黒歌の眷属性活 作:こくもつさん
前話前々話で暴れ過ぎたので今回はおとなしめ。
産まれた淫蟲には
名付けはもちろん一応の母親である黒歌、ではなく最高の研究対象だと大喜びしていたマスターだ。名前の意味は、曰く趣味の研究に日の光を灯すかもしれない存在だから、らしく、モルモットのように番号か何かで呼ばなかったことは評価できても、やはり名前に込められた内容故に、黒歌の中でのマスターの評価は、結局差し引きで変わりなしだった。
ともかくヒトモは黒歌たちの家族に加わった。唯一一人、白音にはその素性を仕事中に拾った新種の魔物の子と説明する他なかったが、猫又によく似た見た目もあってか彼女が警戒心を抱くことはなく、むしろ妹ができたような気分であるようで、今ではすっかり姉になって世話を手伝っている。だから黒歌も、遠い昔に家を空けがちだった母親に代わって白音を育てた時ほどの苦労はせずに済んでいた。
が、いかんせんヒトモの食事は話が別。淫気、つまり性的な快感を覚えるような行為を白音にさせるわけにもいかず、おのずと担当は黒歌一人にならざるを得ない。眷属たちの性処理相手に加えてまた身体を酷使しなければならず、この数ヶ月でそれは降り積もり、最近はずっと疲れが抜けきらない程に疲弊してしまっていた。
現に今も、積み木遊びをしている白音とヒトモ、そろいの着物姿の二人を眺める黒歌は、木同士がぶつかるこつんこつんという音と二人の楽しげな笑い声を聞きながら、抗いようのない眠気に襲われていた。高級品だろうソファが持つ包み込むようなふかふか具合がそれをさらに助長して、舟をこぎ、段々と瞼と意識が落ちていく。
ちょうど落ち切るその直前に、黒歌の頬をヒトモの触手尻尾がぺしりと叩いた。
「――姉さま……姉さま……!」
さらに白音もが黒歌を揺り起こそうとする。さすがに瞼が開き、大きなあくびをしてからふと、黒歌はヒトモの尻尾が薄く粘液を纏っていること気が付いた。
壁を見上げ、時計を確認する。やはり時間ぴったりだった。
「あふ……ああ、もういつもの検査の時間なのね。一日が早いにゃん……」
「……あの、姉さま。ずっと前から思ってたんだけど……疲れてるなら、やっぱり私がヒーちゃんを連れて行ったほうが……」
「みぅ?」
“ヒーちゃん”と呼ばれ、白音を見上げたヒトモがこてんと首を傾けた。愛称を付ける白音と、それを認識するヒトモ。仲がいいのは何よりだがしかし、提案に黒歌は首を横に振るほかない。身体の凝りに伸びをしてから身を起こし、ヒトモを抱き上げ膝に乗せる。
「いいわよ別に。身体検査のついでにヒトモにご飯あげてくるだけだしにゃん」
「でも……」
納得のいっていないらしい白音だが、黒歌もこればかりは譲れない。検査はともかくご飯はダメだ。
白音も、黒歌と違ってまともな感性を守っているのだから、まさか妹のように思っているヒトモに犯されたくはないだろう。わかってくれと願いつつ、黒歌は尻尾を腕に巻き付けるヒトモの、早く行こう言わんばかりのまんまる眼に苦笑して立ち上がった。
「……ヒトモはこんな姿でも魔物だし、私たちとは食べるものも違ってアレだから、白音が見るにはまだちょっと早いにゃん」
グロいとか、そっち方面に捉えてくれることを期待して、せめてもの理由を言う。それだけして部屋のドアを開けると、最後に後ろ目で安心させるように笑いかけた。
「お姉ちゃんに余計な気を使うんじゃないの」
それでも心配の表情が取れなかった白音から仕方なく眼を離し、黒歌はそのまま自室を出てると、ため息とあくびをごちゃまぜにした息を吐き出した。
そうして足早に屋敷を歩き、たどり着いて後ろ手にドアを閉めた。そこはいつものヤリ部屋――ではなく、その地下にある物々しい雰囲気の研究室だ。
周囲に所狭しと設置されている、用途の知れない器具や機械、さらに何の研究なのか円柱の水槽に浮いている肉々しい謎の物体などはいよいよ不気味さを感じるほどで、何度も訪れているが相変わらず身が冷える。
上のヤリ部屋のように気分が盛り上がる要素は、一見して皆無だ。が、ただ一つ、中央にポツンと一つ置かれている手術台のような椅子。これもやはり色気など微塵も感じない武骨なものだが、それは検査の終わりに、ヒトモが黒歌を犯して淫気を吸うためのものだ。ヒトモが生まれて数ヶ月、毎日犯され母子相姦のインモラルと共に触手の快楽を教え込まれた黒歌は、もはや椅子を眼にするだけで期待を覚え、メス穴を疼かせるまでに調教されてしまっていた。
そしてそれはヒトモも同様だ。賢い彼女はとっくにしつけも完了し、奔放に触手や蟲を出したり黒歌を襲ったりしない代わり、この椅子のある部屋なら存分に犯して構わないのだと覚えてしまっていた。だからたどり着くや否や我慢が解かれ、黒歌の乳首に吸い付き触手尻尾を下半身に這わせ始めている。
小さな舌が乳首を転がす。母乳ではなく愛液をこそぎ出すような吸いつき方。ぬらぬらと蠢く尻尾が下腹部とお尻を粘液塗れにして撫でる感覚に小さく嬌声を上げながら、黒歌は身の内で高まる熱を堪えてヒトモを叱った。
「あっ……んぅ、もう……っ! ヒトモ、ご飯はまだにゃんっ……! いつもの検査を終わらせてから、でしょ?」
「みぅぅ……」
黒歌の腕の中で、ヒトモがしょんぼりと眉を下げて鳴く。乳首を弄んでいた舌と唇は離れ、触手尻尾も黒歌の太ももに巻き付いて止まった。
ちゃんということを聞く、いい子に育ったものだ。ほんわかと温かい心地が生まれて、黒歌はまたヒトモの頭を撫でた。
ヒトモは気持ちよさそうに目を細める。機嫌を取り戻し、そしてそのすぐ後、不意にその小さな身体が黒歌の腕から取り上げられた。
「そういうこった。もうちっと我慢しとけ、ヒトモ。特に今日はなァ。……腹いっぱいになりてぇだろォ?」
「……腹いっぱいって、ヤられる私を前にそういうこと言うのかにゃん?」
ヒトモを腕に座らせたマスターに、黒歌は腕から消えた温もりの代わりに腕組みをして、不服に鼻を鳴らした。検査を終えたご褒美扱い。それ自体にはまあ、気持ちがいいし文句はないが、こうもあけすけだと口がへの字に曲がってしまう。
加えてヒトモだ。彼女はマスターにもよく懐いている。その具合はなぜか黒歌に次ぐほどで、彼の首に抱き着き見せる嬉しそうな様子は、所謂“取られた”のような感情を黒歌に与えていた。
故の態度でもあったが、マスターは全く気にもしていない。モヤモヤする気持ちのまま、黒歌はため息でそれを追いだすと、手術台のひじ掛けに腰かけ周囲の器具を見渡した。
「それで……今日は何するのかにゃん? 昨日の続き? ヒトモがどれだけおっきな淫蟲を生み出せるか、記録の更新狙っちゃう? ……セーフティーに私の仙術がいるような実験、私も疲れるし何より心配だし、あんまりやりたくないんだけどにゃん」
「ん? ……あァ、それだそれ」
尻尾でじゃれつくヒトモに構いながら、マスターはおざなりに頷いた。黒歌の予想通りらしい。触手や蟲を創造できるヒトモ固有の能力、その上限の調査はここ最近のメインだ。
が、直後言葉が続いた。
「黒歌、お前最近“疲れてる”らしいな」
「……まあ、そうだけど」
いきなりなんなの。と、てっきり実験の準備が始まるのだと思っていた黒歌は眉を顰める。この数ヶ月間、心配どころか気にしたことすら、一度もなかったというのに。
しかし今になって、マスターはにやにやと笑っている。こういう時は黒歌の経験上、大抵ろくなことがないものだ。
「白音によォ、お願いされちまったんだよ。『姉さまが最近お疲れだから、お仕事を少し減らしてくれませんか』なんて、俺に直訴してきやがって。……泣けるよなァ、黒歌?姉冥利に尽きるってもんだ」
「……白音は心配過ぎてるだけにゃん。まあでも、免じてお休みくれるって言うなら、いっぱい家族サービスしてあげようとは思うけど……」
「あァ、姉想いの妹に免じてなァ……今日は黒歌、お前の方をメインに弄ることにしてやったよ。嬉しいだろォ?」
どうせそんなことだろうと、予想的中。悪い顔が黒歌に向く。しかも“弄る”ときた。
今までも散々に弄ばれ、眷属になる前と比べれば、肉体的にも精神的にもだいぶ変えられてしまった自覚はあるが……
「い、弄るって……?」
ああいうようなことを言っているのではない気がする。不安と、正直微かながら期待感を抱いてしまっている自分を自覚して、黒歌は息を呑む。
その時だ。突然、最初に入ってきた扉が勢いよく押し開けられ、現れた。
「主殿! 我ら三兄弟、準備完了でありますぞ!」
「ヒヒッ……ち、注文通り、く、黒歌だけのオ、オーダーメイド……」
「一日しか時間を下さらなんだから、大変でござったよ主氏! まあそれでもきっちり完成させてしまうのが、拙者たちが天才たる所以でござるがな!」
三人。いずれも眷属の仲間たち。小太り中年とやせぎす根暗とオタク眼鏡で、それぞれ魔術師、呪術師、錬金術師の兄弟だ。確か名前が――
「マルダン、ジルダン、レルダン、んじゃァ、後は任せたぞ」
そう、確かそんな名前。“検査”でも度々顔を合わせ、且つ性処理で何度も犯されてはいるが、しかしどうにも印象が薄い。三人とも元人間の転生悪魔で、他と比較して肉棒のサイズも射精量もしょぼいからだろうか。
ごく自然にそんな思考にたどり着き、下半身しか人を見ていないような己に黒歌の顔が少し赤くなる。そんな変化はともかく内心までは知る由もない三人。そしてヒトモを抱いたマスターは、その間にもう踵を返して三人と入れ替わりに部屋を出ようとしていた。
「ちょ……! 待って、もう少しちゃんとした説明を――ぅにゃんっ!?」
手が追いかけるが、瞬間振り返ったマスターは、返事の代わりに黒歌の胸を突き飛ばした。ついでにしれっと着物の中にまで手を突っ込んで揉みしだき、おかげで強張る黒歌の身体は中央の手術台にまで押しやられた。
足置き台に踵がぶつかり、尻もちをつくように座らされる。さらに衝撃で、乱された着物から胸が両方零れ出た。ヒトモに吸い出されて起ち上がっていた乳首も含め、見られたところで今更恥ずかしいとも思わないがしかし、不意のこと故に良識がすかさず飛び出してきて、隠さなければと腕で覆わせようとする。
が、直前、ひじ掛けから輪の拘束がせり出して、手首を捉えて縛り付けてしまった。さらに足首、腰、おまけに首までを拘束される。あっという間に身動き一つとれなくなって、そこでようやくパニックの声が出た。
「な、なにこれっ!? マスター!? これっていったい何のつもり――」
「じゃ、俺は外でヒトモの身体測定でもしてくるからよ、そっちはしっかり問題解決してもらえ。せっかくのコキ捨て穴が疲れていて使えませんなんて、冗談じゃねェからな」
「暴言にゃん! さすがにコキ捨て穴呼ばわりは傷つくんだけどっ! ていうか問題解決って、まさかマッサージしてくれるような雰囲気でも……あっ、む、無視しないでよ! 行かないでって……ひ、ひともぉっ!」
「みぃ!」
言うだけ言って部屋から出て行くマスター。最後の頼みとばかりにヒトモにも助けを求めたが、何を思ったのか彼女はマスターの肩越しに笑顔でバイバイと手を振るばかり。黒歌を救うものはなく、無情にも二人の姿は閉じたドアの向こうに隠された。
そうして残る、黒歌の周りを囲む三兄弟。その一人、長兄であるはずの魔術師マルダンが、ドアを見つめて呆然とする黒歌を優しく宥めた。
「ご安心召されよ黒歌殿! 普段はろくでもない愚弟たちではありますが、今回は他でもない黒歌殿の為でありますからな! 常日頃からお世話になっている愚息の分、気合も入るというもの! であるな! ジルダン、レルダン!」
「ヒヒ……ぐ、愚弟、かよ……。く、クソ兄貴……」
「しかし会心の出来になったというのは事実でござる。兄者たちのモノも。……まあ、拙者のコレの出来には遠く及ばないでござるが!」
忌々しそうな顔をしながら引き笑いするジルダンに続き、レルダンが自信たっぷりに言って懐から何かを取り出した。
黒歌に見せつけるそれは、サイズ的には小さい。摘まめる程度のものだ。手の指ほどの直径のリングと、それを横に貫く細い針。そしてその下には小さな薄青の石が瞬いている。
「ぴ、ピアス……?」
「その通りでござる! 女性というのは皆アクセサリーが好きなのでござろう?」
ステレオタイプの女性像に当てはめた知識のようだが、黒歌はどちらかといえば花より団子の健啖家だ。とはいえ装飾品が嫌いというわけではない。野良猫時代は縁のないものであったことも相俟って、その小さな輝きに興味を吸い寄せられる。
自身の耳にゆれる小さな宝石を夢想する黒歌。憧れで捕えられ、眼を離せないでいたが、その時ふと届いた舌打ちの音に意識を引き戻された。
「チッ……ぃひ、ヒヒ……れ、レルダン。じ、自慢してないで、さ、さっさと始めろよ……。それ、それに、お前が作ったのは、い、石の部分だけだろ。お、俺の協力がなかったら、アクセサリーなんてお、思いつかなかったくせに……」
「……まったくであるが、ジルダン、お主もしゃべっておらんで手を動かさんか!
ジルダンと、それを叱るマルダン。マルダンはその肉厚の手で私の真ん中、お腹に手を置き、もう片方の手に魔法陣を発動させた。ジルダンのほうも不貞腐れたふうだが一枚紙きれを取り出し、黒歌の着物を剥いで下腹部に張り付ける。
二人とも、集中が始まった。黒歌はその頃になって二人の会話の不穏な単語に気が付いて、当人たちの代わりに不服に俯き眼鏡を押し上げるレルダンへ、少し頬を引き攣らせながら訊いた。
「ね、ねえ……今、“肉体改造”って言ってたけど……」
「……ふむ? ……ああ、別に黒歌氏をサイボーグに改造するとか、そういうことではないでござるよ。拙者たちもこの天然物の柔肌を失うのは嫌でござるからして!」
復活し、レルダンは黒歌の腕を、隠そうという気だけはある情欲で見つめ、挙句に頬ずりしながら答える。こそばゆくて、黒歌は微かに喘ぎ声が漏らした。
それにまあ、気分もよくなったのだろう。あからさまに機嫌も回復して、オスの優越感で気持ち悪くなった顔がにやにやと笑う。
「く、黒歌氏はここ最近、疲労がたまって性交にも支障をきたすまでなっているのでござろう? 拙者たちが主氏に頼まれたのはその問題の解決だけでござる。つまりちょっと毛色の違うマッサージということで、間違っていないでござるよ黒歌氏!」
「……とてもそうは思えな――ひにゃんっ!?」
腕の肌を滑って、レルダンの手が唐突に黒歌の胸を強く握った。乳しぼりでもするような手つきが整った乳房の形を歪に変えてとがらせて、乳首がより大きく硬く勃起する。
いつもの手術台に座っているという条件反射が合わさって、黒歌の脳が一息にピンクに塗り替わった。メス穴から愛液の分泌が再開する中、期待のそれとなった眼がレルダンの次なる責めを催促するが――
「へ……? にゃ、なにぃ……?」
起ちあがった乳首をしゃぶるでもこねるでも指で潰すでもなく、レルダンが近づけてくるのはあの薄青のピアス。針がずれ、ちょうど指輪をはめるように乳首にリングが通されていく冷たい感触。
……そういえば、別にピアスって耳でなくても付けられるんだっけ。そう黒歌が気付くのと、リングが根元の乳輪までたどり着くのは同時だった。
「だからマッサージでござるよマッサージ。まあピアスであるからして、少々痛みが伴うのでござるが」
「あ……ちょ……」
「けど、一瞬でござる」
針の先が皮膚に触れ、そして一瞬で乳首をぐさりと貫いた。
「いッ……!? ひゃ、へ……?」
当然、痛みを感じて身体が強張った。肉を貫通されたのだから当たり前のことなのだが、しかしレルダンの言う通り、それは一瞬だった。
ぱちん、と、レルダンの指がリングに針を収めてピアスが固定されたその瞬間、痛みが一瞬にして快感に変わったのだ。
それは決して大きくはない。痛みに比例して小さな快感だったが、だが確かに甘い痺れが全身を伝っている。困惑が合わさって微塵も止められず、反応する身体が椅子の拘束に押さえつけられたままピクピク跳ねた。
そのせいでちりちりと鳴る片胸のニップルピアス。術が掛かっているらしいリングは縮まって根元を締め付けて、親指の先ほどの大きさにまで強調される突起が、緩やかにだが着実に黒歌の性感を高め始めている。
「な、に、これ……マッサージ、ってぇ……」
「気持ちイイでござろう! そしてそれを不思議に思っておられるご様子……ですが、仕掛けは至極簡単にござるよ! 拙者の錬金したその宝石によって、痛覚が快感に変わっているのでござる!」
エロい眼のまま、レルダンは左胸にも手を伸ばし、些か乱暴になって掴み取る。指が柔肉にめり込むほどの力で、さすがの黒歌も、普通であれば快感よりも痛みを強く覚えるはずだった。
が、
「にゃあっ……! な、なに、どうしてぇ……っ! 痛いはずなのに、なんで私のおっぱい気持ちい、いぃッ!」
痛みは全くなく、その分だけ快楽神経がビリビリ震える。悶える黒歌に手心の一つもないレルダンは乳首をぐにぐに弄って硬くさせ、起ちあがったピンクの肉粒にまたピアスをはめ、そして針を突き刺した。
痛みが快感に置き換わり、それがもう一つの宝石の分、倍増する。焦らされていた黒歌の身体はそれでいよいよ上り詰め、達してしまった。
「あっ、これ、うそ……っ! ピアスつけられただけで、私、い、イってるぅ……っ!」
ぴゅるっ、ぴゅるるっと、収縮する雌穴が愛液を噴出し、床を汚した。雌の臭気が立ち上り広がって、レルダンがこれ見よがしに鼻の穴を広げて嗅ぐ。
「デュフ、デュフフフ……! お、気に召していただけたようでござるなぁ、黒歌氏。拙者は嬉しいでござるよ。せっかくでござるからもう一つ……例えば、ここなんかにいかがでござるかなぁ……?」
「ひゃぅんっ! ……そ、そこ、クリトリス……っ」
手が、今度は乳房から脇腹、そして鼠径部をなぞってメスの性臭をぷんぷん放つ割れ目に到達する。興奮に解けてだらしなく口を開けるメス穴入り口の肉をにちにちこね回し、最後に陰核を摘ままれた。
愛液をまぶして揉みこまれ、あっという間に包皮から顔を出した媚肉がピンと反る。その屹立と一緒に黒歌が眼にするのは、僅かに土台のリングが小さめな、ピアスの三個目。
「それ……ま、まさか……」
クリトリスにも付けるのか。乳首の比ではないほど敏感な性感帯であり、神経も集まる陰核に針を刺して貫通させる。想像しただけで痛く、つまりそれだけ快感が押し寄せるのだと脳内で変換してみせた黒歌は、近づくピアスと陰核を凝視しながら身を震わせた。
それが恐怖なのかそれとも興奮なのか、黒歌自身もわからなかった。だがどうであれ変態性を露にしたレルダンは止まることはなく、見せつけるようにゆっくりと黒歌の陰核に冷たい金属を寄せていく。愛液で滑ったリングが根元を彩り、それだけで来るピリピリと来る快楽の、さらに大きな絶頂をもたらす針が触れる。
「コレ、ついでに催淫効果もついているでござるから、より一層イイと思うでござるよぉ……!」
貫通した。直後、
「ッッッ――!!?」
嬌声も上げられないほど激烈な、黒歌の想像以上の快感が全身を駆け巡った。
陰核が内側から爆発したかのようだった。絶頂なんてあっという間で、拘束されていることも忘れて暴れまわる腰が部屋中にメス汁とイキ潮をぶちまけた。三点のピアスも無茶苦茶に振り回され、快楽に泣き叫ぶ肉の上をあざ笑うかのように跳ね回る。
「すごいでござろう! これで黒歌氏は今後どんな扱いを、それこそボー氏のようなケダモノ交尾を受けたとしても、もう心配ないでござる。どれだけ痛みがあろうがその全てが快楽に変わり、しかも増幅されるのでござるから、全く辛い――ことはないと、拙者、思ったんでござるよ……? ホントでござるからして……」
小さな淫具に身体を乗っ取られ、三重に与えられる快楽に弄ばれる黒歌の絶頂は、その激しさだけを見るなら明らかに今まで味わってきた中でも上位のもの。当然、体力の消耗だってすさまじい。
明らかに、マッサージとは正反対だ。黒歌の疲労を解決する、という当初の目的を思い出したレルダンは一転、ギラついていた眼を彷徨わせ、トーンダウンして縮こまった。そう思うなら早く原因である陰核のピアスを外してほしいところだが、重たすぎる絶頂で暴れる黒歌の腰に怖気づいたのかなんなのか、レルダンは今までの威勢が何だったのか委縮するばかりで見ないふり。
そんな彼と黒歌を、揶揄うような調子の笑声がふと響いた。
「ヒヒッ……お、お前はそんなだから女に、も、もてないんだよ……。お、オタク野郎で、しか、しかもオナニー猿だからな……」
ジルダンは、黒歌の下腹部に張り付けた紙を骨ばった指でなぞるようにまさぐりながら、いつもの如く引き笑いをしていた。
比喩でなく貫かれるような快感を耐える黒歌はそれどころでなかったが、兄の嘲笑は、レルダンの気勢を少し戻した。
「だっ、誰がオナニー猿でござるか! 百歩譲ってオナニー猿だったとしても、それは黒歌氏が我らが盟友となる前までの話でござる! 大体、ジルダン兄者も女性にもてた経験など皆無でござろう!? いったい何十年屋敷に引きこもっているでござる!」
「ヒヒ、引きこもってても、お、お前よりはまし、だ……。ね、ネットにお、女のフレンドくらい、いる……」
「どうせネカマでござろう! ……それでも尚、兄者の方が女性の扱いに長けているというのなら……さあいったいこの状況、どうするでござるか!? このままでは強烈な絶頂で黒歌氏がイき死んでしまうやもしれんでござるよ!」
「ひっ、ふへ……あ、あんっ、た……ねぇ……ッ!」
確実に女性の扱いが云々の問題ではないし、私がイき死ぬとしたらそれはお前が原因だろう。怒鳴りつけてやるためにも、黒歌はようやく頂上から下り始めた陰核の痛み、快感を必死に噛み潰し、歯の隙間から押し出す。
だがもはや知らんぷりを決め込むことを決心してしまったらしいレルダンは、黒歌を見もしない。いや、気にはなっているようだが意識して無視しているようだ。
ジルダンはそんなレルダンを鼻で笑い、黒歌の顔を覗き込んだ。
「ヒヒッ……お、俺はあ、あんなバカと違って、し、しく、しくじったり、しない……そ、それに、もうかん、完成、してる……」
「なっ、なんでも……んうぅっ……いい、からぁ!はやく、コレ取ってぇっ……!」
「バ、バカ弟の後始末にも、な、なる。しん、心配、ない……」
カクカク揺れて突き出す、粘っこい本気汁が糸を引くメス穴。その突起に輝く元凶には一切眼もくれず、ジルダンは紙の上から黒歌の下腹部をグッと押した。ちょうどそこは子宮の直上。絶頂の負荷に震えるそこを押し潰され、黒歌は悲鳴と共に頤を反らす。
圧すジルダンの手に呪力が流れ、肌に染み込むような感覚があった。
「ほ、ほら……もう、お、終わる……」
「ひうぅッ!?」
じゅわっ、と痛み代わりの快感と共に肌の焼ける音がした。と思った次の瞬間、息が詰まるほどだった激痛の快楽がすぅっと薄くなっていく。驚くほど楽になって、真っ赤な顔のままあっけにとられる黒歌はジルダンが役目を終えた紙切れを剥がした瞬間、その下、自分の肌にそれを見つけ、別の意味での呆然で呟いた。
「刺青……」
「た、ただの刺青じゃ、な、ない……。じゅ、呪術的に肉体を侵食する、いわ、所謂、淫紋……。け、けどこれは、強すぎる快感を、かん、緩和、してくれる……」
確かにお腹に焼き付いたその紋様は、よくよく見れば官能的な意匠。妖しく輝く紫の線が、皮膚の下の子宮や卵巣をかたどったような淫靡なハートを描いている。
そして言葉の通り、快楽もずいぶん引いていた。そうして戻るまともな痛覚。乳首も陰核も、そうしているうちにだいぶピアスに馴染んでいたのか、もうじんじんと疼くのみになっていた。
「し、シンプルだけど、その、その分効力はちゃんとして、してる……。そも、そもそもレルダンのピアスは、こ、コンセプトがおかしい……。なんでさ、さらにイかせまくろうとしてるのか……」
「な、なにおぅ!? 性交での負担は減らせるでござろう!? それとも兄者、まさか“白音氏の言うまま黒歌氏に休息を与えよう派”でござるか!? それは満場一致で否決されたでござろう!」
「ヒヒ……か、快感も、度が過ぎればごう、拷問と変わりない……。そ、それに、満場一致なら、俺も反対したにきま、決まってるだろ……」
だから快感を薄める淫紋を黒歌に刻んだと、そういうことらしい。何やら腹立たしい多数決が黒歌の預かり知らぬところで行われていたようだが、それもまあこの際どうでもいいだろう。
それよりも、重大なこと。
「……ね、ねえ……んぅっ……! 和らげてくれたのは……ひにゃっ……い、いいんだけど……」
今、ピアスはもう痛くはない。だから普通に考えれば痛みを快感に変えるピアスの効果は発動しておらず、もう黒歌が快感を得ることはないはずだ。
なのにこの、依然止まらない身体の痙攣は何なのか。
「い、イくのは、いったいいつ治まるのかにゃん……っ?」
淫紋を刻まれてからずっと、強烈な絶頂の代わりに甘く小さな絶頂が、黒歌の身体を断続的に蝕み続けていた。
気持ちいいのは治まったはずなのに、実際まだ気持ちい。止まる気配すらない甘イキの連打で体力の消耗は変わらず続き、膣と子宮はキュウキュウ鳴って愛液を生産し続けている。零れ、たらたらと内ももを伝った先、足元で拡大を続ける大きな染みを眼にして、レルダンは鬼の首を取ったかのように騒ぎだした。
「ほらッ! ほら見たことかでござるよジルダン兄者! 大層なことを言って、結局兄者もイかせてるじゃないでござるか!」
「……あ、当たり前、だろ……。こ、この淫紋は、快感を減らすんじゃなく、う、薄く伸ばして広げる……。全くかん、感じず愛液も出ない身体にしたら、ろ、ローションなしじゃ、突っ込めなくなって……面倒くさい、だろ……」
「……それもそうでござるな」
「そこは納得しないでほしいにゃんっ……んぅっ……!」
つまりこの甘イキ、クリピアスの強烈な絶頂の分だけ長く続くということだ。まとめてイくか小分けにイくかという、それだけの違い。
むしろ休みなしでずっと続く方が大変な気がする。疲れを取ってもらえるはずがどんどんと悪化している現状に、一周回って黒歌の口から笑いが零れた。
「ヒヒッ……さ、さらに加えて、マンコと子宮の伸縮性も、きょ、強化されてる……。お、オルゴランクラスのデカチンも、ザーメンもな、難なく収められるはず……。ら、卵巣にも作用しているから、強制的にはつ、発情させて潮吹かせることも可能で、もうぬめり不足でマンコが傷つく心配も――」
「だからっ! ダメージじゃなくて体力がヤバいから疲れてるんだって!!」
あんたたちの性欲処理やヒトモのご飯でイきまくるのがしんどいっていう話なんだってば。
一息の内に凝縮して黒歌は叫び、さすがの二人もびくりと固まる。それを笑ったのは、三兄弟の最後の一人。
「ぐほほほほ! まさにその通り、愚弟たちは他人のことを考える能力が壊滅的でしてな! 説明されてもその意図をくみ取れんのです!」
長兄のマルダンは、手の中の魔法陣を輝かせながら笑った。弟二人は即座に文句を言うため口を開いたが、太い声がそれらを遮って覆い隠し、続ける。
「黒歌殿の問題は、働き詰めで休む暇がないということ! 愚弟たちがしたように快楽どうこうで誤魔化そうと、それは単なるその場しのぎにしかならんのだ!」
「……ヒヒ……じゃ、じゃあ、どうするんだよ……。ひ、否決されたのに、俺たち眷属が全員くろ、黒歌を犯さない日でも、つ、作るのか……?」
「い、嫌でござる嫌でござる! この極上の肉壺を知ってしまった今、とても右手やオナホなんかでは我慢できないでござるぅッ!」
鼻白んだふうに肩をすくめるジルダンと、何の憂さ晴らしかその肉壺に指を突っ込みぐちゃぐちゃとかき回してくるレルダン。さらにピアスの宝石が指に引っ掛かって引っ張られ、ぐりゅんと伸びばされた媚肉柱が淫紋を貫通するほどの快楽を叩きつけてくる。
「ともかく、黒歌殿に必要なのは性交への適応ではなく、やはり休息! しかしレルダンのように黒歌殿の肉穴を楽しめないとなれば不満を言うものが多数……というよりほぼ全員の総意なのである! 故にその手段はとれない。心苦しいですな!」
「心苦しいなどと……兄者、思ってもいないことをよくそうも堂々と言えるでござるな」
「きちんと心苦しく思っておるとも! 思っておるからこそ私は悩み、そして方法を見つけ出したのである! 思えば簡単なこと……性交の時間を削れないのなら、性交と同時に休めるようにしてしまえばいいのであると!」
「……ヒヒ……なんだ、そ、それ……。く、黒歌、ヤると疲れるってい、言ってるけど……ほ、ほら……」
「ひにゅぅッ!?」
リングに締め付けられる乳首を摘ままれた。ジルダンの細い指がまとわりつき、挟んで扱くように上下。なおも続くレルダンの手マンと合わせ、跳ねる黒歌の雌穴が潮を噴く。
「そこで思考が止まるから、
「……確かにでござる」
「しかし、あくまでその目的は食事なのだ! 我らのように性的快楽や性欲の発散が目的ではない! であれば黒歌殿を犯さずとも腹を満たせる手段を作ってやれば、自然と疲労することもなくなり均衡は正されるではないか!」
「ヒヒ……なる、なるほど……そ、そういえば、そうだ……。ひ、ヒトモのやつ、淫蟲だけあって責めはえ、えぐいから、な……」
「イかせるとかイかせないとか、そういうことではなかったんでござるね……」
「その通り!」
片手間に黒歌で遊びながら、和解した三人が頷き合う。そしてちょうどその時に、マルダンの手の魔法陣が輝きだす。
「故に吾輩が造り出したのは、黒歌殿とヒトモの間に魔術的パスを繋げる一品! 今までの検査データを基に生み出し、そして黒歌殿の情報も組み込むことで、今、完成したのである!」
魔法陣からそれが生み出される。それは小さな団子のような大きさで、丸っこく、肉のピンク色をしたもの。
「その名も
「だからぁっ! イきたくないって言ってるにゃん私はっ! ずっと休む間もなく気持ちよくされてるからしんどいんだって、何回同じ話をさせる気なのかにゃん!!?」
とうとう快楽もぶち抜いて、黒歌は爆発した。いきり立ち、身体に入った力が胸にも伝ってたぷんと揺れるが、その光景にもピアスにも淫紋にも、今は色気が生まれるはずもない。
三人とも硬直し、思いもよらない噴火にぱちくり瞬きをした。黒歌はさらにそこを睨めつける。
「どいつもこいつも私をイかせることしか考えてないようなエログッズばっかり……! 眷属仲間だしセックスもするし、ヤな感じになったら嫌だから我慢してたけど……言うにゃん!」
拘束される身体で目いっぱい上方から、言い放った。
「バカでしょあんたたち! ボーでももうちょっとマシな頭してるにゃん!マスターは優秀だって言ってたけど……嘘っぱちのただのおバカだわ! この三馬鹿!」
言ってしまった。その瞬間に、黒歌は気付いた。
何か、地雷だったらしい。
「……まあ、天才というのはいつの世も、凡人には理解されないものでござるから」
「……バカと、天才は、紙一重……」
「……その通りである」
一転、三人の表情が抜け落ちた。別の感情を無表情で隠しているのだと、その空気感から本能が瞬時に感じ取る。
普段はおとなしい奴らが怒るのが一番怖い。正直に言って下に見ている三人の静かな怒りを自覚して、虚を突かれた黒歌の頭はたちまち冷えて下手に出た。
「え……あの……そのぅ……さ、さすがに言いすぎちゃった、かにゃん……?」
「いえいえ黒歌殿。我ら三兄弟、己の不徳を恥じるばかりでありますぞ。ご教授いただき光栄の極み」
「……ここは、一つ……後学の、ためにも、徹底的に、指摘して、ほしい……」
「拙者たちの技のどこが悪いのか、ぜひ黒歌殿の身体を使って試させてほしいのでござる」
それなりに早い段階で吐いた言い訳の言葉は瞬時に切って捨てられ、息ぴったりに言うや否や、返答も待たずに三人とも動き出す。
ジルダンとレルダンが同時に淫紋と陰核のピアスを押し込み引っ張り、黒歌に吹かせたイき潮をマルダンの手の肉腫にまぶした。浴び、肉腫が脈動を始めると、それをマルダンは躊躇なく、黒歌の膣穴に押し込んだ。
「ひに゛ゃぅ……っ!?」
「まずは吾輩から。このローパーはヒトモをベースに作り出した故に寄生型でしてな、膣内に挿入するとすぐに肉と癒着し、同化するのです。快楽神経と繋がり、Gスポットのような性感帯に変化するはずですので、まずはその確認をさせていただきたい」
「ひ、あ……ゆ、ちゃ……っ!?」
驚愕の間もなく、黒歌の膣壁に肉腫を送り届けたマルダンの指が、次いで自身のズボンのチャックを下ろした。
まろびでる中太りの肉棒。内心を表して硬く反り返り、パンパンに膨れた亀頭の先端が、既に半開きのメス穴の入り口を探ってくる。ぬちぬちとメス汁と肉棒の我慢汁を混ぜ合わせるそれは決して大きなサイズではないが、しかし他の眷属たちへの対抗心から真珠を埋め込み改造されている一品。全方位に突起があり、性感帯になったらしい肉腫がどこにあろうと掻きむしれる形だ。
「……その間に、俺はもう一つ、彫る……。デザインは、どんなのがいいい……?」
さらにジルダン。下腹部に淫紋を焼き付けた紙を、すでに黒歌の乳房、北半球に当てている。その上を滑る指は様々な形の軌道を描いており、例えば卑猥な文字列だったり抽象化した肉棒だったり。
普段着の着物では、どうあがいても見えてしまう部分だ。流石に血の気が引いた。
「へ……? そ、そんな何個、もぉっ!!?」
マルダンの肉棒が、黒歌の思考を霧散させるために突き込まれた。とうにびしょ濡れの雌穴は容易く呑み込み、真珠の突起が想像通りに肉腫を抉った。
正しく、それは性感帯と化していた。快感が津波のように黒歌を襲い、突然のそれで押し出された空気を求めて口が開く。
突き出る舌が、レルダンにつままれ捕らえられた。
「おにぁっ!? ひ、ひたっ……!」
「そういえば、舌ピアスというのも中々エッチでよいと思うのでござるよ、拙者は。……ザーメンやチンポの味をおいしく感じる効果とか、面白そうでござる」
背が冷えた。自分が塗り替えられていく恐怖感。そして、被虐の熱。
それがとうとう、黒歌の中にあった上下関係を逆転させた。
「ご、ごめんにゃ、ひゃ――いひぃッッ!!」
だが誰も止まらない。マルダンは腰を振って黒歌を揺さぶり続け、ジルダンは施術を始める。レルダンも、舌を捕らえたまま片手で取り出したピアスの山を吟味し始めた。
すべてはもう手遅れで、この後黒歌は三人の気が治まるまで、好き勝手にいじくられ続けた。
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