キノの旅 Girls' journey 作:わしはトマトが嫌いじゃ
大勢の住民に囲まれるという体験をした二人と一台は、一度不要な荷物を預けるため安ホテルを探した。見つけたホテルでも歓待とタダ同然の値段で迎え入れられ、そうして昼に差し掛かったところで二人はそれぞれ自分のモトラドに跨って、レストランを探しながらツーリングを楽しんでいた。
「地下を掘って作った国らしいけど、中は思ったより広いわね」
「城壁の反対側がかすんで見えないぐらいだもんね。気づいていると思うけど、何本もある天井まで伸びている金属の塔が支柱だからね。あれが無かったら天井が抜けて、下の人と建物はぺしゃんこ。落下の衝撃で上の層もぐしゃぐしゃ」
「それは怖い、倒さないようにしないと」
キノが冗談なのかそうでないのかわからない口ぶりで言った後。
「あそこのお店で食べよう。外の席で食べられるみたいだ」
そう言ったキノはカエデと共に速度を緩め、店舗の前の邪魔にならなさそうな場所で止めた。
「おい、あんたら外から来たんだって?」
そう唐突に話しかけられたのは、二人が頼んだ料理が一通り胃の中に消えていった時のことだった。今まで隣の席でコーヒーとサンドイッチを飲んだり食べたりしながら新聞を読んでいた、顔のしわが目立つ五十代ほどの男性が、食事が終わるのを見計らったように声をかけた。
今まで声をかけてきた国民とは違って喜色を持った様子はなく、むしろ険しい顔つきだった。
「ええ、そうですよ。僕はキノ、こっちはカエデ。そしてあっちがモトラドのエルメス。も一台は喋りません」
「こんにちは」
「どうもねー」
それぞれが自己紹介とあいさつをすると、フンッと明らかに不機嫌そうに男は顔をゆがめた。
「……ねえキノ、私たち怒らせるようなことしたかな」
「いいや……心当たりはないよ」
「もしかしたらこの店のオーナーで、二人が物凄くいっぱい料理を食べていたからじゃない?」
「あんたら、こそこそ話しているつもりだろうが、丸聞こえだぞ? ワザとしているのか?」
「いいえ全く」「そんなわけないですよ」
「おっちゃん、この予想はどうだった?」
「……残念ながら俺はただの会社員さ。今日は休みでね」
男は実に面倒くさそうに答えた。
「ありゃ、それは残念。ところでほかのこの国の人たちと態度が違うようだけど、どうして? まあこれだけ人口がいれば、一人二人は旅人のことを快く思っていない人だっているとは思うけど」
「……確かに俺は不機嫌だが、それはあんたらに原因があるわけじゃない。気を悪くさせたなら謝るよ」
「謝る代わりに、何に苛立っているのか、教えていただけませんか?」
「知りたい知りたい!」
「私も知りたいです」
男は一瞬考えこむようなしぐさをした後、新聞をたたんで椅子をキノたちの方へと向けた。
「まあわざわざ隠し立ても、引き伸ばす必要もないからな。……単刀直入に言うと、この国の政策についてさ」
「政策、ですか」
「ああそうさ。教科書にも、そのモットーが書いてある。謙虚に慎ましく、技術で他国に脅しをかけてはならない。接触するべからずというものだ」
「入国するときに伺いました。話してくれた人は、それでよかったとも」
キノの言葉に男は心底面白くないような表情で、右手の指をこめかみにあてた。
「まったくもって腑抜けた連中の考えることだよな。それがひょっとして正しいのか? という些細な疑問さえ起こさない……」
「……」
「あのー、おじさんはそんなことはばかげている、って思っているという事ですか?」
「ああそうさ! 政府の連中が本当に国民のために思っているってんだったら、今すぐそんな政策は破棄してかつての強硬政策に戻ればいい。この国には、十の国を一度に相手にしてもなお余裕持って対応できるほどの武力がある! 侵略し、国土を得て、初めて本格的な国としての成長があるんだ」
「それはすごいねー。でもおっちゃん、そんなこと街中で堂々と言っちゃっていいの? どこかで政府の関係者さんがにらみを利かせていて、国の思想と反対なことを吹聴している人とか連行しようとする。そういう国を、キノはいくつも旅をして見てきたよ」
「そんな秘密警察のような組織はこの国にはないよ、断言できるね。そもそも圧倒的軍備を持っておきながら地下で隠れて過ごす国家に、そんな大それた組織なんているはずがない」
男の根拠のない主張をひとしきりに聞いた二人と一台は、男に合わせてなるほどと頷いた。
「……おっと、午後に用事があるのを忘れていた。騒がせてすまなかったな」
「こちらこそ、貴重な意見を聞けて良かったです」
男は代金をティーカップのソーサラーの下に挟んで、店員に一言伝えてからその場を立ち去って行った。
「……なかなか過激な人だったね」
「でもまあ、これだけ人口が多いんだから、そういう主張をする人だって少しは出てくるはずだよ。“重鎮吐息”ってやつだね」
キノとカエデは少し考えてから。
「……“十人十色”?」
「そうそれ!」
先にキノが答えを出した。
その日の夜。
「おっ風呂、おっ風呂、ひっさしぶりのーおっふっろー!」
数日ぶりの入浴に上機嫌のカエデが、ホテルで借りた部屋で服を脱いでいた。安ホテルと言えど、水回りや浴槽などはしっかりしており、シャワーだけではもったいないと思ってお湯を沸かしていたのだ。
「ほらほら、キノも入ろうよー」
「ボクはカエデの後に入るから……」
ぐいぐいと両腕を掴まれ引っ張られるキノはやんわりと断った。しかし。
「私に既に捕えられていることが運のツキね、ちょえいっ!」
「わあっ!」
カエデは目にもとまらぬ速さで、ジャケットを脱いでいたキノの周りをぐるぐる回って残りの衣類をすべて取り払う。下着や靴下を含めて。
「はいはいはいはい!」
「わーお凄い早業」
すぽぽぽーんとはぎ取られた衣服が舞う中、傍にいたエルメスが感心感心とばかりにそう呟いた。
「あっ、ちょっと待ってね、私も脱ぐから……」
「……」
局部を両腕で隠して呆然とするキノをよそに、残った衣類をすべて脱ぎ去るカエデ。そうして準備が整ったところで、二人は浴室に入っていった。正確にはキノがカエデに連れられる形で。
「フヒヒ、いつ見てもきれいだねぇ。キノの、は、だ、か」
「じろじろ見ないでほしいんだけど……」
裸体の少女二人が、湯気が立ち込める小さな部屋の中で向かい合っている。カエデはいつも通りニコニコ顔だが、その目は男性が女性の肉体を見るときのそれであった。
つまるところ、性的な目つき。
「まずは体を洗おっか」
そう言ってシャワーを出したカエデは、キノと一緒にその湯で体を濡らす。暖かいお湯が出ることは二人にとって大満足なのであるが――。
「……」
キノは無言で頭からお湯をかぶっていた。俯いて、カエデからはその表情はうかがい知れない。
「……うん、このぐらいでいいよね。それじゃあ座って――キノ?」
「……」
「もしもーし、キノさーん?」
「うん、聞こえているよ……」
カエデには顔を見せずに浴室のイスに座るキノ。
「……もしかして、怒ってる?」
「そんなことは……」
「いーや、キノは怒ってるっ!」
そういうとカエデはもう一つのイスに座り、キノに背中から抱き着いた。
「か、カエデ?」
「これからご機嫌取りのために、私がキノの体を洗うのです」
「ボクがどう思っていようと、元からそういうつもりだったよね? お風呂に連れ込んだ時から」
「そうだとしてももはや、キノは洗われる運命から逃れられないのですよ、フヒヒ」
いつもの癖の変な笑い方をしたカエデは、浴室の隅にあるシャンプーボトルから液を二人分取り出し、自分とキノにそれぞれ塗りたくり、泡立てる。たちまち二人の体は、もこもことした泡に隠れ始めた。
「どーお? 気持ちいい?」
「うん……」
まんべんなくキノの体に手を滑らせ、シャンプーで表面の汚れを落とすカエデ。
ぬりゅぬりゅ、ぬりゅぬりゅ。ぬちゅぬちゅ、ぬちゅぬちゅ。そういう音だけが、しばらく浴室の中に静かに響く。
「ふ、うん……あっ、ちょ、ちょっと、カエデ……」
「んん~? なあに?」
ぬりゅぬちゅ、ぬちゃぬちゃ。ぬちゃにゅる、にゅるにゅる。
「カエデ……なんだか、下半身ばっかりに……ん、手が動いているんだけど……。さっきから、アソコ、にも、指が当たっているし……」
「そんなことないよ~。背中もちゃんと洗っているし」
「それはカエデが、胸をこすりつけているから……」
体の前面を手で洗っている傍ら、実際には背中側はカエデの胸どころか体全体を使って洗われていた。
「どこかの国の本で読んだ、男の人があこがれる全身洗いだよー。私の体の汚れも落ちるし、一石二鳥だよねー」
「ボクは別に、あこがれもしてないんだけど……」
「そう? でも……ココ、すごいことになっているようだけど?」
「ふああっ!?」
キノの太ももの間に右手を滑り込ませた。女性なら必ずある縦に入ったスリット。そこにカエデの細い指が当たる。
「は、あん……あっ」
「おやおやー? なんか小さくて硬いのがあるねぇ」
シャワーを再び出して、体についた泡を洗い落とす。隠れていたのが露わになったキノの性器。スリットと、そのすぐ上に付いた小さな肉芽。
「流した後もぬるぬるしてる……」
「カエデが触りまくるから……」
「うんうん、せっかく女二人が裸になっているんだもの。こういう時こそそうしないともったいないもんね?」
「普通の女性は、同性に欲情なんてしないと思うけど」
「普段男っぽい服装しているキノが言ってもあんまり説得力ないよー? つまり、私がキノのことを好きになったのは、キノに責任があるという事なのです!」
「……もう好きにしたらいいよ」
若干呆れ口調のキノ。カエデは特に気にするそぶりもなく、言われたとおりに好きにすることにした。
「お豆ちゃん、かわいいね」
「っくはあぁ……」
くりくりと指先で淫核をいじられ、蕩けた声を漏らしてしまうキノ。
「そーれ入れちゃえっ」
「んっ……!?」
油断していたキノの膣に、にゅるりとカエデの中指が入り込んだ。根元まですんなりと入った指は、中で曲げて、その上で抜き差ししてキノの弱い部分を刺激し始める。
「か、カエ、デ、これ、ダメだ……にゅるにゅる、出たり入ったり、してぇ……!」
「このぬるぬるは、百パーセントキノのエッチ汁だよ? ほんと、キノって感じやすくなったよねぇ。」
空いた左手も休まずに、キノの淫核をいじりまくる。人差し指と親指ですまんで、ねじるように刺激した。
「ど、同時にはぁ……あ、ん、んんんんん!?」
びくっ、びくっと痙攣したキノはくったりと脱力し体をカエデに預けた。
「フヒヒ、イッちゃったね。指がすごい締め付けられているよ」
「はあはあ……」
プシュプシュと淫らな膣壁の奥から愛液が流れ出る。カエデの手はすっかりキノの体液で汚れてしまった。
「……すっきりした?」
「……少しは」
「国の外だとしたくてもできないもん。こういう時こそハメを外さなきゃね」
やりたいことを済ませたカエデは満足して、ようやくキノは解放された。
「さて……冷えないうちに浸かるとしますか」
「ようやくか……」
疲れを癒すための入浴が、逆に疲労がたまっていることに若干の矛盾を感じているキノ。この後更なるカエデの悪戯――はなく、二人でのんびりと湯船に浸かるのだった。
もっとぐっちょんぐっちょんにしたかったけど、文章が長くなりそうだったのでここまでです。そのうち一話丸ごともっと大変な事件に二人を巻き込みたいですね。