※この作品はR-18です。

裏切られた"僕"は絶望して逃げたが、入れ替わった"俺“はその後の人生を謳歌する。   作:美味しく食べよう

1 / 42
見切り発車やで(^ω^)


第一章
絶望の始まり


「もうね、私との婚約は無かったことにしてほしいの。ただの農民の貴方との婚約なんて、他の貴族が知ったら弱みになってしまうから。」

 

「そういうことだよ、下民くん。彼女は、君よりも僕の愛に応えてくれたんだ。知ってるかい?夜の彼女は、それはそれはもう…こちらが疲れるくらいにね…君の年齢ならこの言葉の意味、分かるだろう?」

 

最初に喋った方の女性は僕の幼馴染、後に喋った方の男性は勇者様。

 

「な、なんで?え?」

 

目の前の二人から言われたことに、脳が理解を拒んでいる。

 

「だ〜か〜ら〜!私は彼と結婚するの!分かる!?私は勇者様の妻になるのよ!分かった!?」

 

「そういうことだよ、下民くん。しっかし、君は頭が悪いなぁ〜。ここまで直接言われないと分からないのかな?」

 

いや、本当は理解していた。しかし、これはただの悪夢で、現実では無いと必死に現実逃避していたのだ。

 

「本当はね、貴方と婚約していたっていう忌々しい過去を消すために、貴方を最初から無かったことにしようとも思ったのよ?でもね、勇者様が貴方のような農民に慈悲をかけてくださったんだから。勇者様に感謝しないよね。」

 

「いや、それは彼に悪いよ。だって僕と君が浮気したんだもん。本当のところは。はっはっは!だから、これぐらいの優しさは見せないと。」

 

「まぁでも、誰かに言ったりしたら、その首、刎ねるから。」

 

静かな声の中に、冷酷な殺意を滲ませて、彼女は左に帯びている剣の柄に手を伸ばす。

 

「ひっ?!」

 

それを見た僕は咄嗟に頭を腕で庇い、地面に蹲る。

それを見た二人は、

 

「はっは!貴方みたいな農民の血で、私の剣を汚すわけないでしょう!?」

 

「ぶっふぅ!彼、『ひっ?!』だって!ダッサ!本気で面白いんだけど!」

 

「「あっはっはっは!!」」

 

どうやら、僕の知ってる彼女はもういないらしい。

それに、話で聞いていた勇者様とやらも、相当な俗物らしい。

はぁ....二年前はあんなに相思相愛だったのに...。

 

思えば、転機は二年前のお告げだったのかもしれない。

 

王国の教会の使者を名乗る屈強な男が、突然村にやってきた。

当時、まだ僕たちが15歳の時だ。

「民よ!聞くがいい!この村に強い女剣士が生まれたとな!これは神からのお告げである!勇者様のお供とするため!すぐに連れてこい!」

 

当時から剣を持って辺りの警備をしていた彼女は、すぐに見つけられ、連れて行かれた。

 

「いやだ!行きたくない!」

 

「でも!君が行くしかないんだ!」

 

「でも!」

 

「愛してるよ、エリス!」

 

これが僕と彼女の最後に交わした言葉となった。

それからは、手紙でお互いの近況を報告しあっていた。

流石に王国の人達も、不憫に思ったのだろう。

手紙のやり取りは許してくれたらしい。

 

最初の頃は『会いたい』『愛してる』とかだった。

でも一年経つ頃には勇者のことを書き始めて、一年半経つ頃には手紙もくれなくなった。

 

それで二年ぶりにやってきた彼女と勇者様は、僕に会うなりこんなことを言ってきた。

 

「じゃ、そういうことだ。じゃあな。下民くん。」

 

「そうね。もう一生会うことはないでしょう。じゃあね。農民。」

 

二人はそう言って立ち去っていった。

そこには、取り残された僕がポツンと立っていた。




こっちメインかも。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。