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少女を拾った。
この世界にある魔法のことを知りたくてイシュガルで一番だと言う魔法学院の魔導図書館へと侵入し、目ぼしい魔導書をいくつか拝借した帰りだ。
道端に倒れていた少女は迷子か捨て子か、或いは少女は囮で周りに盗賊でも隠れているのかとも思ったが、周りに人の気配は無い。俺は少女…と呼ぶにも幼すぎる女の子を抱き上げてアイリーンのいる家へと帰った。因みにバルゴは渋々だが今は星霊界に帰っている。帰ったらまた直ぐに呼んでやろう。
「ウ…ウェンディ…それが私の…名前…でもそれ以外は、わからない…覚えてない…です」
バルゴに介抱され目を覚ました少女、ウェンディはつまりながらもそう言った。その言葉が真実か否かは確かめる術は無いが、大きいショックがあれば人の記憶とは簡単に変わってしまう物だとどこかで聞いたことがある。各地ではアクノロギアが未だに暴れていると聞く。もしウェンディがアクノロギアなどに滅ぼされた村の生き残りであったのなら記憶を失っているのも分かる。こんな子供なら尚更だろう。
紺色の髪をプルプルと揺らし涙ぐむウェンディを放っておくことは良心とも言い切れない俺の何かが許さなかった。俺に良心どころか人を思いやる心なんて物があるのかどうか分からんがな。
まぁ、無理に思い出す必要もないだろう。
ウェンディは最初の3日ほどは遠慮していたのか一歩引いた態度だったが、一週間が経つ頃には丁寧な言葉遣いはそのままでも、笑顔を見せるようになり、よく話かけてくるようにもなった。
「すごいぞこの子は。付加術の才能は私よりもあるかもしれない…」
とはアイリーンの言葉。どうやらウェンディには付加術の高い才能があるらしくアイリーンが驚いていた。ウキウキとしたオーラを発しながらウェンディに魔法を教えているアイリーンの姿はまるで学校の先生や、それこそ母親のようにも見えた。
そんな感じでアイリーン先生の魔法教室が開かれている中、俺もパクってきた…あ、いや拝借してきた魔導書に読みかかった。年季の入ってる古い本やガチガチに鎖が巻かれている明らかにヤバそうな奴もあるが、好奇心には勝てなかった。
悪魔…エーテリアス…呪法…星霊魔法…と色々なことが書いてあったが、俺がその中でも目につけたのはこの二つだ。
『時のアーク』と『
時間を操る魔法と身体を乗っ取る魔法らしい。世界間を移動できる俺の根源と相性が良さそうで、『接続』の幅が広がりそうな時間系魔法に『接収』はオーフィスやティアマトと融合することができれば人間の体を超えられる可能性を持つ魔法だ。乗っ取るとは言っても直ぐに元には戻れるみたいだしな。
なんなら魔術書に書いてある悪魔とやらを召喚してみるのも面白そうだ。バルゴのような星霊のいる星霊界と同じように悪魔の存在する冥界という場所も存在するらしいし、作者の趣味か悪魔の外見についてもやたらと詳しく書かれていて気になるし。特にこの感覚を操る悪魔と絶対遵守の命令を下す悪魔ってのが気になるな。女の悪魔で官能小説かってぐらい細かく書かれてるし、悪魔というより淫魔みたいな能力持ってるし。
「んっ…ぁん…♡」
やっぱり最初は『時のアーク』かな。時間操作なんて代物な以上、膨大な魔力が必要になるだろうけど、俺にとっては好都合だし。
「んふふ…♡…ちゅ…♡…んん…♡」
俺は魔術書を閉じて、俺の上に座りスリスリと身体を擦り付けていたティアマトの唇を唇で塞いだ。身体中にティアマトの髪が巻き付いてきて密着度を縛り上げるように上げていき、俺の胸板に真正面から押し付けられているティアマトの乳房が形を変える。スベスベの柔肌に前身がぴったりと引っ付き、フルーツのような甘い匂いが鼻腔をくすぐる。
俺の膝の上に座っているからティアマトの股筋がちょうど肉棒に何度も擦られて快感が背筋を登る。脳の半分で記憶した『時のアーク』を解析しつつ残りの半分でティアマトの身体を堪能する。
脳の働きが5分も持たなかったのは言うまでもないだろう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
拠点としている村の家の中にてテーブルを囲むのは俺とアイリーン、バルゴ、そして鮮やかな金髪の美しい女性だ。ウェンディは外でオーフィスや九重たちと遊んでいる。ずっと眺めていたいと思える尊い光景だが、今は置いておこう。
金髪の女性はアンナと言うらしい。アンナはアイリーンに負けず劣らずの魔力量を保有しており、かなりの使い手であることが分かる。
突然、ここに現れた彼女はまず、アクノロギアの話を始めた。あの竜は終戦後も各地で暴れており、俺とアイリーンの居たドラグノフ王国もつい数日前に壊滅したらしい。普通に自業自得だと思うが、それでもアイリーンは少し悲しげな顔をしていた。優しすぎるな。
アンナはアクノロギアを倒す方法を話した。それは星霊の鍵、黄道十二門のカギを使ってエクリプスと呼ばれる時空間を移動できる扉を開き、アクノロギアを時の狭間に閉じ込めるというものであった。アクノロギアを閉じ込めた後は扉を破壊、もしくは封印し二度と開くことがないようにすれば、アクノロギアを倒すことができると。
エクリプスを開くためには膨大な魔力と黄道十二門の鍵が必要不可欠であり、十二のうちの一つ、バルゴの鍵を持つ俺の元に来たらしい。俺は鍵を貸す貸さない以前にバルゴ…星霊に対して何かしらのリスクがあるのかどうかを問うたが、特に問題は無いとのことだ。そもそも人間界で星霊を完全に殺すことはほぼほぼ不可能なのだとか。
俺はバルゴの意思を尊重させることにした。
「私だけ逃げるわけにはいきませんね」
と言ってバルゴはアンナに協力することになった。もちろん鍵の所有権は俺のままだが。
エクリプスは巨大な扉でそれこそドラゴンでも通れるほどの大きさであるが故に動かすことができない。なので、アクノロギア討伐のためには扉のある位置までアクノロギアを誘き寄せなければならない。アンナと星霊全員は扉を開くために動けないため、アクノロギアを誘導し、扉へと押し込める役目は必然的に俺になる。まぁ、オーフィスやティアマトたちを直接使わない場合はね。
最後にアクノロギアが居たとされるのはここからはかなり遠く離れた国なので、誘き寄せるにしてもかなりの時間の余裕があるだろう。なので俺は扉の近くにて『時のアーク』と『接収』を加えた修行をすることにした。オーフィスほどのドラゴンのオーラを持つ俺が本気で修行を続けていたらアクノロギアもいずれ気づいてやってくるだろうし。アクノロギアだって俺のこといずれ殺すって言っていたしな。
そんなこんなで、俺の特訓が始まった。修行をした結果を『接続』で持ってくることもできるが、実際に練習して体感してみたかったので、今回は普通に修行をすることにした。
『時のアーク』はなかなかに面白くて便利な魔法だ。時間を操作できるって言う点で強力だが、俺が注目したいのは時間操作の範囲を自由に指定できると言うところだ。例えば、手に持っているボールを指定し、未来へと時間を動かせば、ボールは壊れ、逆に壊れたボールを過去へと動かせば、綺麗に元に戻る。
早送りと巻き戻しのように手のひらの上で朽ちては直るのを繰り返すボールを見て、思わず笑ってしまう。俺の『接続』は必ず現在の自分を起点としなければならないため、起こった、もしくは起こる可能性のある過去か未来の事象を現在に持ってくることしかできないが(それでも十分チートだが)、この『時のアーク』だと、自由自在に過去と未来を行き来することができる。
まぁ、魔術書にはそんな便利なことは書かれていなくて、広範囲への時間操作は魔力と生命力を枯渇させ、使用者の時間を奪い殺してしまうと書かれているが、魔力が無限に供給され続ける俺にとっては痛くも痒くも無い問題だ。
指定するのもこの世界だけならば、『エタニティ』などの他の世界への影響も無いはずだしな。他の世界の魔法の影響は基本的には無いが、世界間の移動やら時空間の操作などの魔法ならば異世界への影響もあるかもしれないからな。念のためだ。
次は『接収』だ。これは身体を乗っ取る相手に対して魔力やら精神力やらを上回る必要があるが、それは乗っ取る場合だ。お互いが身体の融合を許可した場合はたとえどれだけ力が離れていようと『接収』することはできるのだ。
今俺の身体にはオーフィスとティアマトが『接収』によって融合されている。不快感は欠片も無い。二人ともが身体の所有権全てを俺に預けてくれているので彼女たちの力を俺は存分に使うことができる。無限の魔力すら容易に扱えるようになったことで彼女たちがどれだけ規格外なのかが分かるな。
特に気に入ったこの二つの魔法を習得し、他の魔術書に手を出そうとしたその時、聞き覚えのある雄叫びが耳に届いた。少し離れた位置にいたアンナに合図を送り、無限龍の黒衣と閻魔を携え、声のした方向へと走り出した。
距離にして2、3km程か、岩山に囲まれた荒野にて現れた黒竜を見上げる。
「グオオオオオッッ!!」
以前のように人間の言葉ではなくドラゴンの咆哮でこちらを威嚇するアクノロギア。まさか人間の言葉を忘れてしまったのだろうか。
「貴様か…以前とは違う…さらに濃く混じっているな…」
良かった(?)ちゃんと人語は話せるらしい。濃く混じっている…というのはドラゴンのオーラか。既に接収によって変身しているからだろうな。今の俺は髪は黒くなっており、小さいがティアマトのような角とドラゴンの尻尾が生えている。目元にはヒビのような痣が浮かんでいる。
「はっ!驚くのはまだ早いぜ…!!」
「別に驚いてなどおらんわ」
うるせぇな。
無限龍の黒衣で全身を包み込み、魔力を増幅させる。黒色の魔力が形作られていき、俺の身体に纏わりついてくる。
マントに埋め込まれた宝玉が淡く光り輝き、声を上げた。
『Ouroboros Dragon Balance Breaker!!!』
女性にも男性にも老人にも子供にも聞こえる不思議な声が神器の至る到達点である禁手への産声を上げた。
力が解放され、身体に纏われた魔力が光沢を持つ漆黒の鎧へと変わっていく。それは禍々しい程の棘に包まれた全身鎧。胸の中心には藍色の宝玉が埋め込まれており、マントは翼のような形に変形している。
これが『無限龍の黒衣』の禁手、『無限龍神の鎧』だ。
「ガ…ハァ…ハ、ハハハ!」
身体の内側から溢れ出す無限の魔力が、鎧と握りしめた閻魔に吸収され、それを上回る供給が全能感と共に俺の身体を痛めつける。思わず笑いが溢れ、一秒でも早くこの力を発散してやろうと一歩足を踏み込んでアクノロギアへと襲いかかる。
「オラァ!!!」
「ガァァ!!!」
思い切り突き出した左拳がアクノロギアの腕とぶつかり合う。凄まじい衝撃が音を置き去りにして、遠く離れた地面と空にも衝撃を与えた。振り下ろされる尻尾を閻魔で斬り飛ばす勢いで受け止めるが、切れるのは薄皮一枚のみ、やはり魔力に対して異常な耐性を持っているようだ。
「我に魔法は通じぬ!!」
「わざわざ口に出してんじゃねぇよ!自慢したいのかァ!?」
魔力を推進力のみに利用して、斬撃を食らわせまくる。
「魔竜の剛拳!!」
向かってくる特大の拳を回し蹴りで相殺し、鞭のようにしなる尻尾を閻魔で受け止める。
一度の羽ばたきで空高くまで上昇したアクノロギアの口内に暗黒の閃光が迸る。バチバチと大気を揺らすスパークと共に上昇していったエネルギーが一瞬の静寂の直後放たれた。
「魔竜の咆哮!!!」
容易く人を焼き殺す竜のブレス。それに対しての俺の行動は、正面からの撃滅。翼となったマントを地面に突き刺し固定、頭の中に流れ込んでくるその技を出すために魔力をこれでもかと収束させる。生身のままだと激痛で動けなくなるほどの魔力量でも、今の俺ならば耐えられるし、寧ろ全能感による心地良ささえ感じている。
胸の宝玉が光り輝き、鎧の口部分から絶大な魔力が解き放たれる。
『Infinity Blaster!!!!』
紫色の閃光が放出され、アクノロギアのブレスとぶつかり合う。空気を震わす衝撃が俺とアクノロギアの中間に轟き、周辺の岩や木々を吹き飛ばしていく。
「グムッ…!!」
「オオオオオォ!!!」
俺の放った光線がアクノロギアのブレスを掻き消し、そのままアクノロギアへと向かっていく。しかし、アクノロギアの顔は余裕のままだ。
「馬鹿め!忘れたか!我は全ての魔力を喰らう魔竜ぞ!!」
アクノロギアが大口を開いて、向かってくる光線に食らいついた。ガブガブと飲み干すように俺の魔力を喰らっていくアクノロギア。かかった。ここからはお互い我慢勝負だ。
「ウオオオオオッ!!」
叫びと共に魔力を放ち続ける。初めてと言える限界を超えての魔力放出に無限に供給される魔力がどんどん減っていっては補充されるのを繰り返す。
「グッ…!?」
『Over Break!!』
「俺の魔力は美味いか!?もっとご馳走してやるよ!!」
『Over Break!Over Break!Over Break! Over Break!Over Break!Over Break!』
連続する限界突破の音声に合わせて、光線の威力が上がっていく。これが『無限龍神の鎧』の特殊能力である『あらゆる力の限界値を無くす』という力。言ってしまえば無限に強くなれるということ。アクノロギアはたしかに強い。一つの世界において最強とも言えるレベルだろうが、俺にはアクノロギアに対して大きく勝っている点が一つある。
「グオオッ!?」
それが魔力量だ。そりゃそうだ。なんて言ったって無限なんだからな。だが、魔力量が無限なのと肉体の強さはイコールでは無い。現在の俺は性行によって魔力を何度も吐き出したり、『接収』やら『閻魔』やら『神器』やらで抑え込めることができているが、無限の力なんてものは本来一つの生命が持ち得るものでは無いのだ。
『Over Break!Over Break!Over Break Over !Break!Over Break!Over Break! Over Break!Over Break!Over Break Over !Break!Over Break!Over Break!』
「ゴッ…ォォォオオオオオ…!!?」
無限に続く魔力光線が徐々にアクノロギアを後退させる。その後退に合わせて俺も一歩ずつゆっくりと足を進め、アクノロギアを奥へ奥へと押し込んでいく。
「どうしたぁ!?苦しかったら逃げてもいいんだぜ!」
「グオォォォ!!」
ジリジリとアクノロギアを追い詰め、魔法で隠したエクリプスの直前へと辿り着いた。
地面にあるエクリプスにぶつけるために翼を広げてアクノロギアより上に飛ぶ。出力を上げて打ち墜とそうとするが、流石に粘るので、アクノロギアに対して『接続』を行使し、手札を殺していく。俺の魔力砲を捕食するというある意味で魔力が繋がっている今だからこそできる力技だが。
「横槍で悪いが、混ぜてもらうぞ!!」
突然の乱入者がアクノロギアに襲いかかった。荒々しい炎のような赤色のドラゴンだ。いや、他にもいる。
「また貴様は一人で突っ走りおってからに!」
「私たちも続きますよ!」
「まさか卑怯とは言うまいな、アクノロギア!」
「今日ここで終わらせてやる!!」
鉄のような光沢を放つドラゴン、優しくも激しくもある風のようなドラゴン、光輝く白いドラゴン、影のように揺らめく黒いドラゴンと赤いドラゴンを合わせると計五体ものドラゴンが姿を現し、次々とアクノロギアに攻撃を加えていく。
「グオアアァァァ!!?」
鉄竜の斬撃が、天竜の翼撃が、白竜と影竜の咆哮が、そして、炎竜の撃鉄がアクノロギアを地へと叩き落とした。
その先にあるのは、魔法が解け姿を現したエクリプス。アンナは俺が叫ぶ前に両手に鍵を持ってエクリプスの鍵を開いていた。
「フザケルナアァァァ!!全ての竜を滅するまで、我は…!!」
アクノロギアの半身がエクリプスの中にある時空間へと飲み込まれ、アクノロギアが咆哮する。そして、俺の中にあったアクノロギアの可能性の糸が増えた。弱ったアクノロギアに対して『接続』により倒せる未来が生まれ、魔法を行使しながら、アクノロギアの顔面へと拳を振り下ろした。
「永遠に引きこもってな。そこに竜はお前だけだ。全ての竜を殺したいなら大人しく自殺すれば楽だぜ」
アクノロギアを殴り飛ばす瞬間に『接続』し、アクノロギアが倒された未来を現在に固定する。
「ゴアアアアァァァ!!!??」
ボロボロと鱗が剥がれ、血を流す満身創痍の姿に変わったアクノロギアがエクリプスへと隠れていき、その姿は完全に見えなくなった。扉の閉まった轟音の後には嫌なほどの静寂が流れ、魔力を吸収してしまうエクリプスを魔力を介さない打撃のみで破壊した。
『接続』により、永遠に瀕死となった上に出口の無い時空間に閉じ込められたアクノロギアがもう現れることはないだろう。奴が時自体を魔力として捕食することができても、肉体の滅びたあいつは捕食どころか動くことすらできない。ただ自我が消滅するまで永遠に時空間を漂うだけだ。
禁手を解き、同時に接収から剥がれたティアマトとオーフィスに抱きつかれながら、俺は性行とは違う高揚感に包まれた。
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その後のことを話していこうか。現れたあの五体のドラゴンのことだが、特に興味もないので詳しくは話さないぞ。あのドラゴンたちがオーフィスのように実は美少女の人間体になれるとかなら話は別だが、そんなことも無かったしな。あの五体のドラゴンはアクノロギアを倒すために集まった竜たちで、今はアクノロギアによって破壊された近くにあった村の修繕に力を貸しているのだとか。破壊されたとは言っても、途中で俺に目標を変えたからなのか、家などが破壊されただけで、死者は一人もいなかったらしい。
話す前は彼らが、戦争相手だった西国の竜のように人間に敵意を持つ竜なのかどうか分からなかったが、杞憂だったようだ。リーダーっぽい雰囲気を持つ赤いドラゴンなんかは村にいた黒髪と桜色の髪をした兄弟を気に入ったのか、まるで息子のように可愛がっている。
しかもそれを見ている他の四体のドラゴンがなんか羨ましそうにしているし、そこらの子供攫って自分の子にしそうでなんか怖い。
ま、それはさておき俺らのことだ。アンナからバルゴの鍵を返してもらい、謝礼として魔導書や魔道具やらを貰った俺はアイリーンとウェンディと共にいた。
俺は二人を連れて、『時のアーク』と『接続』を使い、未来へと移動しようと考えていた。理由はいくつかある。まず、この世界の現在が原始的ほどではないが、あまり文明レベルの高くない時代だったことだ。中世風より古いレベルだ。現代の感覚が強い俺にとってはあまり楽しめないという点。他にはアイリーンのことだ。妊娠している彼女に万一のことを考えると、もっとレベルの発達している未来に行きたいところだ。『エタニティ』に戻る、という選択肢もあるが、まだ小さいウェンディや産まれてくる赤ん坊にはしっかりと考えられる年齢までこの世界で成長してくれた方がいいに決まってるしな。
アイリーンもアイリーンを母親のように慕うウェンディも了承してくれたので俺はアンナやドラゴンたちに別れを告げて、未来へと移動した。