婚約の儀から早一週間。
小太郎は休日の平和な昼間を、時子の前で正座させられて過ごしていた。
理由は至極簡単で――
『紅様との睦み合いが過ぎます』
――というもの。
最初は時子も二人の仲を好意的に捉え、ふうま家の未来は明るいと思っていた。
しかし日が経つに連れて二人の様子を見るに、時子の胸に不安に募った。
仲睦まじく二人の時間を大切にし、愛を育むのは良し。しかし毎夜明け方まで営んでいるのは時子的にはよろしくないのだ。
小太郎は当主としての地位を確立したものの、まだまだ学生の身。怠け癖はあるものの、頭脳明晰で対魔忍としての能力も上がってきた。
だからこそここで浮足立ってもらっては困るのだ。
「……お分かり頂けましたか、お館様?」
「ああ……」
朝食後から続いた長い説教。その終焉に小太郎は何とか返事を返す。
そんな気の無い返事ではまた追加の説教が来るかもしれない、と思う者もいるだろう。しかしそんなことは無かった。
何故なら――
「時子さんから説教を受けるふうまもカッコイイ……!」
――紅がこのように説教中でもずっと小太郎の横顔を至近距離で眺め、うっとりしているから。
こんな状態では流石の時子も説教を続ける空気ではない。(そもそもそんな中でも数時間説教したのだが)
ふうま家の執事である時子から見て、紅の能力は素晴らしいの一言。その証拠に天音は既に紅に取り入って小太郎の執事にしてもらうと画策しているくらいだ。
今後のふうま家を……小太郎を支える良き奥方様になるだろうと確信している一方、小太郎への愛が凄まじいのがネックだ。
紅が小太郎にベタ惚れなので主導権は小太郎にあると思われるが、実のところは紅の方に主導権があるのだ。
何故なら紅が望めば小太郎がそれを断らないのである。
仮に断ると紅は明らかにしょぼ暮れて、その機嫌を直すまでに何回も何回も彼女の希望を叶えるしかないのだ。
故に紅が睦み合いを望めば小太郎に拒否権は無い。そもそも小太郎も紅との睦み合いは大いに喜んでしているのだが、そうなると結局明け方になる。
なので時子は小太郎にしっかりしてもらいたいのだ。
「こんな情けないままでいいのですか、お館様?」
「ふうま、お前はどんな時でもカッコイイぞ! 情けないのもそれはそれで私はカッコイイと思う!」
終始こんな感じ。目の前からは当主としての在り方を問われ、すぐ隣からはカッコイイと褒められ……小太郎は当主の在り方云々よりもこの状況からすぐに解放されたかった。
――――
昼食を済ませると家の者たちは各々の任務へと向かう。
ただ何も無い小太郎と紅は穏やかな昼下がりの空の下を、仲睦まじく腕を組んで歩いていた。
顔の広い小太郎が五車を歩けば、必ず見知った者たちと出会う。皆は小太郎に野次を飛ばし、紅はその野次にてんやわんやする小太郎を愛おしく見詰めていた。
その度に『ああ、私はこの人の隣に居れる唯一の女なんだ』という実感が増し、彼の左腕に絡める両手に自然と力が入る。
「疲れたか、紅?」
するとすぐに何かを察して小太郎が紅へ声をかけた。
紅はただ「お前のことを愛している」と返す。そうすれば小太郎は照れ隠しに空いている手で頭を掻き、稲毛屋に行こうと誤魔化して歩を進めるのだった。
――
「済まないな、奢ってもらって」
「気にするな。出せない時は割り勘でって正直に言う」
名物のソフトクリームを買い、店から少し離れたベンチに並んで座る二人。
店のすぐ側にあるベンチでも良かったが、稲毛屋は人気スポット。故に誰かに遭遇する確率が高いので、こちらまでやってきたのだ。
前に紅が五車へ戻ってきた際、紅にしたいことが多過ぎてソフトクリームを堪能させるどころではなかった小太郎。なので今回はちゃんと堪能させるつもりで奢った。
ただこうしたデートの費用は裏で災禍が小太郎の財布に毎回、小太郎が気付かぬ内に数万円忍び込ませるのでこうして奢ってあげられるのだ。残れば残った金額を素直に災禍へ返すが、毎回言い包められて懐に戻る羽目になるため、最近では感謝の言葉と何らかの菓子を返すことに小太郎はしている。
「お前とこうして肩を並べて五車で過ごせるなんて夢のようだ」
「夢だといつか終わるぞ」
「それは嫌だな」
「嫌だな……じゃなくて、終わらせないって言え。俺は終わらせるつもりなんてないぞ」
「ふうま……」
「――――だ」
「え?」
「小太郎だ。数年後には紅だってふうまを名乗ることになる。もうそろそろ名前で呼んでくれよ」
いつもベッドの上限定なのもな。と小太郎が悪戯っ子のような笑みを浮かべて言えば、紅はほんのりと頬を染めて「小太郎」と控えめに口にした。
「嬉しいぞ、紅」
「そう、か……ふふっ。私も嬉しいぞ、小太郎っ♪」
笑い合い、肩寄せ合う、未来のふうま夫婦。
その光景は誰から見ても穏やかで、ふうま家の明るい未来を見せていた。
――――――
きめ細やかな金髪が、純白のシーツの上で黄金の川の如く静かに流れている。
「あぁ……待ってたぞ、小太郎。私がこの時をどれほど待ち望んだか……」
寝間着をはだけ、乳房と恥部を晒した紅は、うっとりと頬を染めて小太郎を見上げた。
今日も今日とて愛を育んだ小太郎と紅。そんな二人が夜を何もせずに居られるはずもなく、時子からの説教を頭の片隅に追いやり、小太郎は紅の甘い望みを今宵も叶える。
「さぁ、来てくれ小太郎。今宵も私を愛してくれ……♪」
震える指先で恥唇を割り開き、赤く淫らな花を咲かせる紅。
小太郎はしっかりと頷きを返すと、導かれるままに己の先端をその花の芯に据え、目の前の愛しい自分の婚約者を暫し鑑賞し、ため息を吐いた。
「ど、どうした小太郎……わ、私の身体、どこか変なのか?」
「あ、いや、そうじゃない」
不安に瞳を揺らす紅に慌てて小太郎は言葉を返す。
だが、この美しい花をどんな風に愛でようか、なんて考えていたと白状するわけにはいかない小太郎。
なので問い詰められる前に花弁を湿らせる露を亀頭に塗り込み、ゆっくりと彼女の内部に踏み込んだ。
「あぁっ……き、来たっ♪ んっ……チンポ、入ってきた……っ♪」
嬉しそうに目を細めた紅の、大きな胸がたゆんたゆんと落ち着きなく揺れる。
狭い膣道を亀頭で少しずつこじ開けながら、彼女の膣内を徐々に征服していく感覚が小太郎へ高揚感を与えた。
「あぁ……幸せだ、小太郎……」
「俺もだ、紅」
「お前の熱で、こうしてまた奥まで満たしてもらえる……何度味わっても、幸せを感じるぞ……♪」
狭い膣道の底まで肉棒が埋め尽くすと、紅は幸せそうに目を細めてため息をついた。
小太郎はそんな紅に微笑みながら、「お前の中は熱くて蕩けそうだ」と耳元で囁く。
「ふふっ……そうか。私の中は蕩けるくらい気持ちいいか♪」
紅が笑うと、隙間なく包み込む柔らかい肉から生々しい振動が伝わり、肉棒が震える。
僅かな射精感を感じた小太郎は、「そろそろ射精しそうだ」と苦笑交じりに告げた。
「ま、待ってくれ。もうイクのか?」
すると紅は焦りの色を浮かべる。
「その前に気持ち良くしてやるから、安心しろ」
小太郎は悪戯っぽく言うと、腰を前後させて緩やかなピストンを開始。
「ふわぁっ♪ あっ、あんっ、はぁあぁっ♪ こ、こら小太郎、いきなり動くな――ひゃあんっ♪」
上向きに反った肉棒で天井のヒダを擦り上げてやれば、甘やかな嬌声と共に膣道が締まりを強めていく。
「なんだ、俺ばっかりじゃなくて紅もイキそうじゃないか」
小太郎はそう指摘しながら腰の動きを早め、互いの性器に快感を刻み込んでいくと、
「ふぁあっ、あっ……んんっ! はぁっ、はぁっ……こ、小太郎ぉ……待ってくれ……」
不意に紅の惚けた瞳が切な気に揺らいだのが見え、小太郎は動きを止めて紅の言葉を待った。
「あ、改めて言うのもあれなんだが……」
「なんだ?」
「その……て、手を繋いでくれないか?」
「手を?」
「ああ、お前ともっと……全身で繋がっていたいんだ」
「紅……」
「……ダメ、か?」
なんて愛らしい願いだ、と小太郎は思う。
それと同時に微笑みと共に頷き、両手を差し伸ばした。
「小太郎……っ」
潤んだ瞳をにこやかに細めると、紅は互いの十指をそっと絡ませ合った。
「ふふっ、幸せだな」
「俺もだ、紅」
「だよな。ふふふ、嬉しい…………く、ぅぅっ……」
深く繋がり合った紅の身体が、小刻みに震え始める。
そうと気付いた直後、紅の瞳から涙がぽろりと煌めき濡れた。
「ぐすっ、うぅっ……小太郎ぉ、大好きだ……愛してる……このままずっと、私と一緒に居てくれ……っ」
涙声を震わせながら、しなやかな両脚で小太郎の腰に抱き着いてくる紅。
同時に縋るように膣が締りを強め、生々しい媚肉の圧迫感が小太郎の肉棒を芯から震わせた。
小太郎は思わず身を引こうとするも、十指と両脚と膣とが強く絡み付き、逃れることは不可能。
「うぅ……離さない、絶対に離さないからな。やっと掴んだお前との幸せな未来なんだ……」
「くれな……くっ!」
「私はお前の、小太郎のお嫁さんになるんだ。孕むまで……いや、孕んでも離れないぞっ」
それだけ自分のことを想っていてくれたことに、小太郎は胸の奥が熱く滾る。
小太郎は顔を寄せ、紅の頬を濡らした涙をキスで拭ってやった。
「んっ……ふぁ、小太郎ぉ。唇にも、ちゅーってしてぇ……」
「もちろん」
言われるがままに唇を重ね、互いの舌を交尾するかのようにヌルヌルと淫らに絡ませ合う。
「んふっ……れる、れろっ、ちゅるるぅ……っ♪ はぁ、んっ……じゅる、じゅぷっ、ちゅぱぁ……っ♪」
「はぁっ……お気に召したかな?」
「ふぁ、はぁ……あぁ、とても。でももっと……もっと吸わせてほしい……んじゅっ、ちゅぅぅっ!」
そうしてキスの甘さに溺れている間も、繋がり合った互いの性器はもどかしそうに震えていた。
「はぁ、はぁ……あぁぁ、もっとぉ……小太郎の舌、ずっと吸っていたいのにぃ……」
ようやく離れた互いの舌先から引いた銀糸を、紅は惚けきった表情で眺めている。
小太郎はそんな彼女がたまらなく愛しくて、
「今すぐにでも射精しそうだ」
と震える声で告げた。
「そ、そうなのか? 私も同じだ。小太郎と一緒にイキたいって、奥が疼いてる……」
「じゃあ――」
「でも、なるべく長くお前とこうして居たい……時間には限りがある。だからこうして居られる内に、一秒でも長く……」
「だったら反対じゃないか?」
「え?」
「共に過ごせる時間が限られてるなら、その時間の中で全力で愛し合った方が良くないか? いくら願っても時間は止まってくれないんだから」
「…………」
「どうだ?」
「……お前は本当に私の王子様だな」
長々と嘆息した紅は、飛び切りの笑顔で小太郎へ言葉を返した。
「王子様とか言うな。柄じゃない」
「こればかりは好きにさせてもらう。さて、我慢させて済まなかったな、私の王子様。動いてくれ……気持ち良くなってくれ♪ 私を思う存分に孕ませて、幸せにしてくれ♪」
「言われなくてもそうするさ」
「こうやって愛するお前と手を繋ぎながら、満たしてもらえるのは……本当に幸せだ……」
心から幸せそうな紅の笑顔に小太郎は見惚れながら、再び緩やかに腰を揺すり始める。
すると、
「んっ……ふわぁぁっ♪ イイッ……小太郎のチンポ、気持ちいいとこ擦れて……はぁあっ、これ、好きぃっ」
だらしなく惚けた愛らしい表情で、紅はすっかり快楽に身を委ねた。
「ならもっとしてやる」
「くはぁぁっ……お、おぉぉぉ、深いぃっ♪ 子宮、トントンってされるの……おぅっ、気持ちいいっ♪」
「たっぷりと種付けしてやるからな、紅」
「はぁっ、はぁっ……種付け、してくれるのか? 孕ませて……くれるのか、私を?」
期待するような瞳が、爆発寸前の小太郎の肉棒を悶えさせる。
グチュグチュと濁った音を漏らす結合部。漂う濃艶な二人の香りが、二人のタガを外させた。
最奥に亀頭を接着し、そのまま高速で腰を微動させる。これから孕ませる、と。
それが分かると紅は歓喜した。
「ふわぁぁっ! あっ! あっ! はぁぁああんっ! イクッ……んん〜っ! おおっ、はぁっ……はぁあ……あたまが、ふわふわしゅるぅ……っ♪」
「存分にイケ……そして俺の子を孕めっ」
「んっ、くっ、ふ……おぉぉぁぁあっ♪ う、うれひい、こたろぅ……んぁっ♪ あっ! はぁあんつ! ほ、本気で、はらましぇてくれりゅのか♪」
「ああ……学生の身だとか関係ない。正真正銘の俺の女にしてやるっ!」
「く……あはっ♪ あはははっ♪ こたろぅ……あいしてるぅ♪ いっぱい……い〜っぱい、ちょうらい♪ わらひの、ほしがりマンコに……っ、こたろぅのせぇえき、い〜っぱいっ♪」
幸せそうに舌の回らない言葉で囁いた紅の、長い両脚が更に強く小太郎の腰を抱きしめた。
そのいじらしい仕草に溢れた情愛が、放たれた矢のように乙女の中心を一直線に貫いた。
「ひぅうっ!? んぁっ……ぁ、はぁぁああ……っ♪」
「紅……っ、くぅぅっ!」
互いに絶頂を迎え、甘やかな歓喜の響きが漏れる。
ドクドクと脈立つ肉棒に熱液を注がれる度に、膣道が喉を鳴らすかのように伸縮した。
「はぁ……はぁ……あぁ、こんなにいっぱい……♪ 小太郎のが……嬉しいぃ♪」
「焦らされた分、かなり濃いのが出たぞ」
「そうか、そうか♪ なら、孕んでもおかしくないな♪」
嬉しそうに頷き、微笑む紅。
そうしていると、少しずつ萎えた肉棒が粘液に押し戻され、ニュルンと膣穴から抜け出した。
「はぁ……もっと挿れていたかったのに……」
萎えた肉棒に寂しそうな微笑みを向ける紅。
「またすればいいだけのことだ」
小太郎はそう囁きながら、紅の隣にドサッと身を横たえた。
「そう、だな。それにまだ夜は始まったばかりだ」
そう言うと紅は小太郎の股間に手を伸ばし、ひと仕事終えた肉棒を優しく撫でる。
「チンポ……私のチンポ。頑張って起きてくれ♪ 専用マンコが寂しがってるぞ♪」
「おい……」
「私はまだまだ抱かれ足りない。小太郎だってそう、だよな?」
柔らかく微笑みながら小太郎を見る紅。
その手に握られた肉棒は、既に隆々とそそり立った。
「あはっ♪ それでこそだ……さぁ、小太郎、もう一度抱いてくれ♪」
小太郎は苦笑し、誘われるままに身を起こす。
断れるはずがない、と。
彼女が望むことは叶える。それが小太郎が彼女を妻にすると決めた日より誓ったこと。
どんなに明日、試練や苦難(時子の説教)が待っていようとも、今目の前の最愛の女の望みを叶えることの方が最優先且つ最重要任務だった――。
読んで頂き本当にありがとうございました!