ミコトの目が覚めた様じゃぞ。ランガにそう伝えられたのは、更に一日が立った時の事だった。
暗に言わんとしていることを、当然あなたは理解していた。しかし、アイ特製の夕食をランガと共に食べている時だったので、何とも返答に困ってしまった。
結局軽く頷くだけでその話題は流されたが、食後の一息をついた頃、あなたは当然ミコト姫の寝室へと向かうことにしたのだ。
板敷の廊下をなぜか音を立てないように歩き、素朴ながらもどことなく絢爛な装飾がほどこされた襖の前にたどり着く。
ここがミコト姫の寝室だ。
襖のくぼみに手をかけ、そこでしばし動きが止まる。
あの戦いの中で、魔王の魔力に酔うミコト姫がついに己の迷いを晴らしたのは記憶に新しい。しかしそれよりもなお生々しく刻まれたのは、魔王ファリシアの乱入だった。
言ってしまえばあの出来事のせいで、正気に戻ったミコト姫とまともに会話もできずに今日へ至ってしまった。正直言って、どういう顔をして会えばいいのか迷うほど妙な状況だ。
その戸惑いがあなたの動きを止めていたが、少し経つと襖の中から凛と鈴を打つような声が響いた。
「勇者様……ですか? どうぞ、お入りください」
ミコト姫も剣理を納める一人の武人。襖越しにあなたの気配を察したのだろう。あなたは覚悟を決めて襖を開けた。
すると簡素な部屋の中、畳に敷かれた布団に横たわるミコト姫が居た。
「このような状態でのお出迎え、申し訳ありません」
あなたは気にしてないと首を振った。目は覚めたようだが、まだ魔王の魔力を使った後遺症により体の疲労は取れていないらしい。
このまま入口で立っているのは何なので、あなたはひとまず部屋の中に入り、彼女の枕元近くに座ることにした。
「……」
会話の糸口を探るような互いの沈黙が訪れる。どう声をかけたものか悩むあなただったが、ミコト姫の方が先に切り出した。
「その……来てもらったのは他でもありません。勇者様に私の呪いを解いてもらおうと……思いました」
横たわりながらこちらを見るミコト姫の顔が、わずかに朱に染まる。
そう、ミコト姫の用とはまずこれだ。すでに迷いが晴れた彼女に、これ以上ファリシアのしもべとなっている理由は無い。
つまり、魔王ファリシアにかけられた呪いをあなたに解いてもらいたいのだ。
そしてそれは性的な行為に及ぶという事を意味する。あなたは魔物娘をセックスで屈服させ、しもべにすることができる。その力は逆に、ファリシアが呪いによってしもべにした者を通常の状態へと戻すことができる、実にツゴウノイイ能力だった。
しかし当然、呪いを解呪するにはセックスが必要不可欠である。誇り高いミコト姫からすると、口にするのはおろか、そういう目的を持って呼び出すことすら羞恥を極めたことだろう。
もちろんあなたも彼女をこのまま魔王の手先にしておくわけにはいかない。こうして同意を得られたのなら、彼女を抱くのは当然の責務となるのだ。
まだ体力を回復しきれてない衰弱したミコト姫を抱くというのは、どことなく背徳感が漂っている。
そのことに対する気後れと妙な魅力を感じつつ、あなたはミコト姫へと手を伸ばした。
その途中で、ミコト姫が制してくる。
「お、お待ちください……いえ、嫌だという訳ではなく……まだ、私にはやるべき事が残っています」
ミコト姫はゆっくりと上体を上げた。それだけで少しふらっとしていたが、彼女は体を覆っていた毛布を押し上げ、ゆっくり立ち上がる。
寝間着らしい薄手の羽織着物の帯を外し、しゅるりと衣擦れを立てた。
「まずは、此度の事を正式に謝罪させていただきます」
ミコト姫はそのまま着物を脱いでいく。羽織着物を脱ぐと、細い肢体が露わとなった。
着物の下にはショーツだけを纏っていて、慎ましい胸は全て露わとなった。つぼみのような膨らみに相応しい乳輪と突端を彩る乳首は小さく、愛いらしさと共に未熟な果実の甘酸っぱさを予感させる。
かろうじて股間を覆うショーツは、着物用の薄い布地の紐下着。ミコト姫は片方の紐をしゅるりと解き、紐下着はひらりと舞い落ちた。
ミコト姫の肢体が余すことなくあなたの目に晒された。なだらかながらもわずかな膨らみがあり、腰はくびれ、股間は産毛一つ生えてない清純な一筋を描いている。
まだ花のつぼみではあるが、咲き誇る花と比べても美しさに劣りは無い。
むしろ武術を納めているがゆえに鍛えられた肉付きが、艶めかしさを引き立てている。
ミコト姫がファリシアにそそのかされた事を心から後悔しているのは、もうあなたにも十分伝わっている。それでも彼女は多くの者に迷惑をかけてしまったことを、何よりもあなたに謝罪したいのだろう。
だが……謝罪する為にどうして裸になるのか。一向に彼女の肢体から目が離せないあなただったが、それだけが疑問で聞いてみる。
「……か、考えたのです。あのような事をしでかした我が身の恥を一切包み隠さず勇者様へ伝え、心の底から反省するにはどうすればいいのかと……」
そして導き出された答えが、裸になって謝ることだったらしい。
「これは覚悟の表れです。勇者様にご迷惑をおかけした我が罪、償うとするならば恥ずかしい姿を晒す以外に他にありましょうか。いいえ、ありません」
断言されてしまった。他にも表現方法はあると思うが、眼福なのであなたは黙っておくことにした。
「で、では、勇者様……」
ミコト姫は緊張した面持ちであなたの前にひざまずく。
目の前に彼女の顔と細い首、艶めかしい鎖骨にわずかな膨らみを主張する胸、やや骨が浮き出る脇腹など、魅力的な光景が広がった。
そのままミコト姫は真剣な表情で、ゆっくりと頭を下げていく。
「このたびは大変申し訳ございませんでした。我が恥と覚悟を共に、勇者様へ謝罪いたします」
両手を畳について深くお辞儀をしたミコト姫。全裸で土下座をした彼女は、そのまま動かなかった。
五秒が経ち、十秒が経ち、更に時を重ねていく。
奇妙ながらも不思議と官能的な時間だった。ミコト姫が肌を全て晒して、あなたの目の前で深く頭を垂れているのだ。
露わになった背中のラインが臀部の割れ目の先端まで続いていて、肉付き薄くとも丸みを帯びる尻もわずかに見える。
普通ならば絶対にありえない、全裸で土下座をするという状況。しかも光景の主役は少女の可憐さを持つミコト姫。無防備でむき出しの彼女の裸体に、あなたは目が離せない。
そのまま一分が過ぎてもミコト姫は顔を上げない。気づけば彼女の肌は朱に染まっていて、小刻みに震えていた。
全裸で謝罪をするというのは、確かにミコト姫からしてかなり覚悟がいる行為なのだろう。無防備なのとはまたある種違う姿を晒している彼女は、強い恥じらいも覚えているはずだ。
そんなミコト姫の心情を察して見れば、この奇妙な時間に強い背徳性が隠れていることにあなたは気づく。
あなたとミコト姫しか存在しない密室の中、一糸纏わぬままあなたにかしずく彼女の姿。
段々と、興奮がわき上がってくる。それに対して気後れなど無かった。ミコト姫は最初から、あなたにそういった気持ちを抱いてもらうためこのような謝罪方法を選んだはずなのだから。
全裸土下座の中に広がる沈黙。それも耳を澄ませば、羞恥に耐えるミコト姫の息づかいが聞こえてくる。
羞恥と罪悪感、そして誰にも見せたことが無い裸体で描く誠心誠意の土下座。それを享受するこの時間は、まるで彼女の全てを支配しているかのようだった。
「……勇者様」
たっぷり数分も頭を下げ続けた彼女は、頭を上げぬままにか細い声を出した。
「魔王の呪いを解くためでもありますが……あなたへの謝罪の一環として、我が体を捧げます」
声は震えていた。覚悟は決めていただろうが、それでも恥というものは隠しようがない。
「どうか……あなたの逞しい物で……わ、私を犯してください。私の全てをあなたに捧げます……あなたの思うがままに、我が体を使ってください」
そこまで言って、ミコト姫は顔を上げる。
まっすぐあなたに顔を見せてはいるが、瞳だけは逃げるように斜め下を見て、震える唇をわずかに噛んでいた。
ここまで言われて、そしてそんな表情を見せられて、断ることなどできるだろうか。
当然あなたはできなかったし、そもそも断る意味などない。ミコト姫を抱きファリシアの呪いから解き放つのは、あなたの責務なのだから。
そのまま彼女を押し倒しそうになって肩を強く掴むあなた。しかしミコト姫は慌ててあなたの手を掴み、遠慮するような声音で言った。
「あの……その……私にとってこれは謝罪の一環ですから、このまま普通に抱かれるというのは、少々納得いきません」
どういうことかと問いかける前に、ミコト姫はそばに落ちていた着物の帯を取った。
彼女はそのまま帯を目に当てて頭を一周させ、後ろで結ぶ。帯で目隠しをしたのだ。
そのまま手探りで先ほど着ていた着物を手にした彼女は、それをあなたに手渡してくる。
「それで私の手を縛ってください。視界も手の自由も奪われたままで、勇者様に乱暴に犯される……そうでもしなければ、私の気は晴れません」
なんだかとんでもない事を言いだしたミコト姫だった。しかし彼女自身本当にそれを望んでいて、しかも期待しているようで、どことなく上気した息を吐きながら手を縛られるのを今か今かと待っている。
先ほどの全裸土下座謝罪の演出もあり、すっかり征服欲というものを煽られたあなたにその申し出を断る理由などない。
羽織着物を軽くねじり、彼女の両手を縛って動きを封じた。
「ああ……本当に縛られてしまいました……もうこれでは私、一切抵抗できません……」
視界も奪われ、身動きも封じられ、ミコト姫は困ったようでいて甘えの混じった声を出す。彼女には似合わない媚びが入り混じったメスの声色だ。
両手は動かないとアピールするように両腕をくねらせつつ、むき出しの生足を擦り合わせて自然と股間に目線が行くようにもしている。
「で、では勇者様……私にお仕置きをしてくださいませ……」
あなたは導かれるようにミコト姫の肩を押し、彼女を布団の上に押し倒した。