※この作品はR-18です。

ガニマール刑事の恋、らしいです 私立探偵とリュパンは蚊帳の外、とか   作:木桜 春雨

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ガニマール警部、結婚に至る過程

 彼女の住んでいたアパートは高級というわけでもなく、メイドもいない女性の一人暮らしでは普通だろうと思っていた。

 シャトレ広場のスイス酒場で働いてると知ってから、都合があえば仕事帰りには彼女を自宅まで送るのが、楽しみになっていた。

 その夜も、彼女がアパートの部屋に入るのを見届けて帰ろうとした、そのときだ、大きな何かが倒れる音がした。

 それだけではない、声、悲鳴にも似た声だ。

 

 「ジェニーッッ」

 

 慌ててアパートに入ると名前を呼び、ドアノブを回すが、中から鍵がかかっている、こうなったらと思い切り体当たりした、そのとき、ドアのそばに工具箱が目にとまった。

 ドアノブを思いきり金槌で叩き落としてドアを開けると部屋の中には彼女と男がいた。

 

 男の顔色は真っ赤というか、どす黒くて明らかに普通ではない 

 

 「あ、あんたに、会いたかったっ、酒場だと話せないから」

 

 酔っているのか、言葉かはっきりとはしない、こういう男を何人も見たことがある、酒だけではない、薬もやっていると。

 麻薬やアヘンは上流階級の間では気付け薬や享楽の為に医師が処方することもある、だが、最近では下層階級の人間でも簡単に手に入るようになってきた、それも質の悪い、どこから流れてきたのかわからないものだ、そんな質の悪い薬を安酒と一緒に飲むので中には、突然死で亡くなる人間もいる。

 だが、それだけではない、薬と酒で気が大きくなっ、犯罪、誘拐や暴行を行う人間も増えてきた。

 

 「だ、誰だ、おまえっっ」

 

 ガニマールの姿に男は怒りの為か、大きく目を見開いて近寄ってきた、しかも右手にはナイフを手にしている。

 

 

 「警察だ、どうやって入った」

 

 「はん、鍵なんてっ」

 

 このとき玄関にあった工具箱を思い出した、だが、鍵が壊された形跡はなかった、彼女は普段通りに入った筈だ。

 ナイフを向けて突っかかってくるが、それをぎりぎりのところでかわして、相手の腹に拳を叩き込むと腕をねじるようにひねり上げた、容赦なくだ。

 少しでも気を許して油断したら、こちらがやられる、相手が酔っ払い、薬物患者でもだ。

 気を失ったのを確認して電話で応援を呼ぶと、ガニマールは部屋の中を見回した、ドアの鍵を開けて入ってきたのか、いや、そうじゃない、窓に近寄って確認すると鍵は跳ね上げ式だが、簡単な、これなら本気を出せば泥棒、強盗、犯罪を犯そうとする人間は簡単に

入ってこれるだろう。

 

 「ジェニー、荷物をまとめて、今夜は私のアパートに」

 「ガニマールさん、い、いいんですか」

 「ここで眠れるとは思えない」

 

 泣きそうな彼女を、この部屋に残して朝まで一人で、そんな事はできない、とりあえずは大家に連絡しようとガニマールは部屋を出た。

 

 

 

 翌日、彼女の働いていた酒場には自分が連絡をした、休ませるつもりだったのだ、ところが、話を聞いた店員は顔を曇らせた。

 

 「その人、背の高い、ひょろりと痩せた男じゃありませんか」

 「知っているのか」

 

 エール一杯でつまみも頼まずに長居をするので注意したところ喧嘩になったが、刃物を持ちだしてきたので、まずいと思って、出入り禁止にしたのだという。

 

 「彼女の事が気に入ったみたいでした、妙に絡んできて何度か注意したんです、まさか、自宅に押し入るとは、すぐに出てくるんですか」

 

 店長の言葉からも厄介な客だという空気が感じられる、盗みをしたわけではない、女の自宅に押し入ったというだけでは下手をすれば男女間のもつれ、痴話喧嘩と思われても仕方がない、数日が限度だとガニマールは思った、他の店員にも話を聞く、すると、一人の女店員が出入り禁止になってからは店の向かいの通りで何度か見かけたと話し始めた。

 

 「最初は気のせいかと思ったんです、でも、背が高くて目立つんです、それに、あたしが見ていることに気づいたら逃げるように立ち去ったから、だから、同じ人じゃないかと思うんです」

 

 まずいなとガニマールは思った、もし彼女が店に出るようになれば刑務所から出てきた男は、また同じことを繰り返すかもしれない、ナイフを持っていたのだ、何をするつもりだったのか。

 刑務所に放り込んだまでは良かったのだ、あの後、調べると男は家族も家もなく、所持金も殆どなかった、ふらふらと、その日暮らしをしていたらしい、つまり、失う物がないわけだ。

 こういう人間は、予想外の行動をとったりする、ある意味、手強くて始末が悪い、刑務所に入れて置いても無駄飯を食わせる訳にはいかないとすぐに釈放されるのは目に見えている。

 彼女を酒場で働かせるのは危険だ、だが、生活がある、彼女は、もう、働かずとも食べていける貴族の未亡人ではないのだ。

 

 「警部、あの男、明日の夕方には釈放されるらしいですよ」

 「なんだと」

 「身元引受人もいないし、医者がいってましたよ、末期じゃない分、ああいうのが面倒なんだって」

 

 くそっ、ガニマールは内心、舌打ちをした。

 

 

 「貴方を襲った男だが、近日中には釈放される」

 

 その言葉に女性の顔色が悪くなる、無理もない、そこでガニマールは提案をした、しばらくここに自分と住むことを、警官の自分の家なら普通のアパートよりは安全だと。

 

 

 こうして二人の生活が始まったが、同居、いや、この同棲生活は長くは続かなかった、それというのも二週間あまりで結婚してしまったからだ。

 




 思わずネタが浮かんで、また警部を書いてしまいました。

 キャラクターボイス、イメージは小室さんでお願いします。
 もう一本ぐらい書けそうだなあ。
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