シングルマザーの有美子は猫のように背を丸くして炬燵に入り暖をとっていた。
就寝用の布団は、既に寝室代わりに使っている奥の部屋には敷かれてあるのだが、なかなか炬燵から抜け出せないでいた。
「あ~。もうだめだ」
有美子なりの勇気を振り絞り奥の部屋に行き布団にくるまった。
暫くすると、
「お母さん、寒いねぇ」
隣の部屋から息子(洋一)の声がする。
「寒いねぇ。洋一こっちに来て一緒に寝ようよ」
息子の洋一は若い。
一緒に寝れば、少しでも早く温まれるのではなかろうかと思い、冷え性の有美子は布団に洋一を誘った。
「お母さん、・・・ちょっと、ちょっと・・・痛いよ」
有美子は悪戯心で、赤子を懐に抱くように、洋一の背に思いっきり腕を回し抱きしめたのだった。
やはり若い洋一の体温は温かい。まるで、湯たんぽを抱いているようで心地よかった。
温まれば眠くなる。
ウトウトしながら夜半になると、下半身に何かが触れているような感覚があり、有美子は腕を伸ばし太ももに触れていたものに触った。
(まっ!洋一たらぁ・・・)
下半身のペニスを大きく膨らませ眠っている。
勃起をみている洋一の男性器が有美子の太ももを刺激していたのだった。
男性には目もくれずに、一人息子の洋一を育ててきた有美子の精神に微妙な変化が見られた。
洋一の勃起状態を目の当たりにした有美子の心臓は、まるで早鐘が打たれたような高まりを感じた。心臓の鼓動は異常なほどに早く、異様なトキメキを覚え眠れずに朝を迎えたのだった。
こういう事があり、睡眠不足の有美子は吊革につかまりながら、電車の揺れに身体を任せウトウトとしていた。
(なっ、何!?)
有美子は突然の出来事に戸惑いを覚えた。
丸い臀部に何かが触れている感覚。
しかし、混雑した電車の中ではそれを確かめることはできなかった。
(気のせいかしら?でも・・・もしかして痴漢?)
片手は天井からぶら下がっている吊革を握り、もう一方の手に鞄を持っている。容易に手を動かせる状態ではない。
最初こそ軽く当たる程度で、気にとめずやり過ごせば我慢の範囲内だったが、次第にその触れているものが、臀部から離れてくれなかった。
(どうしよう・・・・)
最初は軽く指が触れている感覚だけだったが、そのうちに、手のひらで大胆にも臀部の丸く盛り上がった肉を撫で回してくる。
(だ、誰なの?)
そう思い、周囲にいる男性を見回せば、乗車している男性すべてが痴漢行為を行っているように見えてくる。
モゾ、モゾ
と、動く手が有美子の臀部にあるワレメに沿って指が這っていた。
(もう、許せないわ!)
痴漢の卑劣な行為に激しい怒りを覚えた有美子だった。
有美子は身体をよじりながら、どうにかして吊革から手を離し、臀部を触っている手を思いっきり払い抜けた。
臀部から手の感触が消え去った。
(ふうっ・・・これで大丈夫)
安堵した有美子は、再び身体をよじり吊革に手を伸ばし掴まることが出来た。
(まただわ!)
一安心もつかの間、また臀部を触れられている感覚が戻ってきた。
寸前までの行為と異なり、今度の痴漢行為は大胆になりスカートを捲り上げようとしている。
(そっ、そんなのいやよ!・・・やめてよ)
スカートの裾を捲り上げ、今度は穿いているパンティストッキングの上から臀部を撫でまわし始めた。
(いやっ!)
あまりにも大胆な痴漢の行為に有美子は恐怖すら覚えた。
お尻に手が伸びたり、間接的にカバンや傘の握り部分で胸のふくらみを触ってくるものがいたが、今日のようにスカートの裾を摘まみ、まくり上げてくるまでの痴漢には遭遇したことがなかった。
ガタン
電車が左右に大きく揺れた。
「あっ!」
有美子は小さくだが口を開いた。
身体が倒れないように足に力を入れ股を開いたので、痴漢には好都合だった。
卑劣な痴漢は太腿と太腿の隙間に腕を割り込ませてきたのだった。
そして、痴漢の手は有美子の太ももを上下に這わせながら執拗に撫でてくる。
指は徐々に太ももから股関節くらいにまで撫で上がって来た。
執拗な痴漢の手は臀部の肉を摘まんだり、太腿の感触を味わうように撫でながら徐々に有美子の秘部に近づきつつある。
有美子は顔から血の気が引いた。
今まで通勤途中で何度か痴漢にあったことはあったが、ここまでされたことはなかった。せいぜい、丸い臀部をしつこく手のひらで撫でまわされる程度で、事なきを終えていた。
臀部のほうから伸びてきた指が、有美子の大事な部分まで達したことが、下半身の感覚でわかった。
ストッキングと薄いパンティの上から触れられている感覚は、ほとんど指で直接触られているのと同じ感触だった。
再び、吊革から手を離そうとしたが、身体をどう捩じろうが手が吊革から離せない。
痴漢は途方に暮れている有美子の心情を見抜くかのように、指をグイグイと淫裂に沿って擦るように動かしてくる。
(だめよ。それ以上、後ろから奥へと進まれたら、敏感な部分に当たっちゃうじゃないの)
(イヤッ・・・)
有美子の悪い予感は的中し、痴漢の指はいとも簡単に彼女の秘部に達した。
そして、こんもりと膨らんでいる丘を指は撫でまわすように這ってきた。
有美子の全身は鳥肌がたち、卑劣な痴漢行為に嫌悪感でいっぱいだった。
拒絶反応が示されなくなった有美子は、痴漢に抵抗するつもりで気持ちだけは強く持とうと決意した。
しかし、有美子の抵抗がなくなったことにつけ込む痴漢の指は、さらに大胆に弄りだす。
パンティの上からでも有美子の秘部の淫裂を押し開こうと、指先が強く侵入を図ってくる。
薄くともパンティの布地のおかげで、少ししか指の侵入は許さなかったが、それでも指先が秘部に入ってくる感覚は十分にわかる。
そして、指はそのまま秘部の淫裂に沿って強く擦りつける。
(もう、やめてっ!)
思った時だった。
「・・・駅です。お降りの方は・・・・」
有美子が下半身に目を向けようとしたときに、電車が目的地に着き多くの乗客が降りていき、その中に紛れて彼女も駅に降りた。
混雑から解放されトイレに駆け込んで、便座の上に腰をおろすことが出来た有美子は、少し落ちつきを取り戻した。
(あんな卑劣な行為は絶対に許せないわ)
再び、こみあげてくる痴漢への怒りを胸に、用を足そうとパンティをずらした有美子の視線は、何気に秘部を覆っていた布地のあたりを見て愕然とした。
「ぬっ、濡れている!」
つい、トイレの中で声を出してしまった。
(あんな卑劣な行為で濡れるはずがない。実際、感じてはいなかったはず・・・・)
昨夜の事と言い、そしてさっきの痴漢行為、弱々しくそう自分に言い聞かせる有美子の心情は複雑だった。
つづく