※この作品はR-18です。

俺の彼女を寝取ってくれ   作:ヤングコーン

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始まりあれば終わりあり。
最後があっけなかった事以外はおおむね満足だ。

いつもいつも、祭りの後は少し寂しい。
俺は冬の海に漂いたかった。


※
はっきり言って蛇足です。
また、NTRだとかMOBだとか名前の前に表記がありません。分かりづらかったら加筆します。


後日談 前編

俺は肺に空気を入れて、ぼんやり浮かびながら空に浮かぶ月を眺めていた。

月が雲に隠れた。

 

「…くそ、雲まで俺から月を寝取りやがるか」

 

興奮するぜ畜生。

 

そんな馬鹿なことを考えてたら、足が攣った。

 

準備体操せずに冬に近い海に飛び込むんじゃなかった。

だがしかし、こんな事で動揺する俺じゃない。

 

このまましばらく海水に浮いたまま待って、治ってから戻ろう。

 

そう思ってたら、俺の体が沈んでいく。攣った足の楽な姿勢を保つにあたって海に浮くバランスが取れない。

 

「そういえば、筋肉は脂肪より重いんだったかなぁ…」

 

波が俺の体にぶつかった。沈む。

 

あ、真面目にこれやばい奴。

 

ザッパァーン!

 

遠くで音がした。誰かが飛び込んだらしい。

随分と小柄な奴だ。そいつは俺を助けようと引っ張っている。

 

…そうしてると、その子も溺れだした。

 

俺が溺れ死ぬまでは許容範囲だが、俺のやった馬鹿に付き合って誰かが死ぬのは間違ってる。

片足をばたつかせ、片腕でその人を抱いて海面へ向かう。

 

梯子の位置は覚えてる。俺はそっちへ向かって何とか泳いだ。

 

「大丈夫ですか!?」

 

俺の呼びかけにその子は咳をして、頷いた。それから先に上ってもらい、俺は何とか自力で登りきる事ができた。

 

お互いにコンクリートの上で膝をついてぜえぜえと息をする。

 

「すみません、海水浴してました」

 

自殺と思われたのかもしれないが、自殺じゃない。若気の至りだ。

それがたまたま事故に…なんでもいい。

 

「ばっっかじゃないの!???」

 

…言い分は分かるけど、初対面の相手に随分な言い様だな。

 

「いや、違うんですって。準備体操を怠ったばかりに…」

 

月明かりが戻ってきた。

 

その光がその子を照らすと…それは見知った顔だった。

 

「菊子…?」

 

全身ずぶぬれで分かりづらかったが、その顔も髪の毛も、声も菊子だった。

俺は頭を掻く。まさかこんな所で会う事になるとは。

 

彼女の眼の下は真っ赤になってて、俺の事を泣きながらにらんでる。

 

「死にたいんだったら…私が殺してやる!!!」

 

菊子は俺を押し倒すと、胸板を殴る。非力な彼女でもさすがに痛い。

 

「いだだだだだだ、やめろ菊子!違うんだ、死にたくない!死にたくなーい!!」

 

「ぐすっ、訳分かんない…。あんたなんか死んじゃえばいいのに…」

 

彼女は泣きながら俺を強く抱きしめた。俺は頭を掻きながらやんわりと混乱する。

 

「参った、何が何だか分からない」

 

 

 

 

「寝取らせ?」

 

叔父さんはうなずいた。飽くまでプレイとしての一環で他人と寝てもらい、興奮を得るという物だった。プレイなので、別れる必要はない。それで彼を満たす事ができるのなら、もう私を別れさせる必要がないという事だ。

 

そして、それに協力してくれるという。他の誰かも分からない人物よりも安心できると言えば安心できた。

 

他の誰にも触れさせたくない。でも、今のままではNTR太郎は私を本気で寝取らせようとする。別れさせようとする。

 

苦渋の決断が迫られた。

 

…私は考える。

 

「彼は、プレイじゃ満足しません。なので…、無理を承知でお願いがあります。私を寝取ってください」

 

「菊子ちゃん…でもそれじゃ…」

 

「私に考えがあります。…しかし、叔父さんの名誉を傷つける頼みです。代わりにどんな事でもします。どうか…」

 

「…いいとも。協力しよう。でも、君が辛くなったらそこまでだ。無理はしない。いいね?」

 

「ありがとうございます」

 

私はNTR太郎を呼びに行って、ライターが見つかったと言った。

 

それから一緒にサツマイモを食べて、ロッジで寛いだりして。

そしてNTR太郎を家に帰して、一緒に車の中でこれからの打ち合わせをする。

 

叔父さんの提案はどれも私の事を考慮した生易しいもので、いずれもNTR太郎に不審がられる。だからそれをより彼好みにするために私が改善案を出したり案を出した。

 

いずれも苛烈なもので、叔父さんはやはり気乗りしないようだった。

 

毒を食わらば皿まで。どうせやるなら徹底的にやる。

 

 

 

 

栗拾いから翌日。今日は叔父さんの家に向かった。

NTR太郎に贈る動画の撮影のためだ。

 

今日やることは2つ。

まずはNTR太郎と初行為をするためのダミーの動画を撮影する事。

 

次に、本番の映像の撮影をする事。

 

ダミー動画が嘘だとバレてはいけない。彼との性行為を成功させるためにも。

なのでダミー動画の最初に見せる動画は本当に挿入する。

もう1つのアングルからの撮影は挿入してないように見せかける。

 

これで1度は安心させ、私は行為後に帰る。

 

その時にDVDの2枚目を郵便受けに入れる。

性行為…必ず成功させるつもりだが、万一にも彼が性行為でイケなかった時のための保険と兼ねて彼のおかずのためのものだ。私で興奮してもらう。私で絶頂を迎えてもらう。

 

性行為は飽くまでコミュニケーションの1つだ。だが、それの欠ける恋愛はいわば音声のない映画の様な物。必ず、必ず成功させて見せる。

 

私の初めては…購入したディルドに捧げた。そういう事にした。

彼に捧げられないのなら、誰かに奪われる前にこうしようと思ったのだ。

精神的なショックも僅かに緩和されるだろう。

 

「叔父さん、そろそろ…始めようと思います」

 

「…今更、本当にいいのかは聞かないよ。後悔のないようにね、菊子ちゃん」

 

「ありがとうございます。…太郎よりもっと早く、叔父さんに会えてたならなぁ」

 

叔父さんは笑った。彼はベッドに横になる。まずは彼を勃たせないといけない。

私のアソコはローションを後で塗ろう。

 

私は裸になった。そしてコンドームを置いて叔父さんの一物に触れる。

それだけで半勃ちになった。

 

「わあ…」

 

ちょっとドキドキしながら、叔父さんの亀頭の剥けた所を撫でる。自分よりずっとずっと年上が、年下の私にちょっと撫でられるだけで反応してしまう様な…掌の上で転がせる感覚は少し興奮した。

 

フェ〇は少し慣れた。咥えて、顎側の歯を舌で覆い上顎が当たらないようにする。口に入れた後はストローを吸うようにして上下を繰り返す。…この時の自分の顔はあまり想像したくない。

 

まあその前に…私は裏筋に舌を沿わせ、次に鈴口を舐める。次はカリ首の溝をなぞって…。

 

「あっ…ぅあっ!!ちょ、ちょっと待って、それは待って!」

 

私は舐める舌を止めた。

 

「なあに♡」

 

「は、はは…。参ったな。想像以上にその…」

 

ゾクッゾクゾクゾク…。

 

あれ、何だろう…。心の奥底から加虐心が湧く。

 

「想像以上に…何?」

 

私は叔父さんの一物を手でしごきながら、乳首を舐める。

 

「ぁぁああ、待って…タンマ!やっぱやめよう!」

 

「やだ」

 

ビューーーーッ、ビュッ、ビュッ…。

 

あ…射精しちゃった。叔父さんはぐったりとしている。そういえば聞いた事あるが、女性と男性では一回あたりの自慰の体力消耗が異なるらしい。男性は100mを全力疾走の様な疲れ、女性は50mを歩いた時の様な疲れなんだとか…眉唾だ。

 

まあ、栗拾いの時は私より数倍の速度で仕事してた叔父さんだ。このぐらい余裕だろう。

 

「叔父さん可愛いよ」

 

「やったな…!」

 

ツプン…。

 

叔父さんの中指が私の膣内に入って来る。いつの間にか濡れてた。ごつごつしてて、中をかき乱される。一物でもないのに、自己主張の激しい指が自慰で体感できない快楽を私に与える。今度嬌声を上げるのは私の番だったようだ。

 

的確にGスポットを狙って来る。ベッドの上に汗が染みついていく。

 

「叔父さん、ごめんなさい!だからもうやめ…んんっ」

 

「やめない」

 

「あ…っ、いや、イカされる…。ふぎっ…んくっ」

 

あ、ああ…。来る。絶頂の白い波が私を押し流…さない。あれ?

 

気が付くと、叔父さんは定位置で寝そべっていた。

 

「撮影時刻を過ぎたぞ」

 

「んぎーっ!!」

 

後ちょっとでイケたのに!!私は叔父さんの胸板を叩く。彼は笑いながら枕でガードして来た。生意気な!生意気な!

 

私は深呼吸をして冷静さを取り戻し、身体に着いた精液を拭いてから撮影に臨む。

 

「いぇーい。太郎、見てる?今から、おじさんに寝取られたいと思いまーす」

 

内心、色々な意味でいぇーいどころじゃないが。

 

さっきのやり取りで緊張はほぐれた。これから私は…初めての性行為を行う。

見ててね、太郎…。

 

 

 

 

「はーい♡…それじゃ、彼氏が呼んでるからそろそろ行くね。バーイ、太郎君」

 

私は撮影ボタンを切って叔父さんの元に戻る。

それからぐったりしてる叔父さんの懐に飛び込んで、叔父さんの乳首を吸う。

 

「やばい…叔父さんの乳首吸うの嵌まりそう」

 

「叔父さんね、そろそろ服上死しそう」

 

「ドライオーガズムならまだいけるでしょ」

 

「君は小悪魔系と言うより悪魔系だよ」

 

褒められちゃった。

 

それから、数日かけて太郎との本番に向けて何度か練習としてコンドームを付けて性行為に及んだ。叔父さんが敏感過ぎる気もするが、私はそういうのが上手だと褒められた。…しかし、思えば太郎はそんな私の技術を以てしても射精まで導けた事がない。

 

来る日までに、叔父さんをテクノブレイクさせるつもりで才能を磨かねばせっかくの彼の初体験が残念なまま終わってしまう。私がここまでやった意味の半分が削がれてしまう。

 

彼との本番が差し迫っているという時に、動画編集が終わってない事を思い出して急いでDVDに焼くための動画編集した。DVDを焼くためのソフトとか、編集ソフトとか、パソコンは叔父さんが何とかしてくれた。

 

 

しかし、改めて見直すと…ちゃんと寝取られしてるとは思うけれど…今更本気で嫌われないか不安になってきた。ちょっと泣きそう。

 

私が寝取らせではなく寝取られるのは、賭けだった。

 

”自身の好意が本物であるのなら、それに背く事はない。恋人と言う関係に甘んじている片割れから交際の権利をはく奪すれば良い”

 

太郎の言葉だ。…彼は私を愛してくれてる。私は叔父さんに寝取られる。彼の好意が本物であれば、私を寝取り返してくれるはずなのだ。

 

大丈夫…大丈夫…。

 

 

 

 

…太郎との初行為は、叔父さんからの指導もあり上手くいったと思う。

 

叔父さんの言った通り、襲われるのを期待するのではなく自らリードした方がよいというアドバイスは助かった。本当は私は興奮した太郎にあれこれされるつもりでいたのだから。

 

けど…やっぱり内心の不安はぬぐい切れず満足にできたか分からない。今この瞬間も、あのDVDを見て私の事を嫌いにならないかと思うと怖い。

 

そろそろ撮影しなきゃ。私は撮影を開始する。

 

「やっほー。君のゴミ箱は妊娠何か月目に入ったかな?」

 

太郎、画面の向こうでどんな気持ちだろう。勃起させてるかな。

被虐性嗜好…。正直攻めるのも楽しいけど、私も攻められたかったな。

 

まあ、私を取り返した後にやってくれる…はず。

 

…もし失敗したら?

 

「えっとね…。ここ、私の部屋なんだ。君に贈るDVDの撮影時間って朝か夜しかないから…とっても眠いです。今朝何時だと思う?まあ後で撮影時間を確認してみてよ。それで何だっけ、ああ、君との初体験のレビューだったね」

 

変な事を考えるもので、目にじわっと涙が出てきた。今は早朝の撮影になる。眠くて欠伸をしたふりをして、涙を拭う。そうだ、これは名案だ。あくびをして涙が出るのは自然だ。これから目の前で涙をこらえられなくなったときは欠伸のフリをしよう。

 

正直、彼の一物はとても良かった。彼の性癖上、罵らなければならないがこれが難しい。

 

個人的には長さとか太さとかじゃなくて、ただ彼と繋がれた事が何よりの幸せだったからだ。叔父さんの時とはまた違った良さ。彼との性行為の時、私は彼を愛してるのだと感じる事が出来た。…結局私は彼との行為で絶頂できなかったけど、抱きしめられた時はそれにも勝る多幸感に包まれた。

 

それから適当な事を言ってて、自分が何を言ってたか覚えてない。編集時に確認はするけど…。

 

「……それじゃ、これで本当にさようなら。バイバイ」

 

私は撮影を切った。

 

ああもう…私何してんだろ。

 

彼と普通に結ばれたかった。この後学校に行かなきゃいけないとか辛すぎる。

 

『私ね、叔父さんの子供欲しいと思うんだ。だからこれからいっぱいいっぱい愛してもらうの。…だから、君とはもうお別れ。もう彼氏面して欲しくないし、関わらないで欲しい。唾かかりたくないから話しかけないで欲しい』

 

ここまで言えば私に会いたいなんて思わないだろう。あれから連絡もしてこないし。

そう思ってたけど、登校時間をずらした。あんな目にあっても普通に私の家に迎えに来そうな気がしたから。

 

…自分でやっておいてなんだが合わせる顔がない。

 

学年が違うので会う事は殆どなかったが、私からも意図的に彼との遭遇を避けた。

 

 

 

 

今日は休みの日。最後の3作目を捨てに旧道の公園へ向かう。ビニール袋におじさんと練習に使ったコンドームと、あのDVDが入ってる。…興奮すると思ってノリであんな事言ったが、腐らせたりしないように家族にバレずにタッパの中に包んで冷蔵庫の野菜室に保存しておくのは大変だった。

 

自分で言っておいてなんだが、DVDはとにかくコンドームは捨てたままにして欲しい。これに興奮してたらさすがの私もちょっと引く。

 

ああもう…眠い。だってまだ朝の5時だよ??

あの変態の事だ。早く来るに違いない。これぐらい早く来ないとエンカウントしてしまう。

 

…大体、あれから何で本当に連絡しないの。私ずっと待ってるのに。何か言う事あるでしょ。

これじゃ私が馬鹿みたいじゃん。…本当に、叔父さんから寝取り返してくれるかなぁ…。

 

「…帰ろう」

 

げえっ…太郎いたよ…。マジでいたよ…。こんなに早く来たのに??しかも帰ろうとか言ってる。お前は私がいつ来ることを想定してそんなに早くそこに来てしまったんだよ。

 

目があった。

 

不満とか、怒りとか、悲しみとか色んな感情が混ざって涙が出てきた。出会ったのが朝で良かった。私は露骨に欠伸して見せた。

 

「ふあぁ…。NTR太郎君、おはよう。まだ朝の5時だよ?君の変態性を知ってて敢えてこんなに早く来たのに…。予想を上回ってたね」

 

彼は何も言わず帰ろうとする。帰るの?マジで?私のこのためだけに昨日の朝からこんなの撮影して、動画編集して、DVDを焼いて冷蔵庫の野菜室からわざわざコンドームが常温になるまで待って、その間にコンビニに行って手ごろなレジ袋まで用意したのに??

 

あ、ヤバイ。マジで泣きそう。欠伸じゃ説明つかないレベルで泣きそう。

 

「NTR太郎君、これいらないの?」

 

霧で彼の後ろ姿が見えなくなっていく。

 

うぐぐ。私の気も知らないで。何で?もう他に私の代わりを見つけたから?

…もっと、お話しがしたいよ…太郎…。

 

「…ねえ、私のパンツ見たくない?」

 

いつもいつも、彼を引き留めるために私は体を武器に立ち回った。

思えばそれ以外に、内面的な魅力は私にないんだろうか。

 

彼は立ち止まる。

 

「私の足を舐めながら、『私は意地汚いマゾ豚です』って言えたら…見せてあげる」

 

ああ、違う。そうじゃない。私が聞きたいのは、愛してるって言葉だけ。

 

違うのに、私は彼に足を舐めさせてしまった。なんか無駄に舐め方が上手くて感じてしまい、逆切れして立ち去ってしまったけど。…私が本当にしたい事はこんな事じゃないんだよ…。

 

太郎の馬鹿。私にあそこまで罵られて、挙句に私の前で自慰だなんて意味が分からない。

なんで、私はあんなのが好きなのかな…。

 

私は部屋で思い切り号泣した。

それまで私を疎んでるとしか思わなかった継母が真剣に心配してくれた。次女は普通に煩そうにしてたが、長女も私を慰めてくれた。今更だけど、割といい家族だったのかもしれない。

 

太郎の馬鹿…。

 

 

 

 

昼になると、旧道の公園前に来てた。目的は2つ。私はゴミ箱の中に入れずにそのままDVDを袋ごと置いてきたから、最悪残されてた場合は管理人に処分されてない可能性があるためその確認。もう1つは…あの公園にいると落ち着くからだ。

 

あの日、我儘にも勝手に来ると言って雨に濡れて待ってた。もう来ないと思ってた。でも来た。

あの時は本当に嬉しかった。

 

「ああ…どうしてこうなるかな……」

 

私は公園の屋根付きベンチに座ってぼんやりしてた。

 

そしてまた泣いた。

 

「いっそ、本当に叔父さんの恋人になろうかな」

 

彼はいつでも優しかった。無理強いはしなかった。

独身だし、それもいいかもしれない。

 

そう思ってると、向こうから太郎がやって来た。

まだ気づいてない。私は屋根付きベンチの後ろにとっさに隠れた。

 

彼はベンチに座ると、独り言を言っていた。

 

「…俺の事、好きなんじゃなかったのか…」

 

好きだよ、大好きだよ!!!何で私に連絡してくれないのさ、ずっと、ずっと待ってるのに!!!!

 

「くそ、辛い…」

 

今すぐにここを飛び出して彼に会いに行きたい。愛してるって言いたい。全部本当の事を話したい。

後ろにいるよ、私は君の後ろに…いるんだよ。

 

私は声を殺して泣く。

 

しばらくすると、彼は寝てしまったらしい。寝息が聞こえる。

私はそろりそろりと彼の元に近づいて寝顔を覗き込む。

 

ああ、ベンチのこの狭さじゃ一緒に寝られない。

それでももうちょっとだけ一緒にいたくて、ベンチの後ろで寝る。

 

 

「……何してんだよ俺」

 

彼の声で起きた。

 

…ガサッ。

 

落ちる夢を見てたので、思わず体がビクッってなって草が揺れ動いてしまった。まずい。

 

「菊子…??」

 

私の心臓が高鳴っている。そう、私は屋根付きベンチの後ろにいる。

見つかりたくないような…見つかりたいような…。

 

彼が近づいてくる。もうどうにでもなれ。

 

「脱兎の如くとは言うが、まさかこれほどとは」

 

道路の遠く、野兎が走ってるのが見えた。

ホッとしたような、残念だった様な。

 

「さて、何て言って落とすかな。『俺にはお前しかいないんだ!』とか?…はは、ブサメンの言う事じゃないな。うーん…やっぱり自然体で挑もう。あの人には小細工は通用しないからな」

 

彼はそう言いながらこの場を去って行った。

 

どうやら、作戦は失敗。彼は私との決別することにしたらしい。

は…、ははは。

 

彼が見えなくなってから私はその場に泣き崩れた。

 

 

 

 

励ましてくれた叔父さんは、私に自転車を買ってくれた。

これで遠くまで、色んな所に行ける。

 

今日はクラスメイトと一緒にジェラートを食べに出かけてた。

 

店長が滅茶苦茶フレンドリーに話しかけて来るタイプで驚いた。

 

友達と何でもない話をしてたら、すっかり遅くなってしまった。

化粧で隠してるが、泣きすぎて目元が赤い。

 

窓の外を見ると、坂の上を全力疾走する人が見えた。頑張るなぁ…。

 

「太郎!??」

 

私は立ち上がった。

確かに太郎だった。あんなに急いでどこへ行くんだろう。

 

こんな夜遅くに?

 

私は何だか嫌な予感がした。自分の食べた分の金を置いて、友達に別れを告げてすぐに店を出た。

 

さすがに早い。

 

急いで追いかける。…何で私、今更彼の事を追いかけてるんだろう。

何度も何度も見失いかけたが、それでも追いかけた。

 

途中から、行先は海なんじゃないかと思った。

友達の家に行くにしても、店に行くにしても考えられない道だったからだ。

 

彼を見失った。

 

それでも私は行先を予想して走り続けた。

 

波止場についた。この辺りは釣り人がたまに来る場所だ。

人影が見える。多分、太郎だ。

 

彼は何を思ってか海に飛び込んでいった。

 

こんな寒い時期に…?

衣類が乱暴に脱ぎ捨てられ、靴もスマホも財布も置いたままだ。

 

「投身自殺…?」

 

太郎らしき影は、泳いでるというにはいささか不審な動きをして沈んだ。いけない、私は急いで海に飛び込んだ。




後日談なのに後編と合わせると1万文字を超えをしてしまいますた。
これも全て菊子って奴の仕業なんだ…。

後編はお昼に投稿するので待ってておくれやす
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