裏切られた"僕"は絶望して逃げたが、入れ替わった"俺“はその後の人生を謳歌する。 作:美味しく食べよう
その後、オオカミの死体をシークの魔法で収納して、もう一度体を洗って、服を着て、鉈とナイフを持ち、俺は『バーン』に戻った。
門で手続きを済ませて、ギルドに戻る。
「おお!シュラ!無事だったか!」
「え?えっと、何が?」
「知らねぇのか?!お前が向かった森に、他の新米冒険者も行ったんだがよ、森で『ライオンウルフ』に襲われたって言うんだよ!お前も襲われたのか?!」
すごい剣幕で聞いてくる先輩冒険者。
「えっと、ライオンウルフって、結構デカいオオカミのことですか?」
「そうだ!お前も襲われたのか?!」
「はい、襲われましたけど、討伐しました。」
「「「「「何ぃッッッ!!!」」」」」
そんなに驚くのか?ステータスが規格外みたいだけど。
(いいか?ステータスの高低で戦いが決まるんじゃない。知略と、戦略で決まるのだ。格下が格上を倒すなんてことはよくある。桃太郎で、キジが鬼を撃退した話は有名だ。)
(※決してキジを馬鹿にしているわけではありません。)
「おい!シュラ!お前、ライオンウルフの死体はどうした?」
「あ、はい。えっと、ここじゃ狭いので、広めのところとかありませんか?」
「それならアタシが案内しよう。ついてきな。」
先輩冒険者の群れをかき分けて、ヘルガさんがやってきた。
「あ、はい。お願いします。」
案内された場所は、ギルドにある解体場だった。
「ここなら広いだろ?それで、ライオンウルフの死体はどこにあるんだい?」
「今出します。」
(すまん、オオカミの死体を出してくれ。)
(うむ。)
直後、ライオンウルフの死体が三つ、目の前に出現した。
「うお!びっくりした!今のは何だい?!」
「あぁ〜…今はここにいないんですけど、俺の仲間の能力です。いつも此方を見ているので。」
「ふ〜ん?なんだかすごい仲間だね。」
「そうなんですよ!俺の自慢の仲間です!」
(頼む!これ以上聞いてくるな!)
此方を探るような目を向けるヘルガさんに、必死にポーカーフェイスを貫く。
「はぁ、そういうことにしとくよ。」
(ほっ…)
なんとかなった。
目の前のライオンウルフの死体を観察するヘルガさん。
「アンタ、どんな得物を使ったんだい?」
「えーっと、鉈です。鉈で、こう、ザクッと。」
「とんでもない鉈だねぇ。」
たしかに、死体を見れば、頭にしか損傷はない。
「このサイズになると、相当頭蓋は硬いと思うんだけど。」
「まぁそこはほら、俺の筋力カンストしてるし!」
「そういうもんか…しかし、そこ以外は綺麗に仕留めてるね。これの素材で欲しいのとかあるかい?」
「素材?」
「あぁ。素材を使えば自分のオリジナルの装備も作れるんだよ。オーダーメイドってやつさ。自分で獲った獲物だからね、好きに素材を使えるんだ。そこは仕留めた者の特権さ。」
「ふーん…あ、じゃあ毛皮をください。なめしてコートにします。」
「ん、了解だよ。おーい!お前たち!コレの解体をお願いするよ!毛皮は此方に回しといてくれ!」
「「「「「了解!」」」」」
その声と同時に、屈強な男どもがゾロゾロとやってくる。
鉈やノコギリ、金槌なんかを持って。
「怖っ!!?」
「「「「「ひでぇっ!!」」」」」
いや、あんな屈強な男どもが鉈持ってこっちに来たら…
「アーハッハッハ!!確かに怖いねぇ!」
「「「「「姉御まで!?」」」」」
「すいません、解体よろしくお願いします。」
「「「「「まかしとけッ!!」」」」」
なんだかノリがいい人たちだな。