そして、母になる -Queen of EDEN 作:アンデッド
『助けられんなら助ける。ムリなら妥協』これがレインちゃんの方針
有言実行してるがスゴい。父親に襲われかけた
母子さんを救い、武器や食料を家に投げ込んだり
してた。
「あらあらあらあら~~悪いね」
「いえいえ、比呂美ねぇ助けてもらった
お礼ですけん。遠慮せず受け取ってつかわさい」
走りすぎて指先が飛び出した靴から
女性用ジャングルブーツへ履きかえた。
さらに休憩所で知り合ったおじいちゃん、
おばあちゃんにわたしが足の手当て
受けたあとにレインちゃんが広島弁みたいな
口調しつつ、食料と武器を感謝の気持ちで渡してた。 ホント……意地でも有言実行するんだ。
そのときにおじいちゃんから「五合目まで登れば
空気薄いからウィルス感染しないんだってよ」
という眉唾モノ情報(レインちゃんは絶対に
感染爆発おきっから、今のうちに潰すって
英雄さんに話しつつ)を頼りに浅田神社を
目指すことに。
「五合目無理だろ」
「自衛隊は何してんだよぉ」
「いつぶりだっけ」
「みんな、かまれて保健所行きだぁ」
「正月じゃね?」
考えなしに根拠なく歩く人たちを「バカの大名行列」
と吐き捨てるレインちゃん。
あくびしながら、人混みかき分けて進む二人と
背後をついて歩くわたしは神木を無意味に
のぼる幼児リコスたちを視認した。
「レインちゃん──」
「比呂美ねぇ?」
石段付近に来たとき、わたしの背中をよじ登り
幼児リコスが長い黒髪ごと咬みつかれる。
「片耳ふさいで!」レインちゃんはそう叫び、
自動拳銃を背後からリコスの顔面を抜き撃つ。
片耳おさえるわたしの手を握り、レインちゃんは
拳銃を振り回し人混みを切り開いていく。
「悪いヤツはぶっ殺せぇ!」
「黙らしゃい! テメェも顔に
風穴あけんぞ!!!!」
罵声を浴びせる人には威嚇で返し、
レインちゃんはわたしを護ってくれたんだ。
「感染してたら遠慮なく殺して」
「絶対ヤダ」
わたしの頼みも震える声で断るほどに。
「仲間に……」
「うるせぇ!! つぎ話かけたら
タマつぶすぞっ!!!!!」
何か「ろれつが回らないやつ、牙はやしたり
黒目が小さく眼球が飛び出たやつ、ケガしてる
やつはとりおさえろっ!」とか叫ぶ演説
おじさんにレインちゃんが威嚇射撃したり
しながら、わたし達は石段を登り切る。
レインちゃんが「ウヘヘヘっ……比呂美ねぇ」
わたしを呼んで見下す人混みの中をいくつか
指差したの。
「弱い者は……」ガブッ
「いたいっいたいっいたいっ」
「ちょっうわっ助けてっ!!!!!!!!!」
レインちゃんは軽快に「Let’SHOW TIME」そう
口ずさみリュックから手榴弾二つ、
発煙筒を逆さに入れた缶詰めを投げる。
赤ん坊リコスがこっちへ来る前に、英雄さんが
ショットガンで散弾を撃ち込み四散させた。
その後に重々しい響きと、閃光が響き
人混みを吹き飛ばした。爆風から
わたしをかばうように英雄さんは
身体に覆いかぶさり、その状態で
レインちゃんに手をひかれて逃げ出す。
「おいっあんた達っ!?」キャップ帽を被った
軽自動車を運転するおじさんが声をかけてくる。
「こっち、車に乗れ!」指示してきたから
英雄さんはわたしを抱きあげ、レインちゃんが
ショットガンの引き金を絞りながら
車の後部座席へ飛び乗った。
「ちょっち待って」レインちゃんは発進した
車の窓を開け、手や足と顔面をリコスに
咬まれてる演説おじさんへ缶詰め爆弾を
投げつけて爆破させた。脳漿や血肉の雨が
降りそそぐ最中で、おじさんは
アクセル吹かせながら神社をはなれていく。
「あんたたち大丈夫か?」
「助けかっでおじさん。あたしと
横のマッスル一休さんは無事やけど、
ちょっち比呂美ねぇちゃんは首を打撲した
みたいやから手当てしますわ」
神社行く前にリュックから出しそびれた
救急箱からアルコールメッキなどを取り出し
わたしの首うしろを拭いていくレインちゃん。
庇いテキトーなことを言ってる間に
「俺はカメラマンやってる荒木だ。五合目に
行くルートを須走口ってとこへいこうと思う」
「鈴木だ。同車するかわりに感染者は
まかせろ」
「比呂美ねぇ?」
あっ……
「彼女、大丈夫かい?」
レインちゃ……にげっ……
「比呂美ねぇ──」
「マジですまぬ」
ゴッ
雑なクリフハンガーすまぬ。