※この作品はR-18です。

続・月下香の檻 大人のレッスン   作:シン之助

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山文京伝先生の「月下香の檻」の2次創作です。
いよいよクライマックス・・・6話続けて洋魔子による暁人と綾乃への調教シーンが続きます。ちなみに名前しか出てこない登場人物カン・ヨンウ女医はこちらで活躍してます(https://novel18.syosetu.com/n8810gu/) 感想や何らかのご評価を頂くと嬉しいです。よろしくお願いします。
<あらすじ>
 母・唯子を三好満司に寝取られた秋月暁人は、謎の女・山本洋子に「大人のレッスン」を受け「本当の幸せ」の意味を知り、暁年が唯子を取り戻すことで絶対的な絶望から立ち直れることを知らされる。しかし、暁人と暁年が具体的な反撃の方法を知らされる前に、洋子は洋魔子に意識を乗っ取られ殺されてしまった。そんな中、暁年は仕事の都合で知り合った謎の老人に代わり工事現場に3日間の「居座り」の約束をしてしまい、家族の協力を得られぬまま孤立無援の戦いをしていた。
 そしてついに、母・唯子は満司の施したクリキャップと暗示によりセックス依存の極限状況で色情狂に変えられ、すべての思考を奪われ、満司の悪の手先に変えられてしまう。満司は唯子を使って暁人の恋人・藤原綾乃をその毒牙にかけようとしていた。
 だが、満司の魔の手は暁人にも迫っていた・・・。
本小説はhttps://www.pixiv.net/novel/show.php?id=14869648にも掲載しています。


第20話 レッスン4 その1/6

---------登場人物---------

秋月 暁人:主人公

秋月 唯子:暁人の母

秋月 暁年:暁人の父

三好 満司:主人公の遠縁(暁年の母方の従祖母の孫娘の夫)

三好 聖満:満司の子

三好 良枝:満司の元妻

山本 洋子:謎の娼婦 (「廃神社の巫女https://novel18.syosetu.com/n0812ge/」からのゲストキャラ)

山本 洋魔子:山本洋子の別人格(ダークサイド)(オリジナルキャラ)

藤原 綾乃:暁人の片思いの人(実は両想い) (オリジナルキャラ)

鈴木一之介:鈴木貫太郎探偵事務所・所長・探偵 (オリジナルキャラ)

及川:鈴木貫太郎探偵事務所・探偵。一之介の部下(オリジナルキャラ)

パタンジャリ・プールナーナンダ:ヨーガ修行僧 (オリジナルキャラ)

カン・ヨンウ:女医(妊婦凌辱https://novel18.syosetu.com/n8810gu/からのゲストキャラ)

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 父が洋子さんに失望しているのは明らかだった。せっかく洋子さんから渡されたセックスカウンセラーの名刺を、一之介さんの車の中で破り捨てていた。確かに、あの時、既に洋子さんは洋魔子に変わっていた。あの名刺に書かれていた名前や住所は偽物かもしれない。しかし、今や父が満司に打ち勝つ、具体的な性技の指導をしてくれそうなカウンセラーのあてを父や僕にあるはずもなかった。そして、そんな事を相談できるような伝手(つて)も持ち合わせていなかった。性に関してN国は後進国であることを痛感していた。

 しかし、洋子さんの話では、母はもう限界にきている。これ以上、時間がかかれば、母はどうなってしまうか分からない。父は母に死を選ばせないことだけを考え、まだ挑戦しようとしていない。しかし、もし洋子さんの考えが正しければ・・・母は魂を売り渡してしまう。魂を無くしてしまう。そうなった時、母は永久に「本当の幸せ」にはなれなくなってしまう。   

 だから、僕に残された道はこれしかない。あの名刺のカウンセラーに会って、信頼できる人なら相談し、満司を打ち倒す手段を指導してもらう事だ。これは僕にとって、僕たち親子にとって大きな賭けだ。名刺の細かい住所までは見えなかったが、幸いそのカウンセラーの名前は記憶に残っていた。

 

『心療内科/セックスクリニック 女医 カン・ヨンウ』

 

 早速ネットで調べてみると、クリニックとしては確かに有名で、ネット上での評判は良かった。中には根も葉もない罵詈雑言や、性犯罪がらみの疑惑、大きな悪の組織が絡んでいる・・・などなど、中二のような突拍子もない書き込みもあった。しかし、多くの評価は高得点で感謝の言葉であふれていた。カン・ヨンウ医師は、ネット上の写真を見る限り、冷たい感じはしたが確かにとびぬけた美人のK国人女性だった。僕は予約も入れずに、ネットで調べたカン・ヨンウ心療内科の所在地に、その日の放課後、塾をさぼって行くことにした。

 

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 カン・ヨンウ心療内科はすぐに見つかった。ネットにある情報通り、都心のK国人街の雑居ビルのワンフロワー全体がそのクリニックに充てられていた。すぐに中に入り、カウンセリングを申し込みたいところだったが高校の制服を着て中に入るのは躊躇(ためら)われた。とりあえず、エレベータホールの隅に隠れて中に出入りする患者と思われる人達の観察を始めた。驚いたことに、出入りする患者のほとんどは、「上級国民」と呼ばれる人々だった。運転手付きの高級外車、ブランド品で決められた服装に、派手な宝石、大金持ちや政府高官を思わせるようなVIP揃いだった。

 

(高校生が行くような場所ではない。いや・・多分・・父でも無理だ)

 

 そんな事を考えながら、1時間以上様子を見ていたが何の収穫もなかった。違和感はいくつもあった。クリニックから出てくる患者はまるで夢遊病者のように虚ろな表情をしており、足取りがかなり怪しい。それを看護師が付き添う様に送迎用の車まで送っていく。送迎車など用意できない一般庶民では到底、通院は無理だろう。そして、送迎に立ち会う看護師のマスクが、まるで軍事用のように厳めしい。それはまるで細菌戦争でも耐えられるような厳重さ・・・ボンベのような筒がマスクの左右から突き出た本格的なものだった。だが、クリニックであればそのような厳重さは今の時代には在ってもおかしくはない。あきらめて塾に途中から出席しようと、帰ろうとした時だった。

 

「トゥルルッ・・」

 

 スマホが鳴り出した・・・しまった・・・マナーモードにし忘れていた。エレベータホールにいた人の視線が僕に集まる。この場所での制服姿はかなり目立ってしまったに違いない。何人かの人がエレベータホールに隠れているボクの姿を見とがめたようだ。

 

「暁人か・・・申し訳ないんだが用事を頼まれてくれないかな?」

「何だい藪から棒に」

 

 父からだった。父からスマホに連絡を受けたのは何年かぶりだ。もしかすると初めてだったかもしれない。どちらにせよ父とのコミュニケーションは確実に増えている。洋子さんのレッスンの成果だ。

 

「実はお母さんに頼んで、昔使ったテントを例の現場に持ってくるように電話したんだけど・・・お母さんだけじゃ大変だと思うんだ。申し訳ないけど、お母さんを手伝ってもらえないかな?」

 

 気安い感じでそう言っている父だったが、そこには母と連絡がとれたことに対する・・・母の協力が得られたことに対する・・・安堵のようなものが感じられた。

 

「ああっ良いよ。」

 

どうせ今日は塾を休むつもりでいた。今日の偵察は打ちきりだ。

 

「でも急にどうしたんだい・・・」

「ちょっと複雑な事情でな・・・。こっちに来たら説明するよ」

 

 そう言って、父の電話は切れた。その声は急に切迫した雰囲気に変わっていた。父に何か緊急事態が迫っているようだった。急いだほうがよさそうだ。僕がクリニックを去ろうとエレベータのボタンを押そうとした時だった。

 

「あら?暁人君じゃない」

 

 後ろを振り返ると、そこには洋子さんが立っていた。白衣に身を包み、カウンセラーの格好をしている。襟首まで隠れるようなグレージュのタートルネック・セーターを着ているため刺青は露出していない。

 

「来てくれたのね・・・嬉しいわ」

 

 その様子は清潔感に溢れ、いままで会った時のような夜のイメージ・・・娼婦のイメージとは程遠い。

 

(洋子さんなのか・・・?)

 

 「洋子はもう現れない」と自分自身でそう言っていた。二度と近寄るなと警告していた。僕は判断が付きかねてもう一度よく洋子さんを見返す。だが分からなかった。今まで、15分以上かけて洋子さんを見極めていた。その仕草や表情を見て・・・美しく、儚い、絶望の入り混じった表情を見て・・・・判断してきた。母のような、そして綾乃のような・・・はにかんだ笑い顔が大好きだった。

 

「さあ、入って、入って・・・ヨンウ先生をご紹介するわ」

 

 分からなかった・・・。あの暗闇の中での脱出劇が去来する。暗闇の中でのみ復活できると洋子さんは言っていた。もしかすると洋子さんは、洋魔子を克服できたのかもしれない。僕は洋子さんに手を引かれるままカン・ヨンウ心療内科/セックスクリニックの中に足を踏み入れていた。

 

 クリニックの中は、一見普通のクリニックと違いはなかった。ただし、待合スペースには高価そうな調度品がズラリと並べられていた。一級品の絵画や彫刻、芸術性の高い置物、外国製の革製ソファーが、所狭(ところせま)しと当たり前のように並べられている。パステル調に統一された室内装飾は心療内科の模範のような安心感を与えるデザインで統一されている。消毒液のような匂いは一切せず、微かな麝香の香りが漂っている。

 

「あの今日は早く帰らなければいけないので、パンフレットだけでお暇(いとま)します」

「ええそうね。お母様が心配だものね。ヨンウ先生をご紹介したら、すぐにお家に帰って良いわよ・・・レッスン4はその後ね」

 

 洋子さんはにっこりと明るくそう言ってくれた。

 

(レッスンの事まで知っている・・・やっぱり洋子さんなのか?)

 

 しかし、なぜか違和感を禁じえなかった。洋子さんは先ほどから目を合わせようとしない。まるで本心を見透かされるのを恐れるみたいに・・・。その上、待合室にいる患者と思われる人々の様子が輪を掛けておかしかった。みな虚ろな目をしていたのだ。「上級国民」と言われるような大企業の重役、高級官僚を思わせるような人々が、何の会話もせず、みな虚ろな目をして、虚空を見ている。まるで夢遊病患者の様に・・・。帰っていく時だけでなく、治療を受ける前から?・・・・何かおかしい。その時、再び僕のスマホが鳴った。

 

「ピロピロリン」

 

 母からのメールだった。

 

「すぐ家に帰ってきて。手伝ってもらいたいことがあるの。唯子」

 

 メールにはそう書かれていた。さっき父が言っていたことだろう・・・でも何となく違和感が残った。母はこんな短いメールをしたことがない。これなら直接、電話するはずだ。母がメールを送ってくれるときは、季節のあいさつや、健康への気遣い、僕の勉強の事など、何らかの一文が添えられている。こんなぶっきらぼうなメールを送られたのは初めてだった。

 

(お母さん・・余程、お父さんの事心配しているのだろうか)

 

 そうなら良いのだが・・・

 

「まあ・・・お母様からのメール?「すぐ家に帰ってきて」・・・フーン・・」

 

 僕のスマホを覗きながら、洋子さんはすぐに思案顔になる。それはまるで取り繕って浮かべた笑顔の仮面が素に戻っていくような・・・冷たい表情だった。僕に近づいた洋子さんの身体からは、麝香の香に交じって強い獣の香が混じっていた。それはまるで・・・

 

「あなたは・・・本当に洋子さんですか?」

 

 そう呼び掛けて振り返った洋子さんの顔を見て愕然とした。人を値踏みするように細められたつり上がった目。人を見下すような嘲りの微笑み。

 

「あら?そんなこと誰が言ったのかしら?お前が勝手にそう思ったんじゃないの?」

「洋魔子!」

 

 今や洋魔子は自分の事を隠そうとしていない。そのらんらんと輝く暗黒の目は、邪悪な笑いをたたえ、舌なめずりするように僕を見ていた。

 

(早くここから出ないと・・・)

 

 だが、足がふらついて上手く歩けない。そして始めて気が付いた。洋魔子から漂う獣の香は、この部屋全体に漂っている香りにも混じっていることに・・・。まるで糞尿のような獣の臭い・・・奥に行くほど強く香り、いつの間にか慣れて分からなくしてある。早くここから出ないと・・・。なんだか頭がぼっとする。足がさらにふらつき、意識が遠のいていく。早くここから出ないと・・・・・・・。僕は虚ろな目をして洋魔子にもたれ掛かっていた。すでに意識は無くなっていた。

 

「バーカ・・・簡単に騙されて・・・お前は本当に洋子の事になるとメロメロなのね・・・チョロいのよ・・・頭は良さそうなのに・・・。理由は簡単よね。洋子がお母さんに似ているからよね。外見だけでなく内面まで・・・お前が大好きな母親に。マザコン坊や・・・本当に気持ち悪い。だから私が選ばれたのよ・・・お前を堕とすために!」

 

 意識を無くし、虚ろな目をしてもたれ掛かった僕の耳元で、洋魔子が暗示をかけるように囁いている。

 

「でも安心しなさい。お前の母親もお前の事が大好きだから。しっかりと邪悪の種は植え付けてやっているから。両方ともに・・・。さあ、これからお前たちは母子姦をするの。母親と息子で獣のようなセックスをするのよ・・・満司様の計画通りに・・・」

 

 無意識の中で僕の魂が悲鳴を上げている。でも逆らえない。その言葉の意味を解することが出来ないほど意識を飛ばしながら無意識の中に刷り込まれていく・・・。洋魔子は僕の頭を胸に抱きかかえながら、奥の待合室にいる看護師達に向かって指示を出し始めた。

 

 「ヨンウに伝えてくれるかしら。今日は一匹だけ。もう一匹はまた今度。それから計画変更よ。このマゾ豚ちゃんの調教はここではなくて、こいつの家で行うわ。いまクライアントから変更の指示があった・・・」

 

 厳めしい真っ黒なマスクをつけた看護師達の顔は、一様に冷酷そうで、どぎつい化粧は魔女のようであった。ここの空気がどれほど危険なものなのか、その軍事用のマスクが物語っていた。朦朧とした頭で僕は今更ながら自分の迂闊さを後悔していた。洋魔子の指示はインカム越しに伝わっているようだった。小声で話される細かい指示に、受付にいた目のつり上がった看護師が事務的で冷淡な相槌を打って応えている。

 

「そうね、今日は私だけで十分よ。ヨンウには引きつづき、ここにいる「上級国民」をタップリと洗脳するように伝えて。この国を裏から操りやすくするために・・・」

 

 洋魔子は待合室に居る虚ろな顔をしてボッと待っている患者たちが、もう何を言っても分からないのを十分承知しているのだろう。軽蔑を滲ませ睥睨しながら看護師にそう指示していた。僕はその声を最後まで聞くことはできなった。洋魔子の声が次第に薄れ、完全に気を失っていた。

 

「さあ、お楽しみはあなたの大好きなお家庭(うち)でしましょうね。これから地獄になるとっても楽しいお家庭(うち)で・・・生き地獄をタップリと味合わせてあげるわ・・・お前の彼女の前で・・」

 

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 閑静な住宅街の建設予定地に停まった車の中で、黄色のヘルメットをかぶり、作業員の格好をした二人の探偵が、息を潜めて盗聴器の音に耳をそばだてている。だが、二人の顔には絶望的な事の成り行きに、事件を未然に防げない無念の表情が如実に現れていた。4月とは言え、この時間は日が陰り始め、西の空は暗雲が立ち込めて今にも雨が降り出しそうだった。

 

「所長・・・これってもしかして・・・最悪のケースじゃないんですか?」

 

 深いため息をつきながら、及川が一之介を振り返る。

 

「そう思うか?」

「俺たちが踏み込むためには「家人の抵抗」が必要ですよね。でも、肝心の唯子さんはどう考えても「堕ちて」ますよ。今や満司の言いなりの悪の手先だ。暁年さんは仕事の現場で立ち往生・・・状況は分からないですが、電話越しの話では緊急事態っぽいです。暁人君はまだ数時間は進学塾から帰ってきません」

 

 二人の願いもむなしく、唯子は満司の手に完全に堕ちてしまっていた。綾乃に媚薬を飲ませた満司は、動きが取れなくなった綾乃をロープで縛り上げて暁人の部屋に連れ込むと、そのままベットの上に転がしてしまっていた。暁人と一之介のワーストケースの推理通りだった。

 

「でもやつら・・・なんで動きを止めてしまったんでしょう?やろうと思えば、すぐにでも綾乃ちゃんを手にかけることもできるのに・・」

 

 暁人の部屋の盗聴器から拾う音に集中しながらも及川が疑念を呈する。幸いにも、そこからは綾乃の寝息のような呼吸音しか聞こえてこない。そこが一之介の不可解なところだった。満司も、聖満も、まったく綾乃を無視して、唯子に早い夕食を作らせ、腹ごしらえを始める始末なのだ。

 

「ここで暁人君が帰ってくれれば・・・まだ綾乃ちゃんを救い出すことが出来るかもしれませんね」

「暁人とはまだ連絡が付かないのか?」

「先ほどから何度も電話しています・・・暁人君いつもすぐにスマホに応答してくれているのに・・・なんでこんな時に限って出てくれないんでしょう?」

「お前・・・まさかカン・ヨンウの住所とか教えていないだろうな?」

「まさか・・・流石にあんなヤバいところ・・・」

「俺も暁年さんがその名刺持っていてびっくりしたよ。俺の車の中で破り捨てて行ったから大丈夫だとは思うが・・・。まさか暁人がカン・ヨンウに会いに行くようなことは・・・」

 

 一之介は暁年が破り捨てて行った名刺を見て愕然としていた。もし、カン・ヨンウと洋魔子がつながっているとすると、事態はかなり厄介だった。

 

「所長が追ってるのってカン・ヨンウのクリニックの件ですよね。AJK団に関係があるってことですか?あそこにはかなりの「上級国民」が通ってますよ。それってかなりまずいんじゃ?」

 

 そう・・・国家権力の中枢にいる連中が、彼女の洗脳の影響を受けている可能性がある。とすれば、AJK団を警察や公安が検挙できないのも当然だ。

 

「大丈夫ですよ・・・模擬テストかなんかでスマホに出れないだけだと思いますよ・・・」

 

 しかし、一之介に嫌な予感が走る。奥歯がキリキリと痛みだし、気が付くとこめかみを押さえている。そう言った及川が、車の前方左40度の方向を指さす。

 

「良かった・・・暁人君、早引けして帰ってきたようです。これこそ天の助け!一声かけて、状況を説明し、反撃の打ち合わせをしましょう!」

 

 そう言って車のドアを開けようとした手を、一之介が抑える。

 

「暁人の後ろをよく見ろ!」

「げつ・・・」

 

 暁人のすぐ後ろには山本洋子が付き従う様に歩いている。よく見ると、暁人の表情がおかしい。虚ろな表情をして目の焦点が定まっていない。

 

「あの表情・・・あのクリニックに行った連中の共通した症状だ」

 

 及川が驚いて一之介を振り返る。確かに夢遊病者のようにフラフラと洋子の前を歩いている。そして、すぐ後ろにいる山本洋子に、耳元で何かを囁かれているようだ。

 

「あのバカ・・一人でのこのこと行きやがったな・・・」

 

 こっちに気を取られて暁人まで手が回らなかった・・奴の盗聴装置・・・まだ機能しているといいが・・・。

 

「及川・・・盗聴器の周波数を37番に切り替えろ。UHF帯398.64MHzだ」

「了解・・・音出します」

「・・・・ズザツッ・・・ザザッ・・・暁人・・・あと少しよ・・お前の大好きなお母様が待つ・・お家まで・・・さあそこを右に曲がりなさい・・・うふふっ・・・さあ、もっと早くお歩き!・・・満司様がしびれを切らして待っているわ・・・綾乃ちゃんも居るわよ・・・」

 

 話す内容を聞かなくても、暁人のすぐ後ろを歩いているのが、洋魔子であることがすぐに分かった。冷酷な表情・・・酷薄そうな薄ら笑い・・・つり上がった目・・・暁人から聞いていた洋魔子の特徴に違いなかった。二人が及川の車のすぐ目の前を通り過ぎる。山本洋子の手にはロープが握られ、そのロープは暁人の制服の上着の裾から伸びている。よく見ると暁人の首には犬の首輪のようなものが取り付けられ、そこから服の下を通って伸びているようだ。

 

「及川・・・これが最悪のケースだ・・・たった今そうなっちまった・・・」

 

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 キッチンでの食事の後片付け。カチャカチャと食器を洗う音・・・ダイニングテーブルに座って満足げな顔を浮かべる主人と息子・・・心地よい食事の残り香・・・いつもの景色、いつもの風景・・・私は満足した二人に微笑みながら、しみじみとした幸せを感じている。家族の満足げな顔が、私の後片付けの疲れ癒してくれる。いつもの何気ない日常・・・ただ違うのは・・・昨日までと違うのは・・・そこに座っているのが・・・暁年さんと暁人ではない事・・・。

 まるで我が家のように・・・いえ、つい先ほどから彼らのモノになってしまった家に・・・当たり前のように座っているのは、まったく別の人・・・新しいご主人様と新しい息子・・・満司様と聖満君・・・。これが私の新しい家族、そしてこれが私の新しい世界だった。

 私が愛情を込めて作った手料理は・・・暁年さんが一人で頑張っている現場に届ける予定だったサンドイッチとシチューは・・・お二人が食い散らかすように全て平らげてしまっていた。

 昨日とのあまりの違いに、胸の奥がチクチクと痛む・・・ランニングシャツ1枚にパンツ1枚のだらしない格好の夫・・・「ごちそうさま」の一言も言わず、私の手伝いもせずにゲームやスマホに夢中になり、大人を見下している息子。引き裂かれそうな強烈な喪失感・・・失って初めてわかる・・・素晴らしかった元夫と元息子・・・。なのに私は・・・お二人に熱い視線を送ってしまう。身体の奥底から沸き上がる情欲の熱に浮かされ、私はお二人のパンツ一枚の下半身につい目が行ってしまう。

 親子ともども巨大すぎる一物はたった1枚の布切れでは隠し切れない。食事をする間も、二階の部屋に・・・さっきまで暁人の部屋だった二階の部屋に・・・寝かされている新たな獲物の事を考え、ドクドクトその憤りを主張していた。暁年さんや暁人とは比べ物にならない巨大な一物がパンツの布地を押し破る様に巨大なテントを張っているのを見るだけで・・・。私は幸福感に包まれていく。狂おしいほど好きなオチンポ様に征服される喜びで打ち震えてしまう。

 そして私も・・・裸同然の身体にエプロン1枚の格好で、食事を作らされ、給仕させられ、こうして後片付けをさせられている。なのに、身体に巻き付いている・・・すっかりこのいやらしい肉體に馴染んでしまった縄が、股間を擦り上げるたびに・・・乳房をきつく締めあげるたびに、クリキャップと乳首ピアスが淫らな刺激を送り始め、しとどに股間を濡らし、乳首を勃起させてしまう。私の新しい家族・・・新しい世界・・・邪淫に染まった素晴らしい世界・・・その世界に暁年さんや暁人は居ない・・・来てはいけない・・・来させてはならない・・・。

 

「ピンポーン」

 

 そんな時、玄関のチャイムが鳴った。

 

「AJK代行サービスの山本洋魔子です」

 

 怜悧な声がインターフォン越しに聞こえてくる。スプリングコートを羽織った女がインターフォンのカメラに写っている。

 

「おおっ・・・待ちくたびれたぜ・・・早く入ってこいや」

 

 まるで我が家のように、満司様がその女を招き入れる。リビングに入ってきたその女を見て私は驚きを隠せない。

 

「山本・・・洋子・・・さん」

 

 半年前まで、無届のキャバクラ「ゴモラ」で一緒にアルバイトをしていた女性・・・。なんで満司様が知っているのかしら?・・・でも、とても良い方だった。何かといろいろと相談に乗っていただいた。教養が高く、法律に明るく、面倒見がとてもよかった。その最底辺のキャバクラで働かなければならない不幸な女性達の心の支えになっていた。

 

(その方がなぜ?・・)

 

 半年前に会った時に感じた清楚な印象と、今目の前にいる洋子さんはまったく逆の印象だった。短めのスプリングコートから伸びた細い脚にはオドロオドロしい刺青がここかしこに掘り込まれているのは半年前と同じだった。しかし・・・その人を刺すような視線・・・つり上がった目・・・冷酷そうな雰囲気・・・そして信じられないことに洋子さんは土足のままで居間の中に上がり込んでいた。網タイツを履いた足に滑光のする真っ黒なピンヒール・・・絨毯を汚すのを全く気にかけていない。そんな事をするような女性ではなかった。

 

「洋子さん???」

 

 さっき満司様は「洋魔子」と言ったような・・・。その時になって初めて・・・洋子さんのすぐ後ろに暁人がいるのを見つけた。

 

「暁人!」

 

 私は一連の出来事に気が動転し、自分の今置かれている状況も、綾乃ちゃんに自分がしたことも忘れて、暁人をきつく抱きしめていた。来てはいけない地獄の家・・・でも暁人に会った途端・・私は本能的に暁人をきつく抱きしめていた。私は嬉しさのあまり、洗いかけの食器をそのままに、裸にエプロン姿のままで抱きついていた。

 

「・・・・・・・・・」

 

 ところが・・・暁人に何の反応もない。ぼっっと一点を見つめ、抱き返すどころか微塵も動かないのだ。驚いて暁人から離れ、その顔を見直す。そこには、何の感情も表情も浮かんでいなかった。

 

「あははははっ・・・」

 

 魔女のような嘲りの笑いが、洋子さんから発せられていた。

 

「あなたは馬鹿?そんな恰好をして息子に抱きついて・・・恥ずかしくないのかしら?」

 

 私は改めて自分の格好を振り返り、顔を赤らめその場で胸を覆いながらしゃがみ込んでいた。

 

「暁人もこれではあきれてものも言えないわよね・・見ているこっちが恥ずかしいわ・・・。暁人・・・あなたに相談を受けていてよかったわ・・・・」

 

 そう言いながら暁人の方を振り返る。その時私は初めて思い出していた。自分の依頼を・・・軽い気持ちで言ったことを・・・思い出していた。

 もし私の息子に出会うようなことが有ったら、そして、息子が途方に暮れていたら「大人のレッスン」をして欲しいと・・・私が暁人に与えてしまった性的なトラウマを取り除いて欲しいと・・・母親ではできない「大人のレッスン」をしてほしいと・・・・

 

 そして・・・暁人の表情・・・何の感情も表情も浮かんでいなかった。呆然としている目・・・。そして私は初めて気が付く・・・家の中に半裸の満司様と、聖満君を迎え入れ、裸エプロンで家事をしているところを、全て見られてしまった事に・・・。

 

「暁人・・・これは違うの・・・これは・・・これは・・・・」

 

 弁解しようと暁人に近づこうとした瞬間、洋子さんにいきなり左頬を打たれていた。

 

「バシィン」

「キャッ・・・」

 

 あまりにも強烈な張り手に、私は飛ばされるようにその場に倒れ伏してしまう。

 

「お母さん大丈夫!?」

 

 いつもなら・・・暁人なら・・・そう言いながら私を助け起こしてくる・・・はずだった・・・しかし・・・虚ろな目をして虚空を見つめる暁人に何の変化も見られない。暁人は私を決して許そうとしないのだ・・・。聖満君に至っては洋魔子に恐れおののいた表情を浮かべ、ひたすら知らん顔を決め込んでいる。

 

「それ以上、私の暁人君に触らないでくれる?あなた言ったわよね?あなたが暁人君に与えてしまった性的なトラウマを取り除いて欲しいと」

 

 そう言いながら洋子さんが暁人に抱きつく・・・耳元で何かを囁いた途端・・暁人もきつく洋子さんを抱き返し始める。まるで本当の親子のような・・・恋人のような熱い抱擁・・・。

 

「そ・・・そんな」

 

 洋子さんが勝ち誇ったように私を横目で見返している。

 

「ピキピキッピキュビジュブ」

 

 その途端・・・クリキャップが強烈な刺激を・・・針がクリトリスに突き刺さり邪悪で決定的な刺激を送り込み、私は思わず身体をのけぞらせてしまう。

 

「はうっ!」

 

 突然、辛抱たまらなくなった聖満君が私に抱きつきながら唇を奪う。そのままリビングの床に私を押し倒し、乳房を掴む様に揉みしだき始める。

 

「あっ・・だめ・・・暁人の前で・・・いやっ・・・聖満君・・・・あああぁんん」

 

 そしてついに・・・聖満君がパンツを脱ぎ捨てると父親譲りの巨大な一物を取り出し、ドロドロに濡れている私の中に突き入れてくる。

 

「あぁ♡ぁんっ♡」

「あはははははっ・・・満司様?・・・メス豚の躾がなっていないようですわね」

 

 洋子さんはそう言いながら、押し倒され喘ぎ声を上げながら聖満君にされるがままになっている私の傍らにくると、ピンヒールの爪先で私の顔を上向かせる。

 

「ほら良くお見せよ。お前の蕩けるような呆けた面を。実の息子よりも若い雄に抱かれて感じまくっているお前の本性を・・実の息子に・・・」

 

 しかし、暁人は・・・全く表情を変えないで・・・私を呆然と見つめている・・・

 

「暁人・・・見ないで・・・暁人・・・ごめんなさい・・・暁人・・・ごめんなさい・・・私・・・感じちゃう・・・聖満君のオチンポに・・・感じちゃう・・・はあああぁあ・・・」

 

 洋子さんが意地悪気に暁人を自分の前に立たせる・・。実の子に見つめられているというショックに・・・大事に育ててきた我が子を自分で汚していることに・・・・その子のトラウマになってしまっているという無念さに・・・クリキャップの強烈な刺激がつけ込む様に股間をしびれさせ、私の思考を奪っていく。

 

「ピキピキッピキュビジュブ」

「あんあん♡あん♡あん♡・・はあああああぁあぁぁぁぁぁぁぁ♡」

「ほら・・・お母様よ・・良くごらんなさいよ・・・これがお前のお母様の本性よ。息子の前でもセックスしまくる色情狂・・・露出狂のドマゾ・・・あなたの相談通り・・・最低最悪の母親よね。ううん・・人間の屑・・・ゴミ以下の母親よ」

 

 だめ・・・暁人・・・そんな・・・冷たい目で・・・見ないで・・・暁人・・・だめ・・・

 

「あなあんあ・・・聖満君・・・良いぃ・・・感じちゃう・・・暁人・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・聖満君のオチンポ良いい・・・入れて・・・ママのオマンコに・・・入れて・・・はあああぁあ・・・」

 

 私は何も考えられなくなり、ひたすら聖満君を求めていた・・・暁人が呆然と見つめる前で・・・。最愛の息子から軽蔑されるマゾの快感に溺れて・・・・

 

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「さすが・・・K-POPのトップ女王様・・・洋魔子女王様だ・・・いぁや~恐れ入りました」

 

 満司が満足そうにそう言いながら洋魔子に近づき、洋魔子が羽織っていたスプリングコートを受け取る。すでに唯子には二人の会話など耳に入ってすらいない程乱れ、聖満に股間を突かれながら嬌声をあげている。

 

「あら・・・満司様こそ・・・伝説の調教師にこうして直接お会いできて大変光栄ですわ」

 

 スプリングコートを脱ぎ捨てた洋魔子は、露出度の高い真っ黒なボンテージ衣装以外、その下には何も身に着けていなかった。洋魔子の露出している肌には至る所にオドロオドロしい刺青が施され、この女性の全身が同じような刺青で覆われていることがすぐに推察できる。満司が呆けたような顔をしてその肢体に見入っているのを満足げに見返し、誘惑するように股間を擦り合わせる。

 

「それにしても、あっという間に暁人を洗脳してしまったようですな・・・流石だ!」

 

 そう言いながら満司は、洋魔子の肢体を見て勃起し始めた一物を隠そうともしない。逆に見せつけるように平然と股間を突き出していく。

 

「まあ♡」

 

 巨大な一物を見た洋魔子が淫らな微笑みを浮かべる。

 

「でもこれは例のお薬のお陰ですわ。2時間ぐらいしか意識の混濁は続かないから、あと10分もすれば・・・暁人君も意識を取り戻し始めますわ・・・洗脳はそれからのお楽しみ。その時の彼の顔・・・きっと母親の痴態を見せつけられて・・それも新たな息子となった聖満君とのセックス・・・ウフフ・・・嫉妬にくるって暴れるといけないから・・・今のうちにきつく縛っておきましょう・・・それでも媚薬の効果はまだ半日ほど続くから・・・いくらでも好き勝手出来ますわよ?・・・マゾ豚に突き落とす調教の準備は万端ですわ・・・うふふっ」

 

 邪悪な二匹の淫獣たち・・・満司と洋魔子が醜悪な表情を浮かべながら、邪悪な挨拶を交わし始める。それは、二人の人間の将来と夢を奪う恐るべき計画であったが、悪魔同士にとっては日常の何気ない会話に過ぎなかった。

 

「ところで、綾乃ちゃんはどうですの?」

「縛り上げて・・・暁人の部屋だったところで寝かしているぜ。丁度こちらも2時間前・・・暁人とは同じ時間に意識を取り戻すはずだ・・・俺のメールに気づいてくれてよかったぜ・・・これからが楽しみだ・・・」

「まあ・・・恋人同士なのに・・・何て可哀そうなんでしょ・・・両想いなのにお互いの処女喪失と童貞喪失を見せ合うことになるなんて・・・マゾ豚カップルにはふさわしいですけど・・・うふふっ・・・楽しみですわ・・・では早速・・・」

 

 そういうが早いか、暁人の方に振り返ると、さっきまで猫なで声を上げていた暁人に向かって急に冷酷な声で命じる。

 

「さあ、お前の服を全てお脱ぎ!きつ~く縛ってあげるから。これからお前の調教を開始するわ。そうレッスン4よ。お前をマゾにする最終レッスン・・・」

 

 しかしその声は暁人には届かなかった。暁人は母親と聖満が媾(まぐわ)っているすぐ隣に、まるで電池が切れたロボットのようにどうっと頭から突っ伏すように倒れてしまっていた。残酷な目覚めが待っていた。その目の前には、先ほど綾乃が絶望のあまり叩き落したクッキーの紙包みが転がっていた。その包みは無情にも破け、聖満によって粉々に砕かれた破片が至る所に飛び散っていた。それは少女の希望と少年の夢の象徴であった・・・・粉々に砕け散り、心無い者によって無残に汚く穢されてしまっていた。

 そして少年の虚空を見つめる目のさらに向こうには、そのクッキーのかけらの上を母親の臀部が上下し、聖満の打ち付ける腰の動きに呼応して、さらに汚く残酷にクッキーを打ち砕いていた。虚空を見つめているはずの目には、いつの間にか涙のようなものが溢れ止めどなく零れて行った。

 

「さあ・・・レッスン4の開始よ・・・」

 

 慣れた手つきで暁人を裸に脱がせ、きつく縛り上げた洋魔子は、邪悪な笑い顔を浮かべながら暁人に囁いていた。




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〇本小説の登場人物のうち「山本洋子」に関しては以下のサイトで書かれている小説の登場人物になります。ご興味があればご一読ください。
https://novel18.syosetu.com/n0812ge/
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