赤色に染まる空がゆっくりと光を失っていく。その光景を見ながら、あなたは野外温泉に浸かっていた。
ランガとの戦いを経て同盟関係を結んだ後、彼女からもろもろの話は明日にしようと提案され、ミコト姫共々彼女の工房に一泊する事となった。
ランガはあなたの剣への構想がすでにあるらしく、含み笑いをしながら明日を楽しみにしておけと言っていた。
もとより剣を鍛造する知識など持ち合わせていないあなたは、全てをランガに任せるつもりだった。あの様子を見るに、ランガにお任せで特に心配もないだろう。
そうなると特にすることもなく、あなたはランガに勧められるまま工房裏手側に作られた温泉に入ることにしたのだ。
この温泉はなにもランガが作った物ではなく、最初からあった天然ものらしい。ランガはこの温泉を気に入ったから近くに工房を立てたのだと言っていた。
野外温泉の温度はちょうど良く、浸かっているとじんわり体が温まってくる。なにより小高い丘から覗ける景色が最高で、夜の暗闇の中でも赤く発光する溶岩湖が見下ろせられた。
夜の火山地帯はほのかな赤色がそこかしこにあり、幻想的な光景だ。遠くにはホムラの国の灯篭による灯りもほのかに見える。
野外温泉の妙味を楽しむあなたは、この素晴らしい温泉と光景を独り占めしていることを少々もったいなく感じた。
せっかくなので、これまでの戦いを労わる意味でも、しもべとした魔物娘たちを数人呼ぶのもいいだろう。
そう考えたあなたは、旅路の初期で仲間にしたネコマタ、リッチ、パイレーツの三人を召喚することにした。野外温泉はさすがにそこまで広くないので、あなたを含め都合四人ほどが丁度いい数だろう。
そうして召喚された彼女たちに事情を説明し、共に温泉を楽しむこととなった。
「ふぅ……良いお湯ですわ」
足先からゆっくりと温泉に浸かり、あなたの左隣に腰かけたのはパイレーツだった。今彼女は特徴的な海賊コートを脱ぎ、一糸まとわぬ眩しい肌を湯船に沈めている。
お湯に浸かるため、長い髪を結びポニーテールとなった彼女のうなじがあなたの目に入る。温泉によって火照った肌がうなじの艶めかしさを引き立て、とても魅力的だ。
「勇者様、あまり見られると恥ずかしいです」
あなたの視線に気づいたパイレーツが、咎めるように身をよじった。温泉に浮かび上がる彼女の大きな胸もそれと共に揺れる。
「ちょ、ちょっと熱くないか……肌が焼けるようだぞ……」
あなたの右隣に座って温泉に浸かるのは、青白い肌を晒したリッチだった。
炎や熱に弱いリッチは、その青白い肌の通り体温が低いのだろう。あなたにはちょうどいい温度の温泉も、リッチにはやや熱めのようだ。熱さのあまり彼女は体をひっきりなしに動かし、ちゃぷちゃぷと波紋を立てている。
「やれやれ、リッチは温泉の風情というものが分からないようですね。髪もそのままだから、お湯に浸かってしまってるじゃないですか」
「う、うるさいぞ、パイレーツの癖に。風情どうこう言うのならあいつはどうなのだ!」
リッチがびしりと指さした先にいたのは、いまだ温泉に浸かろうとせず、足先を何度も水面に入れたり出したりするネコマタだ。
「……なにやってるのですか、あの子は」
「知らん。ネコだから水が怖いんだろう」
ネコマタの様子に呆れる二人。それに気づいたネコマタが、わななくように叫んだ。
「ち、違うって! 水に浸かるのなんて怖くねーよ! ただ、ほら……今日は調子が悪くて浸かるのにちょっと時間がかかるんだって!」
「……びびりまくってるな」
「びびりまくってますね」
「違うってぇ!」
ネコマタは否定するが、足先をつけるたびに彼女はびくりと飛びあがり、尻尾をぶんぶんと揺らしている。完全に水を怖がってるネコそのものだ。
やがてようやくある程度水に慣れたのか、ネコマタは温泉のふち側に腰かけて膝までを浸からせる。どうやら彼女にとってそれが限界のようだ。膝元でもお湯に浸かっているのは嫌なのか、ひっきりなしに足を揺らしていた。
「はぁ……水に浸かるのの何がいいのかあたしにはさっぱりだ」
嫌々しく唇を歪めるネコマタに、リッチはこくこくと頷く。
「まったくだ。こんな熱い湯に好んで浸かるとか気がしれん。ホムラの奴らはなにを考えているのだいったい」
そんな二人にパイレーツは呆れを隠し切れないようだ。
「まったく……せっかくの温泉も、この二人にはもったいないですね。水質もよく温度も適温。湯上りは肌がツルツルになっているに違いない名湯でしょうに」
「……なるほど、肌に良いのか。まあ、そういうことならば……」
「ちょっとくらい我慢して浸かってやるか」
現金なもので、文句を言っていたリッチとネコマタはとたんに大人しくなり、手で湯をすくい肩や体にかけ始めた。
「……呆れますね」
あなたもパイレーツと同じ気持ちで頷いた。
しかし結果的に三人ともが温泉を喜んでくれたのなら、彼女たちを呼び出したかいがあったというものだ。
この機会に、ランガと同盟を組むことをどう思うのか彼女たちに聞いてみようかと頭によぎったあなただが、束の間の息抜きでは無粋と思い直し、今はこの温泉を黙って楽しむことにする。
夜を迎えて暗くなった空は、溶岩湖の赤い明かりに照らされほのかに輝いていた。その幻想的な光景もさることながら、隣りでは美しい肌を晒した魔物娘が共に温泉に浸かっている。
極楽とはこういうことを言うのだろう。一糸まとわぬ彼女たちの肩や胸、腹部に股間がごく自然に晒されていて、そういった行為に及ぶ際に剥きだされた時とはまた違う生々しさがそこに存在している。
ネコマタの大きな胸は、湯に浸からせた足をちゃぷちゃぷと動かす動きに連動して、たわわに揺れていた。
リッチの青白い肌は熱いお湯に火照らされ、薄い肉付きのなだらかなラインが艶めかしく彩られている。
普段とは違いポニーテールにしたパイレーツは、その大きな胸がお湯の中で少し浮かび上がり、伸ばした足のふとももからふくらはぎ、足首までもが水中で美しく揺らいでいる。
ごく当然のように肌を晒しているその無防備な姿。生々しい光景を前にして、あなたの股間は自然と反応してしまっていた。
「……どうやら勇者様も風情に欠けるようですね」
あなたの猛る物に気づいたパイレーツが、呆れ半分の白んだ目を向けてきた。
せっかく温泉でくつろいでいるというのに欲情してしまえば、そう言われるのもしかたないだろう。しかしこれはどうしようもない生理現象なのだ。返す言葉はないが、言いつくろうこともあなたはしなかった。
「まったく……しかたがない方」
パイレーツはくすりと艶美に微笑し、そっとあなたの体に身を寄せてきた。
「考えてみれば、このような素敵な温泉に入れてくれたのですから、お返しをしなければいけませんね」
パイレーツはあなたの肩から胸、腹部までを指先で撫で下ろし、下腹部のいきり立つ棒をやわやわと触る。
「ほら、リッチもネコマタも、勇者様にお礼をしないと」
「くっ……パイレーツの癖に簡単に盛りおって……まあ、やれと言われればやってもいいがな」
「あたしも別にいいけどさぁ……この人数でどうすんのさ。場所も場所だし」
二人に言われ、パイレーツは口元に手を当て少し考え込む仕草をした。
「そうですね……では、こういうのはどうでしょうか。勇者様、一度立ってください」
パイレーツに言われ、あなたは立ち上がった。お湯からあがった上半身は外気に晒されるが、この火山地帯は気候が暖かいので肌寒さは感じない。それに足はまだ温泉に浸かったままなので、湯冷めの心配もそこまでないだろう。
しかしこうやって立ち上がるのはいいが、いったい何をしようというのか。あなたはパイレーツの次の言葉に耳を傾けた。
「こうして立った状態なら、私たち三人同時にご奉仕するのも十分可能でしょう?」
「ふん、なるほどな……で、誰が何をどうしろというのだ?」
リッチの指摘は重要だ。どうやらパイレーツはこの立ち上がった状態で三人同時に奉仕をすることを考えているようだが、三人全員が前面に来るのはスペース的に難しい。
となるとそれぞれが別の部位への奉仕をすることになるはずだが……パイレーツはどう考えているのだろうか。
その答えを、パイレーツはすぐに聞かせてくれた。
「ネコマタはせっかくなので、その大きい胸で勇者様にご奉仕をしてはいかがですか?」
「……つまりパイズリしろってことか?」
「ええ。嫌ですか?」
「嫌じゃないけど……やったことがないからうまくできる自信はないかなぁ……」
ネコマタは困った顔をしながら自分の豊かな胸を手で持ち上げ、男性器を挟み込む練習のように寄せ上げた。
「大丈夫です。ぎこちないのも初々しくて可愛く、ぐっと来るものだと相場が決まってますわ。ね、勇者様」
なんだか心理を言い当てられてしまったが、確かにネコマタがぎこちなくも一生懸命にパイズリ奉仕をする姿は、想像しただけでぐっとくる。
「それでリッチは……キスでのご奉仕はいかがでしょう」
「き、キスだとぉ……!?」
さすがに想像していなかったのか、リッチは驚いて背をのけぞらせた。
「ええ、勇者様の口内に自ら舌をさしこみ、ご奉仕するように口内を舐め上げるラブラブなキス……あなたにお似合いだと思いますよ」
「し、しかしそんな……」
ラブラブなキス、という言葉にリッチは顔を赤らめる。普段は見せない乙女のような表情だ。愛情をそそぐようなキスを自分がするなど、おそらく今まで考えたこともないのだろう。それをする自分を想像して、彼女は羞恥に身もだえたのだ。
「まあ、無理にとは言いませんが。考えてみればアホのリッチにラブラブキスなどという高等なご奉仕は無理でしたわね。やっぱり別のにしますか」
「ぐっ、ぐぐっ……!」
明らかにリッチを挑発するような態度で、パイレーツは煽っていく。
「い、いいだろう……! や、やってやればいいのだろう!? ラブラブキスとやらを!」
「ちゃんと愛情をそそぐのですよ? 勇者様大好きっ♡ という気持ちをしっかり込めなければラブラブキスにはなりませんからね」
「で、できるにきまっているだろう! 私を舐めるなよ! 勇者様大好きっラブラブキス♡ を見事やってのける私を見て、驚くなよっ!」
もともと犬猿の中に近い二人だから、完全に売り言葉に買い言葉の勢いでリッチはご奉仕内容を受け入れる。パイレーツは気づかれないようにあなたの影で笑っていた。
「そ、それで、当の貴様はなにをするつもりなのだ!? 私やネコマタにここまでさせるのだから、言い出しっぺの貴様はもっとすごいことができるんだろうな!」
「当然ですわ。勇者様を驚かせたいので詳しくは言いませんが、きっと喜ばせて見せましょう」
パイレーツは不敵な笑みをリッチとネコマタに向ける。
「言っておきますが、三人でのご奉仕とはいえ、私が一番勇者様を喜ばせるつもりです。勇者様のしもべとなった魔物娘は多くなってきましたから、勇者様に私こそが一番だと知らしめなければいけませんから」
そんなパイレーツの言葉を受けて、二人は鼻を鳴らした。
「ふん、パイレーツ程度が一番だと? バカバカしい。だが確かに、グリュイエールやアルメリアの奴らがしもべになった今こそ、元魔王様の側近である私が一番頼りになるのだと勇者には思い知らさんとな」
「知らしめるも何も、そもそも勇者のしもべになったのはあたしが一番最初だぜ。それなら当然、一番付き合いの長いあたしが誰よりも頼りになるって勇者は知っているはずさ。勝負にならないね」
三者三様、なぜか互いに挑発的な言葉を投げかける彼女たち。
全員が裸の状況で、今からまさにご奉仕という性的行為をしようというのに、なぜか戦いが幕開けるかのような雰囲気だ。
「ならば……」
パイレーツがゆっくりと呟いた。それを受けてリッチが言葉を続ける。
「まずは私たち三人の中から……」
「誰が一番勇者を気持ちよくできるか、決着をつけてやるよ」
最後に締めたのはネコマタだった。
彼女たちは今、戦いにおける実力ではなく、勇者であるあなたを誰が一番気持ちよくできるのかで争っているらしい。
しもべである魔物娘同士での戦いが、今から繰り広げられようとしている……ご奉仕勝負で。
なんだか良く分からないが、結果的に彼女たちの中が深まりそうなので、気持ちよければもうどうでもいいかとあなたは考えた。
三人のご奉仕対決は、こうしてここに開始を告げたのだった。