<あらすじ>
母・唯子を三好満司に寝取られた秋月暁人は、謎の女・山本洋子から「大人のレッスン」を受け、暁年が唯子を取り戻すことで絶対的な絶望から立ち直れることを教えられる。しかし、具体的な反撃の方法を教えられる前に、洋子は洋魔子に意識を乗っ取られ殺されてしまった。その上、母・唯子は寝取られただけではなく、セックス依存の極限状況で色情狂に変えられ、すべての思考を奪われ、満司の悪の手先に変えられてしまっていた。
だが、満司の最終目的は唯子を寝取るだけではなく、秋月家全員を奴隷化し、地獄の底に突き落とすことだった。ひょんなことから謎の老人に代わって工事現場に居座ることになり、孤立無援の戦いを強いられている暁年は、家族に迫る危機にまだ気づいていない。
そして、暁人と暁人の恋人・藤原綾乃は洋魔子と満司が仕掛けた罠にはまり、二人を奴隷化する悪魔の「レッスン」が続けられていた。満司の洗脳が完了した唯子は、暁人の童貞を奪い母子相姦を行おうとしていた・・・。
---------登場人物---------
秋月 暁人:主人公
秋月 唯子:暁人の母
秋月 暁年:暁人の父
三好 満司:主人公の遠縁(暁年の母方の従祖母の孫娘の夫)
三好 聖満:満司の子
三好 良枝:満司の元妻
山本 洋子:謎の娼婦 (「廃神社の巫女https://novel18.syosetu.com/n0812ge/」からのゲストキャラ)
山本 洋魔子:山本洋子の別人格(ダークサイド)(オリジナルキャラ)
藤原 綾乃:暁人の片思いの人(実は両想い) (オリジナルキャラ)
鈴木一之介:鈴木貫太郎探偵事務所・所長・探偵 (オリジナルキャラ)
パタンジャリ・プールナーナンダ:ヨーガ修行僧 (オリジナルキャラ)
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その漆黒の短剣を握った母の手が、すらりとその鞘を抜き取る。鋭利な短剣の先が妖しい光を放ち、母の目に映って暗黒に輝いている。だが、その切っ先は、僕ではなく母の胸の方に向けられていた。
「ずっと考えていた・‥こんなことになるくらいなら・・・自分で死のうと・・・でも・・・出来なかった・・・この子がいるから・・・この子の事を考えると・・・死ねなかった・・・この子を悪に堕とすくらいなら・・・あなた方を殺して・・・私も死にます」
「・・・・・・」
父や洋子さんが言っていたことが現実になってしまった。僕は手足を縛られ動くことが出来ないまま叫ぶほかなかった。
「やめろ!僕のためにそんな事するの・・・やめてくれ!」
だが、満司は不敵な笑いを浮かべながら、むしろ母に迫るように言っていた。
「よかろう。お前が無理心中を図った時・・・お前が俺を殺し、自殺を図った時・・・お前の息子が何と呼ばれるか・・・」
それを聞いた母の顔が凍り付く。僕もすぐに満司の意図に気が付く。
「『人殺しの息子』だ・・・」
マスメディアが押し寄せ、無責任な心無い取材合戦が繰り広げられ・・・。秋月家だけではない。母の親族も大変な報道被害にあっていく。どう考えても凄惨を極めることは確実だった。
「ひぃっ」
母が耳を塞いでその場にしゃがみ込む。
「へっ!それがどういう事か分かってやるならやってみろ!」
「クッ・・」
満司はそう言いながら、崩れ落ちた母にしっかりと短剣を握らせると、再びその耳元で囁く。
「さあ・・・もう後戻りなんかできないんだよ・・・一度悪に手を染めたら・・・一度でも俺様に手を貸したら・・・最後までやるしかないんだよ。みんな道連れ。お前が家族全員を巻き込みながら、みんなマゾになるまでやるしかないんだよ。蟻地獄に堕ちたらもう抜け出せねえんだよ・・・きひひっ」
母がフラフラと再び僕に近づき始める。その顔は絶望しか宿っていなかった。自分が招いた・・・最悪の事態・・・その責任も取れず、どうすることもできずに悪の手先になっていくしかない絶望・・・。母は絶対的な絶望に打ちひしがれた悲しい表情で、僕の前に立ちはだかった。悪魔の手先として。
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秋月暁人はいま絶対的絶望の状態に陥っていた・・・・。
母・唯子は満司の手によって色情狂に変えられ、マゾ性癖を植え付けられ、魂を奪われた上に悪魔の言いなりになってしまっていた。淡い初恋の相手は、淫らな欲望とマゾ性癖に目覚めさせられ、悪魔の息子によって処女を散らされそうになっていた。さらに父・暁年は、もっとも信頼していた家族から見放され、雨の中で孤立無援の状態だった・・・。そして、頼りの山本洋子は、意識をすべて洋魔子に乗っ取られ、今やもうこの世に存在すらしていない。
絶対的な絶望・・・
そしていま・・・禁断のセックスをするために・・・目の前の息子に向かって、実の母親である唯子が緊縛を受けた裸体を晒しながら迫っていた。
絶対的な絶望がヒタヒタと暁人に迫っていた。
「うふふ・・・あなた・・聖満君にみんな奪われちゃうのよ。息子の立場も、恋人の立場もみんなね・・・。そして、実の母親の手で童貞を奪われるの・・・。あなたの大事なものは、なにもかもみんな奪われるの・・・あははは」
恐怖にゆがむ暁人に向かって、洋魔子がさも楽しそうに嘲笑を浴びせはじめる。すぐ目の前には、絶望に打ちひしがれ、すべてをあきらめてしまった唯子が暁人にその裸身をすり寄り始めていた。
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考えろ・・・考えろ・・・どうしたらいい?・・・どうしたら皆が救われる?・・・どうしたら幸せになれる?
洋魔子が言っていた。母親と同じ顔をした洋魔子が・・・・
【一つだけ、あなた達の家庭が守られる方法があるの。家族全員で満司様の奴隷になるのよ。そう満司様によって家庭を支配してもらえば、一生マゾとしての幸せが得られるわ。満司様に親子で調教してもらいなさい。それを受ければ、一生、家族でいられるわ。満司様と戦うなんて無駄よ。それよりもみんなで協調するの。満司様というご主人様を共有するの。さっき言ったでしょ。それでこそ愛・・・真実の愛の完成よ。あなた達の魂を、満司様に捧げるだけでいいのよ】
違う・・・違う・・・それは間違っている・・・洋魔子の言ったことは魂が違うと叫んでいる。洋子さんは何と言っていた?綾乃と同じ顔をした洋子さんは何て・・・・
【あなたが唯子さんを幸せにするのは、あなたが「強い愛」に目覚めた時だけ。彼女にとって「受け入れがたい愛」を渡す事。満司に傾倒し、惹かれ、愛している唯子さんに、あなたの「強い愛」を受け入れさせること。この事態に真正面から向き合い、満司と戦い、唯子さんを奪い返すほか、唯子さんに「強い愛」を渡せない・・・唯子さんに本当の幸せを掴ませることが出来ない】
洋子さん・・・でもどうやって?・・・どうすればいいの?・・・なんで肝心の事を教えてくれずに逝ってしまったの。僕たちは・・・僕はどうすればいいの・・・?
【ここよ!頭で考えなくていいの。ここで感じなさい】
胸に手を当てようにも・・・縛られて右手の先しか動かせない。迫りくる母さんから逃げ出すことな到底無理だ・・・。どうすればいい・・・感じろって・・・何を?
【それが「大人のために その9」よ・・・「本当の幸せとは心と魂が一致すること」つまり自分の心といろいろな人々の思い「魂」をしっかりと協調させ、共有することが本当の幸せなの。母親離れする事とは、家族という狭い世界から離れ、より広い視野に立って愛を見つめ直す事なの。あなたの魂の声に従って行動すれば・・・自ずと道が開ける。自分で、自分ひとりで、立ち向かって】
【心はころころと変わってしまう。あなたのお母様の様に・・・。でも魂は違う・・心の入れ物は違う。あなたの魂には、あなたにつながる全ての人の「思い」が詰まっている。あらゆる人の「思い」であなたは生まれ、育てられ、生かされている】
どうすればいい・・・感じろって?・・・何を・・・こんな時に・・・僕に何ができる・・・僕に・・・僕に・・・僕に?
【ここよ!頭で考えなくていいの。ここで感じなさい】
【あらゆる人の「思い」であなたは生まれ、育てられ、生かされている】
生かされている・・・僕は・・・生まれ、育てられ、生かされている・・・・?
僕は、僕は母さんによって生んでもらい・・育ててもらい・・生かされている?
僕は母さんによって生んでもらい、育ててもらい、生かされている!
僕は母さんによって生んでもらい、育ててもらい、生かされている!
僕にじゃない・・・・母さんに生かされている!
「母さん・・・助けて」
自然と言葉が出てきていた。今まで僕は母を救う事ばかり考えていた。
「え?」
母がきょとんと・・・僕を見返す。答えは簡単だった。母さんに助けてもらえば良い。そう・・・それでいい。残念ながら今の僕では、いや父でさえ、母を救う事はできない。もう手遅れだ。母の過去を変えることは手遅れだ。でも、これからは違う。これからの母は違う。いくらでも変えられる。だから、意志の問題だったんだ。自分の意志。母を救うのは・・・母を本当に救えるのは・・・母自身だ・・・母が・・・母が自身でしなければ駄目だったんだ。きっとその時、何かが変わる!
「僕は母さんによって生んでもらい、育ててもらい、生かされている」
答えはもう出ていたんだ。今の僕にできることを洋子さんは初めから言っていた。
「お母さん!僕を助けて!」
満司が訳も分からず叫んでいる・・・「何だ?何を言っている?」
洋魔子が馬鹿にしたようにほくそ笑む・・・「あなたは馬鹿?」
でも、母は違っていた。
「えぇっ?」
人の良い母は、悪に堕ちながら僕の言う事を聞いてしまう。それが母だ。満司に付け入られる母は、弱い母じゃない。「強い愛」は母さんにもきっと在る。車を下ろされても待ち続けた母ならきっと在る。僕は最後の気力を振り絞って、母さんの胸に僕の右手の拳固を押し付けていた。そしてぎゅっとその胸の奥を、魂の在処を拳固で叩きつけていた。甦れ!
「まだ在る。まだ在るんだよ!母さん!」
強く母を見つめていた。睨みつけていた。母は茫然として訳が分からないようだ。
「お母さん・・・僕は動けない・・・お母さんだけが手足を縛られていない・・・お母さんだけが自由に動ける。お母さんが最後の希望だ。僕の縄を解いて綾乃を助けて下さい。お願いします。お母さん!助けて!」
「はぁ?何訳の分からないこと言っているんだよ。こいつがお前と綾乃をおびき寄せたんだよ。こいつが綾乃に媚薬を盛ったんだよ。全てこいつの手引きなんだよ!お前たちは実の母親に裏切られたんだよ」
「何を言い出すのかと思ったら・・・ほんとに馬鹿・・・やっぱりマザコン坊や・・・こんな時にまで母親頼み・・・呆れてものも言えないわ」
満司と洋魔子があきれ顔で僕を見ている。嘲笑いながら僕を見ている。だがまだだ・・・母さんはフリーズしたように僕を見続けている。まだ・・・魂はきっと在る!
「だからなんだ!常識にとらわれないのが・・・世間の目や、倫理観や、常識にとらわれないのが、お前らの専売特許じゃないのか!? お前らの言う「新しい家族」は、「新しい世界」は、そんな下らない常識にとらわれているのか!」
「なんだ?・・・」
「何を分からないことを!」
「唯子!・・・それはそれ・・・これはこれ・・・」
名前を呼ばれ、虚を突かれたような母さんが僕を、懐かしそうに僕を見る。
「常識にとらわれるな!あいつらの言ったことに囚われるな!・・・子宮で考えろ!・・・満司を求めてやまないスケベな子宮で考えろ!・・・キュンキュンと満司のチンコを咥えこむオマンコで考えろ!・・・いま何をすべきか!・・・何をしたいのか!・・・すべて斟酌するな!・・・頭で考えるな!・・・魂で!・・・僕を育み、生み出した・・・子宮で!・・・オマンコで!・・・魂で!・・・感じろ!・・・唯子!」
「それでは父さんに申し訳ない・・・私はもう悪に染まって、悪を実行して。悪の快感に身をやつしているの」
「それがなんだ!・・・父さんは・・秋月暁年は、自分の事を棚に上げて、人を救うんだよ。人の不幸が、自分の不幸だから、どちらも許せないんだ。下らない事で自分の職を賭してしまう人なんだ。そう、秋月暁年は棚に上げてやってしまう天才なんだ。自分がどんなに困っていようと、自分がどんなに苦しくとも、人を救うんだ。それが暁年なんだよ。それが人間なんだよ!棚に上げて善行してしまうんだよ!」
「もう取り返しがつかないの・・・そう変えられてしまったの・・・もう戻れないの」
「戻る必要なんかない!戻れないんだったら戻らなくて良い。変えられた心はもう一度変えれば良い。悪に染まった心を、善に染め直せば良い。真っ黒になった魂を真っ白に染め直せば良い。それが出来るのが母さんなんだよ!それが唯子なんだよ!ころころと変わって、人に合わせてしまう・・・弱くて・・・そして強い人なんだよ!」
「真っ黒に染まったものはもう何色にも染まらねえぜ」
「違う!断じて違う!・・・・暗黒の中ではどんな光だろうと輝いて見える。真っ暗であればある程、どんな淡い光でも輝き照らす。母さんの心はキャンバスなんかじゃない!僕たち家族を暗闇から照らし出してくれる真心の明かりなんだ!」
「違うわ・・唯子の魂はドロドロに薄汚れてしまったのよ」
「魂は光なんだよ!光は決して薄汚れない!光はお前たちには絶対に染められないんだよ!光は売り渡したり、差し出したりはできないんだよ!エネルギーだから、生きるためのエネルギーなのだから・・・」
「でも・・・でも・・・でも・・・でも、でも、でも、でも」
「虫が良すぎるぜ!」
「呆れた言い訳ね!」
「例え悪に染まっても、自分が許せなくても、どんなに虫が良くても、悪の快感に囚われていようと・・・自分で感じたように行動しろ!自分の魂の叫び声通りに行動しろ!すべて斟酌するな!・・・棚に上げろ!」
自分でもめちゃめちゃな事を言っていると思った。理性が吹っ飛び、心が吹っ飛んでいた。魂だけが、僕の中の何かが、僕を突き動かしていた。
「暁年にできて唯子にできない事はない!・・・それはそれ、これはこれ・・・頭で考えるな!・・・魂で!・・・僕を育み、生み出した・・・子宮で!・・・オマンコで!・・・魂で!・・・感じろ!・・・人間の力を・・・己のすべてを!・・・信じろ!・・・悪魔なんかしょせん人間が作り出した幻想だ!・・・たかが悪魔二匹に負けるな!・・・悪に囚われるな!・・・オマンコで考えろ!唯子!」
言葉なんてなんでもいい。内容なんてなんでもいい。魂の叫びが、もっとも血のつながった魂の叫びが・・・もっとも形の似ている魂の叫びが・・・否応なく届くはずだ。売り払ってしまったはずの魂に。なくなってしまったはずの魂に・・・響くはずだ!共鳴してしまうはずだ!僕の魂の叫びが、血を分けた息子の魂が、売り渡したはずの魂を呼び戻すはずだ。売り渡したはずの魂を蘇らせるはずだ!甦れ!甦れ!母さん!
「これ・・・これって・・・」
母は僕の拳(こぶし)ごと胸を押さえていた。そして不思議そうに胸を見つめる・・・母の魂の存在を確かめるように。母は僕の拳(こぶし)を見ていた。僕の拳(こぶし)の中身を・・・。
「綾乃の魂の欠片(かけら)を受け取ってくれ!」
縛られてからずっと握りしめていたものを・・・。胸に当てていた拳骨を開いて母に見せていた。それは僕にとって最後の希望だった。偶然に見つけた最後の希望・・・それを母に見せていた。
「クッキー?」
母の目が驚きで見開かれる。この家で初めて正気を取り戻した瞬間・・・リビングにドスンと転がされた時に、痛みとともに僕の目の前に飛び込んできたのがこの欠片(かけら)だった。散々に踏み散らかされ、母と聖満のセックスで粉々に打ち砕かれていたクッキーに、ひと欠片(かけら)だけ奇跡のように汚れていないものが目の前に転がっていた。僕はそのクッキーを誰が作り、どんな思いで、誰に渡そうとしたものなのかすぐに分かった。美しいと思った。奇跡のように輝いて見えた。とても大事なものだと、魂が訴えていた。僕はそのかけらを無意識のうちに掴んで、魔洋子に拳骨ごと縛られていた。
「美しい欠片(かけら)ね」
母はそう言いながらそのクッキーの欠片(かけら)を手に取ると口に運んでいった。
「おいしい・・・・」
しみじみと言っていた。そして、僕の拳(こぶし)ごと胸を押さえると、その瞳に涙が溢れ始めていた。
「綾ちゃんの魂・・・確かに受け取ったわ」
僕の拳(こぶし)と胸を押さえ、母さんはそう言っていた。
「さっきも頂いた・・・でも気づかなかった・・・この温かさを・・・」
「虚飾が無くて・・・刺激も弱くて・・・控えめで・・・こんなにも小さい・・・でも・・・温かい・・・とても正直で・・・とても誠実で・・・とても頼もしい・・・何気(なにげ)ない事なのに・・・とっても大事で・・・とっても大きい・・・小さいのに大きい・・・小さいから大きい・・・頼りになる味ね・・・お父さんのように・・・」
洋子さんは答えをずっと言っていたんだ。母さんはすぐに変わってしまう。ころころと・・・その豊かな表情のように。綾乃の表情のように・・・。そう・・だからこそ、お母さんはすぐに「変われる」・・それがお母さんの美徳・・・満司がつけ込んだ弱さ・・だけどそれは強さだ!
「母さん、僕を助けて」
「うんっ♡・・・母さん・・助けるわ♡」
母はそう言いながら僕の足に巻き付いた縄を漆黒の短剣を使ってあっさりと切り始める。
「?・・・何だと・・・何をやっている!」
「?・・・やめなさい!」
あまりの突然なことに、そしてあまりにばかげた展開に、邪悪な二人は完全に一歩以上は出遅れている。魂を無くした者たちでは分からない。魂の呼応に対応できない。ましては親子の魂の共鳴に、気が付こうハズもない。満司が僕を取り押さえようと突進してくるのと、僕が足の戒めを解かれるのはほぼ同じだった。
バキツッ
迫りくる満司の胸に、僕のローキックがヒットした。満司がもんどりうって倒れる。
「母さん!綾乃を助けて!!」
「うんっ・・・助ける♡」
僕は母さんを止めようと走り出した洋魔子のピンヒールを履いた足を軽く払った。
グギャッ
立ち上がりかけていた満司に、足をくじいた洋魔子が覆いかぶさり二人ともまた倒れてしまう。
「家の中では靴は履かない!」
母が満司の上に転がり倒れる洋魔子を振り返りつつそう叱りつける。母は綾乃にのしかかろうとしていた聖満に脱兎のごとく駆け寄ると
パシッ!
聖満の頬を思い切り張り飛ばしていた。聖満の動きが凍り付く。
「あなたのチンポは私のモノよ!」
(そっち?)
それがどんな理由だろうと、母は僕を、綾乃を救う道を選んでいる。聖満など目もくれないで綾乃の縄を解きにかかっている。だが・・・・
「この野郎!」
額に血を流しながら満司が僕に襲い掛かる。体力の差は、体格の差は明白だった。戒めを解かれたばかり、しびれた手足を振り回す僕を、喧嘩慣れした満司に軽くあしらわれてしまう。
「惜しかったな。だがこれまでなんだよ。マゾコン坊や!」
満司の強烈な鉄拳が僕の頬を捉えた。強烈な衝撃が僕を襲い、向こうの壁まで吹っ飛ばされていた。
「俺様に勝つなんてな!100万年早いんだよ!」
満司がのしかかってくる。逃げられない。襟首を抑えらながら、先ほどのパンチを繰り出す体制・・・これを食らったらひとたまりもない。
「反則だぞ」
口の中を切ってしまったようだ。口の中が鉄臭い。もごもごと声が出てくるだけで、上手くしゃべれない。
「へっ・・・言ってろ!」
バギッ
そしてあたりが真っ暗になった。
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如何でしたか・・・シン之介です。
「続・月下香の檻」もあと2回になりました。
「続・続・月下香の檻」をここで連載するかどうか迷っています。
コメントや感想が多いようならやります。
<次回予告>
満司に反撃したかに見えた暁人だったが・・・
果たして、暁人の運命は? 綾乃と唯子は?
次回「レッスン5」・・・暁人の明日はどっちだ?
〇感想や何らかのご評価を頂くと嬉しいです。よろしくお願いします。
〇本小説の登場人物のうち「山本洋子」に関しては以下のサイトで書かれている小説の登場人物になります。ご興味があればご一読ください。
https://novel18.syosetu.com/n0812ge/