キノの旅 Girls' journey 作:わしはトマトが嫌いじゃ
第十話 猫がいる国
にゃーにゃー、にーにー、みゃうみゃう。
「わーお」
「猫だらけだ……」
「な、撫でたい……」
今日の正午、入国したキノたちは、猫監視センターと呼ばれるこの国で一番人気がある施設に来ていた。
「どうですか旅人さん! 我が国自慢のかわいい猫ちゃんたちは!!」
「はいとってもかわいいです! 一匹持ち帰ってもいいですか!?」
ガラスケースに張り付いて、限界まで猫に近づこうとするカエデ。猫の方もそんなカエデに興味を示したのか、肉球をぺたぺたとカエデの手のひらに合わせていた。
「できないしさせないよカエデ。……にしてもすごい数だ」
廊下の壁一面がガラスケースになっており、そこには二匹から三匹ぐらいの割り当てで猫たちが暮らしていた。大体が同じ年齢の猫で一緒にされているのが、体格でわかる。種類はバラバラで、長毛種と短毛種が一緒になっているケースもあった。
「この国の約半数の猫ちゃんがこの施設で暮らしています。残りの半数はもう一つある国営の管理センターにて管理されています。そちらのほうは一般人の入館は認められていないので、必然的に猫を見るとなるとここに足を運ぶしかなくなりますね」
「半数と……半数? とすると、国民は猫を飼っていないのですか?」
「はいそうです。誰一人、一般人で猫を飼っている国民はいません。インコやニワトリなどを飼っている人はかなりいますけどね」
「ふーん。管理人さん、こっちからも質問いいかな?」
「どうぞ、モトラド(注・二輪車。空を飛ばないものだけを指す)さん!」
「なんで猫たちは管理されているの?」
管理人である中年女性は、当然と言わんばかりに胸を張って答える。
「それはもちろん、猫ちゃんからインコやニワトリさんを守るためです! 昔この国にやってきて大繁殖した猫ちゃんは、ほとんどの鳥たちを食べてしまいましたから! ちなみに、もう一方の施設にいる猫ちゃんたちはほとんどがお年寄りの猫たちなのですが、近いうちに殺処分するために管理されているんです! 空いたら順次、ここの猫ちゃんも移動させます!」
第十一話 犬がいる国
わんわん、きゃんきゃん、くうーんくうーん。
「わーお」
「犬だらけだ」
「な、撫でさすりたい……」
今日の午後、入国したキノたちは、犬保護センターと呼ばれるこの国で一番重要な施設に来ていた。
「どうですか旅人さん。我が国自慢のかっこいい犬たちは」
「はいとってもかわいいです! 一匹貰ってもいいですか!?」
ガラスケースに張り付いて、限界まで犬に近づこうと試みるカエデ。犬の方もカエデに興味を持ち、鼻を近づけてクンクンと匂いを嗅ごうとした。
「させないしそもそもできないよ。にしてもすごい数だ……」
廊下の壁一面がガラスケースになっており、そこには二匹から三匹ぐらいの割り当てで犬たちが暮らしていた。大体が同じ年齢の犬で一緒にされているのが、体格でわかる。種類はバラバラで、顔つきが全く違う種類も混ざっていた。
「この国の約半数の犬たちがこの施設で暮らしています。残りの半数はもう一つある国営の管理センターにて管理されています。そちらのほうは一般人の入館は認められていないので、必然的に犬を見るとなるとここに足を運ぶしかなくなりますね」
「半数と……半数? では、国民は誰も犬を飼っていないのですか?」
「はいそうです。誰一人、一般人で犬を飼っている人はいません。観賞魚を飼っている人ならそれなりに居ますけどね」
「へー。管理人さん、こっちからも質問いいかな?」
「どうぞ、モトラドさん」
「なんで犬たちは管理されているの?」
管理人である若い男の人は落ち着いた様子で答える。
「それはもちろん、我が国の生命線である湖の魚を鳥類から守るためです。この犬たちはある程度成長したら狩猟犬として訓練させます。毎年この国の湖に渡り鳥がやってくるのですが、そいつらを撃ち殺す手伝いをさせるのです。ちなみに、もう一方の施設にいる犬たちは現在訓練中の犬たちで、途中で大きな怪我をしたり成績が不十分だったりしたなら殺処分されます。空いたら順次、この犬たちも移動させます」
第十二話 鳥がいる国
こっここっこ、こけーこけー、こけこっこー。
「わーお」
「ニワトリだらけだ」
「うーん……ニワトリはいいかな」
今日の夕方、入国したキノたちは、ニワトリ飼育センターと呼ばれるこの国で一番需要がある施設にやってきていた。
「どうだい旅人さん。我が国自慢の丸々太ったニワトリたちは」
「すごく……大きいですね」
通路とニワトリ飼育エリアを隔てる鉄柵に手を置きながら、カエデは眺めた。ニワトリは見向きもしない。
「連れて行くなんて言い出さないんだね。にしてもすごい数だ……」
通路を挟んだ両サイドがすべて同じ種類のニワトリで埋め尽くされていた。同じ囲いにいるすべてのニワトリが、同じ時期に生まれたことが体格でわかる。トサカの形状も、羽の色も、すべて同じだった。
「この国の約半数のニワトリがここで飼育されている。もう半数は国営の管理センターに管理されている。そっちのほうは一般人の入館は認められていないから、ニワトリを見ようとするなら必然的にここに足を運ばなくてはならなくなるね」
「半数と……半数? それでは、国民は誰もニワトリを飼っていないんですか?」
「そうだよ。誰一人、一般人で鶏を飼っている人はいないよ。そもそもペットなんて飼っている人間はほぼいないね」
「はー。管理人さん、こっちからも質問いいかな?」
「どうぞ、モトラドさん」
「なんでニワトリたちは管理されているの?」
管理人である老人は笑いながら答える。
「それはもちろん食べるためさ。肉も卵もすべて美味しく頂けるありがたい動物だからさ。この国で最も重要な家畜だからね。ちなみにもう一方の施設にいるニワトリたちは絞めるためのニワトリで、と畜場が併設されている。産卵成績が落ちた雌だったり卵をそもそも産まない雄のニワトリが殺処分されるのさ。空いたら順次、ここのニワトリも移動させるよ」
第十三話 傍にいる国
にゃあーんにゃあーん、ばうばう、ぴーっぴーっ。
「わーお」
「動物だらけだ」
「わー、かわいいー!」
昨日の午前、入国したキノたちは、動物見合いセンターと呼ばれるこの国で一番必要ない施設にやってきた。
「どうですかな。我が国自慢のかわいい動物たちは」
「はいとってもかわいいです! 一匹うちの子にしてもいいですか!?」
ガラスケースに張り付いて、いろんな動物に目移りしているカエデ。動物たちもカエデに興味を持ち、視線で彼女を追った。
「いつも言っているけどもちろんだめだよ、カエデ。にしてもすごい数だ……」
廊下の壁一面がガラスケースになっており、その中には二匹から三匹ほどの割り当てで様々な動物たちが暮らしていた。大体が同じ年齢で一緒にされているのが、体格でわかる。ケースごとに種類は統一されていて、種類が重複しているケースは見当たらなかった。
「この国の約半数の動物がここにいます。そして残りの半数は、現在国民が飼っているペットですな。全く同じ数、種類がいます」
「半数と……半数? 偶然ですか?」
「いいえ、意図的にです。新しく飼い始めた方がいた場合すぐにその情報はこのセンターまでに届き、全く同じ種類と数をいかなる方法をもってしてでも用意して飼育しております」
「ほへー。管理人さん、こっちからの質問もいいかな?」
「どうぞ、モトラドさん」
「なんで動物たちは管理されているの?」
管理人である軍服を着た初老の男性は、困ったように答える。
「その……この国は人口が少なく、老人と子供を除く国民全員皆兵なのですが……訓練や戦争に対するストレスを軽減させる目的で飼う人が多いのです。逆に言えば、動物たちがいなくなってしまえばその者の士気が下がります。ですので、一日もペットがいなくなるという事態をおこさないために、死んでしまったペットの代わりとして用意しておくのです。開いたら順次、飼い主のもとへ移動させます。ただ……」
「ただ?」
「自分が愛情をかけた犬の代わりに別の犬を連れて行っても、愛犬が生き返ったわけじゃないからいやだという意見や、そもそも動物の平均寿命が高いわが国では当然センターでも長期的に飼育せねばならず、そのせいで重税がかかってしまっているのです。国中で金食い虫はいらないと抗議が……それが頭痛の種ですな」
自分は動物全般が好きです。小動物とか犬、猫、ウサギとか……そういう動画はいくらでも見れますね。ただ飼うと大変なのはわかっているのであくまで見る専。