【分岐①】
酩酊:ルチャブル(♡注意)
素面:ゲッコウガ(やりたい放題)
***
『酒か…』
ルチャブルが思いのほか気にする素振りを見せたので、行ってみるかと誘うと素直な頷きが返ってくる。聞けば、『酒を知らない身なので飲んでみたい』という実に単純な動機だった。
『飲んだことがなかったのか』
やや驚きを込めて確認すると、かえってルチャブルの方が不思議そうに小首を傾げている。
『…そういうおまえは飲む機会があったのか』
『城仕えだったときに、何度か』
実際は「何度か」どころではない。特に御庭番時代は手癖の悪い連中が揃っていたこともあって、常時、詰所にはよそからくすねてきた酒が置いてあった。かく言う己とて、盗んだ酒で気持ちよく酔ってしまえる悪漢共の一員だったわけだが、まあ過去のことはさておき、今はルチャブルに注視するとしよう。酒によって彼の思わぬ一面が見られるかもしれないのだから。泣くのか、笑うのか、絡むのか、はたまた酒豪か。その酒癖を確かめておきたい。
ホルビーから聞いた方角へ歩を進めると木々が途切れ、色彩乏しい岩場に辿り着く。酒盛りが行われていることには間違いないようで、付近からは芳醇な香りが漂ってきた。所々ごつごつと突き出た小さな岩が椅子代わりらしく、思い思いにポケモンたちが座り、酒の入った椀を片手に談笑している。
実際に受け取った酒は濃紅の色をしたとろみのある液体で、椀の底は見えない。酒にしては随分と柔らかに匂うが、主原料はモモンの実だろうか。
口に含むと、いかにも木の実から作ったらしい野生味が舌の上にのった。見た目の通りに甘みが強く、後味には僅かに酸味が残る。喉の渇きを潤すことを目的とした清涼飲料水とは程遠く、濃厚な旬の味わいを楽しむべき嗜好品である。
正直なところ穀物からつくる酒の方が好みに合うのだが、それはあくまで慣れた者の意見。初心者が試すならこのくらい飲みやすい方がいいだろうと、ちらりと隣をうかがう。
こくこくと一定のペースで飲んでいるので問題はなさそうだが、『感想は?』と訊くと『うまい』と一言返ってきた。
『…二杯目を貰ってこようか』
そう尋ねると、無言のまま首肯だけが寄こされる。なるほど飲んだら無口になるのかと納得しつつ次を取りにいくのだが、これが早合点だったと気付くのは二杯目の椀がカラになる頃だった。
***
ふと気付けばルチャブルの頬がうすらと染まっていて、実に愛らしい。
黙ったままで態度には現れなくても、酔ったら顔に出るわけか。これはこれで収穫だなとまんざらでもなくて、目を細めてしまう。
初めての酒もどうやら気に入ってくれたようだし、連れてきてよかったと和やかな気分で眺めていると、思いがけず目が合った。
で。
にこっと破壊力満点の笑顔を向けられたものだから、不意打ちをくらってあやうくキュン死にしかける。
え?え ?? え ??? 何いまの?天使?
幻覚を見るほど酔ってはいないはずだがと己の正気を疑いたくなるほどの、超弩級の顔つきだった。普段の凛々しさはなりをひそめ、ぽやっと目元を緩めてふんわり春めく雰囲気をまとうルチャブルを、呆然と見つめる。その間にも、彼は満足そうに二杯目を飲みほして余韻に浸り、やがて空いた容器を傍らに置いて
公衆面前でほっぺすりすりとか何なのそれ!!!
脳が麻痺バグ引くんですけど!!!
己の冷静な部分は根こそぎ消失し、いまや絶句不可避で大絶賛混乱中だった。はやいとこキーの実を食べた方がいいのだろうが、あいにく、この場には見当たらない。
こんな展開は予想だにせず、心の用意などもっとできていない。ルチャブルから手放しで甘えられた経験などほとんど皆無と言ってよく、大いに狼狽した。自分の椀から中身の半分ほどをざばりとこぼすくらいには動揺を見せた。鼓膜に触れる「ふふ、」という可愛らしい相手の声が、地に吸い込まれる酒を勿体ないと思う暇すら奪っていく。
はたと我にかえって見回せば、周囲の視線が集まってきている。
ひとまえであるというのに恥ずかしがる素振りも見せずに、ルチャブルはふやふやと明るく笑んだままだ。何なら、ふわふわと花舞う幻影まで付加されている。安売りされていいレベルの愛らしさではないのに惜しげもなくさらけだすから、一羽の柔和な微笑になす術なく陥落して見惚れる馬鹿野郎共が多数出現することになった。それと気付いたとき、憤怒の情が胸中でざわりと黒く蠢いた、ので。
ルチャブルと同じく、にこりと笑いかけてやる。
『なァに見てんだコラ殺すぞ』
語尾に「☆彡」を貼りつけて「いっけなーい殺意殺意☆」というあの要領で殺気を飛ばすと、ザッと勢いよく目をそらされる。そうそう、それが分相応というものだ。
『…ルチャブル』
呼ぶと、とろんとした目でこちらを見上げて、こてっと首を傾けてくる始末。動きに合わせ、橙の冠羽がふるりと揺れた。
あ"ぁぁ、くそ可愛。もちょっと手加減して。理性がもたない。
『そろそろ行くぞ』と急かし、いつもならまずありえない横抱きの状態でルチャブルを抱え上げてみるが、彼は文句の一つも言わずになされるがままだ。それどころか大人しく体をまるめて胸元に頬を寄せてくるので、白旗を上げる心地で思わず空を仰ぐ羽目になる。…何ていうか、もう、噛みしめるものが多くて忙しい。心臓が限界。それに、萌えの化身と化したルチャブルをこれ以上他の目に晒すわけにはいかない。即刻立ち去らなければ。
小鳥を独り占めにしていいのは拙者だけなんで。とりあえず前話を参照してこい、
***
別に、生来の属性を積極的に言い訳に使う気はないが、それにしても――やっぱり己は「悪型」複合なんである。はい。
しんと静まり返った森の一郭で、ふたりきり。この状況下で、ルチャブルの酔いが醒める前に、色々と、平生では絶対に許してもらえないあれやこれやをお願いしてみたいなーと思うのは仕方のないことだ、と、思う。雄としての
酒が入ったためか心なしにも体温を上げて、そんなルチャブルにくっつかれている左腕がやけにぬくい。相変わらず目元や頬に朱を刷いて、柔らかな色気を放って、翼を絡めてきゅっと密着してくる彼をすぐにでも貪り尽くしてしまいたいのは山々だが…平常心平常心と自ら言い聞かせてぐっとこらえつつ、ルチャブルを引き寄せた。
『…このまま、抱いてもいいか』
より正確には、「あなたの愛らしさに撃ち抜かれました辛抱たまらんのでヤらせてくださいお願いします」となる。心の中では土下座までキめている。『おれもおまえにだかれたい』なんて甘やかに返ってくるのだから、尚更だった。まったくもう拙者をどうするつもりだこの小鳥め。息の根を止める心算ですかそうですか。それでもいいさ今なら安らかな顔で逝ける気がする…、…、…否、まだ死ぬわけにはいかない。
こちとら昇華させてない煩悩なんて腐るほどあるんだぞ元御庭番ナメんな。
『そこに先んじて頼みがあるんだが』と切り出せば、ルチャブルは身じろぎして次の言葉を待ってくれている。その素直さに対する背徳感で興奮しつつ、欲望と共に生唾を呑み込んで、続きを告げた。
『く、…くちで、シてくれないか』
『 わかった 』
我ながらクソ童貞みたいな拙い頼み方をしてしまった。いやホント調子こいてすみませんインファイトだけは勘弁してください……、……、……うん?
『…今、わかったって、…』
『くちですればいいんだろ』
分かっちゃダメだろルチャブル!!!!!!(錯乱)
え ??? ガチ ??? 本気で言ってる ???
いいのか、なんて、もはや口先だけの確認だ。現金なもので、雄根はとっくに期待で勃ちあがっている。我が愚息ながら呆れるほど欲に忠実だな、こいつ。知ってたけど。
しかも、全然ぬか喜びではなくて、ルチャブルの返事に偽りはなかった。彼の綺麗な顔が、夢でも幻でもなく、現実のものとして陰茎に近付いていく絵面は本っ当に目に毒だった。でもガン見。当たり前だろ。
『ッ…!!!』
あったかい…ッ!
変に感極まって泣きそうになる。目頭がじわりと熱い。
あの、ルチャブルが。一切の迷いもなく雄の象徴を咥えて…!この時点で天変地異に匹敵する。今までそれとなく頼んでみたこともあったが、頑として承知せずにいたのに。こんなにあっさりと…!!!
かがくのちからってすげー!ならぬ、さけのちからってすげー!である。
数えきれないほど交わした口付けから分かっていたことだったが、…改めて、ちっさいな。くち。可愛い。おかげで、相対的に自分のモノが立派に見えてしまう。
全部呑み込むのはやはり難しいようで、敏感な先端への愛撫に口を使い、入りきらない根元は手でしごいている。その健気な姿が胸に迫り、がっつりと心に刺さってたまらない。
あー…やっばい。頬張る鈴口へ繊細に舌を這わせて甘く吸い、時に先端の割れ目に舌先を入れたりと、彼なりに頑張ってくれている。雄が悦ぶツボを押さえている分、不慣れだろうに、ふつーに気持ちいい。
というか。ルチャブルの口淫という事実と視覚情報がとにかくデカいので、うっかりするともう出そう。
それなのに、こちらの表情をちらりと上目遣いで確認してくる不安げな様子が不釣り合いに
『…上手だ』
そっと頭を撫でると、「よかった」とでも言いたげに嬉しそうに目を細めている。永遠に解除できないメロメロをかけられた瞬間である。何この可愛い生き物…さっきから情緒を滅茶苦茶に踏みにじってくるんですが。やることなすこと罪深いにも程があるけどもはや御褒美ですありがとうございます。アルセウスに五体投地を捧げたい気分だ。
『ン、…ん、…』
鼻にかかるくぐもった声。ぐぷ、じゅぷ、と動きの速まる頭部に合わせて響く淫らな水音。聴覚にも訴えてくるとは、さすが分かっていらっしゃる。こちらを気持ちよくさせようという、文字通りの奉仕と性的刺激が感じられるから、己が先走りと相手の唾液にまみれて育ちきった肉茎が歓喜で痙攣していた。
無理無理無理、こんなふうに愛情を示されたらもう秒で射精する。
口の中に出す?飲んでもらう?それはさすがに酷か。せっかく覚えた酒の味が台無しだもんな。
この、一瞬の躊躇によって、彼を引き剝がすタイミングと白濁を吐き出す瞬間が僅かにずれてしまった。その小さな差が、まことけしからん傑作をも生みだすことになったわけだが。
顔射は――さしもの己とて初体験である。
しまった、と、蒼ざめてもいい場面だが、眼前のルチャブルが淫猥の権化かと目を見張る仕上がりになっているので、かえって赤面してしまう。
顔に、手に、口の端に。白いものが、べったりと。
無垢な存在を穢してしまった仄暗い喜びが、胸の内に灯る。
『…げっこうがの、におい、…』
『ぐ、…!!』
こうか は ばつぐんだ!!!!!
四倍ダメージ入るやつじゃねーか。吐精直後の油断めがけてぶち込んでくる台詞がコレってヤバくないか。なんつーことをぽろっと零すんだこの天然たらし。なんなの?ブチ犯されたいのかな?張りきっちゃうぞこの野郎。
そういうこと言うから、ほら、出したのにすっかり元通りだし。
おそろしいことに、全てを無自覚なままでぼんぼんと燃料を投下してくるルチャブルは、今やバッキバキに再勃起した一物をじっと見つめている。かえってこちらが照れるくらいなのだが、『舐めているうちに欲しくなったのか』と意地悪く煽れば、相手はこともなげにこくんと首を縦に振った。
えぇー…そこで頷いちゃうの…。いつもの強気な目つきや男らしさはどこに置いてきたんだ、拙者そろそろ急性ルチャブル中毒で死にそうなんだけど。
『挿れる前に、準備が要るだろ』
この際なので、もう一つくらいねだってみるか。
拭うこともせずに依然として顔を白く汚したままの彼に口を寄せて、唆す。
『自分でシてみせて』
『じぶん、で、…?』
『そう。上手にできたら、あげるから』
ひどく大胆なことを乞われたと、彼は理解しているだろうか。
酒に鈍る頭で、どこまでこちらの要求を許容しているのか分からない。ただ『ふざけるな』と怒ってこないあたり、行為を拒むだけの羞恥が湧いていないことは確かだった。
実際、物欲しそうな顔を隠しもせず、うずく肉体を持て余している様子で、ルチャブルは切なげに目を伏せる。ッとに色っぽいなオイ。これを前にしてすぐすぐねじ込まないだけのこちらの自制心も大いに試されている。
大した抵抗もなくふらりと立ち上がるルチャブルは、傍にそびえる幹に左手をつき、…右手を、おずおずと後孔へ伸ばした。
『…ぁ、…』
くちゅ、と最初から粘ついた音が聞こえたのは、つい数分前に暴発させた精液が彼の爪先に付着していたためだ。それを頼りにまずは一本、指でほぐそうとしている。
『あ、…んっ、…ぅ、…』
もどかしそうに、瞳を潤ませて、頬を真っ赤に染め上げて、浅く短い吐息で。
ルチャブルは、ともすれば自慰行為にも見えるそれを繰り広げてみせる。眩暈を覚えるほどに色香が凝縮された絶景だ。尻を突き出すようなあられもない格好で、そのくせ震える背中の曲線が、ひどく艶めかしい。他ならぬ己がさせていることなのに、ごくりと喉を鳴らしてしまう。こんなことでもなければ拝むことすら不可能な、夢にまで見たルチャブルの痴態に魅入られ、網膜にも記憶にも焼き付けておこうと瞬きを忘れて凝視した。
正気に返ったルチャブルに後から殺されても本望だ。「我が生涯に一片の悔い無し」という例のアレを今この場で断言してもいい。
ふやけてきたそこへ二本目を追加しようかというところで、ルチャブルが音を上げた。
『も、…やだ、…ぁッ、げっこうがの、…はやく、』
ほしいと言われるまでもなく、理性はぶちィっという重苦しい濁音を鳴らして千切れている。
――鮮やかに、過激に、己の中で吹きすさぶ狂乱。『よくできました』と褒め言葉を口にしながらも、乱暴に、彼の細腰を掴んだ。こちらは膝をつきつつ、ルチャブルには立たせたままで、勢い任せの背面立位に持ち込んでいく。
目一杯に膨張している竿を根元まで埋めれば、待ち望んだ恋人を抱きしめるように、ナカがきゅうとすがってきた。…はからずも早漏になりかねない。はちゃめちゃにイイ…腰が抜けそう…。
『あっ!あァ、ぁ、…ん、…ッ♡』
うーわ、滅多に聞けない蜂蜜漬けの息遣いしてるし。ヤる気出るわァ、マジで。
『ッ、…今日は一段と締めつけるな』
『だって、ッぁ、…きもち、…』
『…御主というやつは、どうして、そう…ッ!』
『ひ、ア、――――ぁあッ♡』
あまり馴染んでいない体位なので、いつもと擦れる場所が違うらしい。こちらが腰を振るたびに、美酒のように香りたつ嬌声が、婀娜っぽく弾けていく。
『雄として自信がつくでござるなァ、そう言われては』
期待に応えて、もっとはしたなく鳴かせてやろう。
背後から覆いかぶさって、ルチャブルのモノを握り込む。
『すまないな、こちらを触ってなかった』
『やっ、…やだ、それ、だめっ、…ッあぁあ!』
羞恥による抑止力がほとんどゼロになって感度が鋭くなっている彼は、何度か手を往復させるだけですぐに達し、脚をがくがくと震わせた。
支えがきかなくなって崩れ落ちそうになっているので、慌てて抱きとめる。
一旦引き抜いて仰向けに横たえてやると、可哀想なほどに荒い呼吸を繰り返している…が。…こちらは全然萎える気配がなくてですね…。
『ルチャブル…』
汗ばむ頬を撫でると、ゆるりと瞼の幕が上がり、琥珀色の瞳がこちらを捉えてくる。
こんなときに申し訳ないが、その弱々しい表情、かなり股間にキてます。はあ…、平素は質実剛健な美丈夫の、こうして弱ったところを見られるなんて新鮮。至福。尊い。
『もう少しだけ付き合ってくれ』と頼むはずが、先手を打ってきたのはルチャブルの方だった。添えていたこちらの手を取り、するりと頬擦りしてくる。
『このほうがいい』
『え』
『おまえのかおがみえないと、…さびしい』
――ぼたりと、…鮮血。
たまらなく愛おしい所為で体感時間が停止している間に、鼻腔の毛細血管が興奮に耐えかねて破裂した。
ルチャブルが、先程より僅かに、目を開く。
『おまえ、…ち…』
『…ンなこと言われたらなァ、鼻血くらい出るわ』
こうなったら気が済むまで種付けしようはい確定。
『今から嫌というほどイかせてやるからな腹ァ括れ』
悪党からの脅しを受けておきながら、そこはやはりルチャブルらしく、怖がることなく首元に腕を回してくる。『のぞむところだ』なんて笑って、…次の瞬間。
『いっぱい、いじめて』
あいして。
べっこう飴のような目をとろりと溶かして、ルチャブルが、囁くから。
誘惑に止めを刺されて、今度こそ精神的な死を経験した。
どこまでもどこまでも、甘ったるくてかなわない奈落の底へ向かっている感覚。
たぶん。
自分はこのポケモンを愛するために生まれてきたんだろうと、そんなことを根っから本気で考えて、嗚呼――仰せのままに。
温かく慈愛を告げる小鳥の口元へ喰らいつく。この焦がれるような想いを、ふたりで一緒に分かち合うために。
+++++
早朝、ルチャブルの意識は緩やかに浮上した。
察するに、…どこぞの根元にあいた
記憶にある場所とは全く異なる所に寝転んでいるという怪談顔負けの現状に、朝っぱらから背筋が冷えてくる。
ゲッコウガと共に寝ていたらしい状況は、まあ、いいとして。
揃いも揃って、頭のてっぺんからつま先までどろどろになっているこの事後感満載の有様に、軽く頭痛がしてくる。
羽がべたついて、正直、不快が勝っている現在である。起き抜けの脳内をよぎる想像が、おそらくは真実なのだろうという多分に強い予感によって、眠気はだいぶ薄れてきた。
ヤッたのか。…ヤッたんだろうな。酒がうまかったことしか覚えていないけれど。
記憶の空白部分で何をやらかしたのか大変に不安だが、もう過ぎたことは仕方ない。あとからゲッコウガに訊こう。
自分はどうやら酒に強くないらしいこと。飲んだら記憶を失うこと。今後の護身のためにも把握できてよかったと、そう前向きにとらえるしかなさそうだ。…というより、酒自体を控えれば済む話だな。うん、これからは気を付けよう。
隙あらばまた酒を飲ませようとゲッコウガが画策していることなど勿論知る由もなく、ルチャブルは、もう少し日が高くなって気温が上がってから水浴びしないとなあと呑気なことを考えるにとどまり、誰に聞かせるでもない深いため息をつくのだった。