回って来ていた。
「ぁぁ……わしの夢……ベトちゃん……ゴホゴホ!」
カプセル中に居るベトベトンを呼ぶ研究員。
このベトベトンは彼のポケモンである。
そんな彼を心配するようにベトベトンは体を蠢かせ研究員を見る。
ベトベトンは優しい性格なのだ。
故に彼の希望を叶えてあげたかったが、ベトベトンには良く分からない内容でありどうすれば良いか分からなかった。
ベトベターの時は彼を守ることが出来なかった。
だからベトベトンは頑張って研究員の言うことを理解しようとしていた。
「ベトちゃん……」
研究員がカプセルに縋り付くようにしながら床へと座り込んでいく。
彼の始めてのポケモンはベトベターだった。
そして夢をくれたのもベトベターだった。
始めては子供の頃、流石にこのベトベターはその孫に当たるが彼にとってはベトベターは全てベトちゃんだ。
そして研究員の体から力が抜けていく。
「ぁぁ……わしの夢……」
床に倒れた研究員に驚きカプセルを割って研究員に近付くベトベトン。
そんなベトベトンに震える研究員の手が伸ばされる。
ベトベトンはこのシワだらけの手が好きだった。
ベトベトンが生まれた時から研究員手はシワだらけだったが、その手で頭を撫でられるのがベトベトンは大好きだった。
体は普通のベトベトンの倍近い大きさになっており、体を構成しているのもヘドロではなく研究員が開発した液体である。
それは全て研究員により改造された結果であった。
改造は苦しかったことも少なくないが、ベトベトンは終わるといつも頭を撫でてくれるので我慢出来たのだ。
大きくなってからも頭を頑張って下げると研究員は苦笑しながらも頭を撫でてくれた。
その手に撫でて欲しくてベトベトンは頑張って身を低くする。
「ベトちゃん……」
少し、ほんの少しだけだが研究員の手はベトベトンの頭を撫でていた。
そのまま力が抜けたように倒れる。
そんな研究員にベトベトンは何度も鳴くが研究員は笑ってくれない。
元ロケット団研究員。
享年89歳。
子供の頃から神童と呼ばれ、その人生の殆どをかけ、ポケモンにより女を犯させる研究をし続けた研究員。
最後の瞬間であった。
(ん……むむ……ここは……)
彼、研究員は再度訪れることはないと思っていた起床の感覚を味わっていた。
酷かった腰や節々の痛みや頭痛がない。
もう何十年も味わっていなかった健やかな起床であった。
だがそれは当たり前だった。
(わしは死んだはず……む、声が出ない)
流石に自分が研究中に倒れ、最愛のベトベトンに看取られたのは覚えている。
だが意識は確かにあり、一人で研究をしている間に増えた独り言が言えない以外、問題はなさそうだった。
いや、むしろ倒れる前よりすこぶる調子が良い。
(そうだ。 ベトちゃんは……)
研究所の辺りを見渡すも最愛のベトベトンの姿はない。
そしてそこで研究員は気付いた。
やけに視界がクリアなのだ。
最近は老眼も酷く、遠くのものがまともに見えなかったのに今はしっかりと見える。
(おらん……か。 わしが死んでどこかへ行ってしまったのだろうな。 元気に暮らしてくれれば良いが)
ベトベトンに施した改造は多種になるが、命を脅かす改造は絶対にしなかった。
故に自らがメンテナンスしなくでも大丈夫ではあるだろうが、性質が違うベトベトンが野生でやっていけるかは心配だった。
ベトベトンが研究員を好きだったように、彼もまたベトベトンを愛していたのだ。
孫のように思っていたに等しい。
(わしの夢に長々と付き合わせてしまったからな……わしの夢、ポケモンになって女の子を快楽でメロメロにすることにな)
そう彼が8歳の時、父親が持っていたポケモンが女の子を犯す漫画。
それに夢中になった研究員はそのポケモンになりたいと願ったのだ。
大人になるにつれてその夢を叶えるのが不可能なのが分かった後は自らのパートナーであるベトベターにやって貰う方向に変わったが、彼は夢に一直線だった。
同僚にはポケモンの進化の可能性などと伝えていたが、そんなことに興味はなかった。
(改造は完璧じゃった……AV男優のテクニックを研究し、分からなくても出来るよう頭ではなく体に学習させ、体をヘドロからわし特製の媚薬へと変えた……服のみを溶かす酸も発生させられるようにした。 どんな女も押さえつけられるよう、力を強く、体を大きくした。 体は柔らかいから女を取り込むことも出来る。 無論、傷一つなくの。 だが、ベトちゃんは女の子に興味を持ってくれなかった……何故だ?)
研究員は頭は良かったが変態で馬鹿だった。
そう彼の目指す研究の最大の障害に気付いていなかったのだ。
ベトベトンが人間に興奮しろというのは人間が犬や猫に興奮しろと言っているようなものだった。
そりゃあベトベトンが理解出来ないわけである。
つまり彼は天才的頭脳を使い、ベトベトンに何十年もかけて無駄な機能を付けていたのである。
そう、本来なら無駄になるはずだった。
(しかし思考もクリアじゃのう……こんなに考えられたのは久しぶり……それと、やけに視界が高くないか?)
そこでやっと彼は今の状況の異常さに気付いた。
始めは倒れたままの自分が見ていると思っていた景色だが、ただ頭を下げていただけだったのだ。
頭を上げると元の視界より遥かに高く、ベトベトンが入ってたカプセル並に大きかった。
(あのカプセルはたしか3メートル近くあるはず……つまりわしの目線は最低でも2メートル後半はあるぞ?)
そして更に気付いた。
首を起こしたように思っていたが、首がない。
いや骨がないのだ。
流体のような体を起こしただけだった。
(こ、これはまさか……)
ある可能性に思い当たり、彼は自らの顔色を見るための鏡へと向かう。
その向かうのも歩いているのではなく、素早く這うような動きだ。
そして鏡の前で彼は驚愕した。
(わ、わしがベトちゃんになっておる!)
元ロケット団研究員。
享年89歳。
死んだ後に夢が叶った男である。
デュエリストも良いけどジムリーダーもエッチな子多いよね。
こう言って全てが中途半端にならないことだけは注意します。