裏切られた"僕"は絶望して逃げたが、入れ替わった"俺“はその後の人生を謳歌する。 作:美味しく食べよう
私はシュラを一目見たとき、好きになった。
私の好みドストライクの顔立ちだったのだ。
黒い髪は荒々しく逆立ち、顔はナイフのように鋭く、凛々しく端正だった。
筋肉もガチガチで、力こぶはまるで鉄塊のよう。
そんな怖い外見とは裏腹に、ウブな反応と、穏やかな雰囲気。
私が彼の部屋に泊まると言ったとき、彼は一度拒否した。
『過ちがあっては取り返しがつかない。』
彼は思慮もあり、分別もできる人だった。
その時、更に好きになった。
そんな彼と、一緒に行動するようになってから、私は充実していた。
好きな見た目と人と一緒に行動できて嬉しかったのだ。
更には、彼は身を挺して私を守ってくれた。
私達はシエンさんからの言いつけで腕輪をつけている。
ステータスを強制的に設定して鍛錬するための魔道具。
だが、設定したステータス以上の強敵が山に現れたのだ。
オークキング
オーク達の長である。
このモンスターは、他種族の雌を見ると、性的に襲うという、恐ろしい特徴があった。オークにもその特性はあるが、このモンスターは異常である。
そのモンスターに出くわして、彼が一度敗れ、私がオークキングに襲われそうになった時、彼は死に物狂いで私を助けてくれた。
そのとき、彼は腹に剣を突っ込まれたのだ。
その傷跡は今でも残っている。
そんな重体で、彼は私を助けて運んでくれたのだ。
幸いにも、私は回復魔法が使えるため、彼の傷を癒すことができた。
その時聞いたのだ。
「なぜ、私を助けてくれたの?あなただけでも逃げることができたかもしれないのに…」
「馬鹿野郎。お前は俺の宝物なんだよ。絶対に離すもんかよ…」
彼はそう言って、眠ってしまった。
その時からだろう。私が彼を生涯支えたいと思ったのは。
この人のために生きよう。もし出来れば、この人と共に生きよう。
そう思ったのだ。
これが、私が彼に心底惚れた理由。
彼は多分覚えていないだろう。意識が朦朧としている中で言ったのだ。
そして、私は全力で武術をシエンさんの元で修練した。
あの人は剣以外にもあらゆる武器の術を修めている。
あの人がいれば魔王なんか討滅できるんじゃないかな?
そんなことを思うが、ある日。
シュラに呼び出されたのだ。そこで聞いたのは、厳密にはシュラがこの世界の人ではないこと。彼が魔王討伐の依頼を、謎の存在から受けていること。
最初は驚いたけど、それでも彼を見て納得した。
だって彼、少し抜けてるところがあるんだもん。
子供でも知ってるようなことを知らなかったり、時々知らない言葉を喋ったりしている。歳の割にはとても落ち着いていたりするから…
彼は、少し寂しそうだった。孤独な感じだったのだ。背中を見ていると、ひどく遠くにいるような錯覚をうける。だから、私がこの世界に繋ぎ止めなくちゃと思った。
他にも色々とあるよ?
でも、これが私が彼に惚れた理由かな…