夜。同族である人食い鬼が精力的に活動する中、俺は寝室で女と蜜月を重ねていた。
「はぁっ、あぁっ、あっ、んっ、あんっ」
布団を背にする俺へと馬乗りになって腰を振る女、
俺が天井の木目を見据えながら脱力していると、カナエが顔を覗き込んできた。
「旦那様、痛くはありませんか?」
「ああ、いつも通り気持ちいいぞ」
「ふふ、それは良かったです」
気が和らぐ柔らかな笑顔。それと、たぷんっと弾む豊かな乳房に目を奪われる。俺が手を伸ばし、乳房を握り潰さん勢いで揉みしだくと、カナエは艶を帯びた声を漏らして背を反らした。
随分と素直な反応を示すようになった。
俺は、人間だった頃のカナエと今のカナエを比較する。
今のカナエは人間の面影をくっきりと残しつつ、随所は鬼とわかる肉体的変化を遂げている。最たるものは額にある一対の白い角と、血のように赤く染まった瞳。そして、鋭い犬歯だ。鬼になった今でも元の美しさを損なうことなく、本来有していた妖艶さが増していた。
「旦那様ぁ」
最初はこうして甘い声を出すこともなかった。何をしても感情を荒立てない。時には鬼である俺を哀れみ、諭すような言葉を掛けてきた。それらを無視し、愛情を注ぐ俺を見て戸惑っていたカナエが懐かしい。
そんなカナエも、鬼の体で体験する快感と充足感には抗えなかったようだ。
出会って四年近く。俺の血を与えて鬼にしたカナエを毎日欠かさず抱き、鬼としての生き方を教えた結果、自分から求めてくるようになった。嫌がっていた人食いも積極的に行うようになって、鬼としての力を日々強めている。
「カナエ、昨日の食事は楽しめたか?」
「ええ、とても満足のいくものでした。鬼ごっこはやはり楽しいですね」
先日、カナエは人間の幼い姉妹を追いかけ回し、嬲り殺した後、美味そうに食らっていた。以前の心優しいカナエが見れば、絶望していたことだろう。気高く美しかった存在は人を食らうことで得られる充足感に目覚め、堕ちるとこまで堕ちていた。
人の血に濡れたカナエを思い返し、興奮して膣内で男根を膨らませる。
「あんっ」
亀頭が膣奥に食い込み、カナエが喘ぐ。股間に響くいい声だ。
本当に俺好みの女だ。カナエを手に入れられて良かった。
ふと、カナエを手に入れたときを思い返した。
カナエは人間だった頃、
その柱であるカナエは、俺の友人である男の部下と相対し、致命傷を負った。朝日が昇っていなければ、鬼であるその部下がカナエを喰っていたと考えると、俺はかなり運が良かった。
同族の血の臭いに引かれ、俺が偶然訪れていなければカナエと出会っていなかった。
そして俺が、太陽の下でも人間と同様に活動できる特殊な鬼でなければ、既に日の下に晒されていたカナエを連れ去ることもできなかった。一目惚れし、こうして貪欲に愛をぶつけ合える妻と出会っていなかったと考えると、身が引き裂かれる思いだった。
「カナエ、おいで」
「はい」
温もりを欲した俺に、カナエは体を重ねた。俺の胸板に当てられて形を変えるカナエの大きな胸。俺はカナエの細い体に両手を回し、抱き締めて間近で妻の顔を捉える。妻は嬉しそうに俺の顔を眺め、下半身だけを器用に揺らして男根を膣から出し入れしている。
「あっ、んっ、もっと、激しくしてもいいですか?」
「好きにしろ」
「んっ、ありがとう、ございます、あんっ、あぁっ、ん、ふっ」
膣穴にぐっぽりと男根が挿入されるたびに、小気味いい水音が奏でられる。股間から広がってくる快感が堪らない。俺が表情を緩めるのを見てカナエはさらに動きを速め、杭を打ち付ける槌の如き腰振りで攻め立てる。
「はぁっ、あぁんっ、旦那様、んっ、旦那様、旦那様ぁ!」
耳元に顔を寄せたカナエに、甘い声で鼓膜を揺さぶられる。俺の興奮が高まって男根が益々勃起し、狭い膣を内側から圧迫する。ズリズリと膣肉で擦られ、快感の波が収まらない。
出る。昂りを抑えられず、俺はカナエの膣で精を放った。
男根が脈動し、尿道から吐き出した俺の種を子を育てる場所に撒く。今のところ何度抱いても妊娠には至らないが、いつかカナエに俺の子を孕ませようと子袋の中にぎっしりと精液を仕込んでいく。
嫁の中を支配し、己の欲望で満たす。俺は今、幸せだ。
「はぁっ、熱い、んっ、旦那様、子種のご提供、ありがとうございます」
「いくらでも注いでやる。いつか絶対に孕ませてやるからな」
「はいっ、楽しみにしております」
カナエはそう告げると、俺に接吻をした。温かい舌が口内に入り、俺の舌に擦りつけられる。俺はその舌を受け入れ、カナエと間近で視線を交わしながら絡め合い、陰嚢に溜まった精を次々にカナエの中に移動させた。
濃密な交わりを経た俺たちだったが、一回では終わらない。
「あんっ、んっ、ぁっ、はぁん、ぁっ、あんっ」
俺たちは何度も絶頂し、そのたびに傍にいる相手と抱き合い、存在を確かめた。
他の鬼と違い、俺と俺の血で鬼になったカナエは性に奔放だ。食人衝動は確かに存在するが、それでも俺たち以外の鬼と比べれば程度は弱いほうだ。しばらく血を摂取しなくとも、性行為によって身も心も満たされる。
対して、俺の友人である鬼、
俺と無惨は共に鬼の始祖に分類される。生まれた場所や時代、経緯が違えば、その性質も異なる。無惨からすれば、俺が当たり前に持っている太陽への耐性は、俺を食らってでも欲しいものだ。それが理由で何度も争いを繰り広げていた頃が懐かしい。数日にわたって殺し合ったあの時間は実に無益なものだった。諦めて腕を千切って与えてみたが、無惨は太陽を克服することはできなかった。
たまに無惨と会い、食事を共にすることはあるが、まだ諦めていないのが見て取れた。腕で駄目なら全身を食らう。そんな考えが透けて見えた。俺には無惨に抵抗できる力があるが、矛先をカナエに向けられても困るため、無惨が太陽を克服するために必要だという、青い彼岸花の捜索を手伝っている。
最近、青い彼岸花についての新しい情報を入手し、それを提供したのだが、唐突に機嫌が良くなって気持ち悪かった。「やはり、
「旦那様? お加減が優れませんか?」
「いや、なんでもない」
無惨のことを考えてしかめ面になっていたらしい。
俺はカナエを抱く手に力を込めると、男根で下から突き上げた。
「あ、はぁっ」
カナエが喜び、身を震わせる。
夫婦の営みのときに余計なことを考えるべきではないな。
「愛しているぞ」
「私もです」
俺たちは想いを伝え合い、強い肉欲を満たし合った。