「今日はここまでにしましょう」
太陽の光を失い、地上から発する溶岩の赤い輝きで空が彩られているのがはっきりと分かるようになった頃、ようやくアイは一日を仕切る言葉を発した。
「はぁ~……こんな遅くまで修行させるなんて聞いてないわよ~。私の方が疲れちゃったわ」
くたびれたように肩を揉むクロナを見て、あなたは深く溜息をつくしかない。まだそんな余裕があるクロナとは違い、あなたはくたびれたあまり地面に座り込んで一歩も動けなかった。
アイとクロナの二人を同時に相手取り戦い続けたせいで、あなたの全身の筋肉はだるくなり、動こうとするたび鈍い痛みがやってくる。それもそのはず、昼間から夜になるまで休憩一つなく戦っていたのだから。
疲労度という点において、二人で戦っていたアイやクロナとあなたでは倍以上の違いがある。しかもアイとクロナは時折一人だけ休憩を入れていたのだ。通しで動き続けたのは実質あなた一人と言える。
こうしてようやく一日の修行を終えたあなたは、しかし開放感に酔う気にならなかった。なぜならあなたは、アイとクロナへついに一撃も攻撃を当てられなかったのだから。
その代わり、二人の攻撃をいったい何発喰らったか。文字通り、手も足も出ない結果となった。
アルメリアを倒したことで、我知らず驕りがあったのかもしれない。今それを完璧に粉砕され、あなたは深くうな垂れるしかなかった。
「……そう気を落とす必要はありません」
落ち込むあなたを見て言葉を投げかけてきたのは、アイだった。あなたは頭上から降ってきたアイの言の葉を追いかけ、彼女の顔を見上げる。
「一度も休憩せず我ら二人とこれほど長時間戦い続けたその持久力は見事です。しかもあなたの体力はいまだ尽きていない。稽古という名目ゆえ多少の手加減はしていましたが、あなたが倒れてしまっても構わないというつもりで攻撃をしかけていました。しかし、私たちは二人がかりであなたを倒せてはいない。それに私もクロナも二人がかりでなければ、持久力の差であなたより先に動けなくなっていたことでしょう」
彼女が何を言わんとしているのか、疲れ切ったあなたは頭が回らず、首を傾げた。
「ええと、ですからね……つまり……ああ、こういう時どう言えばいいのでしょうか」
「アイちゃんは、勇者ちゃんは落ち込むほど弱くは無いって言いたいのよ。でしょ?」
言いよどむアイへクロナが助け舟を出す。アイは一度せき払いをした。
「そう、そうです、その通り。もしあなたが今自分を弱いと思っているのなら、それは勘違いです。あなたは現時点でも十分に強い。しかし、その強さを完璧には引きだせていないのです。ですから気落ちなどせず、今はただ励みなさい」
飴と鞭とでも言うのだろうか。あの厳しい態度と視線のアイが、こんな風に励ましてくるなんて。あなたは信じられないものを見るような目でしげしげとアイを見つめた。
「な、なんですかその目は。やめなさい。私はそのように凝視されるのは好きません」
監視者を意味し、それに類する魔法を扱っていたゲイザーの魔物娘の癖に、それをたなに上げた発言だった。
「アイちゃんはこう見えてかなり優しいのよ、意外だったでしょ」
くすくすと忍び笑いをするクロナに、アイは睨みつけるように目を鋭くさせた。
「やだ、アイちゃんこわーい」
アイの視線から逃げるようにクロナはぱたぱたと境内を駆け抜け、そのまま奥の建物の中へ逃げて行った。それを見送ってアイは深く溜め息をつく。
「見ての通りクロナはアホ狐です。あなたもまともに取り合っていたら余計疲れるだけですよ」
言葉だけを聞けば辛辣だが、柔らかく微笑するアイの表情から、彼女がクロナへ心を許していることが察せられた。
「さあ、あなたも本殿で休むといいでしょう。付いてきなさい」
いまだ地べたに座り込むあなたは、差し出されたアイの手を握って体を起こし、彼女の後を付いていった。
この神社には一つだけ小さい建物があり、クロナとアイはそこで寝食を過ごしているらしい。アイはその建物を本殿と呼んでいた。
アイいわく、ここはホムラの民人も知らなかった、いわば隠された神社だったらしい。それをランガが発見し、本殿で祀られていた聖杖を見つけたようだ。
「ランガはここが女神の使徒ツキヨミの住み家だったと推測していましたね。だから彼女がその存在全てを込めた聖杖が安置されていたとか。しかし今では我らの宿り木です。聖杖が無くなってうっとうしい神気も消え去りましたしね」
本殿に上がり、中を一通り案内された後、一番広い座敷へと通される。
「ひとまずここで休んでいなさい。私は夕食を作ってきます。動けるようなら、本殿の裏手側に温泉があるので入るのもいいでしょう。好きにくつろぎなさい」
そう言い残しふすまを閉めてアイは立ち去った。あなたは独りになったとたん、倒れるように仰向けとなって畳に寝転がる。
アイの言う通り、温泉に入って疲れを癒すのも良い。そう思うあなただが、いかんせん疲労が濃すぎて一歩も動く気にならない。このまま夕食までだらだらと過ごし、食後に温泉へ入るのもいいだろう。
畳からほのかに立ち昇る草の良い匂い。それを嗅いでいると、心身が休まるようだった。まるで広々とした丘の上で寝転がっている気分である。
そうしているとそのうちまどろみが誘ってきた。あなたはさして抵抗する事なくそれを受け入れようとする。
しかしふすまが開けられる音を耳にして、眠気の誘惑はどこかへ消え去ってしまった。
「勇者ちゃん、見つけたっ」
この神社内であなたの元へやってくるのはアイかクロナのどちらかなのは当然で、顔をあげて開けられたふすまの方を見たあなたは、狐耳の魔物娘の姿をその瞳に写した。
クロナは座敷に入ってきて静かにふすまを閉める。いったい何の用かとあなたが尋ねるよりも先に、彼女は寝そべるあなたの枕元で正座をした。
「ふふ、勇者ちゃん今日はお疲れだったわね。今日一日がんばった勇者ちゃんに、お姉さんが良いことして元気にしてあげようかなって♡」
今日初めて会ったばかりだが、クロナはいつも能天気な笑顔をその顔に描いている。しかし今この時、彼女の表情には妙な艶やかさが見て取れた。
唇を赤い舌でぺろりとなめずるその仕草には、淫靡な匂いが込められている。
クロナの意図を察したあなたは、まどろみよりもなお魅力的な誘いに応じようと、体を起こそうとした。するとクロナが手で動きを制してくる。
「だめよ、疲れているんだから横になっていなくちゃ。お姉さんに任せなさい♡」
上げかけていた上体を下から手で支えられたあなた。クロナはそのままあなたの頭を正座する膝上へ横たわらせた。
膝枕の状態で、あなたはクロナを見上げる。まっすぐあなたを見下ろすクロナは、優しくほほ笑んでいた。
微笑のままクロナは巫女服の上衣をはだけさせ、抑えつけられていた大きな胸を解放する。その勢いで彼女の巨乳が大きく弾み、重力に引かれてたぷんと揺れた。その壮観な光景をあなたは下から余さず目撃していた。
乳首の部分がツンと上向くほどに張りのある巨乳を目の当たりにして、あなたは思わず喉を鳴らした。
クロナは屈み、あなたの顔へその大きな胸を近づける。圧倒されるほどの巨乳で視界がいっぱいになり、甘いミルクのような香りが鼻腔を満たした。
「ほぉら、勇者ちゃん。私のおっぱいを吸って、疲れを癒しましょう?」
艶やかなささやきを聞いたあなたは、半ば反射的に目の前の胸へと吸い付いた。胸を吸う事と疲れを癒すことの因果関係が全く分からなかったものの、そんなことはどうでもよかった。
「あんっ♡ すごい吸い付き……♡ 勇者ちゃん、おっぱい大好きなのね」
無論、大小関わらず胸が嫌いなわけがない。そう答えるよりも、より強く吸い付くことでそのことを伝える。
クロナの乳首を乳輪ごと口に含み、音を立てて吸っていく。すると彼女の柔らかかった乳頭がしこりのような硬さを宿し始めた。そのおかげで更に吸い付きやすくなり、乳首をねぶるように舌先で愛撫していく。
胸を吸い付かれて、クロナは小さく甘い声を出していた。だがそれよりもくすくすとした優しい微笑の方が目立っている。
「んふふふ♡ 勇者ちゃん可愛い♡ もっとお姉さんのおっぱいに甘えていいのよ♡」
あなたの頭をやわやわと撫でながら、クロナはその巨乳を顔へと押し付けていく。
今まさにクロナのおっぱいを吸っているというのに更に押し付けられ、柔らかい肉球の感触があなたの顔面いっぱいに広がった。
思わず片手で吸っていない方の乳を揉んでしまうあなた。顔いっぱいに広がる巨乳の感触と吸い付く乳首の感触で欲望のタガが外れ、揉みこむ手には力が入っていく。
「んっ♡ ああぁんっ♡ おっぱいに夢中になっちゃって可愛い♡ もっとたくさんちゅっちゅしてね♡ 勇者ちゃん♡」
乱暴に胸を揉み、激しく乳首に吸い付いているというのに、クロナは優しくほほ笑むだけで咎めはしない。その甘やかしっぷりが巨乳に夢中となったあなたには心地よかった。
今こうしてクロナのおっぱいに甘えているせいか、激しい修行のせいで全身を満たしていた疲労感すら気持ちいい。全身が泥のように溶けてしまったかのようだ。
「夕食ができましたよ。良ければ運ぶのを手伝って……んなっ!?」
そんな心地良い空間に驚きの声が割り入ってきた。アイの声だ。彼女がこの状況を目の当たりにして驚きに暮れたのだとあなたは理解して、だがそれでもクロナの胸を揉み吸い付くのはやめられなかった。
「あらアイちゃん、ちょっと今取り込み中だから、ごはんはもうちょっと待って~」
クロナのいつもと変わりない間の抜けた声を聞いて、アイはぱくぱくと口を開閉させる。
「……な、なにをやっているのですか、あなたは!」
「なにって……勇者ちゃんにおっぱいを吸わせてあげてるんだけど?」
見て分からない? とばかりに首を傾げるクロナに、アイは更に大声を返す。
「そんなことは分かっています! だから、なぜそんなことをしているのかと聞いているのです私は!」
「ええ~、そんな怒ることじゃないでしょう?」
「バカっ、このバカ狐っ! ランガの手紙に書いてあったでしょう! 我々は勇者の同盟であってしもべになるのではありません! そ、そういう行為をしたらランガへの裏切りになるでしょう!」
「もう~、頭が固いんだからアイちゃんは。ようするに、オチンチンを入れなければそれ以外は大丈夫って事でしょう? ならいいじゃない~」
「……な、なるほど……いやっ! そもそもっ、そういう行為をする必要がないでしょう!」
「あるわよ~。だって、私が勇者ちゃんにエッチなことしてあげたかったんだもの♡」
クロナの返答を聞いてアイは言葉に詰まり、頭を抱えだした。
「こ、この色ボケ狐……」
ようやくアイがそう呟くと、クロナは挑発するように鼻で笑う。
「あっ、もしかして~、私に先を越されたからそんなに怒ってるの? アイちゃんも後で勇者ちゃんにエッチなことするつもりだったんでしょ~?」
「は、はぁ!? そんなわけ無いでしょう!?」
「どうかしら、アイちゃんてむっつりスケベだし~」
「だ、誰がむっつりだこのアホ狐! 私がむっつりならお前はただのスケベ狐でしょうが!」
「あら、勇者ちゃんはスケベな狐は大好きよね?」
二人の会話中もクロナの胸を吸い続けていたあなたは、突然話を振られて一瞬たじろいだ。ろくに話を聞いていなかったのだ。話の流れはいっさい分からなかったが、ひとまず頷いておく。
「くっ……! 胸を吸いながら頷くな……!」
クロナの巨乳で視界が覆われているが、アイの鋭い視線をあなたは感じた。
「そうだ、そんなに言うならアイちゃんも混ざればいいじゃない」
「……いや、なにを言っているのですかお前。訳が分かりません」
「このまま私が勇者ちゃんとエッチしてしもべになっちゃうかもって心配してるんでしょ? だからアイちゃんも混ざって私を監視すればいいのよ。ほら、まだ勇者ちゃんのオチンチンには触れてもいないから、アイちゃんがここを沈めてくれればエッチすることもできないわ。それで私もアイちゃんも勇者ちゃんも、皆満足じゃない?」
「……あ、アホ狐の癖に、わりと筋の通ったことを言っている……内容はアホ丸出しなのに。いや、しかしこの私がそんなことをするなど……!」
葛藤するアイに向け、クロナはのほほんとした笑みを向ける。そこにはわずかに楽しげな色があった。
クロナの手が、あなたの股間をごそごそと這いまわる。あなたの衣服を器用に剥ぎ取り、あっという間にペニスを露出させた。
「う……あ……」
仰向けに寝ながらも天頂を指して雄々しく勃起するペニスを目の当たりにして、アイは頬を真っ赤に染め顔を背けた。しかし、ちらちらと数度ペニスを見直している。
「ほら、勇者ちゃんのこんなになってる♡ アイちゃんが気持ちよくしてあげたら?」
「……確かに、私が先に満足させれば、クロナとそういう行為に発展することはありませんか……いたしかたない」
困ったように深く息を吐いたアイだが、赤く染まる顔にはどこか喜色めく雰囲気がある。
まさか、クロナの言っていた通り本当にむっつりスケベなのだろうか。巨乳に覆われる視界の隙間でアイのその表情を見て、あなたはそんなことを思っていた。
口に出したら絶対にアイは怒ってくるので、もちろん指摘はしなかった。