「ミスティアさん入られまーす」
鳥獣伎楽といえば、今や幻想郷で押しも押されもせぬ音楽ユニットだ。人気もうなぎ登りで、屋台より忙しいくらいだ。
最近は特に、ピンでの営業が増えていた。今日のライブもそうだ。里の中央に建てられた講堂にて、可愛げな衣装を纏い、ステージ上で歌って踊る。アイドルなる興行形態だった。
夜雀としては、歌を聴いてもらえるならウェルカムだ。だから、基本的には喜ばしい変化だった。
「さて……」
割り当てられた楽屋にて、一息つく。ソファに身体を預けた。だいぶ早く来たので、公演開始まで暇を持て余しそうだ。時間を間違えたわけではない。彼女の予想が正しければ、なんだかんだでちょうど良くなるはずだった。
「やあミスティアちゃん。今日も可愛いねぇ」
「……そりゃどうも」
ノックすることもなく、扉が開かれる。結構な無礼だ。お世辞への返事は当然、ぶっきらぼうになる。
現れたのは、「基本的には喜ばしい変化」の、例外のほうだった。でっぷりとした中年男だ。背丈はミスティアより多少ある程度で、男としては小さい部類だ。
心許ない頭髪を、横に流して誤魔化している。頬肉は弛んでおり、首は見えない。たいして気温も高くないのに、団子鼻には汗が浮かんでいる。たらこ唇が特徴的な、わかりやすい醜男だった。
「客席、見たかい? 今日も大入りだよ。いやぁ、ミスティアちゃんの可愛さのおかげだよねぇ?」
男はミスティアのすぐ真横に腰を下ろした。ずっしりした体重を受け止め、ソファが沈み込む。馴れ馴れしく、肩に手を回してくる。頬を舐め回すくらい、顔を近づけてきた。快いわけもない。身体を離し、逃れようとする。させじと、ぐいぐい引き寄せてきた。
露骨なセクハラだ。そうした倫理観があまり発達していない幻想郷においても、訴えれば勝てる勢いだ。しかし同時に、あまり強く拒めない理由もあった。
「……それより、どういうこと? こんなの出回らせて」
懐から一枚の写真を取り出す。被写体はミスティア自身だ。
着替えている最中の姿だった。明らかに盗撮だ。際どいところはぎりぎり映っていないが、倫理的には明確にまずい。
一枚だけなら、持っていた者の犯行といえるだろう。が、複数の人間から、同じ品が回収できていた。明らかに、誰かが流している。やるとしたらコイツ以外にありえない。
「おやぁ、何のことやら……そんなものが売られてるのかい? 有名税ってところかね」
「しらばっくれるんじゃないわよ」
そもそも幻想郷において、写真の流通はほぼ皆無だ。少し前まで天狗や河童が技術を独占していたし、カメラは未だに馬鹿高い。
それをこうして、ブロマイドなる商品として流そうとするのは、ただの里人にはない発想だ。となれば、目の前の男が容疑者として一番怪しかった。
「バレたか。まあでも、これも広報活動の一環だよ。庭石の裏の虫けらと同じで、わざわざほじらなきゃ出て来ないんだから、見なかったフリしておいてもらえると助かるね」
「最低すぎるでしょ」
「ははは……だいたい、こんなの、君の本性を考えればからすれば全然大したことじゃないだろう? ええ? 淫乱おまんこ妖怪のミスティア・ローレライちゃん」
「……!」
顔が紅く染まる。怒りによって。そして、今まで何をされてきたか思い出したがゆえに。
男は外の世界の出身だ。芸能プロデューサーなる、まったく耳慣れない仕事をしていたらしい。ミスティアちゃんみたいな女の子を素敵に輝かせてあげるお仕事だよ――とは、本人の談だ。
胡散臭い醜男ながら、優秀ではあった。実際、アイドルとしての営業が急増したのは、ほとんど彼のあげた手柄だった。いわば恩人にあたる。
それでも、ミスティアは彼を嫌っている。プロデューサーという職種についても、女を食い物にするヤクザじみた職業だと認識していた。なにせ、給料代わりとの名目で、凌辱されていたがゆえに。
いくら有名になって、より多くの人に歌を聴いてもらえるからといって、手段は選ぶ。貞操を捧げるなど、冗談ではないと思っていた。そんな反抗心も、最近は萎えつつある。徹底して犯され、貫かれ、ほじくられてきた成果だった。
どれだけ嫌だと思っていようと、繰り返されれば身体が陥落する。身体と心は表裏一体であり、片方が堕ちれば、もう片方も引っ張られるのは道理だった。
「はは。今何を考えたのかな? んん?」
「……」
「だんまりは寂しいな。仕方ないから、カラダに聞くとしようか。幸い、時間もあることだからね」
言って、男は立ち上がった。彼女へ向き直ると、おもむろに下衣をずり下げる。己の一物を露出させる。
彼は不細工だ。が、性器の造形は、文句のつけようもないエリートだった。露わになったのは、見るからにえげつない、性的強者の業物ペニスだった。
全長にして全長二〇センチを優に超え、赤子の腕ほども太い。亀頭は握りこぶしと見紛うほどで、ぷりぷりとした赤黒い肉の塊が力強く張り出している。カリ首は石膏彫刻のごとき、ソリッドな切れ込みをもって刻まれている。
肉幹はブーメランよろしく反り返っている。メラニンが沈着し、暗紫紅色に染まっていた。いわゆる淫水焼け、何十もの女をほじくり返し、食い物にしてきた勲章だ。埋め込まれた真珠がボコボコと瘤を作り、血管がぐねぐねと這い回ることで、グロテスクさに拍車をかけている。
中年のギラついた欲望を具現化したかのごとき、凶悪なるフォルムだった。どんな清らかな乙女でも、一目見れば畏敬を覚え屈服し、股を開かずにいられない。
「っ、は」
ミスティアも例外ではない。何度も穿たれ、喘がされる中で刷り込まれた、牝としての悦びをまざまざと思い出す。見ているだけで、きゅん、きゅんと腹の奥が疼く。生唾を呑み込む。やけに喉が乾いていた。
アレに、女にされた。弱いところをゴリゴリと擦られ、抉られて、性技を教え込まれた。発情しはじめた肉体に、もう元の自分には戻れないのだと自覚させられる。
「そんな……汚いモノ。見せないでほしいんだけど」
それでも、理性は強固だった。憎まれ口を吐き捨てる。ただし、目はちらちらとソレを見ていた。口調にしたって、先ほどまでの嫌悪はかなり薄れている。
「本当にそう思ってるのかな? んん?」
下半身を晒したまま、男はにじり寄ってくる。ペニスが近づいてくる。距離に反比例して、胸の高鳴りは強くなっていく。
「は……」
傲岸不遜に天を衝く肉竿が、腹のあたりに押し当てられる。きゅぅんと、子宮が疼く。受け入れたいと、肉欲が訴え始める。到底抗いがたい、本能の叫びだった。
――どのみち、彼には歌手としての人気を人質にとられている。逆らえなどしないのだから、諦めるしかない。
「やめてよ。誰か来たら、どうするの」
やめてほしいと思っているふうには、とても感じられない声色だった。視線はソレへと釘付けになっている。
「なあに、鍵はちゃんとかけてるから、誰も入ってこれないさ」
懸念が一つ消えたぞ、もう何も心配はないだろうと、本能が理性を納得させていく。
「……触るだけだからね」
「もちろん。まあミスティアちゃんが、触るだけで満足できるならだけどね」
強要されたので仕方なくやっているというスタンスを、あくまで崩さない。本人はそのつもりだった。たいがい大根演技だったが、わざわざ指摘するほど男も野暮ではない。
マイクを握り、客と握手するための指を男根へと伸ばす。誰にはばかることもなくいきり立つ逸物に、おそるおそる触れる。
「アッ……」
数え切れないほど触ってなお驚かされるほど、熱く硬い。どくっ、どくっと生々しく力強く脈動して、まるで噴火寸前の活火山だ。とても人体のいち器官だとは思えなかった。
自分を犯したいと思っているのだ。小さく息を飲んだ。恐怖してしかるべき場面で、思わず子宮を熱く潤ませる。
他人のシモなど、触れていて楽しくはない。なにより、「推し」がこんなことをしていると知れば、ファンはきっと幻滅するだろう。だというのに、手はネオジム磁石よろしく張り付いていた。牝の本能が、求めてやまないのだ。意思の力では、とうてい引き剥がせない。
「こんなところで、硬くしすぎでしょ、節操なし」
内心の動揺を押し殺しながら、挑発的に言い捨てる。節操なしはどちらかと、心のニヒルな部分が反論した。
指を、ゆっくり上下させていく。力強く自己主張する肉竿を、根元から先端にかけて扱き上げていく。可愛げな掌を、男根奉仕のため捧げていく。緩急をきかせた、大胆な手淫だった。
なんてことをしているのか。己のうちのまともな部分が、自らを非常識と罵る。それでも、やめられない。竿部に埋め込まれた真珠の、ぼこぼこした形状を感じるたび、腹の奥が切なく疼いていた。
「おっ、おぉ。うん、ミスティアちゃんもずいぶんと、ご奉仕が上手になってきたねぇ?」
掌で亀頭を包み込み、ぐりぐりと撫で回す。親指と人差し指の輪っかで幹を扱きつつ、精子タンクの柔玉を残る三指で転がす。手つきは的確で、とても素人とは思えない。性豪たる彼が満足できるよう、仕込まれてきたテクニックだ。半端なわけもない。
「ほら、口を開くんだ」
「はいはい……んむぅうっ」
男の顔が近づいてくる。見つめていてもまったく心躍らない、どちらかといえば嫌な気分にさせる面構えだ。にもかかわらず、恋しているかのごときときめきを感じる。
「んむちゅぅううッ、ぢゅるッ、れろろッ、ぢゅるぅ」
「んっ、ふ、んぅうっ。んちゅっ……んっ、ふ、んく」
唇を奪われる。もちろん、触れあわせて終わりなわけもない。舌をねじ込むディープキスだ。ぢゅるぢゅると、唾の音が室内に反響する。ねっとりしたキッスノイズをあげて、舌を絡ませあう。
そう、絡ませあっていた。男からの一方的な行為ではない。ミスティアもまた、男の愛撫にあわせて舌を動かし、ヌルヌルと粘膜を擦り合わせていた。
「ンッ、ふ、んぅッ、んっ、んぅうん……」
ヤニとアルコールの香り漂う口腔に奉仕する。唾液を送られ、送り返す。小さな喉が鳴っていた。
アイドルは皆のものだ。が、今だけは間違いなく、目の前の男に占有されていた。幻想郷いちの美声を紡ぐリップを、猥褻口交のために捧げていた。嫌々でないのは、時折漏れる甘い声から明らかだった。
百年来の恋人のごときベーゼの間も、手淫は続いていた。手つきはいっそう、情熱的になってすらいた。手首をスナップさせ、フォルムの雄々しさを掌でもって賞賛する。媚びた、卑猥な手つきだった。そこだけ切り取って見れば、娼婦と間違ってもおかしくない。
鈴口から先走りが滲んでおり、ヌルついた感触を伝えてくる。他人の体液だ。が、ミスティアは積極的に指先で掬い上げる。忌避感はなかった。むしろ愛しげな指使いだった。
「ぶはぁッ。おッ、おおッ、ぉお」
粘つく汁を亀頭全体に塗り広げ、ヌルヌルと摩擦していく。敏感極まる先端への、集中的な愛撫だ。流石の男も堪えかねたか、口を離し、唸る。こちらを見つめる目には、この生意気女めと言わんばかりの、凶悪な嗜虐心が燃えていた。
「ぉおッ、上ってきた上ってきた……いやしかし、このままだと服にかけてしまいそうだな。このあとステージに上がるのに、それは困るんじゃないかい?」
「……やめてよ。着替え無いんだから」
「そうは言ってもねぇ。やめろと言われて止められないのは、ミスティアちゃんもよぉく分かってるだろう?」
なんせ散々出してやったんだからなと、暗に視線は告げている。価値観をピンクに塗りつぶすほどの性快楽が、まざまざと思い出される。じりじりとこみ上げる恍惚に、何も言えなくなってしまう。
「なに、このままなら服を汚してしまうってだけだろう? なら、汚れないように射精すればいいわけだ。たとえば、口の中とかねぇ?」
「……は」
フェラチオしろと命令するのに、どれほど文字数を使うのか。噴飯モノだった。なんて回りくどくて間抜けな理屈だろう。
なのに、切って捨てられなかった。今まさに掌の中で燃え上がる肉槍を、口腔に迎え入れる――想像しただけで、粘つく唾液が分泌される。ごくりと、喉が鳴った。
気付けば、男のもとに跪いていた。ちょうど目の前に、大業物がくる形だ。
間近で見るに、バカバカしいほど立派だった。抜き身の刀を思わせる反り返った形状は、コレが排泄器官ではなく、女を堕とすための凶器なのだと伝えてくる。
股に穴が開いている以上、見つめているだけでも否応なく惹き寄せられてしまう。まして、咥えるなどもっての他だ。けれどもミスティアは、どんどん顔を近づけていく。
むわぁ……と、雄フェロモンが鼻孔をくすぐる。気管を通じて肺まで届き、体内から興奮させていく。どんな催淫アロマより、よほど強烈だった。頬は紅潮しきり、幻想郷の男なら誰もが憧れる愛顔の色香を増さしめている。
「っ……んちゅぅっ」
艶めくリップを、肉棒の先端に押しつける。亀頭へのキッスは、フェラチオを始める際の作法。男によって刷り込まれた、セックスにおけるマナーのひとつだった。
「んく、むちゅっ、ちゅむッ、んちゅぅ、ちゅちゅっ、んちゅぅ」
何度も、口づけを繰り返す。濃厚なリップノイズをたてながら、素敵な歌を届けるための唇を、下品行為のために使う。
「ははは。ファンが悲しむぞぉ? そんなことばっかりしてると」
「あッ……は」
肉竿で、頬をぺちぺちと叩かれる。激怒したって許される、屈辱的な扱いだが、喉から漏れるのは、恍惚の吐息だ。口元はわずかに吊り上がっていた。笑みを形作っている。
まったくこいつは、女の子に対してなんてことをするのか――否、してくれるのか。仕返しに、色々してやらねばならない。
「えぁあっ」
鳥獣伎楽として、あるいはソロ活動で名が広まるにつれて、普段の行動にも気を遣いはじめた。テーブルマナーなどは最たるものだ。知り合いの宵闇妖怪のように、大口を開けて獲物にかぶりつく姿など、誰にも見せられない。
そんな彼女が、顎が外れそうなほどあんぐりと口を開いていた。そうでもしなければ、女殺しの大業物の鞘となるのは到底無理だった。
「あむぅっ」
次の瞬間、ぱくりと咥え込んだ。幻想郷中に美声を届けるべき口を、下卑た中年の生魔羅に奉じたのだ。
「んくうううぅッ……」
途端、呻き声が漏れる。いや呻き声ではない。これは、恍惚の溜息だ。
口内に広がるのは独特の臭みだ。慣れれば好ましく感じられたりもしない。ただただ生理的な嫌悪感を催す、蛋白質とアンモニアの臭いだった。
けれども、ミスティアの瞳はうっとりと蕩ける。臭気や味は、今まで与えられてきた快楽と強烈に結びついていた。パブロフの犬と同じ、脊髄反射だった。
「んちゅッ、くぷッ、んふぅっ、ぢゅる、んぅッ、ふ」
頭を前後させていく。くぽっ、くぽっと、静かな室内に空気の抜ける猥褻音が響く。応援してくれるファンのための唇を、たったひとりの性欲処理に捧げる。歌姫としての口腔を、男根奉仕に使う。
「おいおい、仮にもアイドルがそんな顔しちゃダメだろう」
「んぅう……っ」
ぢゅうぢゅうと吸い付き、内圧をかけながら肉幹を扱き上げていく。ひょっとこじみた顔は、男の言うとおり、アイドルとして決して見せてはならないものだ。
誰がやらせてるんだと、抗議の声を喉から漏らす。少なくとも本人的には、抗議の声だ。客観的には、もっと罵って欲しいと言っているようにしか聞こえないが。
「ぢゅる、れろッ、んれろれろっ、ちゅるぅッ、んむちゅ、れろろろっ」
「おほッ、おぉ、そうそう。裏筋のトコだ……」
雀はそもそも、性奉仕を得意とする生き物だ。口淫が上手すぎて危険だからと舌を切られてしまった逸話は、舌切り雀として今でも知られている。
ミスティアとて例外ではなかった。ボイストレーニングによって鍛えられた肉厚な舌が、口内で縦横無尽に踊る。張り詰めた幹をヌルヌルと舐め回したかと思いきや、裏筋や鈴口を舌先で責め立てる。情熱的で媚びながらもどこかサディスティックな、極上奉仕だった。
男はウムムと唸りながら、娼館でいくら積んでも受けられないサービスに酔いしれる。浸っているのは、ミスティアもだった。浮かんだ表情は、要求されて嫌々という風にはまったく見えなかった。
屋台で飲食業を営んでいるだけあって、舌も鼻も鋭い。味覚・嗅覚を満たす雄の味に、彼女の中の雌はすっかり発情しきっていた。思わず、はしたない部位へ指を伸ばすほどに。
「ンッ――」
スカートの内側へと、白い手が潜り込む。ショーツはすでに湿り気を帯びていた――控えめな表現をするなら。水分を吸って、じっとりと重さを増していた。
クロッチをわずかにずらして、恥丘を露出させる。秘むべき裂け目が空気に触れ、ひんやりする。
「ふ、んむぅっ、んふ、んぅうん」
ヤツメウナギを捌いて鍛えた器用な指先で、淫裂を擦り上げる。ぬちっくちっと、小さく蜜の音が鳴る。皮膚を触れただけでは、決して聞こえぬ音がだ。
「んぅ……! ふ、くぅッ、んぅうんっ」
その程度の性感では、満足できなかった。人差し指と中指を、悦びの洞窟に忍び込ませる。きゅんきゅんと収縮する膣壁を擦れば、腹の底から官能がこみ上げてくる。
我慢できず、親指でクリトリスに触れる。女性最大の弱点のひとつを、自ら嬲る。走った電気的刺激に、喉の奥から熱い声が溢れた。
「くくくっ、いやはや、本当にいやらしい。チンポ舐めて大興奮とはね? ああでも、困るんだよね。あんまりスケベすぎるとイメージ戦略にも影響するからさ。ちょっと矯正、しないとねぇ!」
「んっグッ……!」
腰を突き出してくる。喉奥あたりにまで亀頭が至り、軽くえずく。
指を突っ込むのと同じで、一般的にいって快くはない。が、調教を施された肉体はマゾヒスティックな性感を見出した。キュンッ、キュンッと、肉穴がよがっている。ロートーンを出すときのように喉を開き、雄を受け入れていく。
まるで矯正になっていない。逆効果ですらあった。実際彼にも、彼女をまともな女に戻すつもりなど欠片もないに違いなかった。
「んふっ……!」
口の中で、肉棒が膨らんでいくのが分かる。何の兆候であるか、アイドルとなる前の彼女なら分からなかったろう。今は知っている。それはもう、たいへんよく知っている。
つまり、射精が近いのだ。
「んぢゅるぅッ、んふぅ、くぷっ、んんぅうっ」
精を受け止める女の作法についても、重々承知していた。ちゅうっ、ちゅうっと吸い付きながらしゃぶりたて、気持ちよく放精いただけるよう努める。舌先は鈴口を集中的に責めていた。どうぞいらっしゃいと、招いているのだ。
「ぉおッ、おゥ、出るッ、ぉ、おおおおおッ……!」
「んふぅううッ……!」
膨れあがった陰嚢が、一気に収縮する。口内で、魔羅が弾けた。どくッどくッと力強く脈打ち、遺伝子を解き放っていく。可愛らしいアイドルの口腔を、下卑た欲望で汚染していく。
「ンッ、ふ、ぢゅるぅッ、ぢゅるるッ、んれろぉっ」
熱く粘っこい濁液は、えげつないほどの雄臭をぷんぷんとまき散らしている。わずかにでも呼吸すれば、肺いっぱいに臭気が満ちるほどだ。今のミスティアには効果てきめんだった。
だらしない雌の顔をさらしながら、射精まっ最中な肉棒に吸い付いてはぺろぺろと舐め回す。精虫一匹でも多く、注いでいただくために。
「ふぅ、出した出した」
「んぽぉッ……」
やがて、男根の脈動は鎮まっていく。鍛え上げた鋼かと思うほど硬かった竿が、半勃ちの状態となっていくぶん柔らかくなる。
腰が引かれ、亀頭が口腔から引き抜ける。最後までちゅうちゅうと吸い上げていた唇が、コルク栓の抜けるような音をたてる。命じられたから仕方なくというふうには、とても思えぬ熱心さだった。
「ほら、見せてごらん」
顔を上向け、男と視線を交わす。発情しきった猥褻顔へ目が注がれている。とはいえ、見せろといわれたのは顔そのものではない。口を開き、口腔粘膜を晒す。
白く輝く綺麗に並んだ歯、艶めく粘膜に、ピンクの舌。全てがスペルマに汚れていた。呼気は猛烈な雄臭をまとっている。
里の連中が憧れてやまぬ少女の口を、自分の遺伝子で汚してやった――男の目は、下卑きった優越感を浮かべていた。
歯医者かというほど、隅々まで覗いてくる。いい加減羞恥を覚え始めた頃になって、彼はようやく頷いた。
口を閉じる。たっぷり溜まった濁り汁を、ゆっくりと嚥下していく。
簡単ではない。どこまでもギトギトした中年男の欲望は、ヘドロのごとく粘っこく、喉に絡みついてくる。無味無臭だったら、餅と勘違いしてもおかしくないほどに。喉に詰まらせぬよう、注意して飲み下す。イガイガと刺してくる、最悪なのに素敵な喉越しだった。
体積としては、たかだか十ミリリットルもない。にもかかわらず、胃袋がずっしりと重たくなっていく。自分が何を摂取したか、思い知らせてくる。
「えぁ」
一分ほどもかけて、やっと飲み終える。再び、彼に口内を見せつける。粘膜に絡みついていた白濁は、もうどこにも姿を見せない。
はぁ、と吐息が漏れる。隠しきれぬスペルマ臭を纏っていた。アイドルが絶対に漂わせてはならない臭気だった。
「立ちなさい」
「はい」
言われるまま、従う。憎まれ口はなしだ。逞しき肉棒への奉仕が、反骨心をそぎ落としていた。
「まったく、この後ライブだっていうのに、オナニーなんてして。下着が汚れたんじゃないか?」
自分が何をさせたか、すっかり棚に上げた詰問口調だ。とはいえ、完全な言いがかりともいえない。実際、彼女のショーツは体内から分泌された雌汁を吸って、ぐっしょりと濡れそぼっていた。近づけば、雌の香りが漂ってくるほどに。
「預かって、綺麗にしておいてあげよう。さあ、渡すんだ」
女性に対しその場で下着を脱げとは、セクハラでは済まされない。が、抗議しようとは思わなかった。胃へと注ぎ込まれた濃厚スペルマが、反抗を許さなかった。
スカートの内へ手を差し込む。ゆっくりと、ショーツを下ろしていく。守るものを喪った秘部は、心細いと訴えてヒクついている。外気に触れるひんやりした感覚で、ぞくりと身体が震える。
レッグホールから左足を、次いで右足を引き抜く。掌に握られたのは、小さな布きれだ。見た目に似合わぬ重さなのは、握れば汁が滲むほど水分を含んでいるからだ。むせかえる雌の香りを、むわむわと漂わせていた。
「……どうぞ」
「どれどれ……おお、なんて雌臭い。アイドルがこんな匂いさせてちゃダメでしょ」
目の前でしげしげと眺められ、さらには嗅がれる。羞恥に、頬が染まる。
「ああでも、本当に脱いだのか確認が必要だな。証拠を見せてくれるかい」
「証拠?」
「たくし上げて見せるんだよ」
当たり前だろう? とでも言わんばかりの口調だった。証拠もへったくれも、今目の前で脱いだではないか――とは言わない。散々仕込まれた服従心は、いいように弄ばれて、マゾヒスト的な快感を覚えていた。
スカートの裾を摘まみ上げる。ゆっくりと、持ち上げていく。
屋台の営業、ライブでのパフォーマンス。女将もアイドルも、脚を使う仕事だ。だからか、あるいは生来か、相応に筋肉が発達している。内転筋・大腿四頭筋・大腿二頭筋が脂を纏って形成される太腿は、実にむちむちと肉付いている。あどけない、可愛らしさを残した顔立ちとは、良い意味でのギャップがあった。
骨盤は豊かに、女性らしく広がっている。毛も、丁寧に整えられてこそいるが、濃い。子を孕める身体であると、一目でわかる。
裂け目は、とんでもない有様になっていた。蜜をとめどなく溢れさせており、太腿まで滴り透明な筋をつくっている。陰唇はヒクッ、ヒクッと収縮を繰り返しており、どれほど欲情しているかを端的に示していた。
屈み込み、顔を至近距離まで近づけてくる。あと二、三センチも近づけば、鼻先が触れるほどまで。
「はは、こりゃひどい」
むせ返る雌臭を嗅がれる。甘酸っぱい、蠱惑的な発情フェロモンをだ。半萎えだった肉棒は、ふたたびいきり勃ち始めていた。
「はぁあ……っ」
あれほど素敵な口淫を経ても、自分はまだ達せていない。もう我慢できなかった。
軽く腰を揺らめかす。快楽を望み、誘うダンスだ。彼ほどの助平なら、きっと乗ってくれると願っていた。
「おやおや。堪え性のない子だ……こんなに汁を垂らしてたら、お客さんにバレるな。困るよ、ここまで人気が出たのに淫乱バレするなんてさ。ファンってのは掌クルクルさせる生き物だから、猛烈なアンチになるだろうなぁ」
男の台詞を、ほとんど聞き流していた。彼が取り出したものへ、視線は釘付けになっていた。
黒光りする張型だ。全長二〇センチ近く、野太く反り返り、幹にはごつごつと瘤があしらわれている。見るからに上級者向けだった。
見覚えのあるフォルムだった。それ自体は初見だが、そっくりなモノを見ている。なんなら、先ほどまでしゃぶっていた。
「ライブ中、こいつで蓋しておいてあげよう。コイツは僕ので型を取ってるからね。入れてれば、僕のことが恋しくなったりもしないだろう?」
「は……?」
当然のごとく言ってのける。正気を疑った。情欲に焼かれてしまいそうな今、こんなモノを入れて客の前に出るなど、無理無謀だ。
「ちょ、待――っあぁんッ……!」
が、彼は気にも留めない。雄々しい先端を、濡れそぼつ淫口に押し当ててくる。肉唇はその程度の刺激にも悦んで、キュンッ、と疼いた。口でどう言おうとも、本心で何を望んでいるか、はっきりうかがえる反応だった。
「アッ、はッ、あ、あ、ッ、あぁんッ……!」
「こらこら動くんじゃないよ。入れてやりにくいだろう?」
ぬっ、ぬぬっと、反り返る玩具が体内へと潜り込んでくる。狭粘膜が押し広げられ、埋め尽くされていく。
生じる性感は、思わず腰をくねらせてしまうほどだった。注意されようとも、こればかりはどうしようもない。へこっ、へこっとみっともなく腰を振る様は、とても皆の憧れとは思えなかった。
「よし。こんなもんかな」
「ッ、は、ひぃっ、は」
やがて、ディルドが根元まで入り込む。己の中がずっぽりと埋め尽くされているのを感じる。欠けていた穴が満たされる感覚は、どうしようもない雌の悦びをもたらす。
頭の中が、じぃいいん……と痺れていた。甘く響く官能は、まともな思考を許さない。
ただ、達したいとだけぼんやり願っている。淫猥穴をパコパコとほじられ、アクメを迎えたい。くねくねと空腰を振る様は、彼女が発情した雌穴に過ぎないと証明していた。
「ミスティアさん、そろそろ出番ですので準備お願いします。……ミスティアさん? 聞こえてますか?」
「そら、返事の一つでもしてやらないと。不審がられてるじゃぁないか」
不意に、扉がノックされる。促され、ようやく正気に戻る。時計は、開演時間ギリギリを示していた。ライブをするどころか、人前に出られる状態ですらないのに。
男を見る。ニタニタと笑っていた。そのまま行けと、声に出さず命令している。逆らえるはずもなく、ドアの向こうのスタッフへ返事する。
「……っはい、今行きますっ」
「そうそう、それでいいんだ。清純ぶったツラしてステージ上がっておいで。チンポ扱いた手でマイク握って、精液臭い口で歌って。善良なファンの皆を騙してくるといいよ」
「ひんっ……ッ!」
尻を撫でられる。甘い性感に、腰がふらつく。果たして、隠し通せるだろうか――大いなる不安と、破滅を望む薄暗い期待を胸に抱いていた。
***
なんとか、ごまかせた。最後のほうはほとんど記憶にも残っていないが、お客やスタッフの反応からいって、気付かれてはいるまい。
ソロ出演でよかった。鳥獣伎楽としての活動だったら、響子にはバレていただろう。
「ッは、あ。は」
「あっ、ミスティアさん。お疲れ様です。今日のライブも良かったッスよ」
「ありがとうございます。ごめんなさい、ちょっと疲れちゃったので……」
笑顔で接してくれるスタッフに対して、あまり望ましい態度ではない。が、多分あちらも気にしないだろう。実際、今のミスティアは、元気とはとても思えない有様だった。
足元はふらついているし、声も上ずっている。全身には汗が浮かんで、頬は紅潮し、吐息は熱い。
少なくとも、正常な様子ではない。とはいえ、パフォーマンスによる疲労でもないのは、よくよく見れば明らかだった。歩いたあとにぽたぽたと、道しるべのごとく落ちた雫は、汗ではなかった。
人目から逃れ、逃げるように楽屋へ滑り込む。扉を閉め、鍵をかけた。ようやく一息つける――わけではない。
「お帰り。関係者席で見せてもらったよ。いいライブだったじゃないか」
男がソファに座っていた。立っているのもやっとなミスティアと違い、余裕ぶって深く腰掛けている。
「いやあ、君が入ってくるなり部屋が一気に雌臭くなったな。いやらしい匂いムンムンさせてさ。客席まで漂ってたんじゃないか?」
底意地の悪い顔で詰ってくる。実際、今の彼女は、はしたない香りを漂わせまくっていた。発情した汗の匂いや愛蜜の匂いが混じって、濃厚なアロマとなっている。精通済みの雄が嗅げば、たちどころに勃起する誘惑フェロモンだった。
誰しも公演後は汗臭くなるものだし、スタッフ達も気遣って距離をとってくれる。おかげでバレずにすんだが、本当にギリギリだった。
「おやおや、マン汁がだらだらみたいだな」
いかにもわざとらしい、今気付きましたと言わんばかりの口調で呟く。太腿にべっとりと張り付いた透明な筋へ、視線は向けられていた。今も蜜が滴って、ぽたぽたと足元に染みをつくっている。
「せっかく蓋をしてあげたのに、これじゃ意味がないなぁ。いや、もしかして勝手に抜いたりしてないだろうね? 確認するから見せなさい」
「……はい」
無抵抗に頷くばかりだ。もはや、逆らう気力も残ってはいなかった。
スカートをたくし上げる。再び露わになった下半身を形容するなら、どろどろという語がぴったりだ。淡い桃色の毛並みも、秘めやかなる裂け目も、何もかもが汁まみれだった。玩具を咥え込む恥貝は、濃厚な雌汁を分泌してやまず、底なしの泉のごとき有様を晒していた。
「なるほど? ズルはしてなかったか。それにしてもライブ中にこれだけ濡らすのは、とんでもない淫乱っぷりというほかにない」
「はッ、あ、あ、あぁッ、はぁッ」
「ステージ下の客なんかには、際どい角度から覗いたりしてくる手合いもいるだろう? ああいうのにバレちゃったんじゃないかな? ミスティアちゃんがノーパンでこんなの咥えてライブする、ド変態夜雀だってことがさぁ」
罵りながら、猥褻なる光景の原因――股座にねじ込まれたディルドを掴む。ゆっくりと、引き抜いていく。
公演中ずっとディルドを咥え込んでいた肉穴は、もはや埋められているほうが自然とすら認識していた。己を塞いでくれる愛すべき異物が喪われる寂しさに、どうか行かないでとちゅうちゅう吸いつき、絡みつく。甘く切ない声は、切なくて狂ってしまいそうな脳内をよく表していた。
返しのようになった雁首が、襞をめくっていく。ソリッドな性感に、思わず眉根が寄る。とても、ファンには見せられない表情だ。
「ひぃんッ!」
いよいよ、亀頭に当たる部分が膣口から引き抜ける。ちゅぽッ、と卑猥音が鳴った。愛してくれるものを喪った肉穴は、悲しそうにくぱっ、くぱっと入口を収縮させ続けている。獲物を探すイソギンチャクの口を思わせる、妖しげでいやらしい姿だった。
「これはこれは。これだけ興奮してたら、鎮めてやらないと家にも帰れなさそうだ」
「……あはっ」
お前のせいだろ、と突っ込みを入れるくらいが筋だ。が、ミスティアは怒るどころか、口元に歪んだ笑みを浮かべてみせた。
この状況において、情欲をどう鎮めるかなど明らかだ。男の下服にもっこり浮かんだテントを見れば、馬鹿でも分かる。
期待を覚えていた。頭の中は、粘膜を粘膜でほじくり返す退廃的行為のことで一杯だった。今すぐにでもしたくてたまらなかったが、その前に一つ、すべき準備がある。
「服を着たままってのは都合が悪いね。脱ぎなさい」
「はぁい……っ」
セックスとは、交尾とは、素っ裸でするものだ。彼もまた、同じように考えていたらしい。顎をしゃくり、脱衣を命じてくる。
当初あれほど叩いていた憎まれ口は、いまや欠片もみられない。今、彼女を動かしているのは、理性ではないからだ。調教の末に躾けられた本能が、主人格となっていた。
衣装に手をかける。ボタンを外し、脱ぎ捨てて、肌をゆっくりとさらしていく。現役アイドルによる、即席ストリップショーだ。男も興奮しているらしく、ギラギラした視線をひときわ強めていた。
鳥獣伎楽を始め、アイドルになる前から、ミスティアは美人女将として有名だった。ぱっちりした丸い目、柔和な鼻筋、ふっくらした頬に艶めくリップ。あどけなさを残す顔立ちは、背丈の低さもあって、男達の庇護欲を掻きたてる。
花容と裏腹に、体つきはむちむちと女らしく、官能的だ。体格の小ささのわりに、出るところは出てくびれるところのくびれた、均整のとれたボディだった。いわゆる、トランジスタグラマー体型だ。
首と肩のラインは柔らかで、性格の温厚さを窺わせる。一方で、うっすら浮かぶデコルテラインなどは大変セクシーであり、白い肌が照り映えている。
乳房は身長に比してずいぶん豊かで、もちもちとしている。ぷるんと立派なFカップだった。
ずっしりと重たいわりに垂れたりはせず、つんと上向いた瑞々しい輪郭を保っている。アイドルとしてふさわしい、誰もが憧れる美巨乳だ。
マシュマロのごとき手触りで、触れればふわふわとどこまでも包み込んでくる。その傍ら、確かな弾力も備えており、まさに絶妙な感触だった。
先端は地肌からグラデーションをなしつつ、ほんのり色づいている。桃花色の乳輪は、男なら誰でも赤子返りしておしゃぶりしたくなってしまう類いのものだ。けれども乳首は、母として相応しくないほど硬く膨らんでいた。雌の悦びに爪先から頭頂まで浸っていると、分かりやすく示している。
腹回りはすっきりと自然なくびれを形作りつつ、脂を蓄えてもいる。えも言われぬ柔らかさを感じさせつつ、つまめる程度の腹肉は触れる楽しみをもたらしていた。中央でくりっとくぼんだ臍が、実にチャーミングだ。
下腹から脚は、もはやいうまでもなく淫らな姿を晒していた。ヒクつき、蜜を滴らせ、淫猥臭をまき散らす様は、とてもアイドルとは思えない。ライブ中、観客にバレなかったのが不思議なくらいだ。娼婦といわれたって、大げさすぎると感じるだろう。
愛くるしさとセックスアピールを高いレベルで両立させた、極上のボディだった。アイドルとして羽ばたいたのも頷ける。そんな肉体が情欲の最中にある様は、どこの誰が見たって勃起を免れ得ない。
「そら、そこに手をついて、尻を突き出すんだ」
言って男は、部屋の隅を指さす。言われるまま、手を突き、彼に尻を突き出した。
差し出された臀部は、たいそう卑猥だった。豊かに広がる骨盤を発達した大臀筋が支え、さらに脂肪が覆っている。熟れたメロンのごとき両尻たぶが、ぷりぷりとした魅力的なヒップを形成していた。
はしたなく涎を垂らす淫貝、むっちりした魅惑の太腿まで剥き出しとなれば、万人が垂涎する淫猥風景のできあがりだ。男も、おおいに興奮を煽られたらしい。ギンギンと、股座のモノをいきり立たせている。
「どら、どんな具合かな?」
「ひんっ」
陰唇の両側に指がかけられ、にちゃぁ……と割り開かれる。露わになった裂け目の内部は、無数の襞を備えた淫猥穴だ。うごうごと蠢いて、今すぐにでも貫いてくださいと主張している。とめどなく愛蜜を溢れさせる様は、誰が見たってどうしようもない淫乱だと一目で分かる。
「ハメてほしいかい、ほしいんだろう。ただし生で、中だ。どうだい?」
「ッ、それは」
ここでいう「生」や「中」が何を指すか、分からないほどウブではない。かつては知らなかったが、彼から教えられた。つまり、避妊具なしでセックスし、最後には膣内射精するのだ。
矢も楯もたまらず頷きたくなるのを、ぎりぎりのところで留まった。理性が待ったをかけたのだ。
いくら人間と妖怪とはいえ、孕む確率はゼロではない。もし妊娠などすれば――と、倫理観が忌避する。今まではゴムをつけてたのに、急にどうしてという戸惑いもあった。
「なんだい? 逆らう気かな? この生意気マンコめ。いいか? こっちはずっと生でハメたいのを、ゴムありで我慢してやってたんだ。今日という今日は許さんぞ」
「あっ、アッあっ、ッくぅうッ……!」
指が入り込んでくる。潤みきった卑猥穴を、我が物顔で嬲り者にしてくる。といっても、激しくほじくり倒してくるわけではない。むしろ逆だ。浅くをヌルッヌルッと抜き差しする。実にゆっくりした動きだった。
「ひ、ぁッ、は、あぁあああ~ッ……!」
普段なら、まあ耐えられただろう。が、今はダメだ。燃え上がる情欲の炎に焦がされている今は。
「そぉら、どうなんだ。このままオマンコなしでいいのか? ええ?」
詰問口調で、嬲り立ててくる。膣内の弱点をかりかりかり……と責めてくる。官能を煽り立てる、しかし絶対に達せない程度の愛撫は、まさしく火に油を注ぐようだった。膝をカクつかせながら、甘く切ない声をあげて悶える。
「ひっ、は、あぁう、ふッ、あぁッ、あぁ」
涙すら零しながら、決して満たされぬもどかしさに震え続ける。爪でがりがりと、壁を引っ掻いていた。誰もが聞き惚れる美声で、キャンディボイスを垂れ流す。
「ッ、は、お願い、おねがいします……生で、中、でいいですから。いや、生がいいですっ、おちんちん、おチンポくださいッ。私のおまんこいっぱいズポズポして、イかせまくってぇッ……!」
とうとう陥落する。堪えきれなかったことに、僅かな情けなさを覚える。だがそれ以上に、もう我慢しなくてよいのだという吹っ切れた悦びが、胸を満たしていた。
「そうそう、最初からそうやって素直にしとけばいいんだよ」
ニンマリと笑顔を浮かべながら、男は下服をずり下ろす。露わになった逸物は、先の口淫での大量射精など忘れたかのごとくいきり立っていた。
今、ああも大きく膨れたモノをねじこまれたら、いったいどうなってしまうだろう。期待に、胸がときめいた。何より素晴らしいのは、すぐにその答えが分かるという点だった。
「アハッ……!」
先端が、肉洞の入口に押し当てられる。ぬちっ、と小さな音が鳴った。彼女がどれだけ興奮しているかを示す、わかりやすい証拠だ。
思わず、ぷりぷりした尻が踊る。くねっ、くねっと、淫裂を上下に擦りつけている。こねられた粘膜が、にちゃにちゃと猥褻音を鳴らした。
「はは、そんなに焦らなくても、すぐブチこんであげるよ、そぉら、一、二ぃの……三ッ!」
「アッ、……はぁあああああああああああッ!」
腰が突き出される。全長二〇センチ越え、逞しく反り返る真珠入りの凶悪男根が、純真アイドルの猥褻膣穴を穿つ。ぬぶんッ! と音を鳴らし、剛直がミチミチと狭穴を割り広げていく。
鍵はかけているとはいえ、楽屋なので防音などはされていない。誰に聞かれるとも分からないのに、嬌声は甚だしく、けたたましかった。抑えなど、できるはずもなかった。
――なにこれッ……。今まで何度も、彼に貫かれてきた。が、今行われているセックスは、まったく未知のものだった。初めて味わう生のペニスは、ゴムを被せた肉竿などとは、全く違っていた。
熱さ・雄々しさ・逞しさ。そういった概念を、直接膣内にねじ込まれているかのようだ。女として、屈服せずにいられるわけもない。
「おほッ、まったく、この穴ポコときたら、ふわふわしながら絡みついてくる。アイドルなんかより娼婦になったほうがよっぽど向いてるなァッ」
「アッ! は、あぁあッ! ひ、くッ、んぅう、ッ、ぉ! おおっ、あぁあッ!」
抽送が開始される。下からしゃくり上げてくる、性的強者に特有の巧みなストロークだ。
ミスティアの一番弱いところを、ゾリッ、ゾリッと擦り上げてくる。ゴムによって隔てられない、いきり立つ雄棒がだ。埋め込まれた真珠が、襞を蹂躙していく。
「ッひぃ、ッ、あぁッ、あっはッ、あっあっ、あぁああッ……!」
脳味噌を真っ白に痺れさせる官能が、次から次に駆け抜けていく。今までの調教は、ほとんどお遊戯同然だったと気付きつつあった。これこそが、本物のセックスなのだ。
突き上げられるたび、ぷるんぷるんとFカップバストが弾む。下腹が打ち付けられ、尻肉が小さく波打つ様は、猥褻の言葉ではとても足りない。
「はひぃッ、ぉひッ、ぉ、ぉッ、くふぅッ、んくッ、ぉおっ!」
常識外れの長竿は、普通ならできないプレイも可能にする。すなわち女陰の奥の奥、子を成すための聖域の入口を、亀頭で責め立てるのだ。
ごつっ、ごつっと、乱暴なノックの音が体内から聞こえてくる。雌そのものたる部位を、雄そのものたる器官で叩かれる性感に、可愛らしさなど保っていられない。間抜けな声を上げてひぃひいよがり、結合部から愛蜜をまき散らす。
「あぁはッ、あぉッ、くひぃッ! っは、ぅうんっ、あっあっあっ、ぉおおッ!」
幻想郷いちの歌姫の喉から、淫ら声があがる。誰もが魅了する喉から放たれるのは、男を誘い煽り立てる発情の嬌声だ。何度も彼女を凌辱し、慣れているはずの彼ですら、平然とはしていられない。
「まぁったく、生チンポがそんなにイイか、このエロ女がッ……!」
「あっはぁッ、いいッ、いいのぉ、もっと、もっとほじってぇッ……!」
ピストンのペースが上がっていく。ごりごりとほじられるほど、悦びは増していく。
ミスティアも腰を振りたくる。体格に比して驚くほどむちむちした尻を踊らせ、粘膜と粘膜・下半身と下半身を打ち付けあう。ファンには決して見せられない、とんでもない下品姿をさらしていく。
内容はどうあれ、あらゆる男の憧れが、自分だけに見せる姿だ。彼の情欲へ、大いに油を注ぐ。
抽送が激しくなる。ぱんっ! ぱんっ! と、肉同士のぶつかり合う破裂音は室外にまで聞こえそうな勢いだ。最奥部をゴツゴツと、容赦なく小突き上げてくる。
体内で肉棒が膨れ上がりつつあった。何を示す兆候かは、もちろん分かっている。本日二度目なはずだというのに、ぎんぎんと張り詰めている。
人間と妖怪では、子は出来にくい。が、可能性はゼロではないし、実例も幻想郷にはいる。中に注がれれば、孕んでしまうかもしれない。
望まぬ妊娠のリスクを、ミスティアとて理解している。いるが、どうでもよかった。膣内射精されれば絶対に気持ちいいと、本能が訴えていた。今さら、抗えるわけもなかった。
「出してっ、中に、オマンコのなかに注いでッ、熱い精子ぶちまけてイかせてぇっ!」
高く上ずったこえで、はしたない赤裸々なおねだりを繰り出す。言われずとも、といわんばかりに、抽送は速度を増していく。淫裂が摩擦で擦り切れてしまいそうな中、とうとう、弾けた。
「ォッ、お、おッ、おおッ、おおおッ、出るゥ~……ッ!」
ひときわ深く、腰が突き出される。男の下腹に尻肉が押し潰され、形を歪める。狭穴の中では、亀頭と子宮口がむっちゅりと熱烈なキスを交わした。
どッどッと、男根が脈動する。睾丸の中に溜め込んでいた雄のリキッドを、容赦なく解き放っていく。ぼびゅるぼびゅると、煮えたぎるマグマが胎内に注ぎ込まれていく。無数の精子が鞭毛を蠢かして泳ぎ回り、ミスティア・ローレライを屈服させにかかる。
「ッは、ッ、あ、あ、あぁああああああああ……ッ!」
当然、抗えるわけもない。背を反らし、目を見開いて、絶頂に至る。
膣穴から脳天まで、背骨を通じて一直線に結ばれたかのようだ。そのラインを、快楽信号が一気に駆け抜けていく。視界は白く染まり、思考はピンク色で埋め尽くされる。
上がる声は、性の悦びを一心に歌いあげていた。アイドルとして歌うどんなステージよりも美しく、そして猥褻な声だった。
「ぉおッ、出した、出した」
余韻までたっぷり楽しんだ後、男はようやく射精を終える。ふぅと息をつきつつ、額にかいた汗を拭った。
ゆっくりと、腰を引いていく。未だアクメの最中にある膣肉は、キュンキュンと絡みつく。
肉竿が淫裂から抜ける。膣口から亀頭にかけて、白濁した粘液の糸が伝った。ミスティア・ローレライが淫猥なる雌に堕ち、子宮を捧げた、なによりの証拠だった。
「はぁッ、あふ、あぁあ……」
ぐったりと、床に崩れおちる。全身汗にまみれており、足元には愛液が水たまりをつくっている。紅潮しきり放心した顔は、女としての悦びに浸りきっていた。
「いやあ、お疲れ様、ミスティアちゃん。今日もよかったよ」
「……あはぁっ。んちゅ、んぅ、んちゅむ……」
ニタニタと笑いながら、半萎えの逸物を眼前に差し出してくる。何を言うでもなく――会話する余裕すらない――彼女はソレを、従順にしゃぶりたてる。
先の口淫とは違う、ゆったりとしたフェラチオだった。むちゅむちゅとリップノイズをあげながら、表面にへばりついた粘液を舐め取っていく。もはや彼女の口腔は、男の肉棒のためだけに存在していた。
「そうだ、明日ウチに来るといい。今日の反省会もかねて、特別レッスンをしてあげよう、いいね?」
「んむぅんッ……」
反省会もレッスンも、絶対にろくなことではない。きっと、気絶するくらい散々に喘がされるのだろう。何をしていただけるのか――胸を高鳴らせ漬けながら、口内の愛しいモノにいつまでも尽くし続けた。