※この作品はR-18です。

続・月下香の檻 大人のレッスン   作:シン之助

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山文京伝先生の「月下香の檻」の2次創作です。いよいよラス前・・・実質的な最終回・最終レッスンです。ご覧ください。
<あらすじ>
秋月唯子を寝取った三好満司の最終目的は唯子を寝取るだけではなく、秋月家全員を奴隷化し、地獄の底に突き落とすことだった。秋月暁人と暁人の恋人・藤原綾乃は謎の女・山本洋魔子と満司が仕掛けた罠にはまり、完全に洗脳状態になった唯子を使った二人を奴隷化する悪魔の調教の餌食になりかけた。ひょんなことから謎の老人に代わって工事現場に居座ることになり、孤立無援の戦いを強いられている暁年は、家族に迫る危機にまだ気づいていない。
だが、暁人は洋子から受けた「大人のレッスン」のお陰で唯子の洗脳を解くことに成功し、満司の悪事を未然に打ち砕くことに成功したかに見えた・・・。


第26話 レッスン5

---------登場人物---------

秋月 暁人:主人公

秋月 唯子:暁人の母

秋月 暁年:暁人の父

三好 満司:主人公の遠縁(暁年の母方の従祖母の孫娘の夫)

三好 聖満:満司の子

三好 良枝:満司の元妻

山本 洋子:謎の娼婦 (「廃神社の巫女https://novel18.syosetu.com/n0812ge/」からのゲストキャラ)

山本 洋魔子:山本洋子の別人格(ダークサイド)(オリジナルキャラ)

藤原 綾乃:暁人の片思いの人(実は両想い) (オリジナルキャラ)

鈴木一之介:鈴木貫太郎探偵事務所・所長・探偵 (オリジナルキャラ)

及川:鈴木貫太郎探偵事務所・探偵、一之介の部下 (オリジナルキャラ)

パタンジャリ・プールナーナンダ:ヨーガ修行僧 (オリジナルキャラ)

--------------------------

 

 そしてあたりが真っ暗になった。

 

 だが、倒れかかってきたのは満司の方だった。

 

「言っただろ・・・ブレーカーは悪事もブレークできるって」

 

 暗がりの中で、一之介さんの声がした。その手にはスタンガンが握られている。暗がりの中でチャージ用のハム音と、パイロットランプのLEDがチカチカと点滅している。

 

「出力は猛牛の設定だったっけ?」

「スタンガンに猛牛の設定なんかないっすよ。最強のレベルにはしておきましたけど」

 

 及川さんの声だった。

 

「じゃああと1時間はおねんねだな・・・。目を覚ますとすごい頭痛になるらしいんだが、ちょうどいいお灸になるだろう。まあ誰も見ていないから・・・まあいいか」

「思いっきり全員丸分かりじゃ?」

「大丈夫だ・・・ブレーカーを切ったから」

「どうせ張り込みをしているなら、なんでもっと早く来てくれなかったんですか?」

「暁人・・・何を言っているの・・・まずお礼でしょ。あの・・・どこのどなたか知りませんが、誠にありがとうございます」

「あああ・・・暁人・・・暁人・・・怖かったよ・・・何処よ?・・・暁人?変態暁人?」

「綾乃・・・ここだよ・・・」

「ねえ何で明かりをつけないの」

「まずは皆さんの服装を考慮しました。はい・・・まずはお着替えをしてください」

「一体暁人の部屋に何人集まっているのかしら?」

「この女・・・早く捕まえてください刑事さん」

「その人は今は洋子さんだ。暗い限り大丈夫」

「それより綾乃・・・君は何もつけてないんだからね」

「あっ・・・やっぱ変態!・・・さっきちょっとカッコよかったけど・・・よく考えたらSM写真集や盗撮物のDVD持ってるなんて変態!」

「あの・・とりあえず女性の方々はジャージを、暁人君もなんか羽織って」

「洋子さんは暗い部屋に行って・・・」

「いけない・・・暁年さんが大変なんだったわ・・・暁人・・早く着替えて・・・何か作ったらすぐに出発よ」

「えっ・・暁パパが・・・」

「6畳間に8人もいるわね・・・一人1畳以下だわ・・・おそ松さんよりも多い」

「だから・・・皆さん・・・お着替えを」

「シチューを作り直している時間がもったいないわ。お味噌汁におにぎりにしましょう」

「聖満君・・・逃げようとしてもダメよ。お父様が目を覚ましてからね」

「もう・・・オッパイ触らないの」

「その・・皆さん・・・縄だけでも外して・・・ちょっと目のやり場が」

「暁人・・・親父のところ行くんなら送っていこうか?」

「いや・・所長は満司の後始末・・・事後交渉ですよね。アッチもヤバい写真や録音をいっぱい持ってるだろうから。唯子さんや綾乃ちゃんとかの・・・」

「この人達は刑事さんじゃないの?暁人」

「俺たちは探偵・・・顧客に寄り添えるのは探偵の方なんだ」

「浮気捜査とかする人たちですよね」

「あっ僕はそっちのほうが多かったな」

「捜査権が・・・捜査権が欲しい・・・」

「洋子さん・・・このままサングラスをかけていればずっと・・・」

「それは名案かもしれないわ・・・暁人君・・・流石ね・・・あん聖満君・・そこも触っちゃだめよ」

「もう・・・明かりつけちゃいますよ!」

女性全員:「ダメ!」

 

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 真っ暗な中の秋月家は大混乱だった。及川さんが女性陣を何とか説得してブレーカーを復帰させると、男女に分かれて着替えをした。女性はそのまま僕の部屋で、男性はリビングに戻っていた。満司は縄で縛ったうえで3人がかりで階下に運び、床に転がして毛布を掛けておいた。無関心を装っているようだったが、服に着替えた聖満はずっと満司のそばから離れようとはしなかった。一之介さんが奪われた家や土地の権利書や、実印、預金通帳などを、満司が脱ぎ捨てた服の中から回収し、金庫の中に番号を変えて仕舞うようお母さんに指示をしていた。

 

 洋子さんだけが僕の部屋から出られないでいた。ちょうどいいサングラスがなかったためだ。僕の提案でとりあえず「安眠マスク」を洋子さんに着けてもらって、洋魔子の出現を押さえてもらうことにした。

 

「でも、これは気休めでしかないわ。いまに洋魔子はまた現れる。たとえサングラスをつけていようと暗闇の中だろうと。金賢姫は狡猾よ。こんなことで抑えられるなら・・・・」

 

 洋子さんの闇はまだ続いている。とてつもない闇が・・・。僕たちには想像もつかない国家レベルの闇が・・・。ソン・ヨンウのクリニックに行って僕はそのことを痛切に感じていた。でも、この人ならその闇に対抗できるのかもしれない。その金賢姫と言う悪を、打ち負かすのかもしれない。

 

「暁人君・・・あなたに会えて本当によかったわ。でも、この件が終わったら、もう絶対に私に近づかないでね。大丈夫・・・あなたならもう大丈夫よ。綾乃ちゃんと幸せな人生を送ると良いわ」

 

 その表情はどことなく悲し気な、失った過去を懐かしむような、爽やかな表情が浮かんでいた。僕が何かを言おうとしたのを察したのか、洋子さんは急に僕に密着するように近づくと、そっと耳打ちを始めた。

 

「これからレッスン5よ・・・綾乃ちゃんのファーストキスをこれから奪ってあげなさい。そして、あなたのファーストキスを綾乃ちゃんに捧げなさい」

「えっ・・・僕たちはもう・・・」

 

 洋子さんの柔らかな胸が、僕の肩に当たっていた。洋子さんの唇が悪戯っぽく微笑み、魅力的な声で囁く。

 

「ウフッフッ・・・あんなものはキスでも何でもないわ・・・。キスってもっと違うものなの。とても素晴らしいものなの。それが本当のファーストキス。あんなことになってしまって本当にごめんなさいね。私も、魔洋子でさえも、本当はこの唇で奪ってあげたかったわ」

 

 魅惑的な唇が、すぐ目の前にあった。母にそっくりな唇。そして綾乃にも・・・。その唇が再び開く。

 

「いいこと?今のうち・・・うがいやシャワーを浴びる前に、あなた達の穢れを共有しておきなさい。そうでないと乗り越えられなくなるわ。レッスン5・・・二人で本当のキスをしなさい。穢れに向き合い、共有した途端に、あなた達は乗り越えられる」

 

 そして、その唇がすぼめられたかと思うと、僕の額にキスをしてくれていた。

 

「うふふっ・・・」

 

 魅惑的な、悪戯っぽい笑いを浮かべた洋子さんの吐息が僕の額にかかっていた。

 

「な・・・何をやっているの!変態暁人!」

 

 僕の部屋に、いつものようにノックもなくいきなり入り込んできた綾乃が、人を変態呼ばわりしながら叫んでいた。

 

「うふふっ・・・後はうまくやりなさい。誰も入れないようにするから」

 

 洋子さんは軽くウインクをすると、僕を後押しするように綾乃の方に向かせてしまう。そして、

 

「さようなら」

 

 そう一言残して部屋から出て行った。それが洋子さんを見た最後の瞬間だった。僕はそのことを後ほど知ることになる・・・。階下に降りた洋子さんはみんなに向かって

 

「二人に30分だけ時間を頂戴」

 

 そう言ったそうだ。

 

「それだけで大丈夫かしら?」

 

 母が心配そうに聞き返す。

 

「あの二人なら・・・若い二人なら大丈夫」

 

 一之介さんがそう答えたそうだ。そして、ドアの閉じる音がして、みんなが振り返ると、そこにはもう洋子さんの姿はどこにもなかった。

 

----------------

 洋子さんのために薄暗くした部屋の中で、綾乃と僕はぽつんと取り残されるように、ベッド端に座っていた。

 

「今の人・・・暁人の何?・・・好きなの?・・・年齢違いの恋?」

 

 そう言いながら、非難するような、悲しそうな、辛そうな目で僕を見ていた。

 

「綾乃・・・ちょっと話したい事があるんだけど」

 

 僕の顔が真剣だったのに気が付いたのだろう。急に綾乃が顔を赤らめながら立ち上がろうとする。

 

「あの・・・後にしてほしいな・・・シャワーを浴びたいの・・・それに・・・うがいも・・・」

 

 僕が綾乃の手をきつく握りしめ、中々離さないでいるのに根負けして、綾乃は再び僕の傍らに腰かける。

 

「その前に、話しておきたいんだ。彼女は洋子さん。僕のカウンセラー。それ以上でもそれ以下でもない」

「嘘・・・あたし見たの・・・暁人とあの女が・・・歓楽街の喫茶店で・・・会っているの。あの女が見せた写真だけでなく、実際に会っているところ・・・そして彼女はどう考えても犯罪者・・・良くてSMクラブの女王様・・・変態よ」

 

 非難がましい顔をした綾乃の顔が、探るように僕を見つめている。

 

「洋子さんとは何にもないんだ。今日と同じ・・・満司や洋子さんの別人格の洋魔子に危ない目に合わされただけ」

 

 流石の綾乃も「危ない目」が何か聞いてこなかった。満司と聖満から受けた綾乃自身の体験が、すべてを物語っていた。綾乃は柳眉を少し顰めるだけで、僕の言いたいことが理解できたようだ。そして、それを問い詰めることの愚かさを、それを乗り越えていくことの大事さを、身をもって体験したのだ。

 

「僕の事、嫌いになっちゃった?」

「私の事、嫌いになっちゃった?」

 

 二人同時にそう言っていた。そしてまた同時に答え、聞いてしまっていた。

 

「あははっ・・・とんでもない・・・母さんの事は?」

「うふふっ・・・とんでもない・・・唯ママの事は?」

 

 そして二人同時に言っていた。

 

「とんでもない!」

 

 綾乃の表情はやっぱりころころと変わる。でもこの顔が一番好きだ。少しはにかんだような控えめな笑い。そしてその顔がぱっと明るくなり、すべてを暖かに包んでいく光を湛えた笑顔。その時、洋子さんが言っていたことを思い出した。そう・・・「大人のために その7」・・・洋子さんの声が聞こえてくるようだ。

 

【次世代を残す事とは、互いに信頼し、共有し、次のステップに進もうとすること】

 

 きっと今回の事が無ければ、綾乃は僕だけでなく、母の事も父の事すら許せなかっただろう。それほど凄惨な体験だったはずだ。だが、これほどの悍(おぞ)ましい経験をしたというのに、その目はすっと僕に向けられて、曇りがなかった。屈託のない笑顔で微笑みかけてくれていた。

 

「大好き!」

 

 また二人同時だった。気づくと僕は綾乃をきつく抱きしめていた。綾乃は一瞬驚いたようだったがすぐにきつく抱き返してくれた。綾乃の柔らかな肉體の感触が心地よかった。

 

「満司と母さんの事、洋子さんと僕の事、洋子さんと洋魔子のこと・・・今回の事は一晩中話しても終わらない」

「だから・・・これからゆっくりと、一生かけて話していこうと思う」

 

 綾乃がさらにきつく僕の身体を抱きしめる。

 

「うん・・・いっぱい・・・聞かせて」

 

 僕は綾乃のピンク色をした唇に唇を寄せていた。綾乃の目が閉じられる。

 

 カリッ・・・

 

 僕たち二人のファーストキスは甘さ控えめで素材重視な味だった。邪悪な臭い・・・満司と聖満の精液の香も、洋魔子の大便の臭いも、すべてが混じり合い、アーモンドとふくよかなバターの香に包まれた複雑で、奇々怪々で、それでいてこの世の最も清らかな香りと味がした。

 

「あまりにも強くこのクッキーを握りしめていたので、母さんに渡した時二つに割れていたんだ。その片割れ・・・君の魂と、母の魂が、たくさん詰まった最高の味」

「ええ・・・あなたの魂も、握り拳(こぶし)分だけつまっているわ・・・決して忘れない・・・」

 

 僕たちは今度はクッキーなしで口づけを交わしていた。舌先がこんなに熱く感じるなんて思ってもいなかった。綾乃の口の中はやはり母さんのクッキーの味がしていた・・・。

 

--------------

「ねえ、これって本当に業務ですか?」

「ああ・・・ちょっとうるさいわよ・・・良く聞こえないわ」

「あれ・・洋子さんはもう立ち去って居なくなっている設定ですよ」

「A までよ・・・まだ駄目よ・・・高校生なのだから」

「唯子さん、今どきの高校生はBやC位は・・・」

「すでに二人はB経験してるんじゃないっすかね?」

「あれはノーカンで良いじゃないか」

「ねえ・・いつまで録音しておくんですか?所長」

「暁人君ファンクラブのためだ・・・もう少し・・・」

「何か衣擦れの音・・聞こえないっすか?」

「私・・呼びに行くわ・・・暁人!・・・そろそろ行くわよ!・・・暁人」




〇感想や何らかのご評価を頂くと嬉しいです。よろしくお願いします。
〇本小説の登場人物のうち「山本洋子」に関しては以下のサイトで書かれている小説の登場人物になります。ご興味があればご一読ください。
https://novel18.syosetu.com/n0812ge/
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