『DRAGONBALL』から帰還した件! 作:成りきりコピー機
<イッセー>
聖女の少女との出会いから数日が経ち、俺は家の近くの公園に来ている。 今日は平日ではあるが普通なら学校で授業中ではあるが今の俺はどうしても脳裏を過ることで悩んでいた。
それは先日のアルジェントさんのことで引っ掛かっていたからだ。
彼女が赴任したとされる教会を調べてわかったことだが実に妙で… やはり、隣町の市役所に問いただしてみても、あの教会はここ数年人がいない上に閉鎖されて『立入禁止空域』に指定されているらしく、更に夜な夜な黒いフード被った怪しげな団体が教会の周囲に近付く輩が多数目撃されていると? 警察でも捜査はされたが…異常無しと断定されたらしいのだ。 やっぱり、夕麻いや…堕天使が絡んでいるのか?
それをドライグに問うと…。
『力を使ったんだろうな!』
力って、超能力でもあるのかよ?
『奴等は仮にも三大勢力の一角だぞ。 弱輩者でも一応は堕天使だからな…大方、人間の記憶を操作して、それがウソだと信じ混ませたんだろう。』
仮に堕ちたとしても天使だったから力は健在ってか?
それを産み出したこっちの神様ってのは放置状態かよ、無責任だよな?
それは兎も角、この件に堕天使が背後に暗躍しているのは明らかだけど…出来れば、俺がアーシアを助け出してやりたいけどな。
「あれ、イッセーくん?」
聞き覚えのある声で俺の名前を呼び、近付く足音が聞こえてくる。
それはなんとあの堕天使レイナーレだった…いや、今は人間の姿だから…夕麻ちゃんかな?
「夕麻…いや、レイナーレだっけ…。」
「あ~…別に今はレイナーレでも夕麻でもどっちでもいいわよ!」
話掛けてくる彼女に駆け寄り久しぶりの再会に雑談が始まった。 互いに手を取りながら夕麻ちゃんも感激していた。 積もる話は山澄だったが聖女のアーシアの無事も確認できた。
「本当に…ごめんなさい。」
突然、俺に頭を下げレイナーレは謝罪?
夕麻ちゃんは俺にことの事情を全て話してくれた…先ず、レイナーレはドーナシークっていう堕天使に脅されて無理矢理やらされていたこと、いつまでも下級ではなく、崇高な堕天使の一員となってアザゼルやシェムハザの役に立ちたいと。
そのアザゼルとやらは堕天使の総督でシェムハザは副総督で、二人は堕天使の頂点に立つお方でレイナーレ達の憧れでもあるらしく、特殊な力を持つ人間や神器を手に入れることができれば、認められると己の欲求に従いいつの間にか何人もの人々を手にかけていたと語る。
すると、ドライグが話しかける。
『レイナーレとか…言ったな?』
「はっ…はい。」
いきなり宝玉が輝いたと思えば、ドライグがいつになくレイナーレに語り続ける?
『レイナーレよ! 貴様、アザゼルと会ったことはあるのか?』
レイナーレは突然聞こえたドライグの声に戸惑いつつも、応えた。
「いえ…私たちのような下級堕天使ではお顔も拝見することも難しいので…ただ、素晴らしい方々だとしか…?」
『知らぬのなら教えてやろう。 アイツはアザゼルはお前がもし、相棒やさっきの聖女から神器を奪って殺したと知ったら、間違いなくお前を断罪していたはずだぞ。』
「そんな…どうして!?」
ドライグの言葉にレイナーレは酷く動揺し言葉を失う。そういやドライグって、三大勢力のトップ達に封印されたんだから、何かしら知っているだろうしな?
『あいつは元々戦争に消極的でな。 戦争に参加した理由も部下を大勢失ったからとかでな。 そんな奴が無関係な者を殺して奪った力なんか認めるとは到底思えんがな?』
アザゼルがもしドライグの言う通りの性格ならば、間違いなくレイナーレは断罪されているはずだ。 しかし、レイナーレはドーナシークに脅されていたとすれば、悪いのは奴だけだろうから諒恕借料の余地はあるだろう! レイナーレもアザゼルのことをドライグに知らされて過ちに気づいたのか、俯いた。
「そんな…じゃあ、私がやってきたことは全て無駄だったってこと?」
余程にショックだったのだろうか? そのまま、ドライグは続ける。
『まあ、過ぎたこと悔やんでも仕方ないだろう。 その聖女という神器の所有者をこれからどうするかだろ? 今からでも遅くはない! 少なくともお前は脅されてやらされたのなら、堕天使の本部へ報告して過ちを全て自白すれば、救いの道は遠からずあると思うがな?』
ドライグがいつにもなく、説教ぶったような口調で似合わない台詞を吐くが…、レイナーレは真っ直ぐと顔を向ける。
「私は…アーシアさんを連れて本部に戻り、自分の犯してきた罪を自白して処遇を決めてもらいます。」
案外、スッパ!と腹を括ったものだな! しかし、素直に罪を認められるのは立派だな。
「じゃあ、早く行ってきな。こういうのは早く行った方がいいんじゃないのか?」
「それとね…。 …アーシアのことでね…。」
レイナーレは何やら又しても、表情を曇らせる。 彼女が口にしたのは、それは…。
今より15年程前、教会に生まれたばかりの赤子だったアーシアが置き去りにされていた事から始まったらしい。
そこは孤児院を兼ねた教会だったこともありアーシアは信心深く心優しい子に育てられ、そんな彼女に力が宿ったのは8才の頃。 孤児院内に偶然にもケガをした子犬が迷い込んできて、彼女はその子犬を不思議な力であっという間に治癒したそうだ。 それから彼女の人生が変わり、その治癒の力を宿した『聖女』として担ぎ出された。
そして、訪れた信者に加護と称して体の不自由な者を治療しては崇め奉られ、彼女の事が噂に上がるのに時間はかからず、多くの信者から『聖女』として崇められるようになった。 何より自分の力が人々の役に立っている事がうれしいと…、治癒の力を授けてくれた神への感謝を忘れる事もなかった。
…しかし、そんな彼女の至福の日々は突然と悲劇へと変わる。 ある日、少女と聖職者数名の前にケガをした蝙蝠の翼を生やした悪魔が現れた。 教会の人間にとって悪魔は忌避すべき存在であり、見つけたら退治することが突然ではあるが……だけど、悪魔であろうとケガをしている人を見捨てることなどできぬアーシアは、その場で悪魔の治癒した彼女は…言うまでもなく。
『聖女』が悪魔を治療する姿は教会に報告され、報告を聞いた司祭達はその事実に驚愕したらしい。 そして、彼女は『悪魔も癒すことができる力』を持つ者『魔女』として異端の烙印を押され、そのまま教会を追放されたのだった。
それから、各地を転々とさ迷い偶然『はぐれ悪魔祓い』の組織に拾われてそれ以降、堕天使の加護を受ける事になったようだ。 そうして『はぐれ悪魔祓い』の一員となった少女だったが、神への感謝を忘れた事はなく、今でも祈りを捧げているというのだ。
…というのがアーシアの過去で…彼女は寄り添う家族もいなければ友達さえいないと、レイナーレは孤独だった彼女を他人事のようにはとらえられずに真実を打ち明けて『私達、今から友達だからね!』とアーシアを匿ってドーナシークを裏切ったと語る。