「あ、藤崎くん。さっきぶりだね。いらっしゃい」
日の沈みかけた住宅街のはずれにある木造の古い一軒家。智也が鳴らした呼び鈴に玄関を開けたのは、クラスメイトの佐倉真奈美だった。学校指定のブラウスとスカートに身を包んだ彼女は、柔らかな笑みとともに智也を出迎えた。
肩まで伸ばしたストレートの黒髪と、飾り気のない眼鏡をかけた彼女はいかにも真面目といった容姿だ。だが、白い肌と豊かに膨らんだ胸は、男を惹きつける魅力を兼ね備えている。
「遅くなって悪かった。田島のやつなかなか帰してくれなくてよ」
今日は週に一度真奈美の家で行っている勉強会の日だ。いつもは共に帰ることが多いのだが、この日は智也の補習があったのだ。
「あはは。そっか、田島先生の補習だったんだ。それは災難だったね」
数学教師の田島は鬼教師として生徒の間では有名だ。
「立ち話もなんだし、中入ろっか」
「そうだな。お邪魔します」
真奈美にそう促されて共に玄関をくぐった。
「いつも悪いな。真奈美だって受験勉強あるのに」
靴を脱ぎながら智也は言った。
「ううん。気にしないで。好きでやってることなんだから」
智也に続いて靴を脱ぎながら、何でもないことのように答える真奈美。だが、十一月のこの時期、普通なら他人の勉強に構っている暇はない。
「それに、藤崎くんが勉強頑張れば私と同じ大学に通えるでしょ? だから自分のためでもあるの」
二階の真奈美の部屋への階段を上りながら彼女は楽しそうに言った。
偶然か必然か、智也の目指す大学は真奈美と一緒だった。だが、真奈美ならば県外のもっとレベルの高い大学へも入れるはずだ。しかし彼女がそうしないのは、経済的な事情のせいだという。
「ん……そうか。なら俺も期待に応えられるようにしないとだな。まだ補習受けてるようじゃ先が思いやられる」
「藤崎くんならきっと大丈夫。私もサポートするから一緒に頑張ろうね」
「善処する」
真っすぐにそう言ってくる真奈美に、智也は少し照れながら答えた。
だが、智也とて真奈美と同じ大学に合格したい気持ちに嘘偽りはない。二年以上も献身的に面倒を見てもらっているのだから、恋愛的な好意は少なからず芽生えていた。
そうこうしているうちに、真奈美の自室の前まで来ていた。真奈美はドアを開けると、「どうぞ」と招き入れた。
それに促されるまま部屋に入った。家具は質素なベッドとローテーブル、本棚、タンス。最低限のものしか置いていないといった印象の部屋。
その中央のテーブルに、いつものように二人向かい合って座る。
「じゃあ、今日も勉強始めよっか」
「うん、いいんじゃないかな。前よりも正解率上がってるよ」
智也が解いた模試を一通り見終わった真奈美は、顔を上げてそう言った。
「どれくらい?」
「うーん……三パーセントってところかな」
少し困ったような笑いを浮かべて言う真奈美。
「まだまだ全然じゃねーか。これじゃ合格できるか怪しいな」
「そんなことないよ。この調子で点数上げていけば絶対合格できるって」
力強く真奈美は言った。その気迫に気圧されて、智也はなぜか敬語で「頑張ります」と答えた。
「あ、もうこんな時間。そろそろ休憩しよっか」
陽は完全に沈んで、窓の外は真っ暗だった。
「別に俺はこのまま続けても構わねーんだけど」
「だめだよ。休憩して頭を休ませることも大事なんだから」
ぴっ、と人差し指を立てて真奈美は智也を制止した。
普段は大人しく見える彼女だが、言いたいことははっきりと言う性格だ。押しに弱そうだと勘違いした男子が告白して撃沈した、なんて話もたまに智也の耳に入ってくる。
「しかしお前すごいよな。成績いいだけじゃなくてこんな模試まで作っちまうんだから」
先ほどまで自身が解いていた模試の紙をぺらぺらとめくりながら智也は言った。
「大したことないよ。こういう問題ってパターンがあるからそれに沿って作ってるだけ」
「ふーん。そんなパターンとか全くわからない俺からすれば十分大したことあるんだけど」
「あはは。そうかな。でも、そういってもらえるなら嬉しいな」
珍しく真奈美は照れたように頬を染めてそう言った。普段見せない可愛らしい表情に、不意をつかれたように目を逸らしてしまう智也。
「そ、そういえば真奈美って趣味とかないのかよ。お前なら大抵なんでもできそうだけど」
「こうやって藤崎くんに勉強教えるのが趣味だよ」
きょとん、と。真奈美はごく普通のことのようにそう言った。
だが今の言葉は智也にとってはなかなか衝撃的なものだった。そんな言い方をされると、まるで自分に気があるみたいじゃないか。
そんなことを考えてぽかん、としていると、真奈美も自身の発言の意味を理解したようで、
「あっ……そ、その、私、人のためになにかするのが好きで、だから藤崎くんにこうするのが趣味みたいなものっていうか、そういう意味で言ったから別に変な意味はないの!」
と、慌てた様子で言った。
「あ、ああ……そういうことか。オーケーオーケー、了解」
真奈美につられて智也も不自然な応答をしてしまう。それでなんとなく気まずい空気になってしまった。
「あ……私お茶入れてくるね! 喉乾いたでしょ?」
真奈美はそう言うと、智也の返答を待つことなく勢いよく立ち上がった。そして二人の間の空気から逃げるように足早に部屋を出ていった。
「はあー」
ばたん、とドアが閉まり、すたすたと階段を下る音が聞こえたころ、急に力が抜けた。そのまま後ろにあるベッドに寄りかかる。
ふと、部屋を見回してみる。必要なものしかおいていない真奈美の部屋。さっきああ言っていたが、確かに趣味らしい趣味は本当にないようにも感じられる。母子家庭だという彼女は、趣味にかけるお金がないのかもしれない。
「ん」
部屋を見ていた視線がタンスのところで止まる。その一番下の段から、黒いものがはみ出ていた。
几帳面な彼女にしては珍しいなと思い、単純な興味から近づいて見てみた。そして、するするとそれを引っ張り出してみる。
「やべ、これって」
下着だった。真奈美の清楚な印象からは意外なレースのショーツだった。しかも黒。
家で妹の下着を見慣れている智也は、目の前のそれにいやらしい思いは抱かなかったが、ほんの少しだけあっけにとられた。だがすぐに自分がしていることに気付き、タンスにもどそうとした。
「藤崎くん、お茶っ葉切れちゃってたんだけど、コーヒーでも……」
ドアが突然開いて真奈美が入ってきた。その瞳と目が合う。どっと冷や汗が出るのがわかった。
「あの、えっと……藤崎くん、それ……」
「わ、悪い、真奈美。その、タンスからはみ出てたから、何かと……」
言った後で失言に気付く。言い訳なんかしたら逆効果だ。
「あ、そうだったんだ。ごめんね、そんなもの見せちゃって」
だが真奈美は智也を咎めることはせず、あろうことか謝ってきた。
「え? あ、いや、悪いのは俺だろ。その、人の下着勝手に見るとか最低だ」
「ううん。だってわざとじゃないんでしょ?」
「まあそうだけど……疑うだろ。普通」
「疑わないよ。藤崎くん、そういう嘘つく人じゃないから」
何の気なしにそんなことを言う真奈美に、智也はあっけにとられた。自分はそこまで信じることはできない。
「でも」
あ、と思い出したように一言。
「パンツ、しまってくれる?」
「その、本当に悪かった」
真奈美が淹れたコーヒーを二人で飲みながら、智也は今一度謝罪をした。
「もう。そんなに謝らなくていいのに」
「いや、そういうわけにはいかないだろ。っていうか真奈美は怒らないのかよ」
以前、家に落ちていた妹の下着を本人に渡した時に「ヘンタイ」と噛みつかれた経験があるだけに、真奈美の反応は不思議だった。
「別にこんなことで怒らないよ。それに藤崎くん、私の下着とか興味ないでしょ?」
「え……あ、ああ。うん」
突然そんな話題を振られたことに、濁した返事をしてしまう。というか正直なところ、興味ないわけでもない。
「あれ、もしかして興味ある?」
楽しそうに聞いてくる真奈美に、思わず目を逸らしてしまう。
「……いやまあ、真奈美もああいう下着履くんだな、とは思ったかな」
「ああ、藤崎くんが見ちゃったあれね」
真奈美は少し恥ずかしそうにタンスの方を見て言った。
「あれは人からもらったものなの。私はちょっと恥ずかしくて履いたことないけどね」
えへへ、と真奈美はそう言ってはにかんだ。その表情に少しだけ見惚れてしまって、それを隠すようにずず、とコーヒーをすすった。
「まあ、真奈美はそういうの好きなタイプじゃないよな」
真奈美は普通にしているが、どことなく気まずい智也は呟くようにそう言った。
彼女と智也は二年以上の付き合いだが、こういう話をしたのは初めてだ。
「──確かめてみる?」
それでこの話題は終わった、と思っていた中、真奈美はぽつりとそうこぼした。
驚いて顔を上げると、真奈美は少しだけ頬を朱に染めて智也を見ていた。
「え、何を」
「私が今履いてるパンツ」
どくん、と心臓が高鳴る。真奈美の言葉に驚いて智也が何も言わないでいると、彼女はさらに続ける。
「興味、あるんだよね。藤崎くん」
「えっと、いや、ないこともないが。でもだからってそんなことしなくても──」
「いいよ。藤崎くんだったら」
智也の言葉を遮って真奈美は優しくそう言った。それがさらに智也の鼓動を速める。
どくどくとうるさい心音に流されるように、智也は静かに頷いた。そのあとは言葉はなかった。
真奈美は膝立ちになり、きゅ、と両手でスカートの裾を掴むと、ゆっくりとその腕を持ち上げ始めた。徐々に露になる真奈美の素肌。普段目に触れない太ももは、無駄な肉がまったくない美しい形をしていた。
そこに智也の視線は釘付けになる。少しずつ幕が上がっていくように真奈美がスカートをたくし上げるその様はやけに扇情的だった。
「──藤崎くん、見えてるかな」
静かに真奈美が問いかける。つい一分前には隠されていたスカートの中身が、すべて智也の目に晒されている。
白だった。触れているわけではないからわからないが、薄い生地ではない。智也が彼女に抱く清楚なイメージ通り、いやらしさのない下着。
「あ、ああ。見えてるよ」
ようやっと視線を真奈美の顔に向けて答えた。さすがに恥ずかしいのだろう。口をきゅっと一文字に結んで、ほんのりと顔を赤くしている。
そのさまが、いけないことをしている事実を実感させる。そのせいで、汚れのない真っ白で清楚な下着すらやけに官能的に見える。
「ねぇ、藤崎くん」
そんな、ただでさえ刺激的な状況なのに真奈美はそれを加速させるような言葉を口にする。
「──さわって、みない?」
予想だにしない言葉。こうして見るだけでなく、あまつさえ触れるなんて。
普段の智也なら怖気づいて断っていたであろう。だが、好意を寄せている相手の下着を堂々と見せられているという異質な状況に、判断力が鈍る。
「いい、のか?」
「言ったでしょ。藤崎くんなら……いいよ」
顔を真っ赤に染めた真奈美。彼女の初めて見るそんな表情に背中を押されて、智也も腹を括った。
智也も真奈美と同じように膝立ちになって、彼女の前に近寄る。お互いに息がかかるくらいの距離。そのまま、恐る恐る彼女の脚の間に手を伸ばした。
「ん……っ」
ぴと、と指先で触れると同時に、目の前の真奈美が押し殺した声を漏らした。だが、すぐ近くにいる智也の耳には、その色気を含んだ甘い声が鮮明に聞こえた。
それをもっと聞きたくて、触れた指先で、かり、と軽く弄ってみる。
「ぁ……っ、ん……」
さっきよりもはっきりと反応する真奈美。その顔を見ると、少し恥ずかしそうにしている瞳と目が合った。
「あはは……。声、出ちゃうね。はしたないかな」
「……別にそんなことねぇよ。俺はもっとそういう声聞きたい」
珍しく大胆な発言をする智也に、真奈美は少し驚いた顔をした。
「ん……なら、もっと弄って。藤崎くん」
目を伏せて智也と視線を合わさないようにして真奈美は言った。自分のいやらしい願望を悟らせないための行為だったが、かえって智也の劣情を煽ってしまう。
智也はそれに流されるまま、真奈美の陰部への愛撫を始めた。指先だけだったのを二本指の腹で割れ目に触れ、ほぐすように優しく撫でまわす。
「あっ……ん、んん……ぁ」
ぴくぴくと小刻みに揺れる真奈美の身体。さらに、その快感に押し出されるように、じわ、と粘性のものがにじみ出てくる。そしてそれは当然、下着に触れている智也にも伝わる。
「真奈美……濡れてる。感じてるのか」
「んっ……うん、藤崎くんに触ってもらえるの、気持ちいい、から……」
智也からの刺激に甘い声を漏らしながら、素直にそう口にする真奈美。そんな色気と愛嬌を同時に孕んだ彼女に、智也の気持ちはますます加速してしまう。
撫でまわすだけだったのを止めて、割れ目をさすさすとなぞる。濡れているせいか下着の上からでもそのカタチがくっきりとわかった。
いじればいじるほど湿り気と真奈美の口から洩れる声が増していく。そしてときたま、陰核のあたりを軽く押してやると、雷に打たれたみたいにびくん、と体を跳ねさせた。
「あ……っう、くっ……あっ、ん……藤崎、くん……」
「可愛いな、真奈美……」
両足をがくがくと震わせながら愛撫に感じている真奈美に、智也は素直な気持ちを口にした。すると真奈美はスカートを掴んでいた手を離して、智也の胸板に触れてきた。
そのままさわさわと撫でまわされる。ぞくぞくとした快感が心地いい。それを少しの間堪能していると、そのうちの片手が下へと移動し始めた。
そして、智也の股間。制服の上からでもわかるほど膨らんだものへと真奈美の白い手が触れた。
「あは……びくびくしてる。可愛いね、藤崎くんの」
くす、と嬉しそうに言う真奈美。それで限界だった。
「真奈美──!」
「ん──っ……」
真奈美の唇を塞ぐ。いきなりで少し強引だと思ったが、真奈美はそれを喜んで受け入れた。
唇だけのキスじゃ我慢できなくて、すぐに舌を入れた。くちゅ、と触れあう粘膜が心地いい。それを絡ませると共振するお互いの身体。
二人とも初めて味わう相手の味に夢中になった。舌の柔らかさ、唾液の味、時々漏れる吐息。それを貪るように、口と舌の戯れに興じる。
「ん、は──」
息が切れるまでそれを続けた後、唇を離した。その間を銀色の糸が橋をかけていた。
「キス……しちゃった、ね……」
「イヤ、だったか……?」
「ううん……そんなことない。好きな人とのキスだもん、すごくうれしいよ」
火照った顔をほころばせて、真奈美は言葉通り嬉しそうにそう言った。その、唐突な告白に智也はしばしの間、見惚れるように真奈美を見つめてしまった。
まさか自分が想いを寄せる人から、好きと言われるなんて想っても見なかったから。
「……藤崎くん?」
「あ……そう、か。そんなふうに思ってくれてたんだな。俺もその、嬉しい、かな」
真奈美に声をかけられて、ようやく口から言葉が出た。だけどそれは彼女の望む言葉ではなかったようで、一言付け加えるように言った。
「じゃあ……返事、聞かせてほしいな」
彼女がそう願うのも当然。意を決して告白をしたのだから、その気持ちに対する返答を望んでしかるべきだ。
智也とて、ここで迷うはずもない。だって以前から好きだったのだから。
だけどそこで、唐突に妹の唯の顔が頭をよぎった。それが思い出させる一週間前の夜の出来事。だがそれは一度だけの過ちだと、思考からかき消した。
「──俺も同じだ。前から真奈美のこと、好き、だった」
迷いを振り切るように、そう一言声に出した。目の前の真奈美からは、息を呑むような音が聞こえた。
「そっ、か──ありがとう、藤崎君」
落ち着いた雰囲気の彼女らしく、静かな反応。だが、抑えきれない喜びがその体を震わせていた。
「ねぇ……じゃあ、キス、もう一回してほしいな」
「ああ……俺ももう一回、いや、何回でもしたい」
再び触れあう二人の唇。今度は智也からの一方的なものじゃなく、互いに求めあう口付けだった。
合わせた唇で優しく啄みあう。先ほど舌を絡めるキスをしていた時にはわからなかった、真奈美の唇の柔らかさが心地いい。
だけどその快感だけじゃとても足りなくて、一度唇を離した。その気持ちは真奈美も同じだったのか、荒い吐息とともに智也に囁いた。
「は──ぁ……ねぇ、藤崎くん……たまにはさ、勉強さぼっちゃおっか……」
その静かな熱を孕んだ言葉は、真奈美の内に隠していた情欲を伝えていた。既に理性のたがが外れていた智也は、それに当然のように頷いた。
「ここじゃなんだし、ベッド行かないか」
真奈美はそうだね、と頷くと、智也の手をきゅっと握って立ち上がった。智也もそれにつられて腰を上げ、共にベッドに腰掛ける。ぎし、と二人分の重さがベッドを軋ませる。
「ふふ。なんか緊張しちゃうね」
真奈美は智也と繋がった手を見ながら、ぽつりとこぼした。
「まあそりゃ、こういう場面だったら誰でも緊張するだろ」
真奈美の方へは振り向けず、真っすぐ前を向いたまま智也はぎこちない口調で答えた。だがその代わりに、優しく握られた真奈美の柔らかい手を強く握り返した。
「ん……そうだね。でも私ね、緊張よりも嬉しい気持ちの方が大きいんだ」
何と答えたらいいかわからず、そうか、とぼそりと一言。
「うん、だってこれから智也くんのものになるんだ、って思ったら、夢みたいで」
照れを誤魔化す様にくす、と真奈美は微笑む。
その言葉に、はっとした様子で智也は真奈美を見た。今まで藤崎くん、と呼んでいた彼女が、初めて下の名前を口にしたのだから。
「真奈美、いま……」
「えへへ、智也くん、って呼んじゃった。……ヘン、かな」
不安そうに聞いてくる彼女に、ぶんぶんと勢いよく首を振って智也は否定する。
「いや、全くそんなことない。その……ただ少し、びっくりしただけだ」
「そっか、ならよかった」
ぱっと花が咲くように心底嬉しそうに真奈美は笑った。心から喜んでいるその様子に、智也も思わず頬がゆるむ。
「ねぇ、それじゃあ、しよっか」
「ああ、そうだな。俺もそろそろ我慢できなくなりそうだ」
緊張がようやく和らいで、お互いの顔を見て言葉を交わす。そして秘め事の始まりを告げるように、軽いキスを一つ。
「──あ。智也くんの、苦しそうだね」
視界の端でとらえたのか、真奈美は制服をぱんぱんに腫らしたものを見て言った。智也はそれを隠すように身じろぎするが、そんなものは全く無意味で、気付けば真奈美の手がそこに触れていた。
真奈美は火山のように熱を持ったそれを、傷口に触れるみたいに優しくさすった。だが、たったそれだけで智也の背筋にぞくぞくとした快感が走る。
「わっ、びくんって、すごい元気。──おちんちん、出してあげるね」
真奈美は嬉しそうにそう言うと、智也がなにか言う間もなく両手でベルトに手をかける。かちゃかちゃと四苦八苦しながらそれを外すと、制服のジッパーを一気におろしきった。
「腰、上げてもらえる?」
そして、ゆるんだ制服のウエストに手をかけると丁寧にそう言った。予想外にてきぱきとことを進める真奈美に、言われるがまま腰を浮かせる。する、と抜き取られるように、下着ごと下半身のものを脱がされる。
びん、とゴムのように勢いよく顔を出す智也の生殖器。血管が浮き出るほどいきり立ったそれは、湯気が出そうなくらい熱くなっていた。
「わ……智也くんのおちんちん、おっきい、ね」
驚嘆の声を漏らす真奈美。そのまま惚けたように外気に晒された智也の一物をまじまじと見つめる。
「おい、真奈美……さすがにそんなに見られると恥ずかしいんだが……」
「えっ? あっ、ご、ごめんねっ! つい見入っちゃって……」
智也が気まずそうに言うと、真奈美はがばっ、と顔を上げて、やってしまったとばかりに顔を覆った。
「じゃあその、お詫びに口で……してあげよっか」
いきなり大胆なことを言う彼女に、今度は智也が驚いて顔を上げた。
「え……ちょ、あ……!」
智也が反応する前に、真奈美は横から彼の股間に顔をうずめる。そして、柔らかく湿った唇が、挨拶するみたいに先端に触れた。ぴり、と軽く痺れる刺激に、そり立ったものが小さく跳ねる。
「ふふ、びくびくしてすごく辛そう。食べちゃうね」
はぁ、と生温かい吐息を先端に吹きかけると、真奈美はぱく、と先端の中ほどまでを口に含んだ。その時片手でさら、と髪をかきあげる仕草が妙に色っぽかった。
そうして口内に入った先端部分をちろちろと控えめに撫でまわされる。刺激としてはとても優しいものだったが、興奮で余計に敏感になっているから声が漏れるほど感じてしまう。真奈美はその反応が嬉しかったようで、さらに奥へとそれを咥えこんだ。
彼女はそのまま顔を上下させる。くぷ、くぷとカリのでっぱりが出たり入ったりするのが、のけぞってしまうほど気持ちがいい。
「うあっ……! 真奈美っ、それやばいっ……」
咥えこんだまま、返事の代わりに戸眼鏡の下の目を細めた。すると今度は竿の部分までも口に含みはじめ、根元まで真奈美に飲み込まれてしまった。
真奈美の口内の温かく、ぬめった感触が熱いものに伝わる。そこだけ快楽の海に浸されているようで、なにもされなくても心地が良かった。
「ん……ふぉもや、ふん……んっ、ん……ふ……」
そんな状態で、再び上下に顔を動かされる。今度は全体が粘膜に包まれているから、快感は倍以上だった。
まるで内臓まで抜き取られそうなほどの感覚に、すぐに射精感が昇ってきた。唇と肉棒が擦れるじゅぷじゅぷとした水音もそれに拍車をかける。
「く……真奈美……っ」
「んっ……! ん、ふ……」
それを紛らわすように、ふるふると揺れる胸を下から包んだ。片手におさまりきらないそれを控えめに揉んでみる。
ずし、と確かな肉感と、餅のような弾力と柔らかさ。片手じゃ物足りなくて、両手でそれを鷲掴みにして揉みしだく。その、柔らかい女の感触を味わえば味わうほど物足りなくなって、どんどん強く真奈美の巨乳を歪める。
「んは──っ、はぁ……おちんちん、すっごくおおきくなっちゃったね……」
口を離した真奈美は、恍惚とした表情を浮かべてそう言った。口の端からだらしなくこぼれる液体がそれを淫らに彩る。
そして、真奈美の口から解放された智也の肉棒は、口淫をされる前よりもさらに膨張していた。唾液にまみれたそれはさらなる快感を待ち望んでいる。
「ねぇ……挿れちゃおっか……」
熱い吐息を含んだ真奈美の言葉。その声色と惚けた顔で、智也と同じくらい興奮していることが伝わってくる。そんな溢れるほどの色気に飲み込まれるまま智也は頷いた。
真奈美はベッドの上に乗り、智也をまたぐように膝立ちになった。わざと陰部を見せつけるみたいに。
その姿勢のままスカートをたくし上げると、それを口ではさんだ。先ほどのように智也の目に晒される純白の下着。真奈美はそれをゆっくりと下ろしていく。
「ほら……見える? 私のおまんこ……」
うっすらと生えた陰毛と、中への道を閉ざすように閉まった割れ目。そこからは物欲しそうに真奈美の蜜が染み出していた。
とめどなく溢れてくるそれは、雨漏りのように下着に滴り落ちる。それは、隠してきれない真奈美の情欲そのものだった。
やがて彼女はショーツを膝まで下ろすと、する、と脚から抜き取ってベットに落とした。
「じゃあ……挿れちゃうね」
情に侵されたような妖しさの目で智也を見て真奈美はそう口にした。
そしてその言葉通り、智也のものを片手で掴んで腰を下ろし始めた。天を向いた智也のものと、それを受け入れようとする真奈美のもの。口付けをする時みたいにゆっくりと近づいていく。
「ま、真奈美、ちょっと待て!」
だが、そこでふと正気に戻った。
「あれ……どうしたの? その、シたくなくなっちゃった?」
不安げに問いかける真奈美に、そうじゃない、と首を振って答える。
「いやほら、ゴムつけないとだろ」
部屋の片隅に置いてある智也のカバンに目を向ける。一週間前の妹の件で、いざというときのために財布に入れて持ち歩いていたのだった。
「いらない」
「え……」
だが真奈美は智也の言葉をじれったいといわんばかりにそう言うと、有無を言わさず一息に腰を落とした。
ずぷん、と肉棒が膣壁を擦りながら一気に奥へと到達する。そして最奥までたどり着いた亀頭を逃がすまいと、子宮口がぎっちりとそれを捕まえた。
「うっ、あっ……! 真奈美、何して──」
「私、今日大丈夫な日だよ。……んっ、それに、ナマでしたほうが気持ちがいいと、思うから……」
智也のものを受け入れた快感で、ぴく、と身体を震わせながら真奈美は言った。だが、その興奮の混じった口調から、智也のためというよりもどちらかというと真奈美自身が我慢できなかったようにも感じられる。
「じゃあ、動く、ね……智也くんは寝てていい、よ……」
陶酔するような真奈美の言葉。もう完全にスイッチが入っているといった様子だ。
明らかに発情している真奈美に、智也は黙って従うことしかできない。彼女の言葉通り、ベッドに身体を寝かせる。
真奈美はその智也の胸板に両手を軽く突くと、ゆっくりと腰を持ち上げる。ぬぷぷ、と淫液でどろどろの壁が擦れる。
そしてカリのでっぱりまで引き抜くと、ぱんっ、と勢いよく腰を下した。無数のひだが一瞬で擦れてまた性器全体が生温かいものに包まれる。その快楽だけで射精しそうだった。
だが当然一回で終わるはずもなく、抜き差しを繰り返される。毒のようなじんわりとした快楽を与えながら引き抜かれて、それを爆発させるみたいに一気に挿入。声も出ないほど気持ちがいい。
「あっ……ん、あん、んっ! 智也、くんっ、あっ、はっ、きもち、いいっ……?」
快楽にゆるんだ表情で、真奈美はそう聞いてくる。濡れたところに飲み込まれたまま激しく腰を振られているのだから、気持ちよくないはずがない。だが、あまりの快楽に声を出すことすらままならない。
下から見上げる真奈美の身体は、豊潤に膨らんだ胸がたぷたぷと揺れていて智也の興奮を誘う。それはまだ制服に包まれたままだが、それが余計にいやらしさを演出していた。
その誘惑に耐えきれずに、気付けば両手でその二つの丘を鷲掴みにしていた。
「あんっ! んっ、ぁは、んっ、はっ、智也くん……おっぱい、もっと、あっ、触って……っ!」
それがトリガーになったのか、真奈美はさらに激しく腰を振り始めた。智也の胸にただ添えるだけだった両手に体重をかけて、叩きつけるみたいに抜き差しをされる。その動きで壊れそうな程軋むベッド。
ナカに挿入されている生殖器は、柔らかくも締まった膣内に容赦なく擦られる。奥の方は包み込むような締め付けなのに、入口のあたりは決して逃がさないとばかりにぎちぎちと締め付けられる。
真奈美の凶悪な膣内に愛撫されて、ただでさえがちがちの一物がさらに膨張していく。
「はあっ、んっ、あっ、すごっ……いっ! ともやくんの、あっ、おちんちん、っあは、んっ、おっ、あんっ、おまんこ、突かれてっ、あっ、や、おかしく、なっちゃうっ……!」
普段からは想像もできないほど乱れた真奈美の姿。振り乱した髪と淫靡に蕩けた表情で、一心不乱に智也のものを味わっている。
それに共鳴するみたいに、智也の射精感もどんどん高まっていく。真奈美の生膣にしごかれて、尿道の中をどろどろの精液が昇ってくる。
「っ……真奈美っ! もう、出る、からっ……!」
「うんっ……! いいよ、だしてっ、あっ──! んっ、射精して、っあんっ、はぁっ、私も、イっちゃう、からっ……!」
火照った表情を嬉しそうにほころばせて真奈美は言った。その言葉で急激に精子が昇ってくる。
激しい腰振りにそれを止めることなんて全くできない。一番快感が高まったとき、真奈美の尻をぎゅう、と押さえつけるようにしてそこへ射精した。
「あっ──! ぁ、あん、あ、おっ……は、あぁ、せいし、すご、いっ……」
智也の射精に導かれるように、真奈美の身体が痙攣して絶頂を迎えた。肉棒にその痙攣が伝わって、奥からさらに精液が吹き上げてくる。真奈美の子宮に好きなだけその白濁を吐き出すのが何も考えられなくなるほど気持ちいい。
「は、ぁ……っ、全部、出し切った……?」
ようやく射精の勢いが止まったころ、真奈美は甘い吐息とともにそう言った。
「ああ……もう出ない、空っぽだ……」
智也がそう言ったのを聞くと、真奈美は満足そうに笑って彼の胸の中に倒れこんできた。
「ねぇ、気持ちよかった、かな」
「心配すんな。こんなに出して気持ちよくないはずない」
「ふふ、そっか」
くす、と真奈美が笑う。その身体を控えめに抱きしめた。すると彼女が不意に顔を寄せてきた。さすがに智也も察して、先にこちらから唇を塞いだ。
「ん……」
唇だけのキス。ちゅ、と啄んで、また離して。それをしばらくの間ふたりで楽しんだ。
「ごめんね、いつもより遅くなっちゃって」
「気にすんな。たまにはこういうのもいいだろ」
夜の住宅街を歩く。いつもは一人だが、今日は見送ると言ってついてきた真奈美が隣にいる。
「ふーん。『たまには』ってことは、じゃあ智也くんはまたさっきみたいなコトしたいのかな?」
くすくすと意地悪そうな笑みを浮かべて真奈美は言った。
「いっ、いやいやそういう意味で言ったわけじゃねぇよ!」
「じゃあもうしないってこと?」
「そうだ。──じゃなくて、それも違うっていうか……」
ごにょごにょと言葉を濁す智也。真奈美はその様子を楽しそうに観察する。
「……いやほら、これからは恋人同士だろ。だったら人並みにそういうことはしたいに決まってる」
少し照れながらも、智也は真っすぐに真奈美を見てそう言った。真奈美はその言葉にはっと息を呑んだ。
「──うん。そうだね。恋人同士、なんだよね。ふふ、まだ実感ないや」
恥じらいながらも真奈美はそう言ってはにかんだ。智也はしばしその顔に見惚れていたが、すぐに目線をそらす。
「その、見送りはこの辺で大丈夫だから」
それ以上一緒にいるのが恥ずかしくて、智也は足を止めた。
「うん、わかった。それじゃあまた来週学校で会おうね」
「おう。気を付けて帰れよ」
真奈美はひとつ頷くと、ばいばい、と手を振った。智也はそれにこくん、と頷いて返事をすると、再び帰路についた。