裏切られた"僕"は絶望して逃げたが、入れ替わった"俺“はその後の人生を謳歌する。 作:美味しく食べよう
早朝、最近はもう慣れてしまい、自分から目覚めるようになった。
まだ暗く、人通りがない時に、型の鍛錬を始めた。
「それじゃ、シュラ君。これが最後の鍛錬だ。その魔剣術を自由自在に使いこなすんだ。今の君なら出来るね?」
師匠と木剣を構えあっている。
そして、俺から攻める。
この六つの型は、カウンターの集大成である。自分から仕掛けて崩す技もあるが、主体はカウンターである。攻めの動きにもカウンターがあり、守りの動きにもカウンターがある。それをひたすらに繰り返して、体に覚えさせるのだ。魔剣術を用いることによって、カウンターが正しく一撃必殺となる。
周囲には金属が潰れる音が響いている。
騒音になるかと思ったが、ここは元々人通りががないのだ。遠慮せずに打ち合える。
そんなことを考えていても、型を間違えることなく終わらせられる。
一ヶ月前までは天狗の鼻になっていた俺は、ここに来て人として成長できた気がする。武器の扱い方を知り、人との関わり方を知って、俺は成長できたのだ。と思いたい。
最後の型が終わり、木剣を師匠の首元に置く。
「…素晴らしい。もう使いこなしているじゃないか。ここから更に慣れていくんだ。まだまだいくよ?」
それから、日が昇り、ツバキさんに声をかけられるまで鍛錬をしていた。
魔力を使うことによって、疲れることがなくなった。
だから長時間続けて型を鍛錬できる。
残り五日間、死ぬ気で物にする。
今日も今日とてツバキさんと依頼をこなす。
でも、最近は周辺の地域がおかしい。何がおかしいって、モンスターがやけに少ないし、動物も虫も全く見ないのだ。ギルドの方も異変を感じてるらしい。
副ギルドマスターのムントさんも
「…何か嫌なことが起きそうですね…」
と不吉なことを言っていた。縁起でもないのでやめてほしい。
そんな異変が続いて、五日目、今日も早朝に起きて師匠と鍛錬し、朝飯を食べた。
「今日で、二人ともとの修行は終わりだな…一ヶ月間、よく頑張った。
君たちの腕は私が保証します。今の君らなら、どんな困難にも打ち勝てるでしょう。」
「こちらこそ、ありがとうございます。師匠に出会えて本当に、剣の腕も、人としても成長できました。本当にありがとうございました。』
「私も、シエンさんに会えて、ここまで強くなれました。シュラ君とも出会えましたし。本当にここに来てよかったです。ありがとうございました。」
そんな涙ぐましい感じだったのだが、突如、
『スタンピードだ!!!スタンピードが起こったぞ!!!!』
そんな不穏な声が聞こえてきた。