裏切られた"僕"は絶望して逃げたが、入れ替わった"俺“はその後の人生を謳歌する。 作:美味しく食べよう
「ヘルガさんと一緒にギルドの受付に戻ってきた。
「シュラ!お前がライオンウルフ倒したってホントかよ!?」
「やるじゃねぇか!」
「討伐金が出るな!」
「飯奢ってくれ!」
「酒奢ってくれ!」
「やかましい!今からシュラは色々と忙しいんだ!大人しくしてろ!」
「「「「「「「「はーい。」」」」」」」
「悪りぃな。あいつら騒がしくてよ。」
「いえ、あれぐらいノリがいいと楽しいです。」
「そうかい…」
ヘルガさんはクスッと笑った。
「あっそうだシュラ。薬草採ってきたか?」
「はい。これですよね。」
そう言ってポケットからヒール草の束を取り出す。
「おう!じゃあ初依頼は達成だ!おめでとう!」
「ほい!これが報酬金だ!」
そう言って、銅貨を二枚カウンターに置く。
「はい。ありがとうございました!」
「さて、それからもう一つ、ギルドマスターがお呼びだ。二階の奥の部屋に行ってくれ。一人で行って大丈夫だと思う。」
「え?俺なんか悪いことしちゃいました…?」
「ああ〜大丈夫だ。怒ってなかったし。」
「マジか…」
なんか嫌なんだよな〜。まぁ行くしかないか…
とぼとぼと階段を上がり、二階の奥の部屋の扉の前に立つ。
意を決して、
コンコン
「シュラです。部屋に入ってもいいですか?」
『いいぞー。』
男の声が聞こえた。許可が出たので扉を開けて中に入る。
「おぉ〜、お前がシュラか。俺はギルドマスターの『ギン』だ。よろしく。」
筋骨隆々の壮年の男がいた。
その横には、線の細い男がいる。
「私は副ギルドマスターの『ムント』です。よろしくお願いします。」
知性的な顔の男である。
「さて、ここにお前を呼んだのは、ライオンウルフの件だ。」
「どうやって倒したのでしょうか?」
「えーっと、鉈とナイフで倒しました。」
「まぁ確かに。死体の状態から見るにそんな感じだろうな。
ただよ、あのデカさになると頭をかち割るって中々むずいんだぜ?」
「そうですね。本来ならライオンウルフが一匹だけでも、少々難易度は高いですし…それに加えて、平均よりも大きく、しかも三匹同時となると、相当難易度は上がりますね。しかも奴らは群れでの狩りを得意としますから。」
「お前のステータスは馬鹿みたいに高いっていうのは分かる。だが、お前は村から出てきたばかりのはずだろう?あまりモンスターとの戦闘は経験が無いと見える。」
(疑われてるな。まぁ確かに経験が無いというのは本当のところだしな。殺し合いの強さは、経験の有無によって決まる。つまり場数をより多く踏んだ者が勝つんだ。よくお前を見ているのだな、こいつらは。)
「たしかに、俺は戦闘をしたことがほとんどありません。なんなら今回のモンスターが二度目です。でもステータスの高さを活かして戦ったのは本当です。見てください。この鉈を。」
ゴトン
とギルドマスターの机に置く。
「それが今回使った武器です。この鉈を頭に振るったら、一発で刃が潰れました。」
「ふむ。」
ギルドマスターは、鉈を手に取って刃のところを触ったり、重さを確かめていた。
「少し重いなぁ…それに、ガタが来てる。馬鹿力め。」
ギルドマスターの目が獰猛になっている。
「来い。お前のステータス以外の強さを確かめたい。」
「ふむ。それが良いでしょ。シュラさん。貴方の強さを確かめたいのです。
少しの間、ギルドマスターに付き合ってもらえませんか?」
「え!?俺ギルドマスターと付き合うの!?結婚を前提に!?」
「「そうじゃねぇよ!!」」
もちろん冗談である。なんか空気が重かったので。
「冗談ですよ、冗談。」
「まったく…ジャンと同じかと思ったぞ…」
「本当ですよ。ジャンさんと同じこと言うとは…」
「ジャン…?」
「男色の冒険者だ。ガタイのいい奴がよくあいつに誘われている。お前も誘われたんじゃないか?」
「いえ、彼は男であれば誰でも誘いますよ…現に私も誘われました。」
「マジかよ…あいつビッチだったのか…」
(あいつかよ…)
(そういえば、この前部屋に誘われてたな。あの男か。)
「じゃあ、門の外に行くぞ。ムント、事務作業は任せたぜ。」
「お任せください。気をつけて。」
そう言うわけで、ギルドマスターと戦うことになった。