「夜の訓練を受けたいのか?君は?」
「は、はい。何だか1日ずっと居たら忘れられなくて」
「……俺の夜はエリック皇帝とは違い、激しいぞ。それでもいいのか?」
バスローブ姿の宰相が注意を促してくれた。夜のエリオット宰相は独特の雰囲気だ。夜目にも輝く銀色の瞳。まるで夜空に浮かぶ月のような輝きだ。
既に何回か夜伽をしたエミールには多少怖いと思う所はあったけど、それでも宰相の夜を経験してみたいと思った。
「わかった。そちらのスペシャルハードコースを始めようか?」
「全ての夜を知っている訳でもないが、君の夜伽の姿は何回かは見てる。まだ皇帝から口での営みは受けてないようだな」
「は、はい」
「君自身も口では愛した事もない…よな?」
「エリック皇帝には悪いけど、君から今夜はその2つの『初めて』を貰おうかな」
エミールの心臓が高鳴り出した。
ドキドキ胸が鳴る。
今夜、俺は2つの『初めて』をエリオット宰相に渡すのか。
高鳴る鼓動がうるさく聞こえる。
「ドキドキしているだろう?……大丈夫。俺もドキドキしているよ」
そこでエリオット宰相が普段仕事では絶対に見せない照れ笑いをしてみせた。
「おいで?エミール。夜のスペシャルハードコースを始めよう…」
キングサイズのベッドに上がるように言われるエミール。
微かに目が潤んでいる。
エミールはエリオットの腕の中に入る。
逞しい腕に驚いた。細いけどきちんと筋肉がついて、肌もかなり白い。
すると何の合図も無しに宰相の口づけがきた。
「んんっ…んふぅ…」
エミールは驚く。宰相の口づけはエリック皇帝と比べると激しい。舌を滑り込ませもてあそぶ。
頭の芯まで蕩けてしまいそうだ…。
「どうだ…?皇帝とは違うだろう…?」
「スゴイ…蕩けてしまい…ます」
「まずはこのキスを習得してみよう。エリック皇帝もビックリするぞ」
「はあっ…んんっ…んんっ…んふぅ…」
キスを交わす度にエミールは自覚した…。下半身が焼ける程に興奮を覚えている。するとそこに宰相の温かい手が伸びてきた。包み込むように触る。
「んんっ…!そ…そこは…ッ!」
「感じやすいんだな…初めて見た時から思ったけど」
「エリオット宰相…!」
「今はエリオットでいい。宰相という立場は忘れたいんだ…」
「はあっ…はあっ…エリオットさんの手も…温かい…気持ちいい…」
「エミール。どちらの『初めて』を俺に奪われてみたい…?」
「君が俺のここを愛する初めてか。それとも俺が君のここを愛する初めてか?」
「後の方…もう、我慢できないよぉ…」
「そうだな。苦しそうだ…ほら、行くぞ」
言うやエリオットはエミールの下半身に唇を包んだ。舌で刺激を与え始める。まるで何人もの人物と経験しているような熟練の舌だった。
「ああっ、ううっ…これが…っ!」
エミールは快楽と苦痛の両方の感覚を味わった。得も言われぬ快楽と同性同士で愛し合う苦痛と。
エリオットの舌が容赦なく動く。銀髪が下半身で動いている。
「気持ちいいか……エミール。媚薬を使わなくても…ここは充分にいきり立っているよ……あの時の媚薬など…必要ない位に…はあっ…はあっ…」
「エリオット…さんっ!……気持ちいい…気持ちいいよ……っ」
「今度は君がこれをするんだ……感触を身体に覚えさせておけ」
「あうっ…そんなに…激しくっ!」
「気持ちいい癖に……全部空にするまで続けてしまうぞ?」
「あうっ…ああっ…あうっ…はあっ…頭がヘンになっちゃう!」
「エリック皇帝が夜伽にする理由がわかる。君の喘ぐ声は美しい…」
「俺も毎夜して欲しいと思ってしまうよ」
言いながら絶頂に導くエリオット。激しい攻めにエミールは狂乱寸前だった。
「ああっ!ああっ!あうっ!イク…!いっちゃう…!」
「ああっ…ああっ!!」
そしてエミールは快楽の液をエリオットの口へと流し込む。
「おい。いきなり口にやるとは、君もスゴイな。おまけに濃いし…」
近くに置いてあったハンカチで口を塞ぐエリオット。エミールは脱力感に襲われてベッドに横たわる。身体を思い切り預けた。軽く汗も滲んでいる。
「ふうっ…どうだ…?覚えられたか…?」
「わからない…です」
「じゃあ……さっきの真似してみろよ……ほら」
エリオットもバスローブの下の下半身を指で指してここに口を持ってこいと示した。
エミールは戸惑う。今度は俺がするのか…。しばらく見つめてしまった。
「エリック皇帝のは見た事は無いのか?」
「う、うん」
「味覚はそれぞれだが、妙な味はしないよ。馴れるまで大変だけど、きちんと見つめてやる。来なさい…遠慮なく」
とは言っても口に含むとなると別たからな…。エリオットは戸惑うエミールの額に温かい手を添えた。
(この温もり……陛下と…同じ…温もりだ…)
今はエリオットが王になっていた。
安心するエミール。すると自然とエリオットの下半身に口を運んで戸惑いがちにキスを始めた。
(そう…上手いぞ…エミール)
キスが激しくなってきた。そして口にそれを含む。そのまま身体で感じた感触を頼りにエミールも舌を使ってみた。
「こ、これは…エミール…す、凄いな…き、君は…!」
エリオットは自分自身が総立ちしている事を自覚する。余りの快感で忘れられなくなってしまいそうな感覚だった。
今度はエリオットが喘ぐ。普段の宰相とは思えない程にセクシャルな声を上げる。
「はあっ…はあっ…エミール…気持ちいい…初めて…とは思えない…よ」
「エリオットさん……スゴイです」
「舌を絡めて…吸い込むように……ああっ…凄いぞ……エミール」
切なげに喘ぐエリオット。
銀色の瞳が快楽に陶酔する。
「そろそろ……来るぞ、エミール…!口に注ぐかも知れない…!いいかな…?」
「来て下さい…エリオットさん」
そして、深夜の宰相の部屋に切ない声が響いた。顔を天井にむけて自らの愛を口に注ぐエリオット。バスローブが乱れて片方に開けてしまった。
「はあっ…はあっ…はあっ……凄いじゃないか…エミール」
エリオットは下半身でじっとしているエミールの顔を起こしてあげた。
口から愛液がこぼれ落ちている。
そしてハンカチを口に当ててあげた。
「出して…健康に悪い…飲み込むのはな」
「エリオットさん……」
「今夜は私の腕の中で休みなさい…」
エミールは身体をエリオットに預けて、そのまま深い眠りへと入る。
エリオットは銀色の瞳を優しく輝かし、まるで母親のように包み込み、そのまま目を閉じた。
静寂が支配する宰相の部屋は今、月夜が照らしている……。