二階堂陽斗…真井あかりの魔法少女ストーリー、イベント『恋はさんかく愛はえんまん』に登場。
真井あかりの憧れのお兄さん。以前魔女に襲われていたところをとある魔法少女に助けられて一目惚れをする。あかりを妹のように想っている。
由良蛍…いつも眠たそうな魔法少女。あかりとは友達で、彼女の道ならぬ恋を見守っている。第2部EDで後に大学に進学することが語られていて、本作は蛍が進学した後の物語である。
真井あかり…陽斗に恋する小学生魔法少女。実は陽斗の想い人はあかりが魔法で成長した姿であり、妙な三角関係に頭を抱えている。陽斗にふさわしい女の子になるために料理に挑戦中。
「ここはねぇ…、この公式を使うんだよぉ~」
「あっ、なるほど」
どこにでもある…とは言いにくい、少し広めの部屋。
清潔感があり、どこか上品さを感じさせる空間。壁際には、この部屋の主、二階堂陽斗が過去に得た賞状やトロフィーなどが飾られている。
「それじゃあ、ここで休憩~」
「ふぅ…お忙しいのにありがとうございます。由良先輩の教え方ってなんか的を射ているというか、分かりやすいんですよね」
「そぉ…?みんなからよく『聞いてると眠くなる』って言われるんだよねぇ~」
「そこが良いんですよ。単語が心地良く耳に入ってきて、苦にならなくて」
由良蛍は嬉しそうに微笑む。
「この調子ならぁ…志望校受かりそうだねぇ…そしたら来年からまた私の後輩だぁ~」
「はは。由良先輩のほうは新生活どうですか?」
「ん~…なんとかやっていけてるよぉ~…。でもぉ~、流石に授業中の睡眠時間は減ったかなぁ~」
「由良先輩、受験前にワンランク上の志望校に変更したんでしたよね。もし大変だったら大学のほうを優先してもらっても…」
「大丈夫~。私、二階堂くんに勉強教えるの結構息抜きになってるんだよねぇ…。それにぃ~…」
蛍が陽斗に顔を近付ける。
僅かに紅潮する陽斗の頬を確認して、蛍は意地悪っぽく囁く。
「二階堂くんといたらぁ……不労所得につながりそうだしねぇ~…」
「…なっ、からかわないでください!」
「ごめ~ん、じょーだんだよぉ~…ふふっ」
「はぁ…。僕、ジュース入れてきますね」
「いってらっしゃ~い」
「ふぅ…」
主が席を外し、部屋が静けさを取り戻す。
蛍はうなだれるように机に突っ伏し、先程まで陽斗が座っていた隣を眺める。
机に転がっていた陽斗の消しゴムを指で弄り、そして物憂げに呟いた。
「合格、してほしいな…」
「……んぅ…、あれ?」
蛍の眼前には、机に向かい黙々と勉強を進める陽斗の姿が。
端の置き時計を見ると、陽斗が部屋を出ていってから一時間が経過していた。
(寝ちゃってた…)
「あっ、起きました?」
「…ごめ~ん、勉強教えるつもりだったのにぃ…」
「大丈夫ですよ。最近由良先輩お疲れみたいだし、今日は寝てていいですから」
「……ありがと」
「そういえば、あかりが心配してましたよ」
「あかりが?」
「急に志望校を変えて、そのうえ僕に勉強を教えるだなんて、どうしちゃったんだろうって」
「あ~…あかりにはずっと面倒見てもらってたからね~…最近あんまり会えてないし…」
ふと、近くの棚に立て掛けられていた写真立てを見る。
写真には、あかりの入学式で撮った陽斗とあかりのツーショットが収められていた。
あかりは少し顔を赤らめながら嬉しそうに笑っていた。
「二階堂くんは最近あかりと会ってる?」
「会ってますよ。昨日も受験勉強の差し入れだーってクッキーを焼いてくれました」
「あかりが?」
「最近料理の勉強を始めたみたいで、たまにお弁当を作ってくれるんですよ。これが結構美味しくて…」
(あかりも少しずつ頑張ってるんだ…二階堂くんに振り向いてもらうために…)
蛍の胸がチクリと痛む。
由良蛍が二階堂陽斗に興味を持ったのは、あかりと知り合ってしばらくしてからのことだった。
最初はあかりのお兄ちゃん分としてしか見ていなかったが、あかりの陽斗への憧れっぷりを間近で見たり、また実際に陽斗と接していく中で、蛍はどんどん陽斗に惹かれていった。
(直前で志望校を変えたのも、二階堂くんの受験勉強の手助けを申し出たのも、全部一緒に大学に行きたかったからだったっけ……)
元々本気を出せば高成績を取れる蛍にとって、志望校のレベルをワンランク上に変えることはさほど苦にならなかった。
周囲の人間も蛍の頭の良さを知っており、志望校を変えることも、また進学後に陽斗に勉強を教えることも、不思議がられはしても文句は何一つ出なかった。
由良蛍にとって真井あかりは特別な人間だ。
そのあかりの幸せを願う気持ちに嘘はない。
だが同時に、陽斗への気持ちを捨てることもできなかった。
「二階堂くん」
「え…」
振り向く陽斗の唇に、蛍が唇を重ねる。
突然の蛍の行動に目を見開く陽斗。
(あかり、ごめんね…)
暫しの沈黙の後、蛍は名残惜しそうに唇を離す。
「私、今日はまだ眠いかも……今度はお布団で寝たいなぁ…」
「…!」
静かな部屋に、陽斗の生唾を飲み込む音が響いた。
「先輩…由良先輩…っ」
「んっ…んぅ……少し慣れてきたね…二階堂くん」
陽斗が蛍の小振りな胸を丹念に揉みしだく。
蛍はその手付きに身を委ね、まどろみながら陽斗の下半身に手を伸ばす。
蛍と陽斗がこういった関係になってからまだ日が浅い。
最初のきっかけは蛍。
陽斗に勉強を教えるようになってしばらくして、不意に今日のように陽斗の唇を奪ったのが始まりだった。
戸惑う陽斗を見て、蛍は彼の気持ちを察した。
陽斗には以前から想いを寄せている相手がいる。おそらく、彼の頭の中に浮かんでいるのはその子のことだろう。
「二階堂くん…ここ、好きだったよね…?」
「くっ…うぁ…」
彼に告白しても気持ちを受け入れてくれることはない…そう考えた蛍は、陽斗にある提案を持ち掛けた。
恋人の練習。
いつか想い人と再会できた時のために、蛍が恋人役になって、男としての振る舞いや、いざという時の経験を蛍自らが相手になって実践を積ませるというものだ。
「挿れますよ、先輩…」
「いつでもいいよぉ… んっ…、ふ…」
もちろん最初は陽斗も断った。
だが蛍は、持ち前の頭の回転の速さを利用して次々にこの作戦の必要性やメリットを突き付けた。
陽斗と想い人の間には時間が圧倒的に足りないことを指摘して経験の必要性を強調したり、もし以前のようにお見合いを仕掛けられた時は自分が恋人のふりをしてやり過ごしてあげる、など…
「先輩…、先輩…っ!」
「あっ、にかいど、く…、んぅ…」
最初は消極的だった陽斗も、蛍の説得、また経験不足故の女性への興味を抑えることができず、気が付けば蛍の提案を受け入れてしまっていた。
「はあ…はあ…」
蛍の膣内から陽斗のそれが引き抜かれる。
陽斗は避妊具を外し、ぐったりした蛍の、体液で濡れた局部を丁寧に拭き取る。
「…二階堂くんって、丁寧だよね」
「丁寧…ですか?」
「毎回欠かさず避妊してくれるし…終わったらちゃんと拭いてくれるし…」
「うーん…、僕だけすっきりしっぱなしで終わりっていうのは違うっていうか…先輩にも良い気分で終わってもらいたくて」
「ふぅん…」
(こういうところを、あかりは好きになったんだろうなぁ…)
後処理が終わり、蛍の横に寝転がる陽斗。
「お疲れ~ふふっ」
「お疲れさまです」
「結構慣れてきたぁ?」
「どうですかね…」
「二階堂くん飲み込み速いし~、この調子で行けば次に好きな子に逢えた時も大丈夫かもねぇ~…」
「由良先輩は、いいんですか?」
「……」
「由良先輩は、僕があの人と結ばれても、平気ですか?」
陽斗の言葉に、蛍の表情が一瞬曇る。
(こういうとこだよねぇ…)
「私は平気だよ?あかりから二階堂くんがどれだけその子を気にしてるかは聞いてるし~…私は私で楽しんでるからねぇ~…」
蛍は嘘を吐いた。
本当は自分が二人の間に付け込める隙間なんてない。蛍はそれを知った上で、この爛れた関係を無理やり続けているのだ。
あかりが大人になるまでの、期限付きで…
「僕、由良先輩のことも、ちゃんと考えますから」
「え…?」
意外な言葉に思わず顔を上げる。
「由良先輩のことも、あの人のことも、ちゃんと考えて…絶対、答えを出しますから」
「…ほんと…?」
「本当です。 だから…」
蛍の瞳が微かに潤む。
「……… ん~心に留めとくねぇ~」
「…意味分かってます?」
「分かってるよぉ~。考えてくれるんでしょ~、私のぉ…」
陽斗に寄り添い、耳元で囁く。
「ふ・ろ・う・しょ・と・く♡」
「だから、からかわないでくださいよ!」
「ごめ~ん。ふふっ」
夕焼けが蛍の顔を紅く照らす。
まるで、紅潮した頬をごまかすように。
「ふわぁ~…う~ん…」
「寝ていいですよ。遅くなったら家まで送りますし」
「ありがと~…でもねぇ~」
「今は…頑張って起きていたい、かなぁ~…」
おわり