薄明かりが射し込む室内は、むわりとした熱気が充満している。ぽたりぽたりと滴る汗に、ベッドシーツはバケツの水を溢したようにびしょ濡れていて、湿度が酷い。
備え付けのエアコンは少し型が旧いとはいえ、普段ならばその働きぶりに陰りは窺えない。まだまだ現役を張れるコンディションのはずが、今夜に限ってはどうやら勝手が悪いようだ。立ち籠める熱気の発生源、それは部屋壁に浮かび揺れる影であり、その運動量が生み出す熱量に著しく後れをとっているらしい。
「はっ・・あっ・・っ・・・んっ・・あっ」
眼下で喘ぐ女の
「・・っき・・がやくん、顔っ・・を見ないで・・っ」
「だめだ」
先から彼女の両の手はその頭の上へとやり、俺の左手で押さえ込んでいる。そのか細い両手首など男の力を持ってすれば片手一つで問題にもならない。ほどよい嗜虐心は互いの快楽をより煽る。それを彼女も知るのだろう、恥辱に耐える素振りを覗かせつつも、その実、振りほどこうという素振りなど少しも見せていない。本気で嫌がれば、俺は直ぐにでもやめるだろう事をわかっているのだ。彼女は望んで受け入れている。その事実がたまらなく扇情的であり、反面少しばかり張り合いが無い。
ならばと、俺は彼女に一層の屈服感を与えるべく、両の手を押さえ込む左手により力を加え、テンポよく腰を打ちつける。
「あっ・・!あぁっ・・・!」
喘ぎ漏らす彼女の声と共に、パンッパンッパンと湿り気を帯びた肌がぶつかり合う音が室内にこだまする。
「あっ!・・あっ!・・んっ!」
彼女の中でとくとくと溢れ出す水気を、打っては弾き、打っては弾きを延々と繰り返す。
それに合わせ、彼女の控えめな乳房が上下するのは眺めが良いが、ただ遊ばせておくのも勿体ない。
右手で彼女の左乳房を掴み、親指と人差し指で薄桃色の綺麗な乳首をつまみ上げて左右に捻り、右の乳首を舌で転がし、なぞり上げ、甘噛みし、吸い上げる。その間にも腰の動きは緩めない。彼女の少しでも″いい所″を突くべく意識を巡らせる。
「ぁあっ・・!・・んっ!・・あっ・・・あぁっ!」
持てる五体の感覚を精一杯に研ぎ澄まし、余すこと無く与える刺激に、両の手を固定された彼女は胸を大きく反らして身悶える。
「や・・っ!あぁっ・・あっ!」
こうして彼女を抱くのは何度めだろう。彼女が初めての痛みを覚えて以来、暫くは互いにぎこちなく、手探りの夜をいちいち覚えていたが、徐々に互いが互いの体に馴染み始め、一晩に何度も、というか、夜通しする事が増えてからはもう記憶していない。今ではもうどっぷりと、本能のままに、快楽の深淵で互いを貪りあっている。俺は上手く出来るだろうかと、初めて事に臨んだ時はそんな不安が強かったし、今も上手く出来ているのかどうかなど主観ではわからない。だが、それでもどうやら、相性は良いらしい。たぶん。知らんけど。
そう思える程には彼女の全てがたまらなく具合が良い。
腕を回し抱き寄せれば俺の胸にすっぽりと収まり、全身を抱え込み、彼女が自重を全て投げ出しても、元運動部でもなかった俺でさえ、苦にもならないほど軽い。
その華奢な身体に彼女の長く美しい黒髪が流れ、汗でまとわりついた様は、白磁のようにきめ細かい素肌をより際立たせる。
その有り様はどこを眺めても美しく、そして、とてつもなく、エロい。一糸纏わぬ彼女がそこに横たわっているだけで、カウパーが滲むレベル。その扇情にあてられ、実際俺はその背中だけでいける。確かに俺は若く、盛りだが、それでも彼女の魅力は異常だと感じる。
こんなに綺麗で、淫靡な魅力に溢れる女は、俺の知る限り他に居ない。まぁ、文字通りの意味だが、他の女の経験などなくても、仮に、他にどんな女を経験しようとも、俺の答えは変わらないだろう。眼下の光景を前に、根拠など無意味だ。
今は真夏、熱気に蒸し返るワンルームの片隅にも関わらず、月明かりにぼんやりと照らされた彼女の素肌にふと、青白い夜明けの雪原を想起する。
俺は、世界一いい女を抱いている。何の誇張も無くそう思う。誰が何を言おうと、それが俺の現実で、今も猛る下半身とは裏腹に、静かに心を満たしていた。
「あっ・・・あぁっ・・!」
パンッパンッパンと激しく音を鳴らして打ちつけ続ける腰の動きに、彼女は身をよじり始める。今夜だけで、もう何度目かもわからない絶頂を再び迎えようとしているらしい。
「どうした?」
「・・・・っだ・・だめ・・・・っもぅ・・っ」
絞り出すように、か細い声を漏らす彼女を見つめて言ってやる。
「そうか。だめか。じゃあそろそろ抜いてやるよ」
言って、動かす腰のテンポを緩めつつ、ゆっくりと、彼女から俺のを半分くらい抜く素振りをしてみる。
「・・っ!?・・やっ!だめ・・っ」
両の手を封じられている彼女は咄嗟に、追い縋るように自らの腰をずるりと下げてくる。
正直、今のはエロ過ぎてこっちが面食らいそうだったが、顔には出さない。俺は抜くともなく、その先端のみを彼女の内側に残し、緩やかに前後させ、遊ばせる。
「心配するな。今抜いてやるから」
言うが早いか、彼女はふるふると頭を振り、切な気な瞳をもって縋りつく。
「なら、どうしてほしいんだ?」
「・・・・っ」
彼女は言葉を詰まらせ、その切な気な瞳をさらに細めると、ふいっと顔を反らす。やばい。超可愛い。
「言わねえとわかんねぇだろ?」
俺はその上気した左頬に右手を添えて、艶めいた唇を、そっと親指でなぞる。
「・・・・・うそよ・・わかっているでしょう」
僅かな間をおいて、拗ねたようにぽしょりと彼女は呟いた。
「さぁな。でも、間違いたくねぇんだよ。お前が大事だから」
「・・っ!」
おそらく今、俺は酷く悪い顔をしているだろう。口角が上がり、ニヤケそうになるのをグッと堪える。
彼女は見ていない。余計にそっぽを向いてしまったからだ。
「・・・・あなたは、卑怯よ」
上気したその頬のままに呟いた言葉は、俺の嗜虐心をさらに煽り、ふてくされた素振りの彼女の顎を掴み、正面に向かせ、軽いキスをする。
「嫌いか?」
「・・・・本当に、卑怯だわ」
抗うことへの諦観か、俺をじっと見つめたその瞳は潤んでいるように見える。
「で、どうしたいんだ?」
「・・・・っ」
彼女は俺の再度の問いかけに、口を開きかけては閉じ、逡巡する。
「言えないならおあずけだな」
俺は淡白な調子で告げて、彼女の内側に残す先端をも抜き出そうとした時だ。
「・・れて」
ぽしょりと彼女が呟いた。
「何て?」
「・・・・奥に、入れて」
「何をだ?」
「・・っ・・・・ひきがやくんのを」
「俺の?俺の何をだ?」
「・・・・お願い、ゆるして」
「だめだ。ちゃんと言え」
「・・っ」
「望む事を、ちゃんと言葉にして、ねだるんだ」
「・・・・ひきがやくんの・・・・おちんちんを、私の奥まで入れて」
「もう一度だ。私の?」
「・・っ!」
「ちゃんと、おねだりするんだよ」
「・・・・ひきがやくんの・・おちんちんを・・っ・・私の・・おまんこの奥まで・・入れて下さい・・・・お願いします」
-ぞくりとする。
あの頃、あの特別棟の教室で、放課後の斜陽に包まれながら、いつでも凛とした佇まいで本を読んでいた彼女が、言った台詞なのだ。
星の数ほど罵倒され、素直さからは程遠く、本音を引き出し、互いに向き合うには長い時間を経たものだ。
自信家で、高慢で、得意げな態度。理知的なようでいて、乗せられやすい負けず嫌い。初めての友人との距離に戸惑う様子。隠しきれずに照れる表情。俺を嫌いだと言った時の顔。何かを諦めた悲しげな顔。パンさんを選ぶ時の真剣な顔。猫に夢中になる時の嬉しそうな顔。焦燥し、張り詰めた顔。何かを決意した、強い眼差し。
そして何よりも惹かれた、優しく、麗らかな微笑み。
今となっては、その全てが愛しい。
愛しくて、大切で。
そんな彼女を、組み敷いて屈服させている今が、酷く背徳的なのだ。じわりと満たされる支配欲に俺の心は打ち震え、波打つ脈動が、今も彼女の内側に残した先端へとさらに血を巡らせ、それをびくんっと跳ねさせる。
「いい子だ」
俺は掴んでいた彼女の両の手を解放し、不安を覚える程に細く絞れたくびれを両手の指でなぞり下ろすと、急速な膨らみを見せる美しい曲線、彼女の腰をがちりと掴む。
すっと息を吸い、自らの腰を僅かに浮かせ、吐き出した。
パチィ・・ッ!!と一際大きな音が鳴ると同時、彼女は頭を仰け反らせて嬌声を上げる。
「っあああっっ・・っ!!」
直ぐに両手を彼女の髪へと滑り込ませ、がちりと頭を掴むと、続けて腰を打ちつける。
パンッ!パンッ!パンッ!と軽快な音を鳴らし、先までよりも激しく、正確に、奥へ奥へと、突き入れる。
「っあ!やっ!・・っあっあ!!・・っひ・・っきが・・やくん・・・・っ」
「・・っなんだ」
「はっ・・はげし・・っ!・・あっ!・・っん・・っあ!」
「また・・っ・・抜いてほしいのか?」
鼻先がつく程に顔を近づけて問う俺に、彼女は白く細い両腕を伸ばして俺の首筋へと抱きつくと、押さえつけられた頭を必死に振って否定の意を示す。
「やめ・・っん!・・っあ!やめ・・っないでっ・・・・っあ!」
「やめねぇよ・・・・っ!もう・・っ・・ぐちゃぐちゃにしてやる・・っ」
俺は自らの腰を彼女の秘部へとぴっちりと当てがい、掻き回すように、劣情に張り詰めた先端を彼女の最奥へぐりぐりと押し当てる。
「あぁあ・・っ!!・・・・っあ・・っあ・・っ!」
彼女が反応に僅かな変化を見せ始め、虚ろになりつつある表情は、じきにそれが近いことを窺わせた。俺は与える刺激を逃がさないよう、頭をしっかりと押さえつけて、意識を彼女の局所に集中させる。
「・・・・っがやく・・っ・・そこ・・っ・・だめ・・・・っ」
「っは・・っはぁ・・・・ここが、いいのか?」
涙目でこくりと僅かに頷いて見せる彼女に、俺自身の快感もいよいよ誤魔化しが効かなくなってくる。当たり前だが、俺だって最初からめちゃくちゃ気持ちがいい。気を抜いて自らの快感に意識を委ねれば、あっという間に果ててしまうだろう。だが、そう易々と果てる訳にはいかない事情がある。今俺は、彼女を眺めたいのだ。身体を重ねる度に、新たな彼女の
眼下で悦びに喘ぐ、雪ノ下雪乃が。
「はっ・・あっ・・ぁあ」
「はぁっ・・雪ノ下、答えろ・・」
「っあ・・・・っあ・・?」
「お前、おちんちん好きか?」
「・・っ!・・・・っそん・・な・・っ」
ぐりぐりと押し当てていたものを一旦引いて一呼吸、瞬間、パンッッ!と湿った互いの肌を打ち鳴らす。
「・・っぁあ!?・・っあ・・っあ!」
「っ・・好きか?」
「・・・・っす・・き・・・・っあ!」
「聞こえねぇ・・っ」
額からつたい落ちる汗が目に沁みる。彼女へと絶え間ない精力を注ぐ自身の身体から噴き出すそれはおびただしく、顎をつたい、腕をつたい、ぽたりぽたりと、彼女の身体へと落ちていく。
「・・好き・・っ・・っん!・・ひきがやっ・・・・くんの・・っあ!・・お・・ちんちん・・が・・・・っん・・だいすき・・っぁあ!」
「そうか・・俺のおちんちんが、大好きか・・っ・・・・雪ノ下、お前は・・っ・・本当、いやらしいな・・っ」
「・・っ!・・っいや!・・っあ!・・っちが!・・・・っぁあ!」
「っは・・はぁ、違わないだろ・・っ?」
ふるふると必死で頭を振る彼女が可愛い過ぎて、もう俺は歯止めが効かない。
「雪ノ下雪乃は・・っ・・虚言を吐かない・・だろ・・っ」
「・・っ!・・っあ!・・・・っぁあ!・・ごめっ・・なさい・・いやらしっ・・くて・・ごめんっ・・なさ・・っあ!」
「・・っは・・っはぁ・・澄ました顔でっ・・・・清楚なふりで・・っ・・・・騙してたのか?」
「・・っちが・・っあ!・・・・ちがっ・・ごめんなさっ・・い」
「悪い女だな・・っ」
「っひきがや・・っく!・・いや・・っ・・ごめっ・・なさい!」
ああ・・やばい。もう今が、最高にやばい。
眼下で必死に、あやまっているのか、喘いでいるのかわからない彼女に、脳が焼けつきそうだ。
無理矢理に抑え続けた俺の燻る衝動も、いよいよ限界が近い。
おそらく彼女も同じだろう。
ここが臨界点。俺は掴んだ彼女の頭を離し、右腕で抱え、左腕で身体ごと抱き寄せる。
細い。この細い身体がたまらなく好きだ。力一杯に抱き締めれば壊してしまいそうな儚さがある。
それが本当に、愛しいのだ。
抱き寄せた彼女を、俺の全身でがっちりとホールドする。
「・・っん・・あ・・ひきがやく・・っ?」
「雪ノ下・・壊れるなよ」
初めまして。夜明けのチョコレートと申します。
俺ガイルのエロに自分なりの感性で挑戦してみたくなり、書き始めました。ゆっくりではありますが、筆が乗り次第ぽつぽつ投稿しております。本作は処女作にあたり、現在、渋の方にてメイン投稿をしておりますが、こちらでも折りを見ての投稿をさせて頂きたいと思っております。よろしくお願い致します。