黒歌の眷属性活 作:こくもつさん
「どうしよう……」
私の口は、それ以外の言葉を発することができなくなっていた。
うわ言のように繰り返しながら、心の中には焦りと恐怖だけが積み上がっていく。そんな内心を誤魔化すように、路地裏の汚く硬い地面に横たわる大事な妹、白音の苦しげな顔を撫でていた。
白音は数日前からものも碌に食べられていない。何の病気なのか一向に良くなる気配がなく、それどころか咳も熱も悪化の一途をたどっている。最初は少し辛そうなだけだったが、倒れて動けなくなった今、息は引き攣ったように乾いて荒く、汗は乾く間もないほどの量。私と色違いの二股尻尾もぐったり伏せて動かず、とうとう声をかけても反応すら返らないまでになってしまっていた。
医者に診せ、路上なんかではなくベッドに寝かせてあげなければと思うが、浮浪児の私たちにはそんな当てもお金もないし、せめて薬だけでもと盗んできたあれこれだってもう使い果たした。再び盗みに行こうにも今の白音の病状、眼を離したら死んでしまいそうなほど弱ってしまった大事な妹を置いては行けない。その間に死んでしまったらと思うと、動けない。
だから『どうしよう』と、頭の中は意味もなく右往左往するしかなかった。
「ゲホッゲホッ……!」
「ッ!!白音!!」
白音が急に激しく咳き込みだした。増す恐れで思考がさらにぐちゃぐちゃになって、私は衝動的に白音を抱きしめる。火みたいに熱いその身体に覆いかぶさって、どんどんと近づき襲い来る寒気に身を震わせた。感覚が消えていく指先に白音の存在を繋げ止めるように、必死に強く握った。
もう私には白音しかいないのだ。父親も母親も失い、残った唯一の大切な存在。
そしてそれは、白音にとっても同じこと。私が白音を守れなくて、誰が白音を守るのだ。だから私は何があっても母親の代わりに白音を守ると、家を出たあの時に決意した。
だというのに、私は何もしてあげられない。苦しみ、刻一刻と零れ落ちていく白音の命を、見ていることしかできない。その事実に、心臓を掻きむしりたいほどの無力感が溢れ出る。
それでも尚、私にできることは何もなかった。
「……私じゃ、白音を……」
今までもこれからも、私が白音を守らなければ。内にあったそんな決意が、みしみしと音を立ててへし折れる。崩れ落ち、膨れあがって埋め尽くす。
押し潰される。
「………………
誰か……」
思わず出てしまった祈り。妖怪の身であるが、どこかの神様にでも通じたのだろうか。
通りのほうから、粗野な男の声が響き渡った。
「ったくよォ、どっかに眷属にできる女の一匹や二匹、落ちてねぇもんかなァ」
不意の言葉は、その時奇跡のように吹いた風に運ばれ、私たちのいる路地に吹き込んだ。あまりにもはっきりと、いっそ耳元で発せられたかのような音はしっかりと鼓膜に触れ、脳内で吹き荒れるパニックの混沌すら立ち割り届いた。導かれるように私の頭が持ち上がり、眼にした路地の出口、四角窓のような通りの風景の端に、ちょうどそこを横切らんとする人影を発見する。
私は半ば無意識的に白音を地面に下ろし、駆け出して通りに飛び出した。追いかけ左を向けば、男の背が二つ。その片方、執事のような恰好をした長身の男が、平坦な口調で呆れを言った。
「またこんな、往来で低俗なことをおっしゃる。下種野郎である事実が広まってしまいますよ」
「おい事実ってなんだ事実って。勝手にてめぇの主人の品格貶めてんじゃねェよ」
そしていい加減な調子で応えたもう一方。いかにも貴族然とした上等そうな衣服を身に纏う筋肉質な男。
あいつだ。確信する私の存在には未だ気付かず、目の前の二人は進みながら気のない会話を続ける。
「だいたい、そこらの平民にどう思われようが構いやしねェだろうが。俺は分家とはいえ貴族だぞ?子供の教育に悪いから黙れ、とかなんとか文句でも言う奴がいるってか?ほら見てみろ、どこにいるよ」
「彼らが貴方から眼を逸らすのは、貴方のガラが悪いからですよ。皆、面倒ごとに首を突っ込みたくないだけ、内心は軽蔑一色でしょう」
「なら別にいいだろうが。どうでもいい有象無象にまで媚び売るのはごめんだぜ。……恵まれない俺のちょっとした憂さ晴らしくらい大目に見ろよ。マジで女捕まえたら、お前らにも使わせてやっからよォ」
「そんなだから見つからないんじゃないですか?」
「んだとコラ。自分の欲望に素直で何が悪ィ。俺らは悪魔だぞ?」
と、執事の男を小突く筋肉質な男の言葉の中に、私は
そして目の前にいるこの男は、どうやら悪魔の貴族であるようだ。しかも眷属を探しており、女という条件も私は満たしている。
私が奴の眷属になれば、お金と権力が手に入る。なら、白音を救うこともできるはずだ。
思い至れば再び私の足は動き、気付いた時には男の腕を掴んでいた。
それから話はとんとん拍子に進んだ。男は私が眷属になりたい旨を言うとすぐさま頷き、己の屋敷まで私と、そして白音を連れ帰ると、要望通りベッドと医者を用意してくれた。さらに衛生面でよくないとお風呂に放り込まれた私は、ファンタジー物の大きなお城といった風貌通りの豪奢な浴室にてお手伝いのメイドさんに身体を磨かれるという落ち着かない経験をさせられた後、ようやく目通りが許された白音の、さっきまでと比べれば格段に安らかな寝顔に安堵することも叶ったのだった。
そして一通り白音を失ってしまうかもしれない恐怖を振り払うと、見計らったかのようにあの執事の男から声がかかった。無視できるわけもなく応じ、そして連れてこられたお香の香りが広がる寝室のような部屋で木椅子にふんぞり返っていた貴族の男に、私は手のひらに収まるサイズの物を二つ、押し付けられた。それは二つとも同じチェスの駒、
身体に力が溢れかえり、同時に背中、尻尾の付け根のちょうど上あたりからは蝙蝠のような皮膜の羽が生えてきた。
男の顔が隠す気もない厭らしい笑みに変わったのは、ちょうどその時だった。
「転生はうまくいったみてぇだな。最後の駒だったが、足りたようでようかったぜ。……おめでとう黒歌、これでお前は俺の眷属だ」
出会ってからこのお屋敷に連れてこられるまで、口の悪さに対する覚悟はできていたつもりであるが、しかしその口調に、私は思わず羽を触っていた手を止めてしまっていた。
男の荒くれ者の印象の裏から見えた、妙なギラつき。しかし私は思い至る前に緊張を取り戻した。一つ深呼吸をしてから男に向き直り、手をぎゅっと握り締めて、改めて危惧を呟いた。
「これで、白音は助かるのよね……?」
途中で気が変わったなんて言われてはたまらない。あるいは寝顔が安らかであるように見えたのは気のせいで、実はもう手遅れであったら、と。
しかし男は馬鹿馬鹿しいとばかりに首を横に振り、ポケットに突っ込んでいた手を抜き、脚を組みながら一枚の紙切れを取り出した。
「医者からの報告によりゃあ、大した病気ではねェそうだ。体力に乏しいため症状は長引くことが予想されるが、命に別状はない。適切な処置をすれば完治するまで凡そ二週間、だってよ」
「……本当に……?」
「んだよ、信じられねぇってか?……お前ら、猫又の猫魈っつったか。んなレア種族を診るのは初めてだろうが、妖怪ってんならこの冥界にも腐るほどいる。診断ミスはあり得ねェよ」
「………」
「信用しろ、俺は悪魔だ。取引、契約で嘘は言わねェ。お前の妹を治してやるって約束は、ちゃぁんと守ってやるさ」
断じ、カルテルと思われる紙きれを投げ捨てた。組んだ脚の上に頬杖をつき、舐めるような視線を私の顔へ持ち上げる。
「だから悪魔になったお前も、約束はちゃんと守らなきゃならねェ。わかるな?」
「……わかってるわ、マスター」
その視線と、さらに口角の上がった笑みの厭らしさ。加えて視界に入った男の股間の盛り上がり。
緊張の只中にあった私は、それを眼にしてようやく男の妙なギラつき、内心に気が付いた。
「じゃ、マスターの最初の命令だ」
その、
「脱げ」
マスターは、性欲処理のための眷属を求めていたのだ。
だから女である必要があった。そこに手を挙げた私。胸はあるし、自分で言うのもなんだが顔もいいし、客観的に見ても私は所謂“そそる”女であるだろう。白音を助けたいという私の願いがすぐさま叶えられたのも、たぶん退路を断つため。今の私は白音を人質に取られたも同然だ。
思えばお風呂上りに着せられた服だっていかにもそれっぽい。今まで着物と違って透けてしまいそうなほど薄手だし、だというのに妙にフリルだったりの装飾が多い。しかも上の一枚だけで、下半身はもっと頼りなく、レースまみれの下着一枚だ。裾で隠れてはいるが、気を抜いて尻尾を立てれば一瞬で丸見えだろう。
ふわふわの絨毯を踏む素足が、そのことに気付いて途端に心もとなくなる。白音と眷属化のことばかりに気を取られて、今の今まで気付けなかった。我ながら間抜けだと思うが、しかしどうであれもう遅い。
私にこの命令を断らせないため、企んだマスターの思惑から、私は逃れられない。
(けど……まあ、いっか)
しかし知っても、逃れたいとは思わなかった。
要するに、身体で白音の命を買ったのだ。なら全く高い代償ではない。むしろお得と言っていいだろう。
好きでもない男に身体を許す、という行為は、つまるところ凌辱。貞操観念の強い女なら忌避するのだろうが、生憎猫又でもある私にそんなものはなかった。例え妊娠なんかしてしまったとしても、父性なんてなくてもかまわない。
どれだけ乱暴にされるかということが少し不安ではあるが、それを除けばつまりマスターとヤるだけで白音を助けられるということだ。それにもしかしたら気持ちよかったりもするかもしれない。快楽を教授すればいいだけなのだから、つまり『お得』。
好条件だ。そう思えば体験への期待感すら湧いてきて、私は頬に熱を灯す少しの羞恥心ごと、思い切って薄い夜着の腰ひもを引っ張り、解いた。
それが未知のものであるという恐怖は、作った期待感を以てして蓋をした。
絹のような質感が肌の上を滑り、音もなく足元で蟠る。暖かい空気が取って代わって、辛うじて隠されていた私の素肌を撫でさすった。上の下着は元々付けていない。頬に上っていく熱を意識しながら、下も脱ぎ去った。
マスターのほうを見れば私の身体に釘付けだ。その視線を遮り隠したいと蠢く己の尻尾を抑え込み、私はどうにか艶っぽく微笑んで見せた。
「……どう?お気に召したかにゃん?」
猫なで声に媚び媚びの語尾まで付けて腰をくねらせる。顔がほてって赤くなっていることを自覚する頃、私の痴態をやらしい顔で見物していたマスターは、ようやく頬杖を解いて椅子から立ち上がった。
「ああ、満足だ。ようやく女の眷属を手に入れた……!」
嬉しそうに言い、マスターは私の目をじっと見つめたままゆっくりこっちに歩み寄った。自分よりも一、二回りも大きな男の身体が近付いてくる。着ている白シャツ越しにもわかるごつごつした肉体の圧迫感に、思わず足が下がった。
だが、一歩で止まった。しかしそれは自らの意思によるものではなく、身体が硬直したというだけのもの。
マスターの厭らしい表情に視線を捉えられていたために気付けず、不意に視界に現れた
でろん、という効果音が似合いそうなほど巨大な肉の棒。男の性器、端的に言えばおちんちんであった。
最もサイズはそんなかわいらしいものではない。長さは三十センチ近くあるだろう。私の腕ほどもある太さをも併せ持つそれが、ズボンのチャックから垂れ下がっている。黒ずんだ肌色で、キノコの傘のように膨らんだ先端の下、幹の表面にはいくつもの血管が浮いていた。
視界の下に出現し、もわっと饐えたような臭いを漂わせるそれに、もちろん私の注目は吸い寄せられた。第一印象は“臭い”と“怖い”。鼻を突く臭いと見た目のグロテスクさに、蓋をした恐怖が漏れ出して忌避感に変わる。
だが同時にそれは、妙に身体の内側、特に下腹部をざわつかせるものだった。ひとりでに湧き出した生唾を呑み込むと、動揺で動かない私に焦れたのか、少し苛立ったような声色でマスターが言った。
「何突っ立ってんだ。さっさとしゃぶれよ」
「………」
返事をする代わりに、私はマスターの足元に膝を突いた。するとちょうど顔の正面にくるマスターのおちんちん。濃くなる臭いと、まるで生き物のように――いや間違いなく生き物の一部であるのだが――むくむく反り上がって天を向いたそれを、私は覚悟を決めて手に握った。
途端にその鉄のような硬さと手を焼く驚くほどの熱量を感じるが、そこで止まれはしない。マスターの『しゃぶれ』という命令がどういう意味なのかは、ちゃんと理解している。
“ふぇらちお”というやつをやればいいのだろう。舌で舐めてやればいいのだ。私は固めた覚悟を以ってして、そのままマスターのおちんちんを口に入れた。
案外と柔らかい先端部分を咥え、口の中に広がったのは塩味と少しの苦味、そしてあの臭い。味覚と嗅覚と、そして触覚が全部おちんちんでいっぱいになって、自分がエッチなことをしているんだという実感がお腹の奥で燻る。その感覚に急かされて、私はつるつるとした肉に舌を這わせた。
そうしてやるなり、マスターが「おふぅ」と変な喘ぎ声を漏らした。
「こりゃあなんとも……舌のザラザラがキくなァ。さすが猫又だぜ、油断するとすぐ持ってかれそォだ」
「……
「だが……」
舐め上げながら頬を持ち上げ見上げるも、マスターの表情は想像と違って不満げ。
伸びた硬い手が、私の後頭部に置かれた。
「亀頭ばっかじゃつまらねェ。おい、竿も舐めろよ」
「……
とは、この先端の傘のことだろうか。ということは竿は……幹?
理解はしたが、しかし傘、亀頭の部分で口の中はもうぱんぱんなのだ。舐めろと言われてもそれ以上舌は伸びない。
それでもと言うなら、せめて硬くなる前のでろんとした柔らかさに戻してほしい。亀頭に埋もれて動かし辛い舌をもう一度動かし、もにょもにょ言ってやろうとした。
だがその間もなく、
「ああ……ったく、しゃらくせェ!」
マスターは突然、おちんちんを無理矢理に私の喉奥へ突っ込んだ。
私の頭を髪の毛ごと掴んで、思いっきり腰を突き出す。顔がマスターのズボンに叩きつけられ、鼻がチャックの中のより濃い臭いを嗅いでしまう。それにくらっとして増す甘い疼きも意味はなく、食道までもを一息に貫かれた嘔吐感と管を肉の質量で埋め尽くされた窒息感が、私に反射の行動をとらせた。
つまり命の危機を感じた私はなりふり構わない全力で、思わずマスターの身体を突き飛ばしてしまっていた。
その甲斐あって杭は遡ってずるりと引き抜かれ、私は後ろに倒れ尻もちをつく。続けて喉元にせり上がるすっぱいものを必死にこらえながら、波の合間に咳き込みつつ呼吸して、どうにかある程度落ち着けると、私は二、三歩分押し退けられるだけで留めたらしいマスターに、眉を吊り上げ声を荒げてみせた。
「なっ、何すんのよバカマスター!!殺す気!?」
「……は!?『何すんの』はこっちの台詞だろォがこのバカ猫!いきなり突き飛ばしやがって……ただのイラマチオじゃねェか」
しかしマスターはこたえた様子もなく、半ば呆れ顔で息を吐く。その『これくらいで何を喚いてるんだ』と言わんばかりのため息は、“いらまちお”という単語共々、私の動揺を冷やした。一片の疑いもなく『普通のことだ』と言われてしまえば続く文句は揺らぎ、嘔吐感と一緒に喉の奥に消える。
ぎゅっと口を噤みながら残った息苦しさも噛み殺すと、マスターが不意に私の腕を掴んで引っ張り上げた。今度は何だと困惑のまま歩かされ、と思えば軽く三人は一緒に寝られそうなほど大きなベッドの上に放り投げられる。躓きそのまま貴族っぽいレース飾りの付いた真っ白のシーツに倒れ込み、柔らかなそこへ埋もれた。そして慌ててうつ伏せの身体をひっくり返して、零れる警戒心がマスターのほうを見やった。
思っていたよりもずっと近くに、その顔はあった。というか、至近距離。仰向けの正面ということはつまり私の真上であり、一拍遅れて私はマスターに覆いかぶさられていることに気が付いた。いつの間に脱いだのか、彫刻のように整った筋肉質の胸板が眼前に立ちふさがっている。
私の脇の下でそんな重そうな肉体を支えていた、同じくごつごつした両腕が、片方私の脚に伸びた。かき分け、広げられたお股の間に、マスターの下半身が侵入してくる。私のよだれでテカテカのおちんちんが眼に入る。亀頭が、私の割れ目に触れる。
思わず身体が強張った。
「まァ、いい。前戯にゃ十分だろ。……おい、力抜け」
言うマスターのおちんちんが、私の中へ押し込まれ始めた。肉を穿ち突き進まんとする熱い杭が、徐々に徐々にと奥へ進む。
そこにはやはり、
だが苦痛は『普通のこと』であるのだ。初めての連続はいつの間にかそんな固定観念を作り上げ、またも文句を封殺した。白音のためにも頑張れと自分を元気付け、次の瞬間、おちんちんに中を突き破られる一際強い痛みに、強く歯を食いしばった。
「っふぅ……やっと挿入ったぜ。締め付け過ぎんだよ黒歌、力抜けっつってんだろ」
「……む……りぃ……」
痛みと、深くまでに杭を打ち込まれた圧迫感に喉を押し潰されながら、それでも繰り返される命令になんとか首を振った。だがマスターの表情は私の必死に曇らず、なぜか片眉を上げ、ガラの悪い笑みを取り戻した。
「はぁん……なるほど、無理か。そうかそうか。黒歌、もしかしてお前、粗チン野郎しか相手にしたことねェのか!ははッ!そりゃ不運だったなァ、満足にイったとこもねぇんじゃねェの?」
「そう、ね……マスターみたいなおっきいの……初めて、だにゃん」
嘘は言っていない。しかし真実でもなかった。薄々感づいてはいたが、やはりマスターは私のことを経験豊富な女であると思っているようだった。
頑張って妖艶に微笑んだ。
「そりゃそうだろうなァ。そこらの庶民のチンコとくらべりゃ、俺のでかチンポなんて別世界だろ。……面白れェ、決めたぞ。喜べ黒歌、哀れなお前に免じて、今日は徹底的にやってやる。今まで相手にしてきた男どもがクソに思えるくらい、頭バカになるまでよがらせてイかせてやるよ……!」
「……え……へへ……うれしい、にゃん」
ぎらつくその眼と、中でびくりと震えたおちんちん、でかチンポに眉が下がってしまいそうになるが、耐えて笑みを守った。
しかしやはり頭の中は恐怖で埋め尽くされる。己に突き刺さるおチンポの存在と、欲望丸出しの獣みたいなマスターの様子。このままおチンポに突き殺され、食べられてしまうんじゃという、ありえるはずのない怯えが真剣に私の精神を蝕んでいた。
それらに耐え、中で身動ぎするおチンポに刺激される傷口の痛みも呑み込んだ。その直後だった。
「それは少し難しいと思いますよ、主様」
私をこの部屋に連れてきて以来、ずっと静かに扉の傍に控えてきた執事の男が、ふいにそんなことを言った。
今まで置物のように気配を殺していた彼の突然の主張。私は思わず目を瞬かせ、マスターも驚いて腰の動きを止めると、訝しげに顔を歪めた。
「あ?んだよ難しいってお前……俺のテクが――」
「いえそうではなく」
と、執事の男の視線が、マスターから私へ向く。そしてすまし顔のまま、あっさりとそれを言った。
「彼女、処女ですから」
「……は?」
間抜けに半口を開けるマスター。飢えた獣の気配は消し飛ばされてしまったようで何よりだが、しかし、だ。
「……嘘つけよお前。スラム同然のあそこで、これほどの上玉が新品のまま残ってるわけねェだろうが。クソ共が群がらないわけがねェ」
「それをすべて跳ね退けるだけの力は身についていたんでしょう。転生の際に
「だが……マンコも締まってはいるが
「ほとんどは血です。大体、私がその類のことを間違えるわけがないでしょう」
「……マジじゃねェか。なら、そりゃそうだが……」
解され、明らかになったマスターの疑念が、私に向けられた。
「おい黒歌、お前マジで処女だったのかよ」
「そ、そ……の……」
執事への信用でもうすでに確信にまで至ってしまったその質問に、私は何も答えられなかった。
処女だと言い続けられるはずがないだろう。だって“経験豊富な女”を自称するのは全くの嘘。自慰はしたことがあるが、事実私の初めてのセックスは今だったのだ。
そのことを、マスターは私の泳ぐ眼で理解してしまったらしい。ため息を吐き出した。
「……マジか。フェラもイラマもドヘタクソだったんはそういうことか。見事に騙されたぜ畜生が」
「っ……!」
『騙された』ということは、約束破り。つまり――白音を治すという約束も、なかったことにされるのではないか。
すぐに思考はそこにたどり着き、怯えた。眉が寄っていくマスターの表情に怒りを見つけ、たまらなく怖くなる。
そうやって真上のマスターの顔色ばかりに気を取られていたから、いつの間にかベッドの傍まで近づいてきていた執事の男に、私はつい息を呑みこんだ。
「性技を受けて気付かないのもどうかと思いますがね。それで、どうしますか。まだ『頭バカになるまでよがらせてイかせてやる』つもりはおありですか?」
「うるせぇ馬鹿。わかってんだろ。……仕方ねぇからな、使え」
「舌がよかったんでしょうが、恥ずかしいからって当たらないでくださいよ」
言葉が切れ、突然持ち上がって離れたマスターの顔の代わりに執事が割り込んできた。無表情の瞳が私をじっと見降ろし、静かに瞬きをした。
「失礼、私の目をよく見ていてください」
何なのだと、言葉は出ずとも困惑する他ない。しかし同時に怯えてもいる私は、マスターからの命令でなくとも従順に従った。じっと凝視する。するとその赤い目が、ふと朧げに妖しい光を灯した。
何かが、目玉を介して私へと流れ込む。そんな感覚がした。そしてそれは、すぐさま身体に表れた。
「あ……え……?」
おチンポに与えられていた痛みが、奥に溜まっていた疼きに蹴散らされる。膨れ上がって量を増して、やがて痛みすら巻き込み、あっけなく天辺へと登り詰めた。
「わ、たひ……イって……?」
私の身体は何の脈絡もなく、いきなり絶頂を迎えてしまっていた。
どこを弄ったわけでもなく、それどころか性感すらなく痛いばかりだったというのに、痙攣して独りでに持ち上がる下半身。そのまま頭の先から足の先、ベッドと背中の間に埋まった尻尾までもを貫く甘い痺れを自覚しながら、しかし私は理解が追い付かない。
追いつくはずがない。すっかり紅潮し、怯えを快楽で塗りつぶされてしまった肉体で、唯一取り残された脳味噌は呆けたまま、上り詰めた先に弛緩してベッドに落ちた自分の腰を見つめて呟いた。
「にゃんで……おっぱいだけで、わたひのかりゃらだ、いきなり、気持ちひいのが……」
舌まで溶けてしまってまともにしゃべれない。しかし頭の中を埋める疑問はマスターたちに届いたようで、またその口角が高く上がった。
「キくだろ、淫魔の魔眼。枯れたババアも一発で天国行きにするシロモンだ。わけがわかんなくなんのも当然だな」
「いん、まぁ……?」
「ええ。私、元淫魔の転生悪魔なので」
そう言う執事の男は息を吐き、一歩退く。離れたベッドの縁にマスターが再び腕を突き、獣の歯を剥いた。
「俺は約束を守る悪魔だ。きっちり、頭バカになるまでよがらせてイかせてやらなきゃ、名が廃るってモンだ。だからってこんなチートに頼るのは気が進まねぇが、お前のためでもあんだよ。今回限りにしてやっから大目に見てくれや」
「わたひ、の、ため……?」
「ああ、要は超強力な催淫だからな、痛みすら快感に変えてくれる。……こんなふうになァ」
言うなり、マスターの片手が私の胸を鷲掴みにした。そして言葉の通り、遠慮なしのその力が私に与えたのは、絶頂の電流だ。
「あッ――はぅぅぅッ!!?」
あっけにとられる脳味噌すら、とうとう弾き飛ばされた。手のひらに押しつぶされる乳首が擦れ、私の喉から悲鳴に似た嬌声が響く。刺激された性感帯が生み出す、さっきの比にならないほど深い絶頂に、私は完全に自身の自由を失った。
……ぷしっ、ぷしゃぁ……
緩んだ下をどうにかすることも、もうできない。鮮烈な、殴りつけられるような快感で栓が開き、それが身体を貫き抜け出た後も、今度は胸に食い込む節くれだった指の感触が余韻を長く緩く引き延ばした。私を快感の夢見心地に捕らえて、お股を濡らす温かいものを止めさせてくれなかった。
「ハハッ、なんだ、今度は盛大にイったなァ、黒歌。うれションまでしやがって……メス猫が、俺にマーキングでもしたくなったか?」
「……ご、ごめん、にゃひゃいぃ……」
「……あ?」
マスターの言葉は快楽に侵されほとんど聞こえていなかったが、私は半ば無意識の中、うわ言のように繰り返した。
「おふとん、よごしひゃってぇ……」
「おいおい、そんなイキ顔で……へへ、なあおい黒歌、おねしょの心配よりも先に、俺への謝罪はどうしたよ。お前は俺にションベンひっかけたんだぜ?優先順位ベッド以下ってのは、俺もどうかと思うんだがなァ」
徐々に思考が戻ってくる。絶頂の反動で弛緩しきった身体をどうにか起こして見れば、ちょうど踏ん張った分、ぴゅるっと飛んだ黄金色がマスターの下腹部、私の中にあるおチンポの草叢にかかってしまうその瞬間。
バカでもわかるほどの、明らか礼を逸した行為だ。己の主人への狼藉。とんでもないことをしてしまったという理解は、もちろんできた。
ただ同時に快楽に焼かれた私の脳味噌は、眼にした光景に背徳的快感と、そして自身に埋まったおチンポの存在を意識してしまった。思い出すあのサイズ。あれが根元まですっぱり私の中に納まっているのだという事実。
苦痛というノイズがなくなり、はっきりとそこにあるおチンポを感じてしまう。お腹が、奥の子宮が熱くなり、みっちり押し広げられるその圧迫感が、芽生えた不安に反して声色を艶っぽいものへと変えてしまっていた。
「ご、ごめんにゃさいぃ。どうしても、我慢できなかったのぉ……」
間延びした猫なで声、いやマスターの言う通り、もはや発情したメス猫同然のものだったろう。しかしマスターは、だからこそさらに機嫌よさげに低く笑い、また私の胸を揉みしだいた。
「駄目だ、簡単に許してやるわけにゃいかねェ。しかもそんなガキみてぇな理由じゃ……黒歌お前、俺の眷属をクビになっちまうかもしんねぇなァ」
「ひぅ……!そ、それは、いやッ……ぅんッ……」
こねくり回され、形が変わるたびに次々快楽の電撃が襲い来る。必死に否定しているつもりなのに、出るのは甘い喘ぎ声ばかりだ。身体も声も、恐らく顔も、もうあっさり快楽に屈してしまった。
だがそれでもこれだけは避けなければならないのだ。止める力もとうに溶かされたというのに、絶え間なく私をイかせるマスターの腕を掴みながら、私は必死に首を振った。
マスターはそんな私を面白がるように、もう片方の手を今度は下半身に伸ばした。触れ合う二人の草叢の狭間、接合部のほど近くで興奮に立ち上がる小さな肉珠。敏感な私のお豆が、指のざらついた皮膚に撫でられた。
「はひゅっ……!あ……だ、みぇ……ッ!」
乳首の時よりは僅かな刺激だったが、それでも身体はたちまち絶頂にまで導かれた。反応する身体がビクビク跳ねて、それでもとめどない快楽が手足の指がぎゅっと丸める。
じわじわとゆっくり炙られるようなそれに、私の中から液が滲んでおチンポの隙間から溢れ出た。マスターはそれを眼にしてニヤリと笑み、嘲るような口調で言った。
「クリがお気に入りらしいなァ、雌汁がドバドバ出て来やがる。だがそれでも……黒歌、クビは嫌か?そりゃそうか、クビになっちまうってことはつまり、俺との契約を守れなくなっちまうってこと。……大事な妹を守れなくなるってことだもんなァ」
「あ……ひん……っ!だめ……し、しろにぇは、わたひがまもらなきゃ、んぅっ!」
「だが黒歌、今のままじゃ守れねェ。俺はもうお前の望みを叶えるために動いた。その対価、負債をお前が払えねぇってこたぁ……わかんだろ?白音に払ってもらうしかねぇってことだよ」
白音が、私の代わりにマスターに犯されるということだ。
それは――
「ぜったい、ダメ……しろねは……ダ、メぇぇッ!?」
最後に乳首とお豆、クリをぎゅむっとつねられて、またおもらしを我慢できなかった。目の奥に星が散り、激しい絶頂がお腹の奥の熱を爆ぜさせておしっこの栓を破壊した。もう出し切ったと思っていたのに噴水のように溢れ出し、勢いよくマスターに当たって飛び散る。そのしぶきをお腹に浴びながら、しかし快感に焼かれた私の頭はそのことにも、そしてマスターがようやく私のおっぱいとクリから手を離した事にも気付くことなく、手足と身体を投げ出して柔らかなベッドに沈みこんだ。
意識はもう半分飛び、身体の感覚も強すぎた絶頂にほとんどが消し飛ばされてしまった。がしかし一部、じんじん熱い乳首とクリとお股の熱水、そしておマンコをじわじわ蝕む圧迫感の快楽はむしろ強く感じて、それを頼りに私はギリギリ、鼓膜に触れるマスターの言葉を理解した。
「ハハッ、潮まで吹きやがって!……だがまだ妹ばっかり考えてやがんだな、黒歌。なら……自分がちゃんと有能だってこと、示してみな」
定かでない視界に、いきなり何かが入り込んだ。ずいっと突き出された棒のようなもの。覚えのあるような臭い、によく似た饐えた生臭さ。
おチンポの臭いだと、痺れて鈍い頭が認識すると、視界のそれも明瞭を取り戻した。ただ、サイズは一回り小さいように見える。それに形も色も、知っているマスターのおチンポとは少し違うような気がした。
それが何故かなど考える能力は既に焼かれ、己の膣内に埋まったままのマスターのおチンポが眼も前にあるはずがないことも、となればこの室内にある他のおチンポは一つしかないことも気付けない私は、その威容を追って横倒しになった視界で、じっとそれに見入った。
「フェラして、イかせてみろ」
鼓膜を介し、真っ白の脳内に響くマスターの命令。私は何の疑いもなく従って、近づいてくるおチンポを、首を伸ばして咥えた。
やはり記憶と少し違う舌ざわり、亀頭も苦なく口の中に収まり、明らかに違う苦じょっぱい味と臭いが充満した。だがそれでもおチンポであることに変わりはない。頭は元より身体もしっかり反応し、興奮が戻り始める。
徐々に覚醒していく私の意識に、マスターの命令が続けて響いた。
「カリ、亀頭の下のでっぱりを中心に、舌全体を擦り付けるみてぇに舐め上げろ。んで吸い付きながら、頭を前後に動かせ」
言われた通り、舌と首を動かした。力が入らずノロノロとだが、口の中で肉の笠の縁を舌でなぞる。下の仕切りみたいな筋がある部分は腹で、上のなだらかな坂が広がる部分は背で、余すところなく磨き上げながら、同時にストローみたいに吸った。
吸い上げ、喉を通るのは最初ほとんど私のよだれだけだったが、次第に最初に感じた苦じょっぱさが増してくる。同時におチンポ自体も段々鉄のように硬くなっていき、そしてとうとうぶるぶる震え始めた。
そのことに、おぼろげながら不信を感じ始めた、その直後。右耳、横倒しになった頭の上の方から、熱に浮かれたような丁寧口調のうめき声がした。
「――出ますよ……っ!」
瞬間、震えるおチンポの先から勢いよく何かが発射された。
「――っっ!?」
苦くてしょっぱくて、何より酷く生臭い液体が喉の奥に叩きつけられた。そしてその奔流は、びっくりするほど熱かった。
それに量も多く、半分ゼリーみたいに粘度が高くてねばねばだ。発射された勢いのまま流れ込んだ最初の一波で喉が詰まり、口の中に溜まってたちまちいっぱいになる。おチンポを伝って口の端から溢れ、飛び散ったその臭いが私の鼻に広がった。
食べたことはないが、スルメのような臭いだった。あるいは栗の花か、しかしどちらにせよ、その臭いは私の“女”を深く貫いた。疼くお腹、子宮がぎゅっと締め付けられるよう熱を持ち、痒さにも似た激しいものへと変わっていく。
直接手を突っ込んで掻きむしりたくなるような、そんな感覚だ。心臓がどくどく高鳴って、全身が興奮で茹っていくのがわかる。私はそんな感覚を味わいながら、半ば無意識に、それをもたらした口の中の液体、精液を、必死に呑み下していた。
「へえ、言われずともゴックンまでやるか。感心だなァ、やればできるじゃねぇか黒歌」
ふと、頭に何か硬くて柔らかいものが乗った。おチンポが引き抜かれ、若干咳き込みながらそっちを見やると、それがマスターの手であることに気が付いた。
伸びた手が、私の頭を撫でていた。相変わらず厭らしい顔が誉め言葉を口にしている。認識して、ちょうどすべての精液を胃に収め切った私の頬が、勝手に解けて喜びの形に持ち上がるのを自覚した。
だがすぐに、それは
「そうやって奉仕ができる限り、白音の出番はなしだ」
ずるるるっ……
中を押し広げて居座るおチンポが、引き抜かれ始めた。
引き裂かれる痛みの中で入れられたマスターのおチンポは、今まで一つも動かずずっとそのまま埋まっていた。催淫で痛みが快感に変わったことも相俟って、私はいつの間にかその存在に慣れてしまっていた。
おチンポとおマンコの境界線すら忘れかけるほどだったのだ。それくらいべったり抱き合っていた肉をいきなり引きはがされて、あっさりイってしまうとは思ってもみなかった。
「へ、あ……イっちゃ、ああぁぁぁッッ!!」
「心配せずとも、大事に使ってやるよォッ!」
中を埋めるものがなくなっていき、おかしなことに喪失感でゾクゾク震えた。そして引き抜いた分、再び深く貫かれる。
意味のある声は出なかった。初めは入るのにも時間と苦痛があったのに、膣内に満ちた雌汁で、今は滑るように一瞬。そして、勢いよく奥を突かれるのがたまらなく気持ちいい。奥だけでなく周囲の壁も、亀頭に擦られて快感が溢れた。引き抜かれる時もそう、亀頭のでっぱり、カリが壁をガリガリと削ってくる。
抜いて、入れて、そしてまた抜いて入れる。マスターが腰を振って繰り返されるその連鎖は、たちまち今までの快楽を過去のものにした。
「なんてったってようやく手に入れた女ッ!ようやく見つけた俺たちの性奴隷なんだからなァ!たとえ魔王様に命令されたとしてもッ!手放してやるもんかよッ!」
「ひっ、ひどいぃぃッ!わたひ、どりぇいにゃんかじゃ……にゃ、んぅぅッ!」
鼻息も荒く私に腰を打ち付けるマスターの、そんなひどい言葉すら、今の私には興奮のスパイスだ。抜かれて突かれるその一ストロークごとに絶頂してしまうほどで、掻き出された雌汁とお潮が混ざり合い、接合部をびちゃびちゃに濡らしてしまっている。ぱちゅんぱちゅんと肉と体液が奏でる淫靡な音は繰り替えすごとにますます激しくなり、エッチすぎて耳と脳まで犯されている心地になった。
そういう要因が重なって、途切れない快楽は天井知らずに上がっていった。ずっと高みに上り続けて、しかし天井はいまだ見えない。イきすぎて苦しいほど痙攣し、強張ってベッドに擦りつけられる私の身体を、ふとマスターが持ち上げた。
背に腕を差し入れ、起こす。肌に重なるその感覚すら気持ちよく、それだけで少し絶頂した。広くて固い胸板に抱かれ、挟まれ潰されるおっぱいにまたまたイくと、マスターは私を抱いたまま、ベッドを跨いで立ち上がった。
マスターよりも一回り小さい私の身体は、足が床に届かない。抱えられた私を支えるのはマスターの腕と、そしておチンポだ。
「うっぎゅぅぅッ……!ま、まっひぇ、おチンポ、ふかしゅぎぃぃっ!!」
突かれた、なんてもんじゃない。子宮がおチンポに押し潰されている。
まるで串刺しにでもされているかのようだ。自身の体重が亀頭の天辺にかかり、内臓をえぐられる苦しみと、それをはるかに上回る快楽が私を襲う。腕も脚も尻尾も完全にそれに囚われて、言葉とは裏腹に抵抗もせず、だらりと垂れ下がった。
その脚の片方が、不意に持ち上げられた。内ももに手がかけられ、お股を開かれる。
だがそれはマスターのものではないだろう。マスターの肩に頬を押し付け、緩んで開きっぱなしの口から快楽の熱を吐き出し呼吸する私は、背から腰へ、そして尻尾をやらしく撫でまわすマスターの手に、私は辛うじてそれに気付いた。
ほとんど同時、四本目と思われる手が私の尻たぶに触れた。お肉を掴まれ、広げられる。お尻のすぼまりが外気に触れ、ひとりでにひくついた。
それらを感じて、だが私には以降の展開など全く予想できなかった。
「……あ、ひぇ?」
すぼまりに、何か熱くて柔らかいものが触れた。力が掛かり、ぬめるそれは抵抗もあっさりとすり抜けて、入ってしまう。
お尻に中に太くて熱い、例えるならそう、おチンポみたいなものが――。
「あ……あっ……おひり、だめ……いれりゅとこじゃ――」
「おしりじゃねェ、“ケツマンコ”だ。フェラとマンコの次はこいつを覚えろ。わかったな黒歌ァ!」
マスターの声が耳元で響き、脳に染み込むと同時、おマンコとケツマンコの腰ふりが再開された。
「んひ――いぃぃッッ!!?」
一突きで脳味噌が焼き切れた。おマンコはもちろん、ケツマンコのほうもすごい。本来決して入れるところではないはずなのに、おチンポが中を行き来して擦られる度、まるでずっと排泄しているような解放感に似た快感が、ぞわぞわと背中を這いまわる。亀頭が突く最奥、肉を隔てた子宮をおマンコと合わせて滅多打ちにされて、絶頂は二重に重なった。
「イくっ!!だめこりぇ!!すぐにずっとイきまくっちゃうぅぅぅっっ!!」
おマンコとケツマンコを、二本のおチンポにめくりあげんばかりの勢いでえぐり続けられる。おっぱいはマスターの胸板と暴れる私の身体で滅茶苦茶に潰れて形を変えて、ずっと私の背中を撫でている硬い手の感触すらも気持ちいい。
快楽は、もう処理できないほど大きく膨れ上がっていた。“気持ちいい”以外のすべてが頭の中から消え、理性も知性もなくした私はただ喘ぎ、犬みたいに飛び出た舌からよだれと一緒にだらだらと品性をも垂れ流す。お潮も留まることを知らず、ふわふわのカーペットに広がって濃密な性臭を発していた。
それがマスターの男の臭いと合わさって私の嗅覚を刺し、興奮してまた潮を吹く。繰り返されてトリップしまくる私を、しかしマスターは全く手加減もなくイかせ続けながら、荒い息を私の耳にぐっと寄せた。
「そうやって、お前はただ俺たちに抱かれてりゃあいい!ひんひん喘いでる限り、大事な白音は安全だ!もう病で死にかけることもねェ、衣食住だって俺が保証してやる!」
ガチガチに反ったカリがおマンコのお腹側を引っ搔いた。快感がまたさらに強くなり、ガクガク痙攣する両腕が縋りつくようにマスターの首へと回る。
マスターの手が、私の頭を抱きしめた。
「黒歌、お前はもう俺の
恐らくあの厭らしい顔で囁くマスター。鼓膜に直接注がれたその言葉は、絶頂で明滅してばかりの私の頭に不思議と支障もなく滑り込んだ。
字面だけ見れば頭がおかしいとしか言えない口説き文句だ。眷属から奴隷へ、しかもどうやら眷属内での共用と来た。こんなものに頷く女なんているはずがない。
だがそんな気持ち悪いばかりであるはずの言葉は、私の頭に流れ込んだのだ。
「約束は守る。これは悪魔の取引だ、黒歌」
それは私の身体が、何より心が、それでもいいやと安住の地を定めてしまったということだった。
「もひ……うそ、だったりゃ……」
イき続けて言うことを聞かない身体をマスターに擦り付けながら、私は最後のプライドを口にした。
「ぶっころして、かまやきにしてやるから」
「おう、全員ぶち殺せ、そんな悪魔の風上にも置けねェやつは」
機嫌よさそうに笑うと、マスターは腕を両方私の背中に戻した。力が込められ、より強く抱きしめられた身体が固定される。二本のおチンポのピストン運動も徐々に速くなっていく。
予感がした。でももう嫌ではなくなって、私は期待のままに表情筋をとろけさせた。
「そら、ラストスパートだ!盛大にイけよォッ!」
「『ぶち殺せ』然り、勝手に巻き込まれるのは不満ですが……」
両穴とも激しく突かれ、火が出そうなほど身体が熱く高まっていく。おマンコもケツマンコも乳首もクリも、全身が快楽の熱でいっぱいになる。
そして、
「食らえ、黒歌ァッ!!」
マスターたちと私のそれの全てが、同時に弾けた。
「いっ――くううぅぅぅっっ!!!」
灼熱が爆ぜ、おマンコとケツマンコの最奥に叩きつけられた。じゅわっと焼かれた淫肉がその快楽に泣き叫び、全身に伝わったそれで私の身体は今までにないほどの絶頂を極めた。
頭が破裂したと思った。寄り道を繰り返しながら高まり続けた快楽、ようやくたどり着いた頂上はその寄り道の比にもならず、それどころか比べることすらおこがましいほど激甚なもので全身をダメにした。
ただひたすら、多好感だけがあった。身体も頭もどこもかしこも気持ちいいの一色で消えて、脈動する中のおチンポの感触が唯一私の意識を繋ぎ止めた。
やがて吐き出される熱も止み、おチンポもゆっくりと抜けていった。ずろろろっと優しく掘り返し、そしてとうとう入り口の肉をカリに引っ掛けながらぬぽんっと抜け出てしまう。注ぎ込まれた精液も一緒に溢れ出し、しかし酷く濃厚なそれは滴ることなく内ももにへばりついた。
ふと、私を支えていた四本の腕が外れた。使い物にならない私の手足はもちろん身体を支えられず、ただの肉袋のような全身がベッドの上に墜落する。頬にべちゃっと湿った感触と、鼻を突くアンモニア臭。おマンコとケツマンコもぽっかりと口を開けたままでスースーしたが、強すぎた絶頂にマスターの思惑通りバカになってしまった私には気にする余裕もなかった。
だがやはり、余韻にも浸れないほどへとへとで半覚醒に陥る私でも、マスターの声だけはよく聞こえた。
「ふぅ……まず一発、だが全然たりねぇなァ。休まず二回戦と行くか、なあ黒歌」
「……ま、まだ……すりゅ、のぉ……?」
「あ?たりめぇだろ、今日は記念日だぞ?お前を手に入れた記念すべき日に、祝わねぇでどうする」
「それで何故セックスするんだ、という意味だと思いますが」
「んなことバカでもわかるだろ。祝い事には酒と飯と女!常識だろうが」
執事の男の冷静な指摘も呆れたふうに切って捨てる。そしてマスターはおもむろにベッドに片膝を乗せ、私の目の前におチンポを突き出した。
白い精液と泡立った私の愛液とでデコレーションされた肉棒が、私の唇に触れる。何とも言えない臭気。薄く開いて迎え入れ、チロチロ舐めれば先っぽの穴から精液が噴出した。
たちまちおチンポについていた私の雌汁の味も押しのけ、精液でいっぱいになる。勢い余って顔にもかかり、舌と鼻とで軽くイった。そんな私を見下すマスターが、歯を見せて私に獣欲を向ける。
「もうすぐ他の眷属どもも帰ってくるからよォ、仲良くしろよ、黒歌?」
マスターの目には、淫靡にとろけた私の喜び顔が映っていた。
初めてのR18。書いてる途中にエロとギャグの境い目がわからなくなるくらいには初心者ですがムラムラしたので書き切りました。またムラムラしたら続き書くので感想ください。