裏切られた"僕"は絶望して逃げたが、入れ替わった"俺“はその後の人生を謳歌する。 作:美味しく食べよう
あの後、少し休憩して動ける様になってから、風呂に入って汗をきれいに流して、その後朝ごはんを食べた。風呂あるって最高やんけ…
その後、師匠が汗を吸った胴着を洗って乾かしてくれていた。
こんなに早く乾く?聞いてみたところ、
「魔法です。早く乾かす魔法があるんですよ。」
なるほど…流石はファンタジー世界
朝ごはんは、白米と味噌汁と焼き魚とサラダだった。
汗をかきまくって塩分と水分不足になった体に、味噌汁とご飯は最高だった。これだけで生きていけますわ。ホントに。味噌汁はちょうどいい濃さ。
白米は少し固めで、俺好み。白米に関しては5杯おかわりした。
本当に美味しかった。でも飯まで奢ってもらうのはなんだか申し訳ない訳で…
「すいません…ご飯までいただいてしまって…」
「ハッハッハッハ!若い人はご飯を食べて成長しないと。ほら、もっと食べなさい。遠慮しないでいいんですよ?」
「いえ、もうお腹がはち切れそうなので、これぐらいでいいです。おいしかったです。ご馳走様でした。」
「お粗末様です。それでは冒険、気をつけていってらっしゃい。」
「はい!行ってきます!」
洗ってもらった胴着を着て、ギルドに向かう。
「おはようございます!」
「おう、おはよう。」
ヘルガさんが返答してくれる。
前回よりも早く来た。冒険者は少ない。
静かなギルドは、少し新鮮である。
「なんか依頼ありませんか?」
「おう、シュラはマスターから言われていてな、この依頼を受けて欲しいだってよ。」
<オークの討伐>
「おぉ〜これですか。」
「お前、マスターに随分気にかけられてるな。あのマスター、結構厳しいんだぜ?しっかり頑張りなよ。」
「はい!頑張ります!」
「朝から元気でえらいです。私は朝弱くてな〜…ふわぁ〜」
欠伸をするヘルガさん。美人は欠伸をしても可愛い。
目の保養になる。
「行ってきます!」
「気をつけてな〜」
門に向かう途中にあることに気がついた。
「あ、そういえば、俺武器持ってないんだった。ドワーフのおじさん起きてるかな?」
起きてなかったら…叩き起こそう。
『ドワーフの工房に到着した。扉を叩く。
「ゴロさ〜ん!起きてますか?!」
「起きたるわい!そんなおおごえださんでええ!」
扉を開けるゴロさん。
「ごめんなさい。ゴロさん、この前貰った鉈なんですけど、壊れちゃって…」
「何?!壊すとはどういうことだ?」
「実はあの後、薬草の採取の依頼を受けて森に行ったら、ライオンウルフとかに鉢合わせしてしまって、それと戦闘になって、頭にぶち込んだんですよ。
そしたら一発で刃がダメになって…三匹いたんですけど、二発目叩き込むとき、鈍器みたいになっちゃって。」
「かぁ〜〜!馬鹿力め!やるじゃねぇか!」
「それで、鉈の研ぎ直しをお願いしたいんですけど…いいですかね?」
「任せろ!お前みたいな気骨のある奴にはサービスしちゃる!!
その鉈はあるか?」
「はい、これなんですけど…」
実はギルドマスターに呼び出されて提出した後、持ち帰っていたのだ。
「…こりゃあダメだ。刃が完全に潰れている。どんだけ研いでも元に戻らねぇ。どんだけ馬鹿力なんだよ?これなら棍棒とか使ったほうがいいぞ?あれは切れ味が無いからただぶっ叩くだけでいいんだ。お前にも合ってるんじゃねぇか?」
「いえ、あの…シエンさんという方に弟子入りしまして、ステータスを制限しているんですよ。」
「あぁ〜なるほどな。あの人は厳しいからな。それなら仕方ない。そこにある剣を持っていけ。サービスしちゃる。」
「本当にすいません。必ずお礼を返します。それまで待っていてください。必ず!お礼を返しますから。」
「楽しみに待ってるよ。」
ニコッと孫を見る祖父の様に笑う。
「すいません。お借りします。」
「おう。行ってこい。」
そういうわけで門の外に出て、オークのあるところに向かう。
(たしかここから西の方だな。オークがいるところは。)
(そうだな。そこに行くぞ。)
西には山がある。そこにオークが出る。定期的に討伐しているのだそうだ。
と、早速鉢合わせた。
「ブモォッ!!」
発見次第、威嚇してきた。手には棍棒を持っている。
すぐに剣を構える。
「ブルルゥアァッ!」
棍棒を振り上げて襲いかかってくる。
それを振り下ろすのに合わせて、教わったカウンターを入れる。
ギリギリで棍棒を避けて、瞬間的にカウンターを入れる。
今気づいたが、攻めも守りも、膨大なカウンターの集大成なんだな。
クタクタになるまで剣を振って、実戦で使って分かった。
棍棒は地面に叩きつけられるが、剣はオークの右手首の動脈を切り裂いた。
深く刃が入ったので、碌に棍棒を握れずに、タタラを踏む。
オークは此方を睨んでいたが、10秒ぐらい経ったら膝をついて、20秒ぐらいしたらうつ伏せに倒れた。失血死したのだろう。
「ふぅ、綺麗に倒せた。怖いぐらに。」
(そうだな。この調子で倒して行こう。)
「おう。」
オークの死体の前で手を合わせる。命を奪ったことに対する祈りだ。
「オークの死体をしまってくれ。」
(うむ。そういえばお前、転生した直後に倒したオークの死体が残っているのだが?どうするのだ?)
「あ、そうだった。それは皮を防具にしよう。革鎧とかあるんだろ?」
(うむ。オークの革鎧は一般的なモノだ。持っていて損はないと思うぞ。)
「じゃあそうしよう。」
そういうわけで次のオークを探していく。
見つけた。
今度は二匹だ。二匹で行動している。
まずい。集団戦は知らないぞ。
(一匹ずつおびき寄せればいいのだ。)
(やってみるか。)
足下に落ちていた小石を拾って、近い方のオークに向かって投げる。
コツン
ちょうど頭に当たった。
「ブヒ?」
当たったオークだけが此方に振り向き、鼻を使って索敵している。
前のオークは気付いていない様だ。
(こんな上手くいくのか。)
当たったオークは此方に近づいてきた。
ちなみに俺は今、草むらに隠れている。
ギリギリまで息を潜めて、間合いに入ったら剣を突き刺す。
あと四歩
あと三歩
あと二歩
あと一歩
今!!
草むらから飛び出し、剣を腰溜めに構える。
「ぷ、プギィ?!」
相手は驚いている様だ。
だが、俺は容赦なく剣を心臓に突き刺す。
「ブギィッッッ!」
デカい断末魔をあげた。
その声にもう一匹のオークは気付いたらしい。
「ブモォッ!!ブルルゥアァアッッッ!!」
怒り心頭で棍棒を持って襲いかかってくる。
それも避けざまに手首を斬りつける。
勢いが強すぎて、手が飛んだ。
「ブ、ブギィ…」
怯んだ隙に、踏み込んで頸動脈を斬る。
勢いよく血が吹き出して、オークは倒れた。
「よし、二頭討伐。」
そうして、また祈りを捧げる。
「ふぅ、こんなもんか。」
(討伐数はいくらなんだ?)
「たしか五匹だ。」
(では、あと二匹か。)
「そういうことだ。」
(すぐ終わらせてしまえ。)
「あぁ、俺もそうしたい。」
そんな感じで、依頼を早く終わらせるため、俺はさらに山に入っていった。