キノの旅 Girls' journey 作:わしはトマトが嫌いじゃ
今日は軽いジャブのつもりでソフトなエッチ。
多くの人間が夕食を食べ終えるぐらいの時間帯の、とある国の、とあるホテルにて。
「キノ~、キノキノ~」
「抱き着くのはいいけど、動かれると困るよ」
一人の少女が、同年代の旅人の背中に抱き着いて、体を揺らしていた。
旅人の名前はキノ。中性的で整った顔立ちの、頬にかかる程度の長さの黒髪を持っている。抱き着いているほうはカエデという少女で、特徴的な長い茶髪をアップにしてまとめていた。
二人とも普段来ている黒いジャケットは身に着けておらず、その下の白いシャツ姿。さらにその下は下着類のみで、ズボンも履いていない。異性同士だったらためらわれる格好であろうが。二人ともれっきとした女性。それにそこそこ長い期間一緒に旅をして、国のホテルではなるべく一緒の部屋にしているため今更恥ずかしがることはなかった。
ちなみにモトラド(注・二輪車。空を飛ばないものだけを指す)のエルメスは修理工場でメンテナンスを行っている。明日の朝か、早ければ今夜中に終わるとのことだった。
「キノはーどうしてそんなにかわいいのー?」
「そんなこと聞かれても……」
返答に困るキノ。時々訪れる国で、いきなり初めてあった人に「付き合ってください!!」とか、「よければモデルにしてもいいですか?」と画家に被写体になってほしいとせがまれたりと、その手のお願いをされることがある。反応は自分の都合と見返りによってそれぞれであるが、キノは基本的にあまり深く追及されないようにしていた。
どのみち三日しか同じ国に滞在しないからというのもあるが、あまり絡まれるとカエデが嫉妬するからというのもあった。逆のパターン、キノがカエデに嫉妬するという事はほとんどないが。
「カエデも、自分のパースエイダー(注・銃器のこと)を整備したほうが良いよ」
「明日ホテルから帰ったらやるもん」
カエデに抱き着かれつつもキノは自分が持つリヴォルバーの清掃の手は止めない。むしろどうせメンテナンスのことを忘れるだろうから、また自分が彼女の分をやるんだろうなとも考えていた。
「……いー」
「いー」
何となしに、カエデはキノの頬をつまんでゆっくりと引っ張った。彼女の声につられて、キノも思わず間の抜けた声を出す。
「……何がしたいの?」
「さあて、何がしたいんでしょう?」
「ボクに知らないことを言われてもしょうがない」
カチャカチャと、作業する手を止めずに会話は行われる。
「今日の夕飯はおいしかったねぇ。分厚い牛のステーキとか、パンも焼き立てだったし」
「値段も安かったしね。食糧事情がいい証拠だよ」
「出国する日に鶏肉買おうよ。一匹丸々のやつ。晩ごはんに丸焼きにするの」
「もちろんカエデの財布からだよね?」
「……わ、割り勘でどうですか?」
「考えるだけはしておくよ」
「むー」
つまり、結局資金提供はしないという事だ。どのみちキノも食べるのにと、頬を膨らませるカエデ。
「それは、もちろん丸焼きは魅力的だけど、同じ量の肉でもっと安い食材はある。不必要に高い買い物をする必要はないよ」
「びんぼーしょー」
エルメスの口真似をするカエデ。びよびよと頬を引っ張ったり縮めたりを繰り返す。もちろん痛くならない程度に。
「面白いぐらい伸びるね」
「自分では引っ張ることはほとんどないから、知らなかったよ」
「訓練すればもっと伸びるかも?」
「少なくとも旅には役立ちそうにはないね」
そして一通り整備が済んだハンド・パースエイダー『カノン』をホルスターにしまったキノは、未だ抱き着いたままのカエデに体重を預け始めた。
「倒れちゃうー」
棒読みでそんなことを言ったカエデは、特に抗う様子もなくキノごと後ろへ倒れた。
「カエデの体の上は、やっぱりいい」
「嬉しいこと言ってくれるねぇ」
「胸のあたりが特に……」
「嫉妬しちゃう?」
「……何に?」
「ほら、キノも一応女の子なわけだし。やっぱり胸部のボリュームとか気にしちゃうタイプなのかなって。いやいや、決して今のキノが薄い胸板を持っているとか、そんなこと思っていないから! むしろそれがキノの魅力につながっているとさえ私は思っているし――」
「……」
早口でまくし立てるカエデの言葉を黙って聞くキノ。その表情は、心なしか少々険しい。
「むしろ大きいほうが不便も多いのよ? 重いから走りづらいし肩凝るし、体を伏せるときに邪魔になるし」
「……」
「私はキノぐらいの大きさもいいなって思うよ。人生はまだまだこれから。今後どんどん膨れるかもしれないしね」
「……」
「なんなら、今ここでそのお手伝いをしてもいいのよ?」
「……? いったい何の、うわあ!」
そういうと、カエデはいきなり両手を動かして、キノの両胸を覆った。もちろん服は着たままであったが、彼女の手から伝わる感触は確かに柔らかなものも含まれていた。
「フヒヒ、そんなに嫌がらなくてもいいじゃない。私とキノの仲なんだから」
ムニュムニュと手を動かすカエデ。慣れた手つきである彼女の行動に、キノはぞわぞわとした感覚に襲われる。
「カエデッ……やめ……んん」
「まだまだ発育途中ってところかな? もっともっともんであげなきゃね」
遠慮なしにカエデはキノの両胸をまさぐる。彼女はしばらくキノのそれの感触を堪能したあと。
「それじゃあ、脱いじゃおうか」
「……!」
我慢できずに振り払おうともがくキノであったが、体術の練度はカエデが上、その上ポジション的にも不利な体勢であったため、その努力は虚しく、カエデにシャツのボタンを外されてしまった。
きっちりと女の子らしくブラジャーを付けているキノ。シンプルなデザインの黒いスポーツブラだった。
「もっとかわいいやつにしたらどう?」
「……誰かに見られるようなものじゃないから」
「私には見られてるじゃない」
「……」
フヒヒと笑うカエデの手の動きはさらに激しくなり、下着越しにキノの敏感なところにあたりを付け、指先でそこをつまんだ。
「うああっ!」
「キノ……なんだかんだ言ってるけど、感じてるんだね」
こりっ、こりっ、と固い突起をいじるカエデ。さらに両足を絡めて、キノの股を無理やり広げさせた。
「はぁっ、はぁっ、足を広げさせたら……」
「後ろからでも見えるよー。せっかく着替えたのに、もうすでに少し濡れちゃってるね」
キノの頭の横から顔を覗かせたカエデが、キノの自らが与えている刺激をしっかりと感じている証を見た。腰回りを隠すショーツ、その布のうち性器を隠している部分がジワリと湿って、色味が若干深くなっていた。
「胸の先っぽをブラ越しにいじってるだけだよ? 敏感だよね、キノって」
「誰のせいだと、んんっ、思っているんだ……」
断っておくと、キノは同性愛者ではない。このような反応を見せるのもカエデだからこそで、たとえ他の女性に同じことをされてもその反応は至極冷めたものとなるだろう。
カエデはキノを愛していて、キノはその愛をまんざらでもないように受け取る。数か月前のある出来事から、カエデはキノのことを無くてはならない存在だと認識していた。遊び相手、という側面もあるだろうが。
「それじゃあ、こっちも脱がせちゃって……直接……えいっ」
「あっ……」
ブラジャーが上にずらされ、慎ましい双丘が外気に触れる。その双丘の頂にあるピンク色の突起はピンと張りつめていた。
「さあて、どうやって甚振ってあげようかしら……」
「見えないけど凄い悪そうな顔をしている気がする……」
キノ以上に興奮して息を荒くするカエデ。このまま“いつものように”キノをいじっていじっていじり倒されるかと思われた。
唐突に、部屋に設置された電話が鳴り、カエデはその受話器を取るためにあっさりとキノを解放して立ち上がった。
「はあ、はあ、あ、あれ?」
これから訪れるであろう快感に身構えていたキノは拍子抜け。衣類がはだけた状態のまま放置され、絨毯の上に転がった。
「はいもしもし。……あっ、そうですよ。えっ、そうなんですか? 分かりました、今から迎えに行きます」
ガチャリと受話器を置いたカエデはキノの方へ振り向き。
「エルメス君のメンテナンスが終わったって。まだ深夜には早いから、取りに来てもらっても構わないって」
「……分かった」
ここまで昂らせておいてそんなさっぱりと行為を中断したカエデに、不服そうな視線を向けるキノ。カエデの指摘通り、キノもやっぱりそういうことをされることを期待していた様子だった。
そして渋々といった感じで立ち上がり、衣服を正して着替えた後エルメスを迎えに行くのであった。
第一話なのにエルメスが出てきておりませんぬ。展開上仕方なかったから許してね。やっぱりキノも女の子だから、こういうえっちぃなことも興味あるよねという勝手な想像。主人公のカエデちゃんがぐいぐい迫るシチュエーションは、今後もよく出てくると思います。