裏切られた"僕"は絶望して逃げたが、入れ替わった"俺“はその後の人生を謳歌する。 作:美味しく食べよう
あの後、宿屋に戻って、飯を食って、そのまま寝て一夜明けた後にギルドマスターの師匠がいるというところに行った。
「ここか…」
(本当に人通りが少ないな。)
そこは住宅街から大きく外れた、人通りの少ないところだった。
人の気配がまったくない。少し道を外れるだけでこんなに違うのか。
「うぅ…なんか緊張してきた。」
(くよくよしても何も始まらない。勢いで行け、勢いで。)
(そうだよな…)
建物の扉の前で深呼吸をする。そして、
「た、頼もー!」
「いらっしゃい。」
建物の中は、武具以外何もない。
生活の中にあるべき物は何もない。
その奥の方で、若い男性の声がした。
「ようこそ。話はギンから聞いているよ。」
声の方に目を向けると、50代くらいの男性がいた。
ギルドマスターの師匠だから、もっと筋骨隆々かと思ったら、中肉中背の男だった。
「貴方が、ギンさんの師匠の?」
「えぇ。私がギンの師匠の『シエン』です。以後よろしくお願いします。」
「俺は、ギンさんに言われてここに来ました。シュラと言います。こちらこそよろしくお願いします。」
「えぇえぇ。聞いていますとも。では早速、打ち合ってみましょう。」
そうして渡されたのは、木剣だった。それと腕輪も。
既にシエンさんは腕輪を着けて、木剣も持っている。
「この腕輪は『苦行の腕輪』という魔道具なんですよ。武術の鍛錬のために生み出されたと聞きます。これでステータスを決まったものに変化させて、技術を磨くのです。あぁ、素のステータ以上には設定はできません。それを着けて、ステータスを全て『C』に設定してください。」
言われた通り、腕輪を着けて、ステータスの設定をCにする。
その瞬間、体が重く感じた。思わず、フラッとしたほどだ。
「ホッホ。ステータスが高いほど、体が重く感じます。貴方は相当鍛えたのでしょう。私もCにしてあります。ステータスを同じにして技術だけを見るんです。では行きます。」
言うや否や、木剣を振り下ろしてきた。
それを慌てて受け止める。が、
カァァァァンッッッ!!
「おっも!!!」
「これも技術です。さぁ、次はそちらがかかってきなさい。」
「エェイッ!」
少し重たく感じる木剣を振り下ろす。が、
ガァァァン!
俺の剣は鈍い音を立てた。
シエンさんの剣の様に、鋭い感じがしない。
「たしかにこれは…剣を習ったことのないモノですなぁ。」
いとも容易く受け止めるシエンさん。
「もう大丈夫です。概ね貴方の技術は分かりました。これからはここに住み込みで剣を覚えてもらいます。大体一ヶ月ぐらいですかね?あぁ、冒険者の依頼は続けてもらって大丈夫ですよ。ただし腕輪はつけてもらいますが。」
結構キツいかも…