シャワーを浴びてから、さてどうしようと考えます。今日はもう仕事の予定はないので直帰してもいいのですが、それでは少しつまらない気もします。今日は土曜日、今日も明日も学校は休みです。時刻は午後三時、どこかに遊びに出かけるにも中途半端な時間です。それに一人でどこに行きましょう。
べ、別に寂しいわけじゃありませんよ!
ただほら、一人より二人以上いた方ができることは広がるじゃないですか!
つまりそういうことです。
そういうことなので、誰か手の空いている人はいないだろうかと、寮の中をぐるりと回ってみることとします。小梅さんあたりに捕まるとまたホラー映画鑑賞会なので、もうちょっと穏やかに過ごしてくれる誰かがいないでしょうか。
けど美玲さんも輝子さんも乃々さんも死んでしまいましたし。
そうして廊下をふらふらしていると、曲がり角の向こうから誰かの走ってくる音が聞こえます。どたどたばたばた、不規則で忙しない靴と床との衝突音。しかし廊下を走ってはいけません。うっかりしてぶつかられでもしたら大変です。
なのでボクは角から五メートルほどのところで立ち止まり、その誰かが現れるのを待ちました。進路上にカワイイボクがいるのを見て、まさか無視して走り抜けようなどとは思わないはずです。
やがて現れたのは飛鳥さんでした。
「おや、飛鳥さん! カワイイボクが通りまンギャーッ!」
飛鳥さんは立ち止まるどころか体当たりをしてきました。弾き飛ばされて壁にぶつかるボク。あろうことか彼女はそれに一瞥もくれないまま、走り去ってしまいます。
その背中を見送るしかないボクですが、彼女が体中を血に染めていることに気付いて、痛みと怒りも忘れてはっとします。その時にはボクの歩いてきた道を逆走し、角を曲がって見えなくなってしまった飛鳥さん。
ぶつかってくる一瞬、どんな表情をしていたか思い出そうとしますが、はっきりとしません。しかし怪我をしていたにしては元気すぎる気もします。
つまりあの血は、飛鳥さんのものではないことに。
「あ、飛鳥さん! どうしたんですか!? 待ってください!」
とにかく事情を聞かないことには仕方ありません。放っておける事態でもないので、ボクも彼女を追って走り出します。廊下を走ってはいけないと言ったばかりですが、非常時ゆえやむなしとします。
しかし角を曲がっても飛鳥さんの姿は見えず、振り切られてしまったことに歯がゆさを抱きます。どこへ行ったかなど皆目見当もつきません。ほかに誰か目撃していないものでしょうか。彼女がどこから来て、どこへ行こうとしているのかの手がかりが得られれば。
ひとまず寮を出ると、何やら外が騒がしくなっていました。事務所とをつなぐ渡り廊下の向こうから、大人たちがばたばた、ボクとすれ違っていくのです。皆さん一様に血相を変えて、どうしよう、どうしたことだという素振り。
「あっ、幸子ちゃん! ぶ、無事でよかったわ……!」
その中から現れたちひろさんが、ボクを見つけるや声をかけてきました。その表情はなんとも複雑な形をしていて、言葉とは裏腹に安堵のそれからは程遠いものです。血色だけに絞れば顔面蒼白というところでしたが。
「どうしたんですか? 寮で何か……」
「そ、それは、その……」
「ついさっき、寮で慌てた飛鳥さんとぶつかったんですけど、それと関係あることですかね? こっちはいきなりだったので何が何やら」
「あ、飛鳥ちゃんが……?」
「見間違いでなければ血まみれでしたけど」
「……そんな、そんなことって……」
ちひろさんはますます顔を青くするばかりで、ボクの質問に答えようとしてくれません。ボクに伝えるべきかどうか迷う内容なのは察しますが、それ以上に激しく動揺してもいるようです。埒が明かないので、ボクは返事を待たず事務所へと向かいました。
いつも賑わっているというわけではありませんが、ぽつぽつと人の点在しているはずのロビーはがらんとして静まり返っていました。多くの人たちが寮で起きたらしい何事かのために出向いているようです。上の階のオフィスまではどうかわかりませんが、その何事かが伝わっているとすればそちらも騒ぎになっていることでしょう。
しかしここで人がいないというのは、ボクがその騒ぎの原因を誰かに聞くこともできないことにもなります。ひとまず事情を知っていそうな誰かしらを探して上の階に行ってみます。
エレベーターに乗り、さて何階にしましょうかとボタンを見たところで「3」の数字に血がついているのに気付きました。
三階で降りたボクは、慎重に近辺を観察しながら廊下を歩きます。あの血が飛鳥さんについていたもので、彼女がここで降りたのなら、その行き先の手がかりとなる痕跡がほかにも残されているかもしれません。見つけて、何があったのかを聞き出すほかないでしょう。
なおも進んでいくと、ドアの開け放たれた部屋がありました。そういえばプロデューサーさんのオフィスです。飛鳥さんは彼を頼ろうとこの階に来たということでしょうか、合点がいきます。しかしプロデューサーさんは今、珠美さんの取材に同行していると思うので、そこにはいないはずです。
と思っていたら、部屋から先ほどのちひろさんよりも青い顔をした飛鳥さんが、ふらふらと現れました。いやもう、とにかく真っ青というほかありません。ぶどうのお化けみたいです。今にも倒れてしまうんじゃないかというくらい憔悴しきっています。しかしその指先や服のあちこちには鮮やかな赤色を浮かべているのが対照的でした。
あっと思うと、飛鳥さんと目が合いました。憔悴していた顔が引きつったものに激変します。悲しいような、やるせないような、これはちひろさんの浮かべたそれと似ていました。
「ち、違う……ボクじゃ、ボクじゃないっ……」
まだ何も言っていないのに、飛鳥さんはボクから逃げるように背を向け走り出してしまいます。
「ちょ、待ってくださいよ! 何があったんですか!」
今度は見失わないように飛鳥さんを追いかけると、先行する彼女はやがて行き止まりに突き当たりました。それでもなお話し合いよりボクから逃げようとして、手近な部屋に飛び込んでいきます。
続いてボクも入りましたが、電気がついておらず薄暗かったので、何やら物が所狭しと並べられているということ以外よくわかりません。入口の脇の壁を手で探るとスイッチがあったので押してみます。
電気がついたことで初めて、そこが衣装部屋であることがわかりました。キャスター付きのハンガーに、ボクたちがステージで着る衣装がビニール袋をかぶせられ、ずらりと掛けられています。
ボクはドアを閉め、鍵をかけると、飛鳥さんを探します。衣装をかき分け奥を目指すと、部屋の隅で肩を抱いて震えている彼女の姿がありました。
「飛鳥さん、大丈夫ですか? 寮で何かあったんですか?」
「……あ、あやめ、さんが……」
「あやめさん?」
あやめさんならもう死んでいますが。
「あやめさんが、し、死ん……うぇぇっ」
と、飛鳥さんはその場に崩れ落ち、泣き出してしまいました。思わず駆け寄ろうとするボクでしたが、彼女が嗚咽に紛れて嘔吐を始めたために慌てて横に退きました。シャワーを浴びたばかりだというのに、危ないところです。
つまり飛鳥さんが第一発見者ということになるのでしょう。いや、でもあやめさんが死んだことを最初に知っていたのはボクのはずですから「第一」というのはおかしい気もします。
とりあえず、外の騒ぎはあやめさんの死体が見つかったということに起因しているらしいのはわかりました。しかしわからないのは先ほどの飛鳥さんの狼狽ぶりです。なぜボクから逃げる必要があったのでしょうか? 「ボクじゃない」とか言っていたような。
あれですか、第一発見者が真っ先に犯人だと疑われるというやつでしょうか。
そんなわけないじゃないですか。あやめさんを殺したのはボクなんですよ?
それを誰から疑われたわけでもないのに、慌てて逃げ出していたと?
「飛鳥さん、落ち着いてください。飛鳥さんが犯人なはずないじゃないですか」
「うっ……うぇぇっ……」
「逃げるとかえって怪しまれちゃいますし。どのみちまた警察に事情聴取は受けるんですから、一緒に行きましょう。カワイイボクがついてますよ」
床に広がる吐物を避けて、へたり込む飛鳥さんの左手に寄り添います。震える方に手を置くと、非力なボクでも握り潰せてしまいそうなほど柔らかいのがわかりました。お昼に見せた迫力など嗚咽にかき消され、見る影もありません。
しかしふと、手のひらを伝って感じられた方の震えがぴたりと止みました。いえ嗚咽と嘔吐に唸る声も鎮まって、部屋には飛鳥さんの乱れた息遣いが微かに聞こえるのみです。しかしこうして耳を澄ませてみると、呼吸の音さえ彼女の声同様ハスキーなことに気付かされ、なぜかどきりとしているボクがいます。
飛鳥さんはどちらかと言えばカッコイイ要素を持つ人ですから、同性のボクといえどそこに引きつけられる魅力ですとか、色気だったりを醸していたりするのです。つまりは官能的であるわけです。ボクにはできない芸当だと感心させられると同時に、羨望さえ抱いてしまいます。
いやもちろんカワイさで言えばまずボクですよ! 輿水幸子ですよ!
「……幸子」
そんなボクのことを、飛鳥さんが呼んでくれました。けれども俯いて視線をこちらに向けないままで、声色も明らかに消沈して消え入りそうなほどです。
「犯人って」
「ええ、ですから飛鳥さんは犯人じゃありません」
「……さっき、何があったって聞いてきてたよな」
「はい?」
「ボクは、あやめさんが『死んだ』と言っただけで『殺された』とは言ってない」
そう言いながらようやく顔を上げた飛鳥さんを見て、ボクは飛び上がって驚きました。この世から完全に消えてなくなったようにさえ思えた、あの時の憤怒の表情がそこに再現されていたのですから。
「……お前か?」
「あ、飛鳥さん、落ち着いてください……」
「……お前だな? お前なんだな?」
その迫力に気圧され、思わず後ずさってしまいます。そのうちの一歩にぬめりが感じられて思わず視線を落とすと、先ほど避けた飛鳥さんの吐物を踏みつけてしまったことに気付きます。しかしそれどころではないので再び視線を飛鳥さんに戻すと、いつの間にか彼女は立ち上がり全身に殺気を漲らせています。それこそあやめさんが殺せるんじゃないかというぐらいの、凄まじい威圧感です。
「……仲間だと、思ってたのに」
飛鳥さんの声は憤怒の炎で加熱され、聞いたこちらの鼓膜を焼き焦がすほどの威力を持つまでになっていました。普段がクールなのでもっと冷然とした怒り方をするかと思っていたので、少し意外だったりします。どちらにせよこれ以上怒りを買ってもボクにいいことは何一つありません。とにかく距離を取ろうと後ずさります。幸い飛鳥さんは追ってくることなく、その場でボクを睨み続けるのみでした。
しかし後退を続けて、床の吐物が視界に映りかけたところで、突然飛鳥さんは大声を上げました。張り詰めていた部屋の空気を打ち震わせるほどの音が、ボクを襲います。同時に、それは雄叫びなどでなく、意味をなした言葉であるということも認識できてしまいました。
「この人殺しッ!」
いや意味などどうでもいいのです。ただ単純に怒鳴られたこと、殺意をぶつけられたことに、ボクは恐怖しました。背を向け、脱兎のごとく駆け出します。行く先は入り口。手を突き出し、その脇のスイッチを押しました。ぶつりと電気が消え、何も見えなくなります。
「なっ」
短く飛鳥さんの声が聞こえました。暗闇への困惑よりも、暗闇に陥れたボクへの怒りが優先されたような雰囲気です。しかし声のした位置は先と変わっていません。
ボクは服を脱ぎ、下着一枚になりました。レインコートがないので返り血で服を汚すわけにはいきません。ポケットからナイフとスマートホンだけを取り出して、後は床に放ります。
周りから物音は聞こえません。飛鳥さんは様子を窺おうとしているのでしょうか、その場から動いていないようです。ボクは立ち上がり、スマホのライトを起動して飛鳥さんのいるであろう部屋の隅へ向けました。
「くっ……!」
暗闇を切り裂いて迫る白い光が、飛鳥さんの姿を捉えました。眩さを阻もうと両腕で顔を覆う飛鳥さんですが、すぐ思い出したように左へ走ります。ボクはすかさず光を追従させます。
飛鳥さんはこの光以外に何も見えない状態でしょうから、逃れようにも文字通り手探りです。しかし走らずにはいられないらしく、次々と衣装の掛けられたハンガーにぶつかっていました。
「わっ!?」
突然、飛鳥さんが前のめりに転びました。倒したハンガーにつまづいたようです。すかさずボクは手近に掛けられていた衣装をひったくり、飛鳥さんへと投げつけます。一着だけではなく何着も。すぐに彼女の体は覆われて見えなくなります。しかし脱しようと激しくもがいているので、どこにいるのかは光で照らしさえすればすぐわかります。
「うわっ、わああああっ! やめろっ! やめろぉぉぉっ!」
衣装の下からの飛鳥さんのくぐもった叫び。殺気よりも逼迫さが増していて、悲鳴に近くなっています。その声色がボクの中の勇気を奮い起こさせてくれました。
ばたばたともがく衣装の山へと、ボクは飛び掛かります。右手には刃を出したナイフ。あやめさんの血を拭きとってきれいになっていましたが、この暗闇では確認する暇もありません。もちろん汚れていようがいまいが、刃こぼれしているのでもない限り、飛鳥さんを殺傷することに差し支えはありません。
衣装の山の上に、まずボクの両膝がどすんと落ちます。逃れようと蠢く感触がありました。うつ伏せなのか仰向けなのかはわかりませんが、飛鳥さんの体のどこかに乗っています。
そして次に、右手のナイフを振り下ろします。絹を裂く感触、肉を断つ感触。両方がそこにあったのでしょうけど、正直違いはわかりません。どちらも同じくらい柔らかく、呆気ないものです。
「うッ」
くぐもった呻き声がかろうじて聞き取れました。ナイフの柄を握りしめた拳が生暖かく濡れるのも感じます。刃は確かに、飛鳥さんまで達したようです。
暗闇と覆いかぶさった衣装で視界を奪われ、さらにボクに馬乗りになられた飛鳥さんは、絶対的不利にあります。勝ったも同然と慢心するのはよろしくありませんが、相手が息絶えるのを確認するまでが人殺しです。絶命するまで、無我夢中で殺傷させていただきます。左手で握ったスマホを放り、ナイフの柄を両手で持ちます。後はひたすら振り下ろすだけ。振り下ろすだけ。振り下ろすだけ。
「ぎゃッ! ぎッ! うッ、うぐッ! ぅあああッ!」
これだけ激しく抜き刺ししていながら、ナイフを握る両手以外にボクは返り血の水気と温度を感じません。飛鳥さんにかぶせた衣装が、図らずもそれを防ぐ役割を果たしているようでした。これ幸い、なおも殺傷を続けます。飛鳥さんを殺傷します。飛鳥さんを。
「いだッ、いだいぃぃッ、やめ、やめでぇッ……!」
呻きや悲鳴が小さくなり始めると、ボクの膝の下で蠢く感触も弱くなっていきます。しかしまだ動いてはいるわけなので、ナイフを振り下ろすことは止めません。殺傷を続けます。飛鳥さんを殺し続けます。
「ゃ……ぁ……ぁ……」
微かにそう発したのを最後に、衣装の山の下からは声が聞こえなくなりました。しかし蠢きはまだ微かにですが続いています。それも止まるのを確認するまで殺し続けます。飛鳥さんを殺します。
いつまでそうしていたでしょうか。さすがにナイフを振り下ろし続けて腕が重くなってきて、一息ついてしまいます。さすがに中断したところで、飛鳥さんに反撃できるだけの余力は残されていないでしょう。ついでにその様子を観察してみることにします。
膝の下の蠢きは、もぞもぞとしたものからぴくぴくと痙攣する動きに変わっていました。それも周期としては長い間隔です。これならまだ生きていたとして、逃げられる心配もなさそうです。ボクは衣装の山を離れ、先ほど放ったスマホを探します。ライトはつけたままでしたので、光を頼りにすぐ見つけることができました。
手にしたスマホで道を照らしながら、部屋の入り口に向かいます。その脇のスイッチを押して電気が点くと、まあひどい散らかりようです。もし荒らしたことがばれたらプロデューサーさんやちひろさんに大目玉を食らうことでしょう。
なぎ倒されたハンガー。踏み荒らされたステージ衣装。部屋の片隅には真っ赤な小山が見えました。近付いてみると、きらびやかだった衣装は見る影もなくズタズタです。ナイフで穴だらけにしてしまったことは反省しますが、しかし血で汚したのは飛鳥さんなのであって、ボクのせいではありません。
さてその衣装を剥ぎ取ると、仰向けに寝転んだ飛鳥さんの姿が現れました。虚ろな目で天井を眺めたまま、全身を固めています。時折思い出したように、手やつま先がぴくぴくと痙攣するぐらいです。
と思ったら、よく見ると口もまたゆっくりとですが、動いていたのです。何かしゃべろうとしているのか、無意識に開け閉めしているだけなのか、定かではありません。もう声も、呼吸の音もまともに聞こえないくらいです。
しかし絶命していないことがそれでわかりましたので、ボクはその口めがけナイフを振り下ろしました。腕が疲れて痺れてきたので、これを最後の一撃にしたいところです。
刃は唇を裂き、舌を抉って彼女の咽喉に突き当たります。それにも飛鳥さんは反応を示さず、むしろ潔くとどめを刺されることを受け入れたかのようです。突き刺したまま、しばらく様子を見てみましたが、もう口が動くことはありませんでした。
ようやく終わりです。いやあ疲れました。しかしのんびり休んでいるわけにはいきません。誰かに気付かれる前に退散しなければ。すぐに脱ぎ捨てた服を着て、ドアノブや照明のスイッチをハンカチで拭いて、部屋を出ました。あれだけ騒いだにも関わらず廊下は静かなままで安心します。
それからすぐトイレに行って、両手についた血を洗い落とします。手をすすぎながら目の前の鏡を見て、顔に血がついていないか確認します。びっくりしました。いえ血はついていませんでしたが、さもおかしそうに笑う顔がそこにあったからです。いえ声は立てていません。いい加減、殺人の後にどうしてか笑う癖があることは自覚していましたし、それにここで騒いで怪しまれても面倒です。第一こんな顔で笑っているところを見られでもしたら失望されてしまいます。
まるで顎でも外したような大口を開けて、けれども目はちっとも笑っていなくて。瞳はどこか濁っているようでさえあり、ボクはそれに既視感を覚えました。
ああ、たぶんあやめさんや飛鳥さんの死に顔と似ているのでしょう。
しかしおかしな話です。ボクは生きているのに、どうして死んだ人と同じような目をしているのでしょうか? それとも実は彼女たちがまだ生きていて、ああいう目をしていた?
よくわかりません。今から確かめに行くこともできません。よくわからないことは考えすぎない方がいい場合もあるものです。それより重大な問題に意識を向けることとしましょう。
つまりは今のボクのこの顔が、カワイクないということです。
こんなにカワイイボクなのに。
いつでもカワイイボクなのに。
人殺しだってカワイイことなのに。