「あの、みなさん来週の日曜日おヒマですか?」
ALOのログハウスでメンバーたちがお茶をする中、シリカが手を上げて周りにいるメンバーに声をかける。
「親が福引で旅行券を当てたんですけど、期日が日曜日までなんです……」
「へえ、どこ?」
キリトが促すと、シリカも説明を加える。
「温泉が有名なところなんですけど……」
『温泉!?』
詰め寄るアスナとリズベット。
「は、はい。女性にかなり人気のところらしいんですけど」
二人は目を爛々と輝かせたが、その後すぐに萎んでしまう。
「ごめん、その日バイト入っちゃってるわ。人が足りなくて休めそうにないわ……」
「私も、その日は実家の集まりがあって……」
「お、おおお二人はまた今度行きましょう!!」
この世の地獄を見た、と言わんばかりの二人に慌ててフォローを入れる。女性から温泉を取り上げるのは酷な話だ。
「シノンさんはどうですか?」
「ごめん、その日は別のゲームで仲良くなった子たちとオフ会なのよ」
「そうですか……」
淡々と断るシノンだが、耳が垂れ下がっているのは落ち込んでいる証拠である。
「俺も日曜は仕事だな。まったくサラリーマンは辛いぜ」
「あ、はい。大丈夫です」
「冷たくね?」
元から誘う気のないクラインを袖にして、次はリーファへと視線を向けるが。
「私も剣道の試合でさ……」
「ええー! 全滅じゃないですかー!」
オイオイと泣き崩れるシリカ。これだけいれば誰かはオーケーしてくれるだろうと思っていたのに、全員ダメなのは辛いだろう。
そんなときシリカの頭に救いの手がポンッと置かれる。
「俺でよかったらその日空いてるぜ」
「き、キリトさぁん!」
『お触り禁止!!』
アスナとリズベットから厳しく指摘が入る。
「ほんとアンタってそういうの得意よね。女の子をギリギリまで放置して優しくするとか」
「今のは不可抗力じゃないか?」
「女の子の頭ポンポンする男って、引かれるわよ」
「し、シノンさんその辺で……」
これでキリトがポンポンしてくれなくなったらどうしてくれるのだ。
「でもさすがに、キリトくんとシリカちゃんの二人っていうのは……」
「そうですよね、せめてもうひとりいれば」
本妻であるアスナからすればその状況は面白くないどころか不安しかないはず。自分がその立場だったら怒り狂う自信がある。
そこを押し通す、シリカは自分のことばかり考えてはいない。
「じゃあユイならどうだ?」
「私ですか?」
キリトが自分の肩の方を見るとそこに妖精の少女が現れる。AIだが人の心をもつ、キリトとアスナの娘だ。
「そっか、ユイちゃんについて行ってもらえれば安心ね。キリトくんが変なことしたら、真っ先に私に連絡してね」
「はい、ママ。任せて下さい!」
「どっちかというとシリカの方が危ないんじゃなーい?」
「もうリズさん! 自分が行けないからって!」
確かにキリトに迫られた抵抗はしないと思う。
「じゃあ今日は遅いし解散しようか。詳しいことはメールしてくれ」
「わかりました!」