そして、母になる -Queen of EDEN 作:アンデッド
1972年 すべての始まりは迦葉山ベースから
あの日は忘れもしねークソほど雪が積もった
1月25日。山中を姪のシンジ、公僕(二名)、機動隊員 (オレの知り合い四人)でいわゆる〈榛名ベース〉へ
たどり着いた。ここは『赤色連盟』の本拠地の
山だから、オレ達も山岳隊の顔負け
装備で赴いてんだ。柱に縛られてる
妊婦とそれなりのべっぴんさんを保護する。
妊婦はアザだらけの挙げ句、髪の毛を
剃られてやがった。シンジはそれよりも
セフレの天城という女の安否を気にしている
様子だ。
案の定というべきか……天城はこの世にいない。
べっぴんさんが語った死の状況はヘドが出るぜ
ひたすら自分を殴らせた後、亀甲縛りして
衰弱死とはな。
「殺してやる……」べっぴんさんから
赤色連盟の隠れ家、迦葉ベースの場所を聞いた
シンジは“アブダビ・カービン”0年代を代表する
特殊部隊向けアサルトライフル、コルト M727(
砂漠色でサウンド・サプレッサ付き)を構えて
向かう。オレは公僕と機動隊員なん人かに
二人を託し、あとを追う。
遠くから耳障りな怒号ときいきい泣き叫ぶ声が
響き渡ってくる。さらに獣のうなり声も
聞こえてきやがった。ベース内でなにが
起きてやがる? 状況はオレが想像していたより
カオスだった。
床下から鮮血がしたたり落ちてやがる山小屋の
階段まえにシンジが一瞬、銃口を向けたかと
思えばすぐおろし呆けた表情で中へ入りやがった。
ひき止める時間もねーと思い、Mk.18 Mod.1を
構えてオレも階段をかけ上がる。
「キシャアアアアッッ!!!!」
「よしよし~」
腕やら生首が転がり、壁一面コントラストみてーに
赤く染まったベース内でシャギーかかった短い銀髪の
透き通るような白ぇ肌をノースリーブ・ジャケット、
ローレグの紐パンで晒しだしたやべー紅い瞳の
ガキ(女の子)を抱きかかえ、宥めてんだ。
しかも引っ掻かれたり、咬みつかれてんのに放そうとはしねーの。
だんだんと必死な形相がゆっくり~~人形みたいな無機質の表情へ
変わっちまった。
オレが「何が起きたんだよ」って尋ねたら
「さぁ?」という要領の得ない返事を返された。
それよりもシンジは「この子を連れてっていい?」
ガキのほうに興味を行ってやがった。まっすぐ
瞳を輝かせながら「ダメかな……」と言うシンジに
一瞬で折れ「精密検査して、あとで報告しろ」
だけ指示して了承しちまった。
「ありがとう兄さん」天使のような微笑みを返し
アイツは見知らぬやべー娘を連れてベースから
逃げ出した。オレは“謎の疫病による惨劇”を
理由に、娘の正体を明かさず現場を隔離。
色々……血液サンプルや遺体を確保した後に
ベースを燃やした。疫病が外に漏れないためにな。
それにしても~まさか我が妹(正確には姪)に
娘ができるとはな。まぁ、考えすぎかもしれねーが
あのガキ、アイツの死んだ最愛の妹である
レイにほぼ瓜二つだったような気がするぜ。
山本直樹先生の〈RED〉シリーズ、大好きです。