※この作品はR-18です。

裏切られた"僕"は絶望して逃げたが、入れ替わった"俺“はその後の人生を謳歌する。   作:美味しく食べよう

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遅れてしまい申し訳ありませんでした。
言い訳をさせていただきたいです。
寝取られた人の心情とかどうでもよくないですか?
まぁ色々と背景はあるのでしょうけど。
寝取られた側の人は、背景はどうであれ傷ついているのですから…

主人公別人だけどね。


閑話 エリスside2

アタシは農民を見て、気づかない程に胸が高鳴った。

その理由は分からない。気づかない程だから、分かるはずもない。

 

それよりも、何故ここに農民がいるのか。

思わずアタシと勇者様は驚いた。

 

「な?!何故お前がここにいる!」

「なんでアンタがここにいんのよ!!?」

 

前に見たときと大分違う。

前は若干筋肉がついている程度だった。

だけど、今の農民は筋肉が完璧になっている。

服の袖から覗く前腕は手首が細く、肘に向かうほど太くなる。血管も浮き出ていて、相当に鍛え込んだ跡だと見える。手首も頑強になっているだろう。

目つきも、前は自信が無さそうな気弱な感じだったのに、今は鋭くなって威圧感がある。ていうか髪は茶色だったのに今は漆黒色なんだけど…

何がどうなってんの?

 

「別に、ビギン村を出てここにいるんだけど…それが何か?」

 

口調も前と違ってハキハキと自信満々に言ってくる。

前はオドオドしていたのに…すごい生意気なんだけど。

 

「なんでただの農民がここにいるんだ??!!」

 

「別に、農民がここにいちゃ悪いのか?」

 

さっきからただの農民が敬語も使わず、勇者様に無礼な口調を言う。

イライラしてきた。勇者様はすごく偉いのに。

ただの農民なんかよりもずっと崇高な意志を持っているのに…

 

イライラしているのはアタシだけではないのだろう。

後ろに控えていた賢者様と弓使い様が文句を言い出した。

 

「あんた………………さっきから勇者様に生意気なのよ。分を弁えなさい。」

「そうよ!跪きなさい!」

 

そうだ。本当はただの農民が対等に口を聞ける存在じゃないのだ。

跪いて頭を下げるのが普通なのだ。絶対に顔を見て喋るなど、あってはならないのだ。

 

「なんで?なんで俺が勇者に跪かないといけないの?そんなに勇者が偉いことしたの?俺、本当に何も知らないから教えて欲しいんだけど??」

 

こちらを馬鹿にした顔をしながらそう言ってきた。

全員がカチンときた。不敬罪で命を断たねばならない。

 

でも、なんでだろう?本当に勇者様は偉いはずなのに…

 

なんで何も成し遂げていないの?

古来から英雄は、数々の偉業を成し遂げてきた。

勇者様は召喚されてから二年と少し、ずっと王城で過ごしてきた。

そりゃ、ダンジョンに行って鍛えたけど。

王国の外に出たことはこれが初めてだ。

でも、何も成し遂げていない。何で偉いのだろう?

 

そう疑問に思っていると、突如、頭が割れるような感覚に陥った。

何か…私はいけないことをしている?

なんで?なんで勇者様は偉いの?

なんでラッシュと対立しているの?昔は婚約者同士だったのに…

なんで?なんでなの?

イライラと頭痛のせいで気分が最悪だ。

すると勇者様が、

 

「コイツ……死なないと分からないのか!!」

 

と言って、斬り掛かっていった。

よかった…これで頭痛も治るし、イライラも少しは解消される。

 

「シュラさん!!」

「危ない!!」

 

門番の兵士がそう言うが、もう遅い。

 

「フン!勇者様にデカい態度するからよ!」

「そのまま死んでなさい。間抜け。」

「マジでなんでこんなとこにいるのよ…最悪…」

 

「ハッハ!死ねええ!」

 

勇者様が上段から真っ向に斬る。

絶対に避けられない。はぁ…早く死んで…

 

だが、次の光景に、私は思考が停止した。

 

「え?いやですけどww」

 

なんと、農民が勇者様の真っ向斬りを指で挟んで止めたのだ。

そんな神業、誰も出来ないのに…王国の騎士団の団長でさえそんなこと出来ない。

しかもあんな余裕そうな顔で。

 

「ッッッ?!?!?!」

 

勇者様が混乱している。当たり前だ。あんな神業、フィクションの中にしか見ないようなものだ。

だが、戦いにおいて、その隙は致命的だった。

 

「勇者様!お気を確かに!!」

 

直後、ドゴンッという、人間から出ない音が聞こえた。

勇者様が顔面を殴られて吹っ飛んだ。

軽く叩いたように見えたが、桁違いの威力を持っている。

 

「ブッッッッ!!」

 

無様な声を上げて吹っ飛んだ。

地面をそのまま転がる。早く加勢しなくては!

 

だが、それよりも早く農民が踏み込んだ。

 

「大丈夫ですか!今起こしますから!!」

 

そう言って、腕を掴んで起こそうとしたのだろう。

だが、勢いがありすぎて、そのまままた飛んだ。

 

「「「なっ!?!?!?」

 

驚いた。多分人生で一番驚いたと思う。

人類の救世主である勇者様が、ただの農民にボロ雑巾のように扱われているのだ。

 

「なにしてんのよ?!」

「そうですよ!なんてことしてるんですか?!」

「あんたね!幼馴染だからって容赦しないわよ!」

 

たとえ幼馴染であっても、これは絶対にダメだ。

許せない。絶対に殺す。

 

「あのさ、例えば俺が剣を抜いてお前に襲い掛かったとして、お前は黙って斬られるのか?もちろん抵抗するよな?そういうことだよ。」

 

「「「………」」」

 

ぐうの音も出ないほどの正論だった。

斬られそうになって、抵抗しただけなのだ。

同じ状況になったら、アタシだったら抵抗する。じゃないと殺されてしまう。

 

「お前って…あんたいつからそんな口聞くようになったのよ!」

 

こうやって少し強気に出れば、彼は謝ってくれた。

謝らせようと少し詰め寄りながら、強気に出た。

 

「いつからだろうね?どうでもいいし。」

 

なんともない反応。なんで?

前は恥ずかしそうに下を向いたり、目を逸らしたり、まともに喋れないほど気が弱かったのに…それに、こんな突き放すような口調は今までなかった。

ブツッと、何かが切れる音がした。

 

「あんたねぇ…」

 

斬り殺そうと思ったが、頭痛がまだ続いている。

まともにやっても勝てない。今は争うことよりも…

 

アタシは勇者様に駆け寄った。

他の賢者様と弓使い様も駆け寄った。

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