剣が完成し、ランガとその同胞たちをしもべとした今、あなたにはホムラの国でやり残したことなどなかった。
いや、もはや魔王との対決に当たり、全ての準備を終えたと言ってもいい。
王都アイトラス、エルフの国カレンディア、ヤトメが住まう地ホムラの国。このツゴウノイイファンタジー世界において主要な三つの国を巡ったあなたは、世界中の人々を抱いたにも等しい。
そしてグリュイエールを始めとする、かつて魔界の覇を争った恐るべき魔物娘たちをすらしもべとした今、あなたは考えられる限界の力を宿している。
ランガが作りし剣には魔物娘たちの魔力が込められ、それを扱うあなたには十全な技量と力が備わっていた。
魔王との対決を前にして、これ以上できることは無い。そう判断したあなたは、ついに魔王と決着をつけるべくホムラの国を後にしたのだ。
目指すは聖都と呼ばれる地。
静寂の森で開いた魔界の門をファリシアが再度封じた折、彼女はこう言った。聖都と呼ばれる地に滞在していると。戦いたければいつでもこいと。
ファリシアは聖都にいる。少なくとも、そこにいけば姿をあらわすはずだ。
そうしてホムラの国から聖都を目指す道中、あなたは途中に自身の故郷があることに気づいた。
あなたが出立した故郷の田舎村は、偶然にも聖都からそう離れていない場所に位置していたのだ。故郷から聖都まで、歩いて半日程度である。
ちょうどいいとばかりに、あなたは故郷へ立ち寄ることにした。
魔王との対決。勇者であるあなたにとって宿命ともいえる時を迎えるに当たって、前日を故郷で過ごせるのなら申し分ない事である。
王都から港町へと行き、そこから船に乗った後馬車に揺られる。数日があっという間にすぎ、ようやく故郷へ訪れた時には、もう夕方に差しかかりそうな頃合いだった。
久しぶりにやってきた故郷は、出発した日の記憶そのままの田舎村に変わりなかった。メイドに見送られて村を出発した日が、今日のように思い出せる。
夕焼け色に染まる街並みはのどかな田舎風景。家は数軒しか立ってないし、他にあるのは酒場と教会、そしてあなたの自宅である。
このまますぐ自宅に戻っても良かったのだが、あなたはふと村を見て回りたくなった。それは久しぶりに訪れたことによる郷愁だけでなく、明日が魔王との対決の日になるという予感のせいもあっただろう。
村を歩いても、何の変哲もなく面白みもない。ただただ静かな田舎村だ。
そんな中であなたが足を運んだのは、教会だった。明日の対決に備えて、というわけではないが、勝利を祈ってみるのも悪くないと考えたのだ。
さすがに田舎村の教会なので、こじんまりとしている。厳かさとは無縁でむしろ簡素的な教会の扉をくぐり、あなたは中へと入った。
教会に入ったあなたは、思わず足を止めた。視界に入ってきたのは、台座に飾られた石像。それは女性の姿を象っており、石造りだというのに目も見張る美しさを持っていた。
美しさを感じるのは石像が持つ神秘性だけではない。形作られた女性像はあまりにも美しい顔をしており、均整の取れた体つきでまさに完璧な美女と言えた。
……しかしなぜだろう。絶世の美女。まさしくこの世のものとは思えない美しさを持っているのに……その女性像からはどことなく冷徹さを感じてしまう。
それにこのような石像は、村を出る時に存在しただろうか?
石像が安置されている台座にはネームプレートがあった。しかしなぜか黒く塗りつぶされており読むことができない。おそらくはこの石像の名なのだろうが……。
「……ご主人様?」
訝しんでいると背後から突然声をかけられ、あなたは驚きながら振り向いた。
話しかけてきたのは、あなたのメイドだった。あなたのびっくりした顔を見てか、メイドはくすくすと笑う。
「申し訳ありません、驚かせてしまいましたね。しかし帰ってきているとは知りませんでした。お家にいらっしゃれば良かったのに」
あなたはメイドに、先ほど村に着いたこと、そして後で家に立ち寄るつもりだった事を告げる。
「そうだったのですね。それにしてもご主人様……とても見違えました。ご主人様の旅路の噂は、この村にも届いています。なんでも王都やエルフの国をお救いになったとか。こうしてご主人様を一見すれば、それが紛れもない真実だということが分かります。お強くなられたのですね」
メイドの世辞に多少照れを覚えつつも、あなたは明日には魔王と対決することになるはずだと付け加えた。
「……そうですか。ついにその時が来たのですね」
なぜだろうか。伏し目がちになったメイドの表情は、どことなく憂いを帯びている。
しかし彼女はすぐに顔を上げ、にこやかに笑った。
「魔王との対決を前に体を休めるべく、この村へ寄ってくれたのですね。では、本日は腕によりをかけて精と力がつくものをごちそういたします」
あなたはメイドに礼を言い、早速家へと向かおうとする。
すると、メイドはあなたとは逆に教会の奥へと向かった。
「申し訳ありません。私は少しお祈りをしてから参ります。どうか私の事は気にせず、くつろいでいてくださいませ」
そういえば、メイドは教会に来たばかりだ。もともとお祈りをするつもりだったのだろう。
あなたが見ている前で、メイドは先ほどの石像へと歩みより、ひざまずいて深く頭を垂れた。
いったい何をお祈りしているのだろうか。メイドはもしかしたら、いつもこのように祈っているのかもしれない。
祈ってるのはあなたの明日の勝利か、それとも別の事か。ただ、彼女が真剣なのが見て伝わった。
メイドのお祈りは長くなりそうなので、彼女の邪魔をしないよう、そうそうに教会を立ち去ることにする。
最後に一度、メイドがひざまずく石像をもう一度眺めてみる。
……どことなくメイドに似ているように感じるのは、気のせいだろうか。
メイドも確かに美しい顔立ちをしているが、この石像のような冷徹な雰囲気はしない。
やはり気のせいだろう。そう思ったあなたは、教会を後にして自宅へと戻った。
あなたの自宅は、この村の他の家とそこまで違いなく、簡素な物である。勇者といえど、元々贅沢な暮らしをしているわけではないのだ。
メイドとあなたの部屋に台所と居間。ただそれだけの家は、王都の王宮やエルフの神殿、ホムラの国のお社とは比べるべくもない。しかし普通に暮らすには十分だ。
そう、あなたはここでメイドと過ごしてきた。あの日、勇者として目覚める時まで。
……なぜだろうか。あなたには違和感があった。
確かに懐かしさはある。だが、どうにも……記憶が無い。
ここでメイドと共に過ごしてきた日々が……いや、あの日、勇者として目覚めるまでの記憶が。
だが勇者として旅立つまでここで過ごしてきた自覚と確信はあった。この感覚はいったい何なのだろうか……。
しばしその奇妙さにそそのかされるまま家の中を歩き回っていると、メイドが帰宅する。
「お祈りをした後、買い物をしていたので遅くなってしまいました。すぐにとびきりのごちそうをお作りいたしますね」
メイドは台所へ向かい、陽気に料理を作り始める。
その姿も懐かしい……のだが、やはり勇者として目覚める前にこの光景を目にした記憶が、今のあなたには無い。
どういうことなのだろう、とあなたはメイドに近づき、話しかけてみようとした。
するとメイドはくるりと振り向き、にこりと笑った。
「もう少しだけ待っていてください。ごはんならすぐにできますから。あ……それとも、エッチがしたくなったのですか? もう、勇者様ったら。そちらは夕食の後で、たっぷりとお相手いたします」
毒気が抜かれるような声と態度に、あなたは自然と問いただす気が無くなってしまう。
いや、むしろいったい何を気にしていたのだろうとまで思ってしまう。
砂の山が波に、あるいは風にさらわれてさらさらとほころんでいくかのように、先ほどまで感じていた疑問が消えてなくなってしまっていた。
そう……いったい何を疑問に思うことがあるだろう。ここで過ごしてきたという事実は確かに存在するのだから。
あなたはイスへ座り、メイドの料理が完成するのを待つことにした。
そして彼女の料理をたいらげた後は、メイド自身が言ったようにたっぷりと夜の相手をしてもらうことにする。
「あっ♡ あっ♡ あぁっ♡ 勇者様っ、中にくださいっ♡ オチンポミルクでオマンコイかせてくださいっ♡ んああぁぁっ♡ イクっ、イきますっ! オマンコイクぅぅうぅっ!」
ベッドの上で三度ほどメイドに中出しを決めた後は、明日の事もあるのでそうそうに寝ることにした。
そして夜が明ける。
あなたはまどろみの中、股間を覆う生暖かさと気持ちよさを感じていた。
目を開けてみると、メイドがかいがいしくあなたの朝勃ちした物を舐めているところだった。
「ふふっ、お早うございます、ご主人様。朝のお目覚めはいかがですか?」
メイドの朝フェラによって起こされたあなたは、このままではおさまりがつかないのでとりあえず一発メイドに口内射精をし、その後彼女に騎乗位をさせて中出しをキメ、完全に目を覚ますことになった。
そしてメイド特製の朝食を食べた後、魔王との決戦を迎えるべく村から旅立つ事にする。
あなたは家から出て、メイドに行ってくると告げる。
するとメイドは、じっとあなたの目を見てきた。まるで海のように深く静かな瞳だ。
「ご主人様、かの魔王との戦いを恐れることはありません。あなたは大変お強くなりました。……きっと、独力で魔王を打ち倒すことも可能でしょう」
昨日までとはうって変わってかなり真剣なメイドに、あなたも真面目に耳を傾ける。魔王との対決。勇者としての宿命を果たすこの日を、彼女も深く受け止めているのだろう。
「もし、かの魔王にかなわなかったとしても……ご主人様には我らが女神の加護がついております。イストワール様の加護がある限り、勇者の敗北はありえません」
メイドは、深く、深く、一礼をする。
「それでは、行ってらっしゃいませ、ご主人様」
かつてのようにメイドに見送られるあなたは、かつてのように歩き出した。
村を出て、聖都へと向かう。半日あればつく道中の中、あなたはふと足を止めた。
そして村があった方を振り向いた。思い出すのはメイドの激励の言葉。
彼女は……何と言っただろう? 何か、妙な引っ掛かりがある。
だがその疑問は、折よく拭いてきた風に流さてしまったのか、どこか遠くへと過ぎ去っていく。
いったい何を疑問に思っていたのか、もうあなたは分からない。
ただ、妙な心地が残っていた。何かを忘れているような……あるいは、何かを思い出せないのか。
あなたは頭を振った。これから迎える魔王との対決に、妙な雑念を持っていく事はできない。
あらためて聖都を目指して歩き出すと、次第に先ほどの感覚は全て消え去っていった。