※勢いだけで書いてます
「んっ……」
私は今、楽郎君とキスをしている。
「……」
大学生になって、楽郎君と恋人同士になれて、それでデートをして、それで……。
「んぅ……むっ」
「……んんっ」
楽郎君の住むアパートの、彼の部屋の玄関で、部屋の主と唇を重ねている。
(あぁ…幸せ…)
念願かなって気持ちを通じ合えた瞬間の喜びが、こうして彼と触れ合う事でありありとよみがえってくる…付き合い始めてから、片時たりとも忘れた事等無かったけれど。
「ふ……んっ…」
外から入って来たばかりでまだ靴も脱いでいない、身に沁みついた教養は「こんなところではしたない!」と心の片隅で叫んでいる、でもこうして楽朗君と触れ合うことよりも優先するべき事が存在するとは思えない。
あぁ、それでも斎賀の教育には感謝するべきかもしれない。
「……ふぅ」
彼が今私にしているのは、唇と唇が触れ合う優しいキス。心地よい愛情が伝わってくるこのキスも大好きだけれど…楽郎君は満足していない。
私が彼にしているのは、受け入れて、受け止める。彼の愛情と欲情を、一滴残らず飲み干す為の迎えるキス。彼はそれに気づいていなくて、優しく私を気遣う。
(嫌だ、もっと欲しい、もっとして欲しい。)
我儘な内心の叫びは、今度は心の隅々まで響いて、口が離れるのと同時に自然と離れていた体が勝手に動いて、もう一度楽郎君にしなだれかかる。
「…玲さん?」
彼の心に寄り添う為に、必要な物を全て持っているこの身にも。
「…楽郎君………」
戸惑うような、それでいてほんの少しだけ期待するような彼の声に、全身の熱が頭に昇って行き、いつものように硬直する。…でも今は壊れる訳にはいかない。
私の心…魂は、いつも彼に揺り動かされて、その言葉一つ一つの熱で簡単に溶けだしてしまう。いつしか溶け切ってしまった心は海原となり、高ぶる感情は大波となって私を苛む。
(でも…彼にそうしてもらうならば…溶けた私の魂はきっとチョコレートだったのではないでしょうか)
今どんな言葉を出せば私の…何よりも彼の望みを叶えられるのか、思考できる事にも。
きっと、感謝すべきなのだろう。
「……私を、食べてください。わたしのぜんぶを、欠片も残さずに」
私の言葉を聞いて、楽郎君は目を見開き、ほんの数瞬だけ目を閉じて…そして。
「んんぅ!?」
再びのキス、でも今度は先程までとは異なる。強く、貪り食らうような、乱暴なキス。
楽郎君の腕が私の背中に回される、逃げられないようにするためだろうか?そんな事はしないのに、でも抱き締めてもらえるのはとても、とても嬉しい。
「んぷっ…ちゅ…んんっ!」
激しく求められている、それに応えようと私も腕を楽郎君の背に回す。
ぷちゅ、ぴちゅ、くちゅ…と淫らな音が玄関に煩く響く、ひょっとしたら外に聞こえるかもしれない。それに思い至った私の羞恥心はより一層刺激されるが、楽郎君はお構いなしだ。ひょっとしたら私が恥ずかしいのを分かっていて音を大きくしているのかもしれない、楽郎君は意地悪なところがあるから…。
「ぷぁっ…んっ!」
息継ぎのように、私を試すように時々顔が離れるけれど、寂しさを覚える前に唇を塞いでくれる。
「んん…んぅー!」
(舌が…入ってきた!?)
初めての事だ、ゆっくりと私の口内に侵入してきた舌は、すぐに私の舌とぶつかって、反射的に押し返そうとしてしまう。
でも楽郎君の舌は狡猾で、一度引っ込むように見せかけてすぐに戻ってきて、私の舌を、まるで宥める様に、悪い事をした子供を躾ける様に、押し退けられたり、絡め捕って弄ぶ。
「んーっ!」
ディープキス、というものだろうか。唇でさえ触れられ、口づけられると背筋が泡立つのに、人生で一度も侵入を許したことがない口内を嬲られて、必死に繋ぎ止めていた意識がどんどん溶け出してくるのがはっきり分かる、分かってしまう。
「れぁ……あぁ…」
蹂躙劇は、私の意識が無くなるギリギリで止められて、ゆっくり唇が離れる。つぅーっと涎の線が私と彼の間に出来上がって、何故か橋や糸といった表現の前に…犬を繋ぐリードが思い浮かんだ。
意識を飛ばさなかった安堵と、喪失感と、恍惚が混ざり合って呆けていたら、楽郎君は私の体を持ち上げてしまった。
(重たくないでしょうか…)
体に力が入らない私は、そのまま楽郎君に靴を脱がされて、お姫様のように何処かへ運ばれていく…この先は、確か…寝室だ。
R18指定に出来るのか書いてる時点ではわかってません…ややこしやハーメルン…