「ほら士道、この私がせっかくここまでしてあげているんだから、しっかりしなさいよ」
そう言いつつ、琴里は士道に覆いかぶさり、その首筋をぺろりと舐めた。その顔には加虐の笑みが浮かんでおり、この状況を心から楽しんであろうことが伺える。
「そんな……こと……言われても……」
対する士道の表情は、悔し気な、恥ずかしげな、そんな表情であった。少なくともこの状況を楽しんでいるとは思えない。だが、その表情とは裏腹に士道の陰茎は激しく勃起し、上に覆いかぶさる琴里の制服のスカートを持ち上げている。
「ほら士道、いいからしごきなさい。安心しなさい士道、わたしが最後まで見届けてあげるから」
その言葉に、ゆっくりではあるが士道の手、自分自身のペニスを握った手が上下に動き始める。これは、そう、自慰行為、オナニーであった。
「士道、特訓よ」
事の始まりは愛すべき妹にして、現在の士道の上司といってもいい存在である琴里の、そんな言葉であった。
「特訓って、訓練なら毎日のようにやってるだろ?こないだPCにインストールされた変なゲームだって終わってないし」
ソファに座ったままそう返事する士道、彼の手には携帯ゲームが握られており、そこにもギャルゲーらしき画面が映し出されている。琴里が「訓練が足りない」などといって士道に持たせたものだ。
「ヘンとは失礼ね」
琴里は座っている士道を見下ろし、ふんっ、とその髪を結んだ黒いリボンを揺らしながら鼻を鳴らす。彼女が身に纏う、丈をこれでもかと短くした制服のスカートから、チラリと下着が見えるが、士道はなるべくそれを目にしないように視線を上、琴里の顔へと向けて言葉を続ける。
「いやだって変だろ。なんだよこのゲーム、デッド・オア・オリガミって。いくらなんでも折紙から逃げ切るか死ぬかって極端すぎるぞ」
「あら、ちゃんとハッピーエンドも用意してあるじゃない。それまで辿り着くことができないだなんて、士道はまだまだ乙女心がわかっていないわね」
「ほんとうにあるのかよ、ハッピーエンドなんて...というか世に出たら確実にクソゲー扱いの代物だぞ、これ」
琴里は失礼ね、と言い、再びこう言った。
「士道、特訓よ」
その言葉に士道は両手を上げて降参の意を示す。
「わかった、わかった、それで、俺は何をすればいいんだ?」
「士道、あなたにはもう少し、女の子とのスキンシップに慣れてもらうわ」
その言葉に士道は嫌な予感を隠せなかったが、仕方なく聞き返す。
「スキンシップって、じゃあ実際どういう訓練をするんだよ」
「それは……」
と、そこで琴里が珍しく言いよどむ。士道は頭の上にクエスチョンマークを浮かべつつ、尋ねる。
「それは?」
「そ…それは……」
更に顔を赤くし、俯いた琴里に士道は訝しげな表情を浮かべる。
「……?」
「お……」
「お……?」
「オナニーよっ!」
琴里は家中に響き渡るような声で、そう宣言した。
「お……おな……って、琴里、そんな言葉いつの間に覚えたんだ!」
「い、いいじゃない何時だって!そんなことよりも士道の特訓、特訓よ!あんたは女の子に対して免疫無さ過ぎだから、ちょっとわたしの目の前でオナニーでもして度胸をつけなさい!司令命令よ!」
「いくらなんでもそんあんことできるか!」
「ふーん、じゃあ士道は全裸で拘束されて、それを十香に見られる方がいいって言うのね?」
「へ?」
「令音、聞こえてる?士道の特訓プランをプランBに変更、今すぐ準備に取り掛かって頂戴」
琴里は、耳に手を当て、そんな恐ろしい発言をする。
「まてまてまてまて!ちょっと待ってくれ!」
慌ててそれに割り込む士道であるが、琴里は冷たい目で士道を睨みつけ、
「あら何よ士道、士道は私にオナニーを見られるよりも十香とアブノーマルなプレイをするほうがいいんでしょ?」
「誰もそんなことは言ってないだろ!というかなんで十香が出てくるんだ」
その言葉に琴里は士道から目をそらし、汗を浮かべながら応える。
「それは……令音が、そうすれば度胸がつくからって……」
「じゃ、じゃあ最初のおな…オナニーがどうたらっていうのは?」
「それは…ソッチのほうが効果があるかなって……」
「…………」
「…………」
居間に沈黙が満ちる。
そしてその沈黙を破ったのは士道がはぁ、と息を吐き出す音であり、
「じゃあ、それは必要なことなんだな?」
「え、ええ。今後の精霊攻略のためにも必要なことよ」
「わかった、わかったよ。やるさ、精霊たちを救うためなら」
「や、やけに物分かりがいいじゃない」
「仕方がないだろ、司令官殿にそんな風に命令されたらな。…というかこれ、一種のパワハラだぞ」
「いいから、士道はさっさと服を脱ぎなさい!」
そう言いながら繰り出された琴里のキックにより、士道はソファの上に転がされたのであった。